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スーパーRPG大戦α

98疾風:2005/07/11(月) 21:08:59 HOST:z203.61-115-68.ppp.wakwak.ne.jp
一方・・・・
先程、宇宙人が出ると噂のビルに入ったエンだったが・・・・
エン「サインって・・・お前まさか・・・」
ガク「宇宙人さんにサインを貰おうと思って・・・」
エン「おい、さっさとここから逃げろ!」
ガク「何でだよ!」
エン「いいから、もし危険な宇宙人だったらどうするんだ!」
ガク「いい宇宙人かもしれないじゃないか!」
反論するガクを外に避難させようとするが中々うまくいかない・・・
???「喧嘩ですか?」
8歳位の女の子がエン達の後ろから話をしてきた・・・・
その女の子は銀色の髪に紫暗の瞳・・桃色のロボットを持っており不思議な感じが出ていた・・・
ガク「君は?」
時音「時音・・・ここに宇宙人が出るって言うから着てみたの・・」
エン「それじゃあ時音、ガクと一緒に外に出てもらえないかな?」
時音「どうして?」
エン「だがら・・・その・・・」
時音「・・・・・後ろに何かいるよ・・」
エン「何だと!」
その時、背後から何かが接近してくる物音が聞こえていた・・・・

99アーク:2005/07/11(月) 21:33:20 HOST:YahooBB220022215218.bbtec.net
=商店街=
ルシュファー「畜生あのガキはどこに行きたがったんだ?」
ライラ「私が知るわけないでしょ」
二人は校長先生に訳を言うのに時間が掛かりエンを見失ってしまった
ルシュファー「一体どこに行きやがったんだ!イライラしやがる!」
ルシュファーが地団太を踏んでいるとライラの後ろから男性が話しかけた
???「学生を探しているのか?それだったらあの廃屋ビルに向かったが」
ライラ「本当ですか?小父さん」
???「小父さんは余計だが本当だ。何かとても急いでいたぞ」
ルシュファー「本当だったら恩にきるぜオッサン」
ルシュファードはそう言うと急いで廃屋ビルに向かった
その後を男性に礼を言ったライラが後を追った
???「まさかこの様な運命で出会うとは思わなかったな」
男性がため息を出しているとお菓子屋から少女が出てきた
???「何かあったのスパーダ?」
スパーダ「いや何でもないよアルストロメリア」
メリア「そう?それと名前長いからメリアでいいよ」
スパーダ「そうか?ではメリアこれから単独行動をするのでまた会えたらいいな」
メリア「うん分かった。私は泊まれそうな家でも探すわ」
男性と少女はそう言うと二手に分かれた少女は人ごみの中に
男性はルシュファードの後を追うように

100ゲロロ軍曹:2005/07/11(月) 23:46:02 HOST:p3196-ipad28okayamaima.okayama.ocn.ne.jp
=山海高校・某教室=
カイたち三人は、授業を受けていたが、ヨクとシンの二人は・・
ヨク(宇宙人・・、宇宙人・・)
シン(オフィスビル・・。といえば、美人OL・・。)
・・、シンにいたっては微妙かもしれないが、とにかく、二人はエンのことが気になっていた・・。
それと対照的に、カイは真面目に黒板に書かれた文字を、ノートに写していた。すると・・
マリア『ねえ、皆!一体何を隠してるの!?』
カイ「!?」
突然、先ほどのマリアの言葉を思い出した。そしてカイはどうしたのか・・、
「バキィ!!」
あまりに力を込めすぎたのか、手に持ったシャープペンシルを握りつぶしてしまった・・。
そして、その光景に、先生も生徒も驚いていたが、突然、カイはさらにとんでもない行動にでた。
カイ「・・、広瀬海、早退します!!」
すばやく立ち上がり、教室を抜け出していく・・。
教師「あ、おい!広瀬君!?」
すると、それに続くかのように・・・
ヨク「僕も、早退します!!」
シン「俺も俺も!!」
カイに続くかのように、二人も教室を飛び出していった・・。
とりのこされた教師や生徒たちは、唖然としていた・・。
そして、三人は目的地へ向かっていった。もちろん、エンが向かった無人のオフィスビルである・・。

101疾風:2005/07/14(木) 21:39:16 HOST:z20.219-121-69.ppp.wakwak.ne.jp
エン「ちっ、ガクと時音は逃げろ、ここは俺が何とかする!」
ガク「お、おいエン!」
時音「ガク君・・・・」
ガク「何だよ・・」
時音「ごめんね・・・」
時音は隠し持っていたバトンでガクを気絶させる・・・・
エン「ガク、時音、一体何をしたんだ!?」
時音「ちょっと気絶して貰ったの・・・じゃないと戦えないでしょ?」
エン「おい、俺達は逃げようと・・・・」
時音「そろそろ、変身した方がいいよ・・・・そこまで来てる・・」
エン「は、何を?!」
時音「ね、ファイヤーエン!」
エン「ええっ?!」
時音「一応、正体は黙って上げる・・・だって同じ勇者だもん・・・」
エン「ゆ・・勇者って・・・お前・・まさか・・・?!」
時音「うん、私も勇者だけどダグオンじゃないよ?」
いきなり、正体知られている他に名前まで言い当てられる・・・・

102藍三郎:2005/07/19(火) 21:19:13 HOST:proxy1.ice.media.hiroshima-u.ac.jp[coco28.ice.media.hiroshima-u.ac.jp]
=アンデッド戦=

ランス「おらぁぁぁっ!!!」
 アンデッドの群れの中に突入したランスは
 ランスラウザーを振って迫り来るアンデッドを蹴散らす。
 槍型の武器であるランスラウザーは、攻撃範囲が広くなるため、
 こういった集団戦には最も適していると言えた。
ランス「らぁっ!!」
ローカストアンデッド「!!!」
 気迫のこもった叫びとともに、ランスラウザーの穂先が、
 ローカストアンデッドの腹部に突き刺さる。
 その一撃はアンデッドの体を大きくのけぞらせた。
ランス「まだまだぁ!!」
 その隙を逃さんと、ランスはカードをランスラウザーにスラッシュする。
ランスラウザー『MIGHTY』
 ランスラウザーの先端が緑色に輝く。光を伴った槍の一閃が、アンデッドの体を貫く。
 ランスの必殺技『インパクトスタッブ』がローカストアンデッドに炸裂した。
 アンデッドはそのまま仰向けに倒れる。それと同時に腰に巻いたベルトの封印錠が開かれる。
 敵手を仕留めたのを見て取ると、白紙のラウズカードをローカストアンデッドに投げる。
 緑色の輝きと共に、アンデッドはカードに封印された。

ラルク「お、あたしも負けてらんないね!」
 ランスがアンデッドを封印したのを見ると、ラルクは負けじとアンデッドに攻撃を仕掛ける。
 ラルクラウザーはボウガン型の武器であるが、エッジとなった弓の部分で近接攻撃をする事も可能なのだ。
 ラルクの放った一閃が、シェルアンデッドの体を切り裂く。
 そのままカードをラウザーにスラッシュする。
ラルクラウザー『MIGHTY』
 ラルクラウザーから赤色に輝く光の矢が発射される。
 ラルクの必殺技『レイバレット』はシェルアンデッドを貫き、致命傷を与える。
 封印錠が開かれるのを確認すると、ラルクはカードを投げつけ、アンデッドを封印する。

グレイブ「たぁっ!!はっ!!」
 一方、グレイブはトンボの不死生物・ドラゴンフライアンデッドと交戦していた。
 まさに一方的な戦いであり、グレイブが繰り出す剣撃にはアンデッドは手も足も出ない。
 やや荒削りな部分が見えるランス、ラルクの両名と比べても、
 豊富な実戦経験を思わせる洗練された動きである。
グレイブラウザー『MIGHTY』
 カードをスラッシュすると共に、グレイブラウザーの刀身が黄色に輝く。
 必殺技『グラビディスラッシュ』で、ドラゴンフライアンデッドを袈裟懸けに斬る。
 アンデッドが倒れると同時にカードを投げつけ、アンデッドを封印する。

ランス「へっ、ちょろいもんだぜ」
ラルク「ホントよね♪楽勝って感じ……」
 アンデッドを倒し、やや浮かれ気分になる2人だったが、すぐに私語を中断する。
 カテゴリーA・ビートルアンデッドが2人の元に突進してきた。
ランス「カテゴリーA……返り討ちにしてやんぜ!」
 ランスは槍の一撃をビートルアンデッドに放つ。
 だが、さすがは上級アンデッド。
 ビートルアンデッドは左手に持った盾を構え、ランスラウザーの先端を受け止める。
ランス「何!?」
ビートルアンデッド「………」
 ビートルアンデッドはさらに、カブト虫の角を模したと思われる
 大剣『オールオーバー』を、隣のラルク目掛けて振り下ろす。
ラルク「!!」
 唸りを上げる剛剣が、ラルクの体を真っ二つにせんとするその時……

ガキィン!!

ビートルアンデッド「!!!」
 アンデッドの大剣は、甲高い音と共にラルクの目前で制止していた。
 割りこんできたグレイブが、グレイブラウザーでオールオーバーを受け止めたのだ。
グレイブ「大丈夫か?」
 グレイブは後ろのラルクに声をかける。
ラルク「ええ、助かったわ……あ、危ない!!」
 礼を言うラルクだが、ビートルアンデッドが
 再びオールオーバーの一撃を繰り出すのを見て、グレイブに叫ぶ。
 だが、グレイブは冷静だった。グレイブラウザーを振り、
 またもアンデッドの強烈な一撃をうまく受け流す。
グレイブ「たぁっ!!」
ランス「俺も行くぜ!おらぁっ!!」
 2人のライダーはそれぞれの武器を振るい、ビートルアンデッドに同時攻撃をしかける。
 ビートルアンデッドは、ランスの攻撃は盾で、グレイブの攻撃は剣で受け止め、
 この波状攻撃をうまく凌いでいた。
 だが、防戦一方であることには変わりない。
 形勢不利を見て取ったのか、ビートルアンデッドは
 2人の攻撃を打ち払うと、その隙に素早く立ち去っていく。

103ゲロロ軍曹:2005/07/19(火) 22:47:35 HOST:p1011-ipad29okayamaima.okayama.ocn.ne.jp
虎太郎「す・・、すごい・・。」
剣崎「・・・。」
二人は驚きを隠せなかった・・。先ほどまでアンデッドと闘っていた、『仮面ライダー』の存在に・・。
剣崎「・・!これは・・。」
ふいに、剣崎は一枚のカードを拾った。それはかつて自分が所有していた、『ライオンアンデッド』のラウズ(封印)カードであった・・。
虎太郎「・・!け、剣崎君!彼ら、帰っちゃうよ!?」
剣崎「!」
虎太郎の言うとおり、アンデッドを封印し終えた(もっとも、ビートルアンデッドは逃がしたが・・)仮面ライダーの三人は、変身を解除し、その場を後にしようとしていた・・。
すかさずそれをおう剣崎と虎太郎・・。
剣崎「ちょっと待ってくれ!!」
剣崎が大声で叫ぶと、剣崎たちの方向を振り向く「仮面ライダー」の男女たち・・。
剣崎「あんたたちは、一体・・。」
彼らの正体を聞こうとした剣崎だが、急に「パシン!」という音がした・・。
ラルクに変身していた女性が、急に剣崎の頬を叩いたのだった・・。
女性「何やってんのよ。生身でアンデッドに立ち向かおうなんて・・。」
もの凄く呆れられた表情で言われ、何やら怒りを感じる剣崎・・。
そして、女性はそのまま剣崎を無視して帰ろうとした・・。
剣崎「ちょっと待てよ!」
そういって、女性を止めようとしたが、グレイブに変身していた男性が、もの凄い目で剣崎を睨みつけた・・。
これには、剣崎も立ち止まるしかなかった・・。そして、その男性も、他の二人の後を追うように、その場を離れた・・。

104名無しさん:2005/08/06(土) 12:22:37 HOST:host066.kinu.mediabomb.stnet.ne.jp
エン「お、お前、一体・・?」
自分の名前を知っており、なおかつ秘密を知ってる見ず知らずの会ったばかりの少女に対して、エンは驚きを隠せなかった・・。
時音「・・、来たよ。」
エン「!?」
時音の忠告を聞いて見てみると、向こうの通路から数匹のアリ型宇宙人がやってきた。
エン「お、おまえらか!?このビルで警備員を殺したのは!??一体何モンだ!!」
アリ型宇宙人「ふん・・。教えてやろう。我々は『ザゴス星人』。貴様らで言うところの、『異星人』だよ。」
エン(ちっ・・、やっぱりな・・。)
自分の予想が当たっていたのに対し、思わず舌を打つエン・・。
ザゴス星人「あの人間は、偶然ながら我々の計画を知ってしまったのでな、口封じのために『処理』したまでだ。」
仲間が気味の悪い笑い声を出しながら、ザゴス星人はそういった・・。そして、それを聞いて、エンは静かに怒りの感情を表に出した・・。
エン「処理、だと・・?てめえ、人間を何だと思ってるんだ!?」
ザゴス星人「ふん・・、決まっている。我々には遥かに及ばぬ、虫けらのような存在だよ。」
あまりにも平然と言い放ったザゴス星人の言葉によって、エンの怒りは頂点に達した・・。
エン「てめえらぁ・・、もう許さねぇ!!」
ザゴス星人「ふん・・、人間ごときが、我々にかなうと思うのか?この・・、愚か者めがぁ!!」
そういって、すばやいスピードでエンを襲おうとする一匹のザゴス星人。しかし、エンは難なく攻撃をよけた。
エン「こうなりゃ・・、一気にいくぜ!!」
そういって、左腕のブレスレット、『ダグコマンダー』に手をかけるエン・・。そして・・
エン「トライ、ダグオン!!!」
右手でダグコマンダーのスライド部分をスライドさせながら、変身の言葉を叫んだ。そして、エンの身体に炎のようなパワードスーツが装着された・・。
エン「ファイヤー、エン!!」
これには、さすがにザゴス星人たちは驚いた・・。

