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111窮奇:2011/06/14(火) 23:29:10 ID:???
>>110

「うわっ! ちょっと・・・ッ!?」

 いきなり抱きつかれ、慌てふためくが。
 どうにも力が入らず、突き飛ばすことも逃げることもできなかった。

 ただその言葉が震えていたのを聞き、
 いかんともし難いような困った表情を浮かべる。

「そうだね、決着は・・・また今度かな」

 最後の最後でへし折った心。
 悪逆はこんなときでも意地悪に微笑んでいた。

 織理陽狐が離れたとき、緑の粉がハラリと舞った。
 その中で窮奇の髪に付けられる、黄色くて星のような形の花。

 身体は既に、かなり薄く。
 夜行神が向こう側で、どこかに散っていく様がありありと見えた。

「手向け?」

 その花に触れ、いまいち意味が飲み込めずにいた窮奇はハッと悪意有る思い付きを浮かべる。
 すっかり細く、弱々しくなった逆心の黒い触手が、織理陽狐の心に侵入する。

「そうか・・・レンギョウの花、花言葉は希望か。
 あっははー、安心して『良い』よ。いくら私でもこれに逆らうほど無粋じゃないからさ」

 相変わらずの笑い、相変わらずの嫌味。

「まぁここは天邪鬼じゃなくて、素直な意味で受け取らせて貰うとするよ。次は負けないよぉ、織理陽狐くん!」

 指差し、宣戦の言葉を告げると同時に。
 窮奇は薄れ、花と共に霞のように散った。

 かすかな木犀の香りが、すこしだけ残っていた・・・。


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