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106織理陽狐:2011/06/14(火) 21:06:57 ID:/AfNAO.Q
>>105
僅かに浮かぶ苦悶の表情。
けれどそれは一瞬で消え去ってしまう。
織理陽狐は、キャンドルを持つ手に力を籠めて怒鳴る窮寄に、からんと笑ってみせた。

「確かに儂は幸せを望んでおるが、それ以外はただの化け狐じゃよ」

なぜ、笑えるのか。
怒りも憎しみも不幸も、彼の表情から感じる事はできない。
窮寄と同じ場所に墜ちて、それでもなお、
織理陽狐は目の前の妖怪を幸せにしようと、その命を瞬かせる。

「お前も儂も、最初から違いなどない。
 ……手を伸ばした場所が、少し違っただけじゃよ」

嫉妬も同情も、全て誰にでもある感情だ。想いなのだ。
何か一つ違えれば、織理陽狐が窮寄のようになっていたかもしれないと。
そう語る織理陽狐は、まるで世界に否定されても、彼だけは全てを許してくれる、そう思わせるような力があった。

紫炎を灯したキャンドルを握る、ただの妖怪としての《窮寄》の手に、織理陽狐は己のものを重ねた。
金の焔になった手のひらは、火傷する訳でもなく、ひたすらに暖かかった。

「望めば叶う。全て、いつだって。
 不幸や幸福すら手の中じゃ。
 手を伸ばして届かないものなど、この世界には一つだってありはしない」

「だから……窮寄」

織理陽狐がどこからか、大きな紫炎を揺らす提灯を浮かび上がらせた。
強い想い。ただ幸せを不幸にすることを願った、窮寄の分身といえる存在。
それを掲げながら、織理陽狐は真っ直ぐに窮寄を見つめた。

「お前の願いを、もう一度聞かせてくれ」


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