105ゲロロ軍曹:2005/08/06(土) 12:24:20 HOST:host066.kinu.mediabomb.stnet.ne.jp
ご、ごめんなさい!!また名前を書き忘れてしまいました・・。(泣)

106暗闇:2005/08/07(日) 18:09:16 HOST:YahooBB220020057170.bbtec.net
そして、シルヴァランドの方では…
ロイド「なあ。あそこで光ってるのはなんだ?」
石造りの聖堂の中は薄暗かった。いくらも進まないうちに、ロイドは小さな台の上に置かれている指輪を見つけ、コレットを呼んだ。
コレット「え?これはねえ……」
先を歩いていた彼女は、戻ってくると小さな赤い石のついた指輪に見入る。
コレット「かわいいね〜」
クラトス「いきなり道草か?それはソーサラーリングだ。たとえ微力でも、持つ者のマナを増幅し、救うという」
苦い顔のクラトスが、ひょいと覗き込んだだけで答えた。
ジーニアス「へえ。これがソーサラーリングかぁ。話には聞いてたけど。これってマーテル教会の聖具なんでしょ」
ジーニアスは、興味深そうに指輪に手を伸ばしかけた。
ロイド「ああっと。なあ、なあ。これ、俺が持ってていい?」
ロイドはジーニアスの後ろから手を出すと、リングをサッとつまみあげてしまう。
ジーニアス「いいけど……。ほんとに子供みたいだよ、横取りなんかしてさ」
ロイド「へっへ」
クラトス「ジーニアスの言う通り。−−−っ!」
クラトスは吐き捨てるように言い、ロイドに向かって剣を引き抜いたと思うと目にも止まらぬ速さで振り切った。
ロイド「うわわっ!お、おい、なにすんだ……え」
ドサリ、という重たい音を背後に聞き振り向いたロイドは、そこに真っ二つになっているモンスターを認め、慌ててクラトスを見る。
が、彼は既に踵を返し、再び歩き出していた。
その後も聖堂の奥に進むに連れ、ときおり神子の侵入を阻もうとするモンスターが現れたが、コレットたちが恐怖を感じる前に、そのほとんどはクラトスによって斬って捨てられた。
ロイドも油断もなく柄に手をかけてはいたが、クラトスの鮮やかな動きのおかげで、ほとんど剣を抜くことはなかった。
クラトス「ここが最上階か」
明かり取りの窓しかない石段を昇りきり、クラトスはコレットに訊ねる。彼は息ひとつ乱してはいない。
コレット「はい。あれが祭壇です」
コレットが指さすほうを見て、ロイドは思わず目を見張る。
部屋の中央にしつらえてある丸い祭壇−−−ファイドラによって清められていた−−−の真ん中に、明るく輝く小さな石が安置されていたからだ。
ロイド「じゃ、あれがクルシスの輝石か」
コレット「そうだよ。私が握って生まれてきた石」
コレットが頷いた。
光は美しいオレンジ色で、全てのものを包み込むような暖かさを感じさせる。
なんだかコレットみたいだ、とロイドは密かに思った。

107暗闇:2005/08/07(日) 18:47:19 HOST:YahooBB220020057170.bbtec.net
ジーニアス「あっ、上、見てっ!」
ジーニアスが叫んだ。
ロイド「なんだ!?」
ロイドたちが急いで天蓋を仰ぐと、輝石の放つそれとは明らかに違う、白く清らかな光が降ってくるのが見えた。
ジーニアス「……学校で見た光に似てない?」
ロイド「ああ」
ロイドはジーニアスに頷きながら、クルシスの輝石の輝きが、スーッと弱くなるのにも気付く。まるで呼応しているかのようだ。
それまでは暗くて見えなかった天蓋の内側に施された装飾を照らしながら、光はゆっくりと降りてきた。
と、その中に白い翼が現れた。大きくしなやかで純白のそれは、一人の男の背から生えている。彼は宙にとどまり、浮いていることができるらしい。
ロイド「な、なんだ、あいつはっ!?」
ロイドは、光に包まれて出現した男を指さす。
クラトス「あれが……天使だろう」
ロイド「天使」
クラトスの言葉にオウム返しに呟きながら、彼は天使がマーテル教会の紋の入った衣服を身につけているのを認めた。
ジーニアス「天使って、じゃあ、あれがコレットの本当のお父さん?」
神子は天使からの預かりものであり、フランクは養父にすぎないと、イセリアの村人なら誰でも知っていた。
確かに美しいプラチナブロンドの髪も、コレットにそっくりだ。
その時、聖堂に厳かな声が響いた。
レミエル「我が名はレミエル……マナの血族の娘コレットを、新たな神子として天に導く、クルシスの天使」
コレットはハッとし、胸の前で指を挟むと頭を垂れた。
レミエル「世界の中心で眠るマーテル様を、目覚めさせる時が来た」
レミエルが輝石の上まで降りてくる。と、石はまるで生き物のように祭壇から浮上し、輝きを放ちながらコレットの胸元へ治まった。
ロイド(石が赤い宝玉になった……綺麗だ)
ロイドは、横目でクルシスの輝石を見、そう思う。それは村の少女たちが身につけるブローチのようでもあり、色白のコレットによく似合っていた。
レミエル「いまこの時より、コレットは再生の神子となる−−−我々クルシスはこれを祝福し、シルヴァランドに救いの塔を与えよう」
レミエルが、ゆったりとした動きで聖堂の窓を指し示した。
そちらに視線を向けたロイドたちは、驚きのあまり一瞬言葉を失ってしまう。
今までなにもなかったはずの空に、高くまっすぐに伸びる塔が見えた。
ロイド(ずいぶん遠いな……東の方角ってことは……、ハイマの方か)
その頂上を雲の中に隠している“救いの塔”を眺めながら、ロイドは思った。
ジーニアス「すごいや!何もかも姉さんが言っていた伝説の通りだよ。女神マーテル様を目覚めさせて……これで世界は救われるんだね!」
ジーニアスは、嬉しそうにバンザイをする。
レミエル「再生の神子コレットよ。救いの塔を護る封印を解き、かの地に刻まれた天の階<きざはし>を上れ」
レミエルの言葉に、コレットは目を閉じる。
コレット「神子は確かにその任を承りました」
よろしい、と天使は頷いた。
レミエル「我らクルシスはそなたが封印を解放するごとに、天使の力を与えよう。そなたが天使として生まれ変わった時、この荒んだ世界は再生される。まずはここより南の方角にある火の封印を目指すがいい。かの地の祭壇で祈りを捧げよ」
コレット「はい。必ず世界を再生いたしま……あっ!お待ち下さいっ!」
コレットは、既にその姿を消し始めたレミエルの下に駆け寄った。
コレット「窺いたいことがあるのです!あなた……レミエル様は、本当に私のお父様なので……」
レミエル「まずは火の封印だ」
天使が声を響かせる。
レミエル「よいな。我が最愛の娘、コレットよ。次の封印でまた会おう−−−」
コレット「お、お父様……やっぱりレミエル様が私の本当のお父様なのですね!」
コレットは肩を震わせ、涙ぐみながら、消えてゆく天使をいつまでも見つめていた。

108藍三郎:2005/08/07(日) 19:29:11 HOST:YahooBB219060041115.bbtec.net
=OREジャーナル=

 都心にそびえたつ一件のビル。
 そこに、インターネット上でメールやニュースを配信する
 ベンチャー企業『OREジャーナル』の編集室はあった。
 
令子「あら・・・おかしいわねぇ。
島田さん、このパソコン修理しといてって言ったじゃない」
 OREジャーナルの記者、桃井令子は自分のパソコンが
 思い通りに動かないことに腹を立て、
 同僚のパソコンエンジニア・島田奈々子に文句をたれる。
令子「もう、どうなってるのよこれ!」
 八つ当たりとばかりにそのパソコンを叩く。すると・・・

奈々子「痛っ!!」
 離れた席で仕事をしている令子の同僚・島田奈々子は、
パソコンが叩かれると同時に声をあげる。
令子「・・・・・・」
 ガン!
 さらに令子は目の前のパソコンに対し打撃を加えてみる。
奈々子「痛っ!!」
令子「・・・・・・」
 今度はパソコンを指でくすっぐってみる。すると、案の定・・・
奈々子「うひゃっはっはっは!!!」
 まるで自分がくすぐられたかのように、奈々子は笑い声を上げた。
 この子はパソコンと精神同一体なのか・・・令子がそんな事を考えていると、
 奈々子はおもむろに立ち上がり、令子を指差しこんなことを言う。
奈々子「あなたはパソコンに対する愛が無い。愛が無いから彼氏もできない」
令子「な・・・・・・!」
 突然妙なことを言われ、唖然とした顔になる令子。
 一方奈々子は、図星か?とばかりににんまりと笑みを浮かべる。

大久保「おおい、お前ら、漫才はその辺にしとけ」
 女性陣2人に対し、最奥のデスクに腰掛けていた
 『OREジャーナル』編集長、大久保大介は声をかける。
大久保「ところで、真司のやつはどうした?あいつまた遅刻か?」
 遅刻の多い新入社員のことを問う大久保。
奈々子「あ、真司君なら、さっきからここにいますよ」
大久保「『ここ』?そりゃどういうこった?」
奈々子「ですから、『ここ』ですってば」
 奈々子は部屋の隅においてある、机の下を指差す。
 そこには、一人の青年がすやすやと眠っていた。
OREジャーナルの新入社員・城戸真司である。

大久保「・・・・・・」
 大胆にも職場の床で堂々と寝ている新入社員の姿を見ると、
 大久保はゆっくりと椅子から立ち上がり、真司の下に近寄る。
 そして、耳を傾けると、真司の口から寝言が聞こえてきた。

真司「むひゃむひゃ・・・牛丼・・・おかわり・・・ネギダクでね・・・」
大久保「・・・・・・」
 それから、3秒後のことだった。

大久保「起きろ!起きろっ!!!」
 真司の耳元で、鼓膜が破れんばかりの大声を出す編集長。
真司「!!?!」
 強烈なまでの『目覚まし』により、真司は飛び起きる。
 そして、さらに不運なことに頭上にあった机に頭をぶつける。
真司「痛っ!!へ、編集長?」
大久保「編集長、じゃねーよ!!どこの世界に会社の床で寝る社員がいるんだ?ああ?」
真司「す、すみません!
住んでたアパートがいきなり取り壊しになっちゃって、
寝る場所無くなっちゃったんですよ!!」
 怒りの表情の大久保に対し、必死に弁明する真司。
大久保「だからって会社で寝ることないだろうが!
まぁ、この話は後でつけるとして・・・もうとっくに始業時間だぞ!
とっとと仕事に行ってこい!!」
真司「は、はい!わかりました!!」
 真司は慌てて机の下から這い出すと、取材のためドアを開けて外に出て行く。

109藍三郎:2005/08/07(日) 19:55:37 HOST:YahooBB219060041115.bbtec.net
真司「うひー・・・まだ頭がガンガンするぜ・・・」
 編集長の怒鳴り声によって、危うく破壊されかけた耳を抑えながら、
 真司は目的の場所へと足を進める。
真司「だけど・・・連続失踪事件の取材っつってもなぁ・・・」
 真司は頭を悩ました。失踪事件の手がかりが全く無いからではない。
 むしろその逆である。真司は、この事件の真相をすでに掴んでいた。
 数日前に体験した異常ともいえる出来事が、真司に全ての真実を教えてくれたのだ。
 だが、問題なのはこの突拍子も無い事実を話したところで、
 信じてくれる者などいようはずが無いことだった。
 そう、鏡の中の世界・・・
 ミラーワールドが存在し、その中に住む化け物が人々を襲っているなどと・・・

 その時だった。

キィィィィィィィィン・・・・・・・・・

真司「!!」
 奇怪な音声が、突如真司の耳に響いた。いや、耳ではない。
直接脳内に響くような奇妙な感覚。
そして、真司は以前にもこれと同じ感覚を味わったことがあった。

ハッとなって、近くのミラービルを見ると、そこには異形の怪物が映っていた。
 八本の足を持った巨大な蜘蛛の下半身に、人型の上半身を持った化け物だ。
真司(また、あの化け物が・・・)
 数日前の事件が、即座に脳裏によぎる。
 真司は無意識のうちに、あの時からずっと懐にしまってある、
 龍のエンブレムが刻まれたカードデッキを取り出していた。
 
 鏡の中の怪物・・・モンスターは、
 その異形の体を動かしつつ、通行人に目を光らせている。
 このままでは、真司の時と同様・・・
 通行人を鏡の中に引き込んで餌食にするのは時間の問題だった。

 次の瞬間、真司はその場を飛び出していた。
 犠牲者が出るのを、黙って見過ごすことは出来ない。
 それが城戸真司という男の根っからの性分だった。
 ちょうど通行人から見えない場所にある鏡面にたどりつくと、
 その中でうごめくモンスターの姿を目に捉える。
真司(これを使って、またあの『仮面ライダー』に変身できれば・・・
あの化け物から人たちを守れるかもしれない!)
 恐怖が無いわけではない。だが、真司の決意は固かった。
 数日前、鏡の世界でかつて『仮面ライダー』だった男から
 教えられたことを思い出しながら、デッキを鏡にかざす。
 すると、金属製のベルトが鏡の中から出現し、真司の腰に巻きついた。
真司「変身!!」
 かけ声とともに、真司の姿は真紅の戦士・・・『仮面ライダー龍騎』へと変わる。
龍騎「しゃあっ!!」
 龍騎となった真司は、気合を入れると、怪物の待つ鏡の世界へと飛び込んでいった。

???「・・・・・・」
 一方、真司が龍騎へと変身を遂げる様子を、
 気づかれること無く目撃していた2人組がいた。
 一人は、全身を黒いコートで包んだ精悍な顔つきの青年。
 もう一人は18,9歳と思われるショートカットの女性だった。
???2「蓮・・・今のって・・・」
蓮「ああ・・・間違いない。仮面ライダー龍騎だ・・・」
 黒コートの男・・・『秋山蓮』は、そう呟くと懐から謎の四角い物体を取り出した。
 それは、城戸真司が持っていた物と同じ・・・
 仮面ライダーに変身するためのカードデッキだった。

110藍三郎:2005/08/07(日) 20:35:53 HOST:YahooBB219060041115.bbtec.net
=ミラーワールド=

龍騎「うりゃぁっ!!」
ディスパイダー「!!!」
 ミラーワールドに飛び込んだ龍騎は、
先制とばかりに蜘蛛型のモンスター・ディスパイダーに蹴りを食らわす。
 突然の襲撃に、ディスパイダーの体は大きく揺らす。
龍騎「はっ!たぁっ!!」
 そのまま一気呵成に攻めたてる龍騎。
 殴る蹴るというだけの、見る者が見れば素人同然の戦い方だったが、
 敵に反撃の隙を与えないという点では功を奏しているように見えた。
 
龍騎「しゃぁっ!!」
 龍騎は一気にケリをつけようと、
 数日前と同様、ベルトに装填されたデッキから一枚のカードを抜き出す。
 そして、そのカードを左手の龍の頭部を模した
 ガントレット『ドラグバイザー』に装填する。
ドラグバイザー『ソードベント』
 すると、中空から青龍刀型の剣・ドラグセイバーが出現し、
 龍騎の手に握られる。
龍騎「うおおおおおっ!!!」
 龍騎はこれでとどめを刺さんと、ディスパイダーに向かっていく。

 だが、ディスパイダーもむざむざとどめを
 刺されるのをじっと待っているわけではなかった。
 その口から、龍騎目掛けて白い糸を吹き出す。
龍騎「え!?な、なんだこりゃ!」
 糸は、ドラグセイバーを持つ龍騎の手に絡みつき、剣による攻撃を封じた。
 腕だけではない。多量に放出される糸は
 やがて龍騎の全身を包み、完全にその動きを止めてしまう。

 あっという間に形勢は逆転した。
 糸によって身動きがとれないままでは、
 モンスターになぶり殺しにされるのを待つばかりである。
龍騎「くそっ!取れねぇのかよこれ!」
 何とか糸を取り除こうとするが、
 粘着質の糸らしく、いくらもがいても糸は龍騎から剥がれることは無かった。
 こうしている間にも、眼前のモンスターは一歩一歩近づいてくる。


???「・・・・・・」
 その様子を、近くにいるビルの屋上から見ている人影がいた。
 それも、ただの人間ではなかった。
 体にぴったりと装着した黒いスーツ。顔を覆い隠す仮面。
 背中には同じく漆黒のマントが風になびいている。
 そして、その腰には今モンスターと戦っている龍騎と同様の、
 金属製のベルトが巻かれていた。その中央には、
 蝙蝠のエンブレムが刻まれたカードデッキが収まっている。
 そう、この男も龍騎と同じ・・・『仮面ライダー』・・・
 『仮面ライダーナイト』と呼ばれるライダーであった。

111藍三郎:2005/08/07(日) 22:05:31 HOST:YahooBB219060041115.bbtec.net
ナイト「・・・・・・」
 ナイトは腰から、蝙蝠をあしらったデザインの細身の剣『ダークバイザー』を抜き出す。
 そして、眼下のモンスターに目をやると、
 何とそのままビルから、モンスターに向かって飛び降りた。

 ナイトの体は地面目掛けて急降下していく。
 だが、地面に激突する前に、
 背中のマントが蝙蝠の翼のように変形し、空中でのバランスをとる。

 漆黒の翼を広げ、まさに疾風の如く大空を駆けるナイト。
 刃を構え、上空からディスパイダーに殺到する。

ディスパイダー「ギィィッ!!!」
 予期せぬ空中からの奇襲に、ディスパイダーは全く反応できなかった。
 降下したナイトが放ったダークバイザーの一閃は、モンスターの体を見事に切り裂いた。
 ナイトはそのまま中空を滑空すると、マントを翻し華麗に着地する。

龍騎「え、ええ!?」
 驚いたのは、不意打ちを食らったディスパイダーだけではなく、龍騎も同様だった。
 突然空中から謎の人影が出現し、今にも自分を食い殺そうとしていた
モンスターに一撃を加えたのだから。
 しかも、その容姿を見たとき、龍騎は二度驚愕することになる。
 赤と黒。カラーリングの違いだけではなく、自分とは様々な部位が異なっているにせよ、
 絶体絶命のピンチを救った謎の人物は、自分と同じ『仮面ライダー』だったからだ。
龍騎「あの人も・・・仮面ライダー?」
 
ナイト「・・・・・・」
 戸惑いを隠せない龍騎には目もくれず、
ナイトはダークバイザーを構え、モンスターとの戦闘に入る。
 
 ディスパイダーは、先程の不意打ちによる怒りだろうか。
 標的を完全にナイトへと変更したようだ。
 剥き出しの敵意をナイトに向けている。
ディスパイダー「シャァァァァァッ!!」
 奇声と共に、ナイトの身を引き裂こうとするが・・・

 シュバァァァァァッ!!!!

ディスパイダー「ギャァァァァァッ!!!」
 まさに一瞬だった。ディスパイダーが攻撃を仕掛ける直前、
 ナイトは瞬時にダークバイザーを振るい、ディスパイダーの体を切り裂いたのだ。
 さらに、ナイトの攻撃はそれだけに留まらない。
 腰に装填されたデッキから、カードを一枚抜き出す。
 そして、そのカードを展開したダークバイザーの上部に装填する。
ダークバイザー『ソードベント』
 すると、中空から槍型の武器・・・
 『ウイングランサー』が出現し、ナイトの手に握られる。

龍騎「あ、あれって・・・!」
 カードをバイザーに装填するアクション、
 さらにそれによって武器が出現するプロセス等、
 あのライダーは自分と姿形こそ大きく違えど、
 戦い方には似通った部分があると、真司は感じていた。

112藍三郎:2005/08/07(日) 22:06:13 HOST:YahooBB219060041115.bbtec.net
ナイト「ハッ!!」
 抑えた・・・だが、気合のこもった声と共に、
 ナイトはウイングランサーをディスパイダーの体に突き刺す。
ディスパイダー「グギャァァァァッ!!!」
 体に槍を突き刺され、ディスパイダーは苦悶の声を上げる。
 だが、このままやられるつもりは無かった。
 最後の意地とばかりに、ナイトに向けて糸を吐き出す。

 しかし、ナイトはこの攻撃を読みきっていた。
 首をわずかに捻り、飛んでくる糸の波を回避する。
 さらに、突き刺さったウイングランサーを抜き取ると、
 素早くディスパイダーの後方に回り、再び槍による一撃を加える。
ディスパイダー「ギィィィィィッ!!!」

 このダメージで、ディスパイダーは完全に戦闘力を失ったようだ。
 ナイトは一旦距離をとり、とどめの一撃を繰り出そうとする。
 
 先ほどと同様、デッキから一枚カードを抜き出す。
 そのカードには、カードデッキに刻まれたエンブレムと同じものが描かれている。
 カードをダークバイザーに装填するナイト。
ダークバイザー『ファイナルベント』
 
 天空から、黒い翼を持った蝙蝠の怪物が、ナイトの下に舞い降りる。
 仮面ライダーナイトの契約モンスター『ダークウイング』である。
 
 飛来したダークウイングはナイトの背中に『装着』する。
 ダークウイングの翼は、漆黒のマントと化し風になびく。
ナイト「・・・・・・!!」
 ナイトはそのまま地面を蹴り、天空へ目掛けて跳躍する。
 その跳躍力はすさまじく、ディスパイダーを遥か眼下に臨む位置まで到達した。

 滞空するナイトは、地上のモンスターに向けてキックの体勢をとる。
 それと同時に、背中のダークウイングのマントが
 錐状の形に変化していき、ナイトの体を包み込んでいく。
 
 やがて、ナイトを包んだマントはまるでドリルのように急速な回転が加わっていく。
 そのまま地上にいる標的に向けて急降下する。
 仮面ライダーナイト最大の必殺技である『ファイナルベント』・・・『飛翔斬』である。

 ナイトの飛翔斬は、一撃の元にディスパイダーの体を貫いた。
ディスパイダー「ギィヤァァァァァッ!!!!」
 断末魔と共に、ディスパイダーは木っ端微塵に爆砕する。

113アーク:2005/08/08(月) 21:17:41 HOST:YahooBB220022215218.bbtec.net
=廃屋ビル付近=
ルシュファー「おいおい、こんな所に宇宙人が住んでいたのかよ」
ライラ「さすがはダグオンの勇者ね」
二人はいつの間にか教師の服装から戦闘服に変わっていた
二人がもう少しで廃屋ビルに到着しようとした瞬間
ルシュファーは何処からか殺気を感じ足を止めた
ライラ「どうしたのルシュファー?」
ルシュファー「悪いなライラ。先に行ってくれないか?少し野暮用が出来た」
ライラはルシュファードの真剣な眼つきに気づいたライラはすぐさま頷き
一足先に廃屋ビルに向かった
ルシュファー「悪いけどさぁ気配は丸分かりだぜ」
???「気づいていたのか?さすがはアスタロトの息子だな
    ルシュファード・オスカーシュタイン」
ルシュファー「一様は初めましてか?魔界四大侯爵の一人剣豪スパーダ」
スパーダ「ほう、私の事を知っているのか?恐れ入ったな」
ルシュファー「俺が魔族と天使の間に出来た子供って教えてくれた人が教えてくれたんだ
       俺や両親を狙う魔界四大侯爵と五大大天使の事をな」
スパーダ「我々は兎も角天界の事も知っているのか!?君にそれを教えた者は一体何者だね」
ルシュファー「悪いけどそれは教えられないんだ。話す事はこれだけでいいだろ?」
スパーダ「そうだな。さて、拝見させてもらうとしよう。私を打ち負かしたアスタロト侯爵の息子の力というのを」
ルシュファードとスパーダは少しだけ笑うと同時に自分の武器を取り出し
戦闘を始めた

114藍三郎:2005/08/09(火) 10:08:41 HOST:proxy1.ice.media.hiroshima-u.ac.jp[coco40.ice.media.hiroshima-u.ac.jp]
=ミラーワールド=

龍騎「す、すげえ・・・」
 自分が苦戦したモンスターを、一撃で葬ったナイトの必殺技に真司は感嘆の声を漏らす。
 そして、ディスパイダーが爆散すると同時に、
 龍騎の体に巻きついていた糸は弾けて無くなった。
龍騎「ふう、これでようやく動けるぜ……あ、そこのあんた!」
 モンスターを倒した後、そのまま動かずにいるナイトに龍騎は礼を述べる。
龍騎「助けてくれてサンキューな!あんたも俺と同じ、仮面ライダーなのか?
俺、城戸真司。あ、今のこの姿は龍騎って言うらしいんだけどさ」
ナイト「・・・・・・」
 ナイトはしばらく無言のままだったが、やがてぼつりとこう呟いた。
ナイト「龍騎か・・・」
龍騎「そうそう、俺の名前は龍騎」
 龍騎はのんきな口調で返事を返す。
 だが、次にナイトが言い放った言葉は、真司の予想を大きく裏切るものだった。

ナイト「今の内に潰しておいた方がよさそうだな」
龍騎「え・・・?」
 次の瞬間、ナイトはダークバイザーを横薙ぎに振るった。
龍騎「ぐわっ!!」
 ダークバイザーで斬りつけられ、龍騎の胸部に火花が散る。
龍騎「お、おい!何するんだよ!!」
ナイト「・・・・・・」
 負傷した胸を抑えながらナイトに問う龍騎だったが、
 ナイトは答えることなく、さらなる一閃を龍騎に繰り出す。
龍騎「くっ・・・」
 今度は下にかがむ事で、ナイトの攻撃をかわすことに成功する。
 そのまま地面を転がり、近くに落ちていた自分のドラグセイバーを拾う。
 そして、起きあがると同時に、三度放たれたナイトの剣撃を、
 ドラグセイバーを構えて防御する。
 ダークバイザーとドラグセイバー。二つの刃が火花を散らす。

ナイト「フ、少しはやるようだな・・・」
龍騎「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくれよ!」
 明らかな殺意を持って自分を攻撃してくるナイトに対し、
 龍騎は慌てて語りかける。
龍騎「何であんた俺に攻撃して来るんだよ!
あんたさっき俺を助けてくれたじゃないか!それがどうして・・・」
 さきほどナイトによって命を救われ、さらにナイトがモンスターを倒したとき、
 真司はこの新たな仮面ライダーが、
 自分と同じモンスターと戦う、いわば仲間だと思った。
 それが、同じモンスターを倒す側であるはずの自分を攻撃してきたのである。
 真司の頭は半ば錯乱状態になっていた。

 その問いに、ナイトは静かな口調でこう答えた。
ナイト「お前を助けたわけじゃない。
俺は目についたモンスターを倒した。それだけのことだ」
龍騎「そ、それじゃ余計に変じゃないか!
俺もあのモンスターと戦ってたんだぜ?
つまり、俺達味方同士ってことになるんじゃないの!?」
ナイト「違うな・・・ライダーが戦うのはモンスターだけじゃない。
お前のような俺と同じ力を持つライダーも、俺にとって倒すべき敵だ」

115ゲロロ軍曹:2005/08/09(火) 12:49:41 HOST:host066.kinu.mediabomb.stnet.ne.jp
ちなみに・・・
=無人オフィスビル内部=
ザゴス星人「ば・・、ばかな・・!たった二人に、あれだけの数の同胞がやられるなどとは・・!!」
傷だらけでの体で弱弱しく答えるザゴス星人の一匹。その目の前には、ぼっこぼこにやられた彼の同胞と、気絶したままのガク、そして、戦闘を終了し終えたファイヤーエンと時音の二人がいた・・。
エン「しっかし、時音。お前もやるじゃねえか。ヨーヨーやら刀やらであいつらを軽く倒していったのにゃ、驚いたぜ・・。」
時音「いったでしょ?私だって勇者だもん。あれくらい、なんてことないよ。」
二人が話している最中なので、そっと逃げようとするザゴス星人の生き残り・・。しかし、瞬時にファイヤーエンが立ちふさがった。
ザゴス星人「ひっ・・!!」
エン「さーてと・・、てめえらがこのビルで、一体何をたくらんでやがるのか、教えてもらおうか?」
ザゴス星人は最初はおびえていたが、突然、余裕の声で答えだした・・。
ザゴス星人「・・、ふん。今更もう遅いわ。そろそろ計画は始動する頃だ・・。」
エン「な、なんだと?!(ゴゴゴゴ・・)・・うわぁ!??」
突然、強烈な揺れが発生した。最初は地震かと思い外を見ると、とんでもないことが起こっていた・・。
エン「ま・・、街が、浮上している!??」
そう、エンたちのいる無人のオフィスビルを中心とした、半径一キロ圏内の地帯が、突如浮上を始めたのであった・・・。

116飛燕:2005/08/09(火) 22:28:18 HOST:family.e-catv.ne.jp
=北欧大陸・某所=

バグシーンと呼ばれる謎の兵器が世界中の人々を襲撃し、アムドライバー達に撲滅されてから数年・・・
英国と北欧の国境付近に点在するその小さな街は、かつてバグシーンとアムドライバー達との激戦があった地区であり、今は廃墟と化した市街である・・・
その誰も居ないはずのそこに、十数名の少年少女が急に現れてから早、30分が過ぎようとしていた。

輪廻「・・・・・・・・・・・・・・・・」
界魔「・・・・・・・・・・・・・・・・」
研也「・・・・・・・・・・・・・・・・」
八雲「・・・・・・・・・・・・・・・・」


それは、こことは『確かに』別世界である世界に住んでいた叢魔達であった。あの閃光に包まれた後、気がついたら全員、ここに居たのである。
太陽「さて、と・・それじゃあ・・・・何で、こういう事になっちまったのか、説明してもらおうじゃねぇか。叢魔大先生様よぉ?」
嫌味たっぷり、嫌悪感剥き出し、怒り心頭、そんな言葉を並べても怒り足りぬ太陽は叢魔にどうしてこうなったのか事情を尋ねた。
叢魔「見ての通り・・・・悪魔召喚プログラムの起動に失敗して、逆に俺達が異世界に跳んで来た・・・・そういう事だが?」
太陽「馬っ鹿やろうが!んな事ぁ、見たら判るに決まってんじゃねぇか!!」
叢魔「ほぉ・・・てっきり、猪頭のお前では判らないかと・・」
太陽「ド突くぞ、コラ?・・全ての武術を叩きこんでるかどうかは知らねぇが、一つを決めてそれを極められる事の出来ねぇテメェなんざ、空の彼方まで蹴り飛ばせれるんだがなぁ?」
叢魔「猪頭にしては、饒舌だな・・・・ようやく、頭の使い方が判ってきたようだ」
何時もの陰険漫才が続く中、うんざりしたように界魔が止めに入った。
界魔「止めないか、2人共・・・・過ぎた事を、今更どうこう言おうが何も始まらないぞ?」
更にそこへ、ここに誰か居ないか捜索しており今、帰って来た満天や明達が援護に入って来た。
満天「そそ、何事も『Let‘s Positive Thinking♪』。後ろ向きに物事を考え込んじまったら、何事も上手くいかねえよv」
明「喧嘩はぁ〜、駄ぁ目だよ〜〜?」
遠目でも、叢魔と太陽の陰険漫才の様子が判ったから、2人共こうやって素早く行動に移せたのである。
太陽「・・ちっ!判ったよ・・・悪かったな」
叢魔「・・当たってすまなかったな。寿・・」
バツが悪そうに2人は、其々顔を背けながら謝罪の言葉を述べた。なんとか、その場の雰囲気が落ちついてきたと、一同が思った矢先、それは起こった。

117SD:2005/08/09(火) 23:53:30 HOST:usr211019181033.tcn.ne.jp
突然彼等の目の前の空間が、激しく揺らめき始めたのだ。
何が起こっているのかは全く分からないが、何となく嫌な予感はした。
全員がとっさに身構え、警戒する。
すると……その時だった。
歪みが収まると同時に、強烈な閃光が周囲に走った。
その眩さに皆は思わず目を閉じてしまう。
そして、それが収まったのを確認してから瞳を開くと……そこには一人の人物がいた。
純白のローブを見に纏い、その手に白銀に輝く杖を携えた、一人の青年。
突如として現れた謎の人物を前にして、誰もが驚きを隠せなかった。
その一方……青年は周囲を見回すと、肩に付いた埃を叩き落とす。
???「ふぅ……何とか来れましたか。
さて、ここは一体何処か……あれ?」
青年は自分の目の前に、叢魔達がいるのを見つけた。
見た所、自分は警戒されているらしい……まあ無理もない。
いきなり何もない場所から現れれば、こういう反応を取るのが普通だろう。
しかし……此処で彼は、叢魔達十数人の中からある数人の者達の姿を見つけた。
そして同様にその数人の者達は、青年の姿を見て驚いていた。
かなり昔の事とはいえ……見覚えがある人物が、目の前にいたからだ。
輪廻「クラウスさん……?」
クラウス「界魔君、輪廻ちゃん、明ちゃん、満天君、太陽君。
それに……天美ちゃん?
こいつは驚かされましたね……あれから十年ですか。
流石に皆さん、大きくなりましたね。」
満天「あんたは前に見た時と全く変わってない……全然老けてねぇみたいだけどな。」
クラウス「よく言われるんですよね、それ……まあ、年齢より若く見えるのは得な事が多いから別にいいんですけどね。」
叢魔「……?
悪い、俺には全く話の筋が分からないんだが。」
突然現れたクラウスと、親しげに会話をする界魔達。
そんな彼等の姿を見て、当然他の者達は疑問を覚えた。
それを見たクラウスは、早速自分の自己紹介に移る。
クラウス「界魔君達のお友達ですね?
初めまして、私はクラウス=ド=シングス=エターナル。
異世界からやってきた、なんて事のないタダの魔法使いですよ。
界魔君達とは、異世界で色々と世話になった間柄です。」
界魔「よく言うぜ……魔道の賢者なんて、大層な呼び名をつけられてる癖によ。」
クラウス「ま、いいじゃないですか……さて、と。
ところで界魔君……貴方達は何故此処へ?
見たところ、此処は貴方達が居た世界とは違うようなんですが……」
太陽「ああ、実はな……」
彼等は自分達が此処へと現れた経緯を、クラウスへと全て説明した。
クラウスはそれを聞くと少し考えた後、自分がこの世界へとやってきた経歴を話した。
魔力の流れから、時空の激しいゆらぎを察知し、そしてこの世界へやってきた。
その事実を聞くと、叢魔達は色々と考え込まされた。
自分達がこの世界に来てしまったのも……もしかすると、そのゆらぎが何か関係しているのではないだろうかと。
クラウス「ま、どちらにせよ……今は此処がどんな場所なのかを知る必要がありますね。
人の居る場所まで、歩きますか?」

118アーク:2005/08/10(水) 22:53:45 HOST:YahooBB220022215218.bbtec.net
=???=
ある平原に佇んでいたマグナスは何か力を感じ立ち上がった
いきなり立ち上がったマグナスの行動に妻のレイヤと二人の男女は驚いた
レイヤ「どうしたのマグナス?」
マグナス「誰かが次元を渡り異世界へ向かった」
???1「貴方が気になると言う事は相当の人物と言う事になるな?」
???2「精霊王と呼ばれた貴方がねぇ」
マグナスは二人の男女を見てため息を出した
マグナス「お前達も人の事は言えないと思うがな。魔界四大侯爵の長アスタロト
     五大大天使の長ロザリエル」
ロザリエル「私達の位なんて貴方に比べれば小さい方ですよ」
アスタロト「私は暗黒王から時の宝珠を貰ったから次元を渡る事が出来ますが
      貴方は自分で渡る事が出来るではないですか」
マグナス「お前とロザリエルの覚悟の方が私より勝っていると思いますが」
マグナスの答えに二人は顔を赤くして黙り込んでしまった
マグナスは時々ふざけるがアスタロトとロザリエルの覚悟には本当に感心していた
この二人は禁忌を破ってまで愛し合い結ばれた。そしてその子供は今は人間界にいる
マグナス「少しの間留守をするがこの世界から出て行くなよ」
アスタロト「分かっています」
アスタロトの答えに頷いたマグナスは次元の魔法を唱え姿を消した

119ゲロロ軍曹:2005/08/11(木) 17:13:24 HOST:host066.kinu.mediabomb.stnet.ne.jp
=無人オフィスビル=
エン「おい!!こりゃどういうことだ!?何で街が勝手に浮上してんだよ!?」
生き残りのザゴス星人の胸倉らしき部分をつかみながら、乱暴に答えるファイヤーエン。
ザゴス星人「・・、反重力フィールド装置さ。その装置によって、このビルを中心とした半径1キロ圏内の地帯は、浮上し始めたのだ。我々ザゴス星人の住処となるためにな・・。」
エン「何だと!??」
ザゴス星人「言い忘れたが、私にはまだまだ同胞がいる。いくら貴様らが強かろうが、数で押せばそれまでだ・・。ハーハッハッハ!!」
エン「・・おい、言え!このビルのどこにその装置はあるんだ!??」
ザゴス星人「ふん・・。貴様らには、口が裂けても言えんわ・・。」
エン「て・・てんめえ・・!!」
ザゴス星人の挑発に、もはや爆発寸前のファイヤーエン。しかし無常にも、街は浮上し続けていた・・。

120藍三郎:2005/08/11(木) 18:49:07 HOST:proxy1.ice.media.hiroshima-u.ac.jp[coco13.ice.media.hiroshima-u.ac.jp]
=???=

 三階と四階の間にある『七階』の書斎・・・
 そこには、一人の男がソファーに腰掛けていた。

 年の頃は20〜30代。怜悧な顔立ちが特徴であり、
 宵闇のごとき漆黒の髪を腰のあたりまで伸ばしている。
 また、喪服のようなダークスーツをきっちりと着こなしていた。

 男は、室内で浮遊している『あるモノ』に目をやっていた。
 それは、一枚の鏡の欠片だった。
 だが、それに映し出されているのは対面に座る男の顔ではない。
 鏡に映し出されているのは、
 数名の少年少女・・・そして、彼らとは離れた場所にいる一人の青年だった。

???2「何を見ている?“魔術師(マギエル)”」
 突然、椅子に座る男に対し声をかける者がいた。
 しかし、男はそれに動じた様子は無い。誰も居ない様に見える闇に向かって、声をかける。
???「“蝙蝠(フレダーマウス)”かい?」
 呼ぶ声に応じて、闇から人影が姿を現す。

 男は人間ではなかった。蝙蝠を模したような銀色の頭部を持ち、
 円柱型のクリアケースで頭部を覆っている。
 全身には黒いマントを身に纏っており、まさしく蝙蝠を思われる姿だ。
 魔族か、はたまた異星人だろうか?
 しかし、黒服の男に、その異形の姿を怖れる様子は無い。
 親しげな口調でこう続ける。

???「“魔鏡の王”がまた新しい情報を届けてきてくれてね。
新たな俳優(アクター)達が、舞台に上がったようだよ」
 黒服の男は鏡に映る光景を見ながら、
 懐から一本の針のように細い細葉巻(シガリロ)をとりだす。
 ライターで火をつけると、先端から紫煙が立ち昇る。
 優雅な仕草で細葉巻をくゆらせながら、その香りを存分に楽しむ。
???2「なるほど、異世界からの来訪者か・・・
生物の祖たる不死者達の復活に続き、
またも火種がこの地球(ほし)に現われたようだな」
???「ふむ。“倉庫(アーカイバ)”の記述によれば、
異世界からの接触はこの世界にさらなる争乱を呼ぶ。
それは、“我々”にとって大いに歓迎するところと言えるだろう」
 黒服の男はそこまで言うと、細葉巻を口から離し、煙を唇からゆっくりと吐き出す。

???「ところで、“蝙蝠”。君は何故ここに?」
???2「何、私も“魔鏡の王”に“破片”を一枚渡されているのだ。
せっかくだから、貴公にも見せようと思ってな」
???「ほほう・・・それはありがたい」
 “蝙蝠”は懐から一枚の鏡の破片を取り出す。
 そこには、赤と黒の仮面の戦士が、闘っている姿が映し出されていた。
???2「鏡の世界(ミラーワールド)での闘争・・・
いよいよ本格的に始まったようだ」
???「選ばれた13人の騎士達が、各々の“剣”を持って
血で血を洗う争いを繰り広げる仮面劇・・・全ては、己の望むモノを手にいれるために・・・」
 黒服の男は、吸い終えた細葉巻を灰皿に捨てると、古の詩人の言葉を述べた。
???「“もっとも洗練された仮面は素顔である”――ティレ。
偽りの無い、欲望と言う名の仮面を被った者たちの果て無き闘争・・・
さて、“今回”はいかなる結末(フィナーレ)を迎えることか。実に楽しみじゃないか」

121藍三郎:2005/08/12(金) 20:32:12 HOST:proxy1.ice.media.hiroshima-u.ac.jp[coco40.ice.media.hiroshima-u.ac.jp]
=ミラーワールド=

 一旦距離をとったナイトは、腰のデッキからまたもカードを一枚抜き出す。
龍騎「あいつ、またカードを・・・」
 ナイトは無言でカードをバイザーにセットする。
ダークバイザー『トリックベント』
 バイザーから音声が発せられると同時に、驚くべき事が起こった。
 何と、ナイトの傍らに、全く同じ姿をしたもう一人のナイトが出現したのだ。
龍騎「え!?」
 それだけでは無い。ナイトの姿は3人、4人、5人と、次々に数を増やしていく。
 やがて、合計7人のナイトが龍騎の前に立ちはだかった。
龍騎「分身の術かよ!そんなのアリか!!」
ナイト「行くぞ・・・!」
 真司があっけにとられる暇もなく、7人のナイトは一斉に襲いかかる。
龍騎「う、うぉぉぉぉぉっ!!!」
 いくらなんでも7人の敵相手ではどうしようもない。
 次々に繰り出されるナイトの剣技に、龍騎はズタズタに切り裂かれていく。

122SD:2005/08/13(土) 03:05:54 HOST:usr211019181033.tcn.ne.jp
10年前。東京・渋谷。
ある『組織』同士の戦いがあった。

一方の組織は“ゆらぎ”と呼ばれる空間の歪み……異世界とこの世界を繋ぐ門を開こうとした。
もう一方の組織は、世界を混沌に導くその『計画』を阻止しようとした。

完全封鎖された渋谷での戦いは熾烈を極め……やがて、終結した。
片方の組織……政府直属の特務機関『森羅』側が“ゆらぎ”の出現を防いだ事によって。

特務機関『森羅』。

悪霊、鬼、天狗……
古来より、人の世に害をなす異界の存在と戦い続けてきた組織。
その組織を知る者は少なく、その戦いもまた、人知れぬ闇の中で連綿と続けられてきた。

10年前の『事件』から、世界中で確認され始めた、異界との接点。
“ゆらぎ”と呼ばれたそれは、ゆっくりと世界を蝕みつつあった。

戦いは……終わってはいなかったのである。


そして今。
東京・渋谷。
“ゆらぎ”の発生により完全封鎖され、『閉鎖都市指定』を受けた街。
10年前の“あの日”と同じく。

物語は再び……
この街から始まろうとしていた。


=東京 渋谷=

10年前に起きたとある戦いにより、政府から完全封鎖を受けた街……渋谷。
そこに今、一組の男女がいた。
二本の刀と一丁の拳銃を収めている特殊な武器『護業』を持つ男性……有栖零児。
白銀の杓杖をその手に携えた、チャイナ服を着ている金髪の女性……小牟。
この二人は政府直属の特殊機関である、森羅のエージェントである。
彼等は任務を受け、そしてこの場所へとやってきたのだ。
森羅の目的は、古来よりこの世界に存在している、人の世に害をなす異界の存在に対処する事。
二人は自分達がこの場所に送られたのも、その異界の存在が此処に現れようとしているからである。
任務自体は大したことではないので、別段注意する事は無いのだが……二人は妙な胸騒ぎがしていた。
それはやはり……この場所が、封鎖指定を受けた渋谷だからだろう。
小牟「ふむ……また此処に来る事になるとは思わなかったの。
しかし、何か嫌な予感が……さっさと任務を済ませて、帰るとしようか?」
零児「確かにそうだな……ん?」
二人は何か、異様な気を感じ取った。
完全封鎖され、自分達以外は誰も居ない筈のこの都市。
そこで感じたとなれば……答えは一つ。
小牟「零児、どうやらこれは……」
零児「ああ……来るぞ!!」
その直後だった。
何処からともなく、二人の目の前に数体の妖怪が現れた。
両手に鋭い鎌を持つ、日本に古来より伝わる妖怪……カマイタチである。
二人はとっさに構えを取り、戦闘態勢に入った。
零児「いくぞ、小牟!!」
小牟「うむ……頑張ってこい、零児。
ワシも、しっかりと応援しておいてやるぞ。」
零児「……ちゃんとお前も戦え。」
小牟「あれぐらいだったら、主一人でも十分じゃろ?」
零児「あのなぁ……」
傍から見れば、まるでコントの様な会話をしている二人。
その隙を狙っていたかどうかは分からないが、左右から二匹のカマイタチが襲い掛かってきた。
しかし……その瞬間だった。
乾いた銃声が響き、そして二匹のカマイタチは地に伏せた。
零児の手には、金色のリボルバー拳銃……金(ゴールド)が握られていた。
小牟の手には、銀色の小型拳銃……銀(シルバー)が握られていた。
何時の間にか二人は、それぞれの愛用する拳銃を抜いていたのだ。
小牟「やれやれ、仕方がないのう……まあ、ワシが居れば千人力じゃ!!
一気に片付けるぞ、零児!!」
零児「調子がいいな、全く……やるぞ!!」

123璃九:2005/08/13(土) 09:59:52 HOST:YahooBB220045007138.bbtec.net
=???=

「これで・・・貴様も終わりだな。」

満月が輝き照らすこの世界。
風の音だけが聞こえる平原。
この美しい光景は、見る者に風流を感じさせ、うっとりさせてしまう。
・・・ただ、ある一部を除いて・・・

「フン・・・流石に、父上がてこずった相手だけはある。
 その実力、認めざるをえないが・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

その場所だけは異質だった。
夏だというのに、地面は凍りつき、木々は枯れ、
地面は抉れ、そして赤く染まっている。
その場に立ち尽くす、四人の者たちの血によって・・・。

「結局、最後に勝利するのは、我であったな。」

氷の上に、少女は立っていた。
体のあちこちから、おびただしいほどの血が流れ、荒い息を吐いている。
立っているのも、実につらそうだ。
だが、少女はどこか勝ち誇った顔だった。
片方の腕に剣を持ち、冷たい言葉を投げかける。

少女の目の前には、男がいた。
こちらも、体のあちこちから血を流し、荒い息を吐いている。
ただ、片腕で腹を抑え、膝をついて、少女を見つめている。
憎悪を含んだその顔は、誰もを凍りつかせるのに、十分な力を持っている。

「ベティさん!今の内に・・・止めを!」
「そうです、手遅れになる前に・・・」

少女の後ろにいる、二人組みの男女が、口々に少女に言う。

「うむ・・・」

少女は、剣を高々と掲げ、
今一度、目の前の男を視界に入れた。

「貴様の実力は・・・いや、貴様自体、中々のものだった。
 だが、貴様が父上を狙うというのなら、我は貴様を始末せねばならない。
 父上を、貴様と戦わせるわけにはいかんのだ!」

掲げた剣を、少女は躊躇なく、目の前の男に振り下ろした。
全てが、手遅れになる前に・・・

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フン」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ――――――――――――――――――――

剣は、男の顔の寸先で止まる。
いや、止めてしまった。
瞬間、この場で、大きな揺れが生じたからだ。

「俺は死なぬ・・・俺は生きるぞ・・・ククク・・・」

男は冷たい笑みを少女に投げかけた。

「貴様!一体何を!?」
「遅い・・・・・・」

再び振り下ろされた剣だったが、男はそれを、軽々と避けてしまった。

「ククク・・・縁があれば、また会おう。
 ・・・最も、それまで貴様が生きていればの話だがな?」
「なっ!?待てっ!!」

少女は、急いで男を追う。
しかし、時既に遅し。
男は、どこからともなく現れた、ブラックホールのような黒い空間に、飲み込まれていったのだ。

「あれは・・・空間転移!?」
「しかも、規模がハンパじゃない・・・ベティ!!」
「くっ!」

三人は、一箇所に集まるべく、一斉に駆け出した。
少女は手を伸ばし、女性の方が、それを掴む。

「サファイアさん!」
「ええ!!」

続いて、女性の方が、男に手を伸ばす。
男も、それを掴もうと必死になる・・・・・・・・・・・・・が。

「いかん!もう、飲み込まれる!!」
「サファイアさん!!」
「ベティ!オズー!!」


間もなく・・・・・・二人の女性と一人の男は、闇に消えた。

124藍三郎:2005/08/13(土) 19:56:52 HOST:YahooBB219060041115.bbtec.net
=ミラーワールド=

龍騎「が・・・ぐっ!!」
 ナイトの猛攻によって、龍騎は大きなダメージを負っていた。
 思わず膝をつきそうになるのを、何とか気力でこらえている状態だ。
ナイト「しぶとさだけは中々のようだな・・・」
 7人に分身していたナイトはここで一人に戻る。
 そして、バイザーを構えて次なる一手を放とうとするが・・・
ナイト「む・・・」
 ナイトはここで何故か一旦構えを解いた。
龍騎(どうしたんだ?一体・・・)
 どこか様子がおかしい。真司はそう感じていた。
ナイト「時間切れか・・・」
 ナイトはそう呟くと、自らの手を見つめる。
 そこでは、ある異変が起こっていた。
 ナイトの手から、粒子のようなものが生じていたのである。
 まるで、砂が崩れ落ちるように・・・

龍騎(時間切れ?)
 そして、その異変は龍騎にも生じていた。
龍騎「な、何だこりゃ!?」
 龍騎の体も、ナイト同様、体が粒子化を始めていたのである。

ナイト「チッ・・・」
 ナイトは、その仮面の下で舌打ちすると、龍騎を横目に駆け出していく。
 そして、近くのミラービルの前に立ち止まり、
 そこに飛び込んでミラーワールドから脱出する。
龍騎「あいつ、どうしたってんだ?」
 戦況は圧倒的有利にも関わらず、
 突然この場から逃走したナイトの行動を、真司はいぶかしんでいた。
 だが、こうしている間にも、龍騎の体の粒子化は進んで行く。
 その様子を見て、真司の脳裏に数日前の光景がよぎる。

 真司にカードデッキを託し、粒子となって消えていった男・・・
 自分の今の状態は、あの時の男と同じだ。
 そして、ナイトが口にした「時間切れ」という言葉・・・
龍騎(もしかして・・・この世界にいられる時間は限られてる!?)
 その制限時間を過ぎれば、数日前の男と同様、消滅してしまうのでは・・・
龍騎「やべっ!!」
 そう直感した龍騎は、急いで近くの鏡に走り出す。
 そして、鏡に触れると、ナイトと同じくミラーワールドから姿を消した。

125アーク:2005/08/14(日) 09:51:10 HOST:YahooBB220022215218.bbtec.net
=北欧大陸=
マグナス「やはり誰かが次元を渡った後があったか。しかし、ここはどのような地球だ?
     ルーシーがいる地球とは別の存在…………多重世界と言う事か」
マグナスは辺りを見回し人が住んでいそうな場所を探していた
マグナス「近くに民家はないようだな。さて、この世界にやってきた者達は何処に行ったかな?」
マグナスはそう呟くと手を前に翳し何かを唱えた
マグナス「我が身に宿りし六つの精霊よ。今こそ我が前に姿を現し我の手助けを!雷の精霊バード
     炎の精霊サラマンダー、大地の精霊ノーム、水の精霊フェンリル、光の神獣イグニスファタス
     闇の悪霊ファントム!!」
マグナスの両手から六つの光が現れ宙を舞い飛び散った
それを見届けると風任せにぶらぶらとマグナスは歩き始めた

126藍三郎:2005/08/15(月) 14:29:06 HOST:YahooBB219060041115.bbtec.net
=現実世界=

 ミラーワールドから脱出した後、龍騎は変身が解け、元の姿に戻った。
真司「やれやれ、とんでもない目にあったぜ」
 疲労感を全身に感じながら、あたりに視線をやると、
 何やら口論をしている2人の男女の姿が目に映った。

優衣「蓮!どうしてあんなことを・・・」
蓮「分かっているはずだ、優衣。ライダーは共存できないって」
真司「ライダー!?」
 黒いコートの男の口から発せられた言葉に、真司は即座に反応する。
 話をしていた蓮と優衣も、真司の方へと振り返る。
真司「あんた達もライダーのことを・・・ていうか、もしかしてあんたが・・・」
蓮「・・・・・・」
 真司の問いかけに対し、蓮は無言でポケットから何かを取り出す。
 それは、ミラーワールドで遭遇した謎のライダー・・・
 仮面ライダーナイトのカードデッキだった。
真司「そのデッキ・・・じゃあやっぱりあんたがさっきの仮面ライダーなのか・・・」
 真司はやや驚愕の入った表情で蓮を見上げている。
蓮「俺の方も驚きだ。榊原が脱落したという噂は聞いていたが・・・
まさかお前のような男が新しい龍騎になっていたとはな」
真司「榊原・・・?」
 聞きなれぬ名前に首を傾げる真司。だが、すぐにある人物のことが思い当たる。
 それは、数日前、ミラーワールドに引き込まれた自分を助け、
 龍騎のカードデッキを託して消滅していった男である。

蓮「どうする?もう一度戦うか?」
真司「え・・・?」
優衣「蓮!!」
 蓮の挑発的なセリフに、優衣は制止の声をかける。
真司「何でだよ?何でライダー同士で戦わなきゃならないんだ?
あんた達も俺と同じように、モンスターと戦っているんじゃ・・・」
蓮「『何でライダー同士で戦わなきゃならない』?
フ、そんなことを言うライダーがいるとはな・・・榊原から何も聞いていないのか?」
 真司の疑問に対し、鼻で笑って答える蓮。
蓮「よく覚えておけ。ライダーになった者達は、
己の望みを叶えるために他のライダーを倒し、
最後の一人になるまで戦わなくてはならない。
それがミラーワールドの・・・仮面ライダーになった者たちに架せられた、絶対の掟だ」

真司「・・・・・・」
 蓮の衝撃的な一言に、真司は息を詰まらせる。
蓮「そして、それが出来ない奴は、落ちこぼれになる。
あの榊原もその一人だったがな・・・」
真司「お、おい、そんな言い方って無いだろ!」
 死者を鞭打つような蓮の発言に、黙って話を聞いていた真司も突然口を挟む。
蓮「結果的に奴は脱落した。それが落ちこぼれでなくて何だ?」
真司「こ、この・・・!」
 蓮の毒のある言葉に対し、真司はこめかみをひくつかせ、拳を握り締める。
蓮「まぁ、奴はいずれ他のライダーに倒されていただろう。
奴は愚かにもこの戦いを止めようとした・・・
俺たちにとっては何よりも目障りな存在だったからな・・・」

真司「?戦いを止める・・・?」
 さっきまで怒っていた真司だったが、
蓮がさりげなく口にしたその一言に反応した。
蓮「・・・・・・チッ、しゃべりすぎたな。優衣、帰るぞ」
優衣「う、うん・・・」
 そう言うと、蓮と優衣の2人はバイクに乗り込む。
真司「あ、待てよ!まだ話は・・・・・・」
 だが、制止の声は聞き入れられることなく、
 蓮の運転するバイクはその場を立ち去っていった。

真司「・・・・・・」
『お前は・・・ライダーの戦いには巻き込まれるな・・・・・・』
 数日前、榊原と言う名の男が今わの際に発した言葉が、真司の脳裏に蘇る。
真司(ライダー同士の戦い・・・
あの人・・・榊原さんが言ってたのはこのことだったんだ)
 自分が何か大きな流れの中に飲み込まれつつあることを、真司は実感しつつあった。

127藍三郎:2005/08/15(月) 14:54:59 HOST:YahooBB219060041115.bbtec.net
その夜・・・

真司「くそー、何なんだよあいつ・・・」
 編集長の言いつけで、夜食の買出しに出た真司は、
 コンビニから帰る道すがら、今朝起こったミラーワールドでの戦いを思い出していた。
 煮えたぎる怒りと共に脳裏にまざまざと蘇るのは、
 仮面ライダーナイト・・・秋山蓮のことだった。
真司「いけすかね〜〜あいつ絶対友達とかいないタイプだな。間違いなくそうだ!」
 問答無用でいきなり襲い掛かって来て、危うく殺されかけたのだ。
 そして、あの人を見下したような高圧的な態度。
 真司が腹を立てるのも無理ないことだった。
 その時・・・

キィィィィィィィィン―――――

真司「!!!」
 頭の中で、ガラスを引っかくような不快な音が鳴り響く。
 これは、今朝モンスターと遭遇した時と同じ現象だ。
真司(この感覚・・・もしかしてまたモンスターが!!)
 真司はとっさに身構える。周囲に注意を払いつつ、
 近くのミラービルに目をやると・・・

 そこには男が一人佇んでいた。

真司「!!」
 真司はとっさに後ろを振り返る。だが、どこにも鏡に映る男の姿はない。
 この男は、『鏡の中』に存在している。
 そう、今朝や数日前に出くわしたモンスターと同じように・・・
真司(モンスターじゃない・・・一体、この人は・・・)
 鏡の中にいるのは、モンスターではなく見たところ普通の人間である。
 だが、それが逆に真司に得体の知れない不気味さを感じさせていた。

???「お前が龍騎か」
 鏡の中の男は、低い口調で真司にむけて語り始めた。
???「言っておく。
最後に存在できるライダーはただ一人。ライダーを、倒すんだ」
真司「・・・・・・」
 真司が無言でいる中、男は最後にこう付け加える。

???「戦え」
 その直後、男はふらりとその場から姿を消す。
 真司ははっと我に返るが、鏡に男の姿は映ってはおらず、
 奇怪な感覚も既にない。
 真司は呆然とした表情になり、しばらくその場に突っ立っていた。

128暗闇:2005/08/17(水) 01:27:15 HOST:YahooBB220020057170.bbtec.net
=シルヴァランド・聖堂=
聖堂の入り口で待っていたファイドラは、無事に神託を受けて降りてきたコレットの姿を認めると、皺だらけの顔をくしゃくしゃにして喜んだ。
ファイドラ「おお、おお!神子さま!」
コレット「おばあさま。私、これから……」
ファイドラ「わかっておるよ。すぐに旅支度をせねばな」
老婆はクラトスに向き直ると、深々と頭を下げる。
ファイドラ「なんとお礼を申してよいやら……クラトス殿。もしよろしければ旅立つ神子の護衛をお願いできんか」
クラトス「私はかまわんが」
ロイド「えーっ、それって世界再生の旅だろ?それなら俺もついていきてぇ!」
ロイドが急きこんでいうと、クラトスがギロリと睨む。
クラトス「足手まといだといったろう。子供は村でおとなしく留守番でもしていろ」
ロイド「なんだって!?」
ファイドラ「ロイド。そこまでじゃ」
ファイドラにきつく言われ、ロイドは仕方なく口をつぐんだ。
ファイドラ「これはまだ村長に相談していないんじゃが、神子の護衛はクラトス殿とリフィルに頼もうと思っておる」
ジーニアス「えっ、そうなの?姉さんが行くなら僕も……」
ジーニアスは思わず言いかけたが、クラトスの視線を感じて、黙った。
ファイドラ「それではクラトス殿。家へおいでくだされ。神子さまも、さあ」
コレット「う、うん」
コレットは、ファイドラに背中を押されながら石段の方へ歩き始めた。
コレット「ごめんね、ロイド」
ロイド「いや、おまえのせいじゃねえよ」
何度も振り返りながら石段を降りてゆくコレットに、ロイドは力なく手を振ってみせた。
と、その時、ジーニアスが悲鳴をあげた。
ジーニアス「うっわあああぁぁっ!」
ロイド「な、なんだ、どうした」
ロイドは、聖堂の中を覗き込んでいるジーニアスのそばへ駆け寄った。

129暗闇:2005/08/17(水) 01:45:03 HOST:YahooBB220020057170.bbtec.net
ジーニアス「姉さんだ」
ロイド「なーんだ。先生なら別に驚くことねーじゃ……!」
そこまで言って、ロイドは硬直した。
聖堂の壁をしきりに触っていたリフィルが、クルリとこちらを向いたからだった。
リフィル「ロイド!ジーニアス!?あなたたち、どうしてここに!?自習はどうしたのっ!」
顔立ちが整っているリフィルは、怒ると眉が吊り上がり、本当に怖い顔になる。
ロイド「や、やべ……」
ジーニアス「ね、姉さんこそ、なんで中に?」
リフィル「私はファイドラ様に許可を頂いていて、ここを調べているのよ。なかなか一般人は入れないところだし」
すると、コレットが神託を受けている間もこの聖堂のどこかで調査をしていたんだろうか、とロイドは思った。
リフィル「ふふふ……こんな機会、めったにないものねえ……くくくっ」
ロイドはジーニアスを肘で突いた。
ロイド「おい。なんか先生、ヘンだぞ。怒っていたと思ったら急にニヤけちゃって」
ジーニアス「ああ……姉さん、遺跡とか、こういう場所が大好きだからさ」
リフィル「なにか言って?」
リフィル「い、いや。なんでも、ないです」
ジーニアス「それより姉さん。世界再−−−!」
突然、ジーニアスは半ズボンの尻を平手で叩かれ、前のめりになる。
リフィル「今日は学校は終わりです、さっさと帰りなさい」
ロイド「先生、弟を殴ることはねえじゃん。いつもながら容赦ない−−−」
ドカッ
今度はブーツで蹴られ、ロイドが転がる番だった。
ロイド「痛ってえっ!聞きたいことがあるんだよ!?」
ジーニアス「ダメだよ、ロイド。帰ろう」
ジーニアスはロイドを助け起こすと、姉を残し、そそくさと外に出る。
ロイド「ちぇ。世界再生の旅のことを聞きたかったのに。それに、きっといまごろ村長たち、先生の帰りを待ってるぜ」
ジーニアス「ムダだって。姉さん、遺跡のこととなると人が変わっちゃうから。それに、僕たち子供は、どうせ連れて行ってもらえないよ」
ロイドは肩をすくめ、仕方なく石段を降り始めた。

130疾風:2005/08/17(水) 20:03:48 HOST:z18.61-205-221.ppp.wakwak.ne.jp
一方・・・・
ザコス星人により一部の大地が浮かび上がった頃・・・・・
ザコス星人「我々の計画は誰にも邪魔はさせん!」
ファイヤーエン「くそ・・・・」
時音「諦めちゃダメ・・・きっとこれを止める装置があるはずだよ!」
ファイヤーエン「そうか・・・・それか!」
時音「ねえ・・・・装置ってどこ?」
敵に対して普通に問いただすが教える所が時音に対して逆鱗に触れることを言った・・・・
時音「じゃ・・・・・しょうがないね・・・・レイス!」
レイス「何、時音?」
時音の下げていたバックより出てきた桃色のロボット・・・・・
時音「お仕置きタイムやるから・・・・大きくなって・・・」
レイス「判った〜」
時音「ソウルチャージ!」
掛け声と共に時音と同じ大きさになるレイス・・・・
ザコス星人「な、なんだと!?」
時音&レイス「いっくよ〜!」
時音は何処からか巨大なダーツボートを取り出す・・・そのボードには無数の穴が開いている・・・
先程のザコス星人を捕まえ、ダーツボードに鎖で括り付ける・・・・・
ザコス星人「な・・なんだ!?」
一体何をさせるのがわからず慌てる・・・・
時音「じゃ、ダーツごっこ開始〜♪」
レイス「今回は大型魚類専用の銛だよ〜♪」
この後、ザコス星人に向かって先程の大型の銛を投げつける・・・・・
しかしザコス星人にはすれすれで当たる程度で刺していた・・・・・・
ザコス星人「ぎゃああああ!!!」
ファイヤーエン「・・・・・・」
エンは先程の状況をありえないと思いながら見ていた・・・・・
時音「ねえ・・・装置は何処?」
ザコス星人「この建物の3階の真ん中の部屋です・・・・・・・」
すでに生きる気力すらないよう無いような言い方で答えた・・・・
時音「ありがとう〜♪」
レイス「じゃ、行こう〜」
ファイヤーエン「お・・・おう。」
ザコス星人を縛りつけたまま、部屋を後にする・・・・・

131SD:2005/08/19(金) 20:39:55 HOST:usr211019181033.tcn.ne.jp
一方その頃だった。
クラウス達は、周囲に何か無いかと探索を始めていた。
その最中……太陽はある事に気付き、クラウスに尋ねた。
太陽「クラウスさん……あんたの杖って、そんな形だったか?
いや、それ以前に……そんな風に杖を持ち歩いてたか?」
過去に異世界でクラウスと会った時。
その時と今とでは、彼が持っている杖の形状が違うのだ。
いや……それ以前に、彼は杖を持ち歩いてはいなかった。
戦闘時、彼は自らの掌から、魔力で作り上げた光り輝く杖を出していたのだ。
その為今まで、常に手ぶらな状態であった。
しかし……どう見ても今の彼の手には、大層な杖があった。
何処かで手に入れたのだろうかと思い、太陽は話しかけてみた。
クラウス「ああ、この杖ですか……これは異世界で、ある人から買ったんですよ。
中々良い物でしたから……その人、次元の魔女って言うんです。
この杖以外にも、相当な道具を持ってましたけど……それ以上に驚いたのは、あの人自身ですね。
とんでもない人ですよ、本当……私を大きく上回る魔力を持っていました。」
満天「あんたより上って……それ、マジかよ?」
界魔「想像出来ねぇ……だってあんた、あの時はあのジャッカルとも互角だったんだろ?
それより上……どんな化け物だよ。」
クラウス「見かけは普通の人なんですけどね……でも、私より強い人なんて結構いますよ?
ただ皆さんは、その事実を知らないだけです。
今まで、色々な世界を渡ってきたけど……私よりも、遥かに強い人は沢山居ました。
私一人じゃ、絶対に敵わないって思えるような人も……でも、皆さんだって私より強くなれる可能性は十分にありますよ?
人間というのは、常に成長していく生き物ですからね……私は一人、そういう人を知っています。
昔に戦った時は、私の方が勝っていた……けれども少ししてから戦うと、私は負けていた。
そんな風に、とんでもない成長を遂げた人をね。」
叢魔「……何か、どんな言葉でもクラウスさんが言うと説得力があるな。
確かにその通りかもな……その人って、どんな人なんだ?」
クラウス「私の兄です。
今は訳有りで、異世界にいますけど……あの人は脚技の天才です。
恐らくどんな異世界でも……兄さんと蹴りあって勝てる人なんて、いないでしょうね。
……皆さんに一つ、頼みたい事があります。
もしも今後、また異世界に飛ぶような事があって、そこで兄さんと会ったら……私は元気だと伝えておいてくれませんか?」
輪廻「はい……お兄さんの名前は?」
クラウス「王狼……それが兄さんの名前です。」
界魔「……ちょっと待て、なんであんたと違って中国系の名前なんだよ?」
クラウス「異母兄弟なんですよ、兄さんとは。
前の母さんは、病気で亡くなったらしくて……」

132暗闇:2005/08/20(土) 15:18:24 HOST:YahooBB220020057170.bbtec.net
=シルヴァランド=
ジーニアス「それにしてもさ、コレットは本当のお父さんによっぽど会いたかったんだねえ」
ロイド「ん?さっきの天使のことか?」
ロイドは聞きとがめた。
ロイド「親父にホントもウソもねえよ。俺だって」
ジーニアス「あっ、ごめん」
ロイド「いいって。気ぃ使うなよ」
ロイドは、自分を育ててくれているドワーフである養父を思った。今頃は、西にある家で、細工師の仕事に熱中しているだろう。
ロイド「俺はそれより、あのクラトスっていう偉そうな傭兵が気にいらねえ」
ジーニアス「でも、強かったね、あのおじさん」
ジーニアスは石段の最後の数段を「えいっ」と飛び降り、ロイドを振り返った。
ジーニアス「ねえ、今日はこのまま帰るんでしょ?だったら途中まで一緒に行ってもいい?」
ロイド「ああ、いいけど。珍しいな」
ジーニアス「友達に会いに行くんだ。どうしても神託がくだったこと、知らせてあげたいから」
ふうん、とロイドは首をひねった。イセリア村の外に友達がいるというのは初耳だったからだ。
村に戻ると、そこは何もなかったかのように、いつも通りの穏やかさだった。ディザイアンが文字通り村を通り抜けただけだったことに、ロイドはホッとした。

133暗闇:2005/08/20(土) 15:38:51 HOST:YahooBB220020057170.bbtec.net
南門の柵の近くまで来ると、キュンキュンという声が聞こえた。
ロイド「あれっ、あいつ、また来ちまったのか」
ジーニアス「やあ、ノイシュだっ」
ジーニアスは門をくぐり、そこにいたロバほどの大きさの生物の脇腹を、ポンポンと叩いてやる。背の低いジーニアスにとっては、そのあたりが最も触りやすい高さだ。
ジーニアス「いつも思うけど、ノイシュって犬じゃないよね。どっちかっていうと馬……?」
ロイド「なんでもいいだろ。俺が生まれた時から一緒なんだ。ペット以上の奴だけど、便宜上、犬でいいんだよ」
ジーニアス「……無理がない?」
ロイド「そんなことないさ。人も色々、動物も色々ってことだよ」
ロイドは、ノイシュの柔らかな毛並み−−優しい緑色をしており、ところどころぼかしたような濃淡がある−−を撫でてやった。
ロイド「森の中で待ってろって、いつも言っているのになぁ」
ジーニアス「確かに、木の間に隠れるのにはうってつけの色合いだね」
クゥ〜ン、とノイシュが鼻を鳴らす。
ロイド「とにかくお前、もう村には来ちゃダメだぞ」
ロイドが偉そうに言うと、ジーニアスが笑った。
ジーニアス「そんなこと言っちゃって。毎朝なんとか遅刻しないで学校に来れるのは、ノイシュが背中に乗せて走ってきてくれるおかげなんでしょ?」
ロイド「そ、それとこれとは話が別だろ?ほら、行くぞっ」
痛いところを突かれたロイドは、慌ててノイシュと連れたって歩き出す。
ロイド(こいつもさっきの光を見たのかな。それで心配して来てくれたのかも……)
ロイドは、大きな耳をパタパタさせている相棒を横目で見ると、そう思った。
と、突然、ノイシュが走り出す。
ロイド「あっ、待てよ!先に帰るならなんで迎えに来たんだよ!」
ロイドが叫んだが、ノイシュはお構いなしに行ってしまった。
ロイド「あいつ、臆病なんだよなあ。時々モンスターが出たりする危ない場所に近づこうとすると、ああなるんだ。けど、別にここは……」
ジーニアス「ううん」
ジーニアスは感慨深げに腕組みする。
ジーニアス「野生のカンってやつかも」
ロイド「なんだそれ」
ロイドは首をかしげた。

134ゲロロ軍曹:2005/08/21(日) 12:23:38 HOST:host066.kinu.mediabomb.stnet.ne.jp
一方・・・
シン「な・・、何だありゃ!??」
ヨク「ま・・、街が、浮上してますよ!??」
学校を抜け出してエンの向かった無人のオフィスビルへと向かっていた三人だが、ゆっくりと浮上している街を見て、唖然としていた・・。
カイ「くっ・・!やはり、宇宙人の仕業か・・。」
シン「・・って、のんきにいってんじゃねーよ!!どーやってあんなとこまで行きゃいいんだよ?!」
ヨク「た、確かに・・。困りましたね・・。」
と、その時、三人のダグコマンダーの星の部分が音を立てながら光った。そして、上空を見ると、ブレイブ星人と会った空間で見た、三台の新幹線型マシンがいた。
カイ「・・、我々の、マシンだ!」
カイがそういうと、すかさずシンとヨクもうなずいた。そして・・
カイ「トライ・ダグオン!ターボ・カイ!!」
シン「トライ・ダグオン!アーマー・シン!!」
ヨク「トライ・ダグオン!ウイング・ヨク!!」
すかさずダグテクター(変身後の姿)を身に着け、それぞれのマシンへと乗り込み、急ぎエンたちのいるであろう浮上中の街へと急いだ・・。

135暗闇:2005/08/23(火) 19:04:38 HOST:YahooBB220020057170.bbtec.net
=シルヴァランド・イセリア人間牧場=
ロイド「ここは、牧場じゃねえか!?」
ロイドは驚いて足を止めた。
ロイドが通学に使っている山道は、途中で二つに分かれており、まっすぐ行けば西の森に着くが、曲がればディザイアンの牧場へ出てしまう。
ジーニアスが友達に会うというので一緒に来たのだが、なぜこんなところに用事があるのか、さっぱりわからない。
ロイド「お前の友達ってまさか……ディザイアン?」
ジーニアス「そんなわけないでしょっ。友達は……牧場に連れてこられて、働かされてるんだ……もうずいぶん前から」
目を伏せたジーニアスに、
ロイド「そ、そうか。そうだよな。だいたい、ディザイアンってのはハーフエルフだもんな。エルフのお前と仲良しってことはねーよな」
と、慌てて言う。
ジーニアス「……う、うん、ロイド、来たくなかったら帰ってもいいよ」
ジーニアスは、ポケットからごそごそと紙包みを取り出した。
ジーニアス「僕もちょっと話をして、これを渡したらすぐに村に戻るから」
ロイドは、紙包みから硬そうなパンが覗いてるのを見逃さなかった。
ロイド(給食のパンじゃねえか……。こいつ、しょっちゅう来てるのか)
ディザイアンとイセリアの間に結ばれた不可侵条約のために、牧場に近づくことは固く禁じられている。ロイドは正確には村の住人ではないが、養父のダイクからは同じことをきつく言い渡されている。
ロイド「いや、一緒に行くよ。さっき村に来た奴らがいるかもしれないしな」
ロイドは心の中でダイクに詫びながら、脇道に入った。
人間の逃亡を阻止する為なのだろう、道は細く、両側は断崖絶壁になっている。
が、ジーニアスはいかにも慣れた足取りで先を急いだ。
しばらく行くと、正面に巨大な壁が見えてくる。その無機質でそっけない色合いは、ロイドを嫌な気分にするのに充分すぎるほどだった。
ジーニアス「あれが牧場の門だよ。鋼鉄でできているんだ」
ジーニアスが説明する。
ジーニアス「あんまり近づかないでね、ロイド。私設のあちこちに、いろんな仕掛けがあるみたいなんだ……裏へまわるよ」
彼はそれ以上門の方へは進まず、道幅は広くなった所で、私設の周りを囲むように植え付けられている茂みの中へ飛び込んだ。
ジーニアス「……こっちだよ、ロイド。ここから中の様子が見えるんだ」
ロイド「そっか。牧場の中って、いったいどうなって……!」
茂みから抜け出たロイドは、ハッと息を飲む。
張り巡らされた鉄条網の向こう側は、私設の庭のようだった。
建物の周りには、ざっと見ただけでも100人近い人間が蠢いていた。みな灰色の服を着せられ、ひどく痩せて顔色が悪い。
そしてその体格には不釣りあいな、大きな荷物を運ばされているのだった。

136暗闇:2005/08/23(火) 19:25:34 HOST:YahooBB220020057170.bbtec.net
ディザイアンA「何をグズグズしているーっ!さっさとせんかぁ!」
巨大な鉱石のような物を押し動かしていた男の背に、ディザイアンの鞭が跳ぶ。
男「ぎゃあああっ!」
男の背が、黒く焼け焦げたのがわかった。
ロイド(ひ、ひでえ……、なんてことをしやがるっ!)
呆然と立ち尽くしているロイドの横で、
ジーニアス「マーブルさん!」
と、ジーニアスが誰かを呼んだ。
すぐに仲間の列を離れ、こちらにやって来たのは、一人の老婆だった。
マーブル「ジーニアス。よく来てくれたわね」
マーブルと呼ばれた老婆は、用心深くあたりを見回してからロイドに視線を当てた。
ロイド「あ、俺、ロイドです。こいつの友達」
マーブル「そう。よろしくね、ロイド」
老婆の顔には疲労と衰弱の色がはっきりと見て取れたが、彼女は微笑んだ。
ジーニアス「マーブルさん、見た?神託が」
マーブル「わかっていますよ。さっき、あちらで作業している時に塔が見えたわ。今度こそ成功してほしい……」
ジーニアスは頷きながら、先程のパンを素早く老婆の手に押しつける。彼女はそれをおいしくいただくと、サッと服の下に隠した。
マーブル「いつもありがとう、ジーニアス。前の神子は再生の旅の途中でディザイアンに殺されたと聞いているけど、今度は成功して欲しいわ……」
ロイド「コレットは大丈夫かな」
ロイドは呟き、それから何気なくマーブルの手に目をやり、驚いた。
ロイド「ばっ、ばあちゃん!?」
マーブルさんでしょ、とジーニアスがロイドを突ついた。
ロイド「ごめん……いや、けどそれ、エクスフィアだろ?」
マーブル「ああ、これのこと?」
老婆は自分の手の甲を見、そこにある丸い物体に首を傾げた。
マーブル「エクス……、そういう名前なの?ここに来てすぐに埋め込まれたの」
ロイド「でも……要の紋がねえ」
ロイドの言葉にジーニアスが訊ねた。
ジーニアス「要の紋?」
ロイド「ああ。エクスフィアは俺達の力を最大限に引き出してくれるものだけど、直接肌につけると毒らしいんだ。直接つけないと効果もない。だから、ほら、俺みたいに、まず要の紋で土台を作って、その上に装着するんだよ」
ロイドは自分の左手を鉄条網に近づけ、マーブルに示した。

137暗闇:2005/08/23(火) 20:44:54 HOST:YahooBB220020057170.bbtec.net
ロイド「特別な鉱石に毒が出ないように制御するまじないを刻み込むんだけど、作るのは難しいみたいなんだ。要の紋ってのは元来ドワーフの技術らしい……」
マーブル「そう」
マーブルは淋しそうに微笑んだ。いくら危険だと言われたところで、どうする術もないのだ。
ジーニアス「毒だなんて!ねえ、何とかならないの?ロイドのお義父さんだってドワーフだろ。作ってもらってよ!」
ロイド「え?親父にか」
ロイドがジーニアスの必死な目の色を覗き込んだ時だった。
ディザイアンB「こらぁっ!そこっ!何をしている!」
3人はハッとなった。
マーブル「ディザイアンが来るわ!2人とも、早くお逃げなさい」
近づいてくる足音に、マーブルが必死に叫ぶ。
ジーニアス「ロイド、行こう。捕まったらマーブルさんも、村の人もどうなるかわからないよ!」
ロイド「……あ、ああ。ごめんな、ばあちゃん」
マーブル「いいから早くお逃げなさい!」
ディザイアンの足音は、すぐそこまで迫っていた。見通しのいい道を戻る余裕はない。ロイドとジーニアスは、ちょうど2人分の体を隠してくれそうな茂みに飛び込み、身を隠した。
ディザイアンB「ばばあ!ここで何をしている!?」
マーブル「……いえ、なにも。申し訳ありません」
ディザイアンC「とっとと持ち場に戻れ!ああん?なんだ、その目は。逆らおうってのか」
マーブル「と、とんでもありません」
声からして、ディザイアンは2人組らしい、とロイドは思った。そっと茂みの間から様子を窺った時、もう一人のディザイアンが走ってきた。
ディザイアンC「奥へ連れて行け!見せしめに、痛めつけてやる」
マーブルは、抵抗することもできずに、ズルズルと引きずられて行ってしまった。
ジーニアス「ど、どうしよう」
ロイド「ここからじゃ見えねえな。ジーニアス、さっきのどでかい門へ登ってみよう」
ロイドは、なにか足がかりになるものはないかと、素早く辺りを見まわした。幸いなことに、段差のある崖が門のすぐそばにあった。

138暗闇:2005/08/23(火) 21:37:35 HOST:YahooBB220020057170.bbtec.net
ロイド「いいか。もしばあちゃんが見えたら、お前は魔法で攻撃しろ。そうしたら俺が奴らの注意を引くから、すぐに逃げるんだ」
ジーニアス「ええっ。そんなことをしたらロイドが危ないよ」
ロイド「平気さ。村とは別の方角に逃げるから」
ロイドは、親友の細い肩をポンと叩くと、崖をよじ登り、門の上に立った。
すると、施設の壁に手をつかされ、鞭で叩かれている老婆の姿が目に入った。
ロイド「ジーニアス、早くしろ」
ようやく門の上までたどり着いたジーニアスは、意を決したようにけんだまを取り出すと、火炎弾を放つ。
唸りを上げた火の玉は、ディザイアンたちに命中した。
ディザイアンB「うわああっ!誰だっ!?」
間髪を入れず、ロイドは叫び声を上げながら門の上を器用に走り始める。
ディザイアンC「あいつだっ!捕まえろ!」
ディザイアンたちは口々に怒鳴りながら、正門を開けた。
ロイドは予定通り茂み伝いに逃げているジーニアスを目の端で確認しながら、速度を上げようとした。
その時だった。
ジーニアス「ああっ!」
ジーニアスがなにかに足を取られ、派手に転倒する。正門から走り出てきていたディザイアンが2人、それに気付いた。
ロイド「まずい。ジーニアスっ!」
ロイドはとっさに方向転換すると、敵の前に飛び降りる。
ディザイアンC「いたぞ!」
ロイド「へへっ。こっちだこっちだ!」
ロイドは剣を抜くと、2人の間を駆け抜ける。ふた振りの剣は、的確に相手の急所を抉りとった。
ディザイアンたち「ぐはああっ!」
2人ともその場に倒れたが、背後からは数十人もの新しい足音が迫っている。
逃げ場を失ったロイドは目の前の崖めがけて走ると、そのままヒラリと高く跳躍し、敵の前から姿を消した。
ディザイアンD「申し訳ありません。逃げられました……、フォシテス様」
ディザイアンの1人が、崖っぷちに立ち尽くす男に報告する。
フォシテス「うるさい。そんなことはわかっている。おい、正面ゲートの記録装置の解析を急げ!」
フォシテス「はっ」
フォシテスと呼ばれた男は、腕組みをして、ロイドが飛び降りた崖の下を見つめた。
フォシテス(今の鮮やかな跳躍……あれは、人間のみの力か?もしや……)
男は厳しい表情で、じっと何ごとか考え込んだ。


ジーニアス「ロイドぉ!」
森へ続く道を急ぐロイドの前に、ジーニアスが飛び出した。
ロイド「うわっ。お前、なにやってんだ。まだこんなところに……」
ジーニアス「ごめん!顔を見られたよね!僕のせいだ」
ロイド「大丈夫だよ。顔見た連中はやっつけちまったし……このまま急いでお互いの家に帰ろう」
ジーニアス「う、うん……そう、だね」
ジーニアスは頷き、踵を返しかけたが、思い切ったように口を開く。
ジーニアス「ロイド、ありがとう」
ロイド「ん?」
ジーニアス「マーブルさんを助けてくれて」
ロイド「バーカ、気にすんなって。なあに、向こう1年宿題をかわりにやってくれればいいさ」
ジーニアスは肩をすくめ、やっと笑顔を見せると、そのまま村に向かって走り出した。

139璃九:2005/08/25(木) 23:11:26 HOST:YahooBB220045007138.bbtec.net
=東京 渋谷=


零児「どうやら、片付いたようだな。」
使用した武器を鞘に収め、零児はそう言った。
彼らの周囲には、倒された数体のカマイタチが横たわっている。
小牟「ワシにかかれば、ざっとこんなもんじゃ♪
   ・・・さて、腹も減ったしの。油揚げ定食でも食うとするか♪」
零児「阿呆か。とりあえず、このまま調査を続けるぞ。」
ほとんどやる気の感じられない小牟を、零児は呆れ顔で見る。
戦闘時には、それなりに真面目に戦ってくれるからいいものの、
普段がコレなのだから、流石に苦労する。
・・・まぁ、その分、こういったタイプの扱いには慣れているわけで・・・
とりあえず、零児はそのまま、彼女を置いて進むことにした。
小牟「あぁ!待たんか!!ワシを置いていくとは何事じゃ!?」
背後から彼女の文句が聞こえてくるが、とりあえずはそれも無視。
腕で「早く来い」とだけ合図して、零児は構わず進む。
・・・と、その時であった。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


零児「!」
小牟「な、何じゃあ!?地震!?」
突然、大きな音とともに、地面が揺れた。
・・・いや、これは地面が揺れた・・・というよりかは、
空気全体が・・・ここらに存在するもの全てが、揺れているように思われる。
小牟(これは・・・・・・まさか!?)
一瞬、脳裏に何かがよぎった。
自分はこの現象を・・・どこかで・・・・・・



零児「・・・おさまったか?」
やがて、激しい揺れはおさまる。
幸い、辺りが崩れるなどの被害はない。
小牟「そのようじゃの・・・・・・む?」
辺りを見回していた小牟が、突然顔をしかめる。
零児「どうした?」
小牟「むぅ・・・何じゃ?何か、奇妙な感じが・・・・・・」
零児「奇妙な感じだと?それは・・・」
小牟「・・・!零児、あっちじゃ!!」
叫びながら、杓杖で方向を指し示す。
言われるままに、零児はその方向を振り向いた。

140璃九:2005/08/25(木) 23:12:14 HOST:YahooBB220045007138.bbtec.net
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
零児「・・・!?何だアイツは!?」
零児は、思わず眼を見開いた。
彼の視界に、見慣れない『何か』が入ったからだ。

それは、全身が影のように真っ黒だった。
一応、人の形を保ってはいるが・・・・・・
腕と腹が異常に細く、逆に足と胸が異常に太く・・・
眼は体の色とは対照に真っ白で、顔も体に不釣合いなほどデカい。
とにかく、不気味だった。
それが、この謎の『何か』に対する、第一印象だ。

小牟「形からして、カマイタチの類ではなさそうじゃの。」
零児「妖怪・・・・・・いや、アイツからは、そんな感じがしない・・・」
小牟「どうするんじゃ、零児?正体分からんのなら、無闇に手を出すんも・・・」
零児「あぁ・・・俺もそうしたいが・・・・・・」
そう言いつつ、零児は収めた武器に再び手をかけた。
零児「そうも言ってられん。来るぞ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
『何か』は、無言ではいるものの、敵意をあらわにして零児たちに向かって来ている。
零児「先制攻撃だ。金(ゴールド)!!」
拳銃を素早く引き抜き、零児は『何か』に向かって数発の弾丸を放つ。
頭、胸、腹・・・と、弾丸をまともに喰らった『何か』は、
体をよろめかせて、大きな隙を作った。
それを見逃す零児ではない。
銃を収め、素早く『何か』に近づいた。
零児「もらった!火燐!!」
銃の代わりに引き抜いたのは、炎を纏った刀・・・火燐だ。
それは、『何か』の体に炎を浴びせ、そして体を真っ二つに切り裂きさいた。
「ドッ」と言う音と共に、『何か』の上半身と下半身が地面に横たわる。

小牟「おぉ〜!真っ二つとは容赦ないのぉ〜」
零児「いや・・・見た事のない奴だったからな。手を抜くわけにはいかなかったんだが・・・
   こうも簡単に倒せるとは・・・予想外だった。」
小牟「ふむ、見掛け倒しじゃの。
   姿形だけなら、真っ黒で不気味で強そうなんじゃが・・・」
零児「とにかく・・・一度、本部に報告するか。
   コイツの存在・・・何かがひっかかる・・・。」
横たわった『何か』に背を向け、零児は内ポケットから、通信機のようなものを取り出した。
これで本部に連絡を入れるともりらしい。
手馴れた操作で、通信機を扱い、零児は応答を待つ。

小牟「・・・!零児!!」
小牟の声と共に、背後からの異様な気配に感じたのは、その時であった。
零児「なっ!?」
とっさにその場を離れる。
零児を襲ってきたのは、影のように黒い腕・・・
幸いにも通信機が壊されただけで、零児自体は傷を負うことは無かったが・・・。
零児「馬鹿な・・・コイツは!?」
自分を襲った者を見て、零児は我が目を疑った。
それは、先ほど自分が倒したはずの『何か』だ。
真っ二つにされたはずの体が、何故か元通りになっている。
小牟「こやつ、再生したとでも言うんか・・・?」
零児「再生だと!?・・・くっ!」
そうしている間にも、『何か』は容赦なく零児を襲う。
零児「火燐が効かなかったのか・・・?ならばっ!!」
先ほどとは違う別の武器を、零児は手にする。
零児「くらえ!地穆!!」
手にした武器に、雷が迸る。
『何か』は、それによって再び真っ二つに両断された。
零児「・・・・・・・・・・・・・」
それでも、零児は警戒を緩めない。
再び、再生されると考えたからだ。

141璃九:2005/08/25(木) 23:12:36 HOST:YahooBB220045007138.bbtec.net
・・・予想通り、『何か』は間もなく再生した。
分かれた上半身と下半身から、黒い触手のようなものが何本も現れ、
それが互いを繋いで、最終的に一つの体へと戻っていった。
小牟「またか・・・・・・零児!どうなっとるんじゃ!!?」
零児「俺に聞くな!クソ・・・」
零児は舌打ちした。
単に攻撃したり、倒すだけでは、効果が無さそうだ。
敵が自分より弱いとはいえ、このままだとラチがあかない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そうこう考えているウチニ、『何か』が再びこちらへ向かってきている。
倒す方法は分からないが、ただ大人しくやられるわけにもいかない。
再び武器を構え、迎撃の準備に入った。
・・・そして、それが起こったのは、その瞬間・・・


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


零児「くっ!」
小牟「なっ!この揺れ・・・先ほどの・・・」
再び、ここらにある全てのものが揺れた。
『何か』も一瞬動きを止めている。


・・・再び、揺れは収まった。
零児「ちっ・・・今度は一体・・・・・・」
小牟「・・・!れ、零児!アレを!!」
慌てた様子で、小牟はあう方向を指差した。
零児「・・・なっ!?」
思わず、目を見開いて驚いた。
小牟が指差す方にあったもの。
それは、二つの黒い『何か』。
・・・そう、今、零児たちの目の前にいる『何か』が、新たに二体・・・増えているのだ。
どうやら、元々いた『何か』もそのことに気付いたらしい。
零児たちから一旦離れ、その二体の元へと駆けて行った。
零児「集団で来るつもりか・・・?」
小牟「マズイのぉ・・・。あの黒いバケモノ、弱いんは弱いが、何度も再生されるとキツイぞ?」
二人の言うとおり、三体の『何か』は、一斉にこちらへ仕掛けてくるつもりらしい。
零児「どのみち、やるしかないだろう・・・・・・でなければ、こちらがやられる。」
構えをとり、戦闘の準備を整えた零児と小牟は、三体の『何か』を見据えた。

そして、間もなく。
彼女たちは現れた。
各々が、戦いのために、まさに動き出した時だった・・・・・・。

零児「・・・・・・?アレは・・・!?」
三体の『何か』とは別の方向に、人影が見える。
それを確認して、零児たちは動きを止めた。
また、三体の『何か』も、つられてそっちの方を見る。
小牟「む・・・人・・・かの?」

142アーク:2005/08/26(金) 12:24:55 HOST:aa2005060628013.userreverse.dion.ne.jp
一方そのころ星人によって空中に浮かんだ都市の中でルシュファーとスパーダは襲い掛かる星人を倒していった
スパーダ「真剣勝負中を邪魔するとは愚かな者達だ。こやつらがいなくなるまで休戦だな」
ルシュファー「だな。しかし、一定の区域を空中に浮かすって言う発想には驚いた」
スパーダ「その事は我も驚いた。人間界ではこの様な出来事がよく起こるのか?」
スパーダの言葉にルシュファーは唖然とした
ルシュファー「魔界四台公爵の皆さんは人間界の事は知らないのか?俺や親父達を追跡にだけしか興味何のかよ
       師匠から聞いた話とはぜんぜん違うじゃねぇか」
スパーダ「何をしょげているのだアスタロトの息子よ?我も少しは人間界の事は勉強しているのだが
     如何せん追いつく事ができないのだ。世間知らずではないからな」
ルシュファー「分かったよ。でも、ここを空中浮遊させた奴らは多いいなぁ」
スパーダ「この区域の何処かに浮かばせている装置が何処かにあるはずだ
     それを破壊すればここも元に戻るだろう」
二人は襲い掛かるザコス星人を次々となぎ倒しながら進んでいった
途中から出てくる数が減ってきたのに気づいたルシュファーは
相棒のライラが先に進んでいる事に気がつき歩くスピードを早めていった

143ゲロロ軍曹:2005/08/29(月) 13:18:40 HOST:host066.kinu.mediabomb.stnet.ne.jp
その頃・・
=モチノキ中学・廊下=
女生徒「ごめんねー、立花(りっか)。手伝ってくれて・・。」
立花「・・泣きながら『お願い!手伝って!!』っていいながらものすごい表情でせまられちゃ、断れないでしょうが・・。(汗)」
吹雪の妹、藤堂立花(とうどう りっか)は、吹雪が乗るのとは反対方向のバスで向かう、ここ「モチノキ中学校」に通っていた。ちなみに今は、生徒会の会計の手伝いを終えて、隣の女子生徒と一緒に会計の書類を運んでいる・・。
女生徒「だってー、あんた頭いいしー・・、クールっぽいけど、面倒見もいいしね♪」
立花「はいはい・・。」
そう言いながら、「さっさと届けて帰ろう」という気持ちで、足早に運ぶ立花。しかし、曲がり角を曲がった瞬間・・
?「のわぁ?!」
立花「きゃっ!?」
突然、誰かとぶつかってしまった。声からして、どうやら男性である。
?「っててて・・、わ、わりぃな・・。」
立花「あ、こっちこそ・・って、あなたは・・。」
謝罪しようと相手の顔を見ると、立花は少し驚いた。
立花「た・・、高嶺先輩・・。」
彼の名は「高嶺清麿」。中学二年にしてIQ180の超天才児である。しかし、いじめが原因で、不登校ばかりしていると聞いていたので、立花は驚いた。
立花「あ、あの・・、いつから学校に・・?」
清麿「ああ・・、ちょっと前からな・・。お前は確か、1年の藤堂だっけ?」
立花「知ってるんですか、あたしのこと?」
清麿「噂くらいはな。めちゃくちゃ頭がいいけど、怒らせたら怖い女とか何とか・・。」
その言葉を聴いて、立花は内心、むかっとした。そして、うわさを流した奴を見つけることを密かに誓う・・。
何やら黒いオーラを出してる立花に冷や汗をかきながらも、清麿は書類を集めながら質問をした・・。
清麿「・・あ、あのさ、子供を見なかったか?」
立花「へっ?子供、ですか??」
清麿「ああ・・。緑色のバッグに偽装してる、金髪の男の子だけど・・。」
立花「ば・・、バッグって・・(大汗)。」
そんな奴いるわけないと言おうとした立花だったが、数秒後、「実物」を見る羽目になった・・。
?「き、よ、ま、ろぉ〜!!」
清麿「ぐぉおお?!!」
突然、緑色のバッグ・・、いや、正確にはバッグを身につけた金髪の少年が、清麿の腹にヘディング気味のタックルをしてきたのである・・。

144璃九:2005/09/18(日) 20:40:01 HOST:YahooBB220045007138.bbtec.net
=東京 渋谷=


???1「ッ・・・・・・こ、ここは・・・?」
???2「ドリスさん、ご無事でしたか!?」

零児たちの目線の先に、二つの人影が現れた。
片方は、まだ十歳そこそこといった感じで、幼い印象を受ける。
純白ともいえる長髪に、ルビーのような深紅の色の瞳。
白を基調とし、両肩から腹にかけてブルーのラインが入ったローブを着こなしている。
ただ、腰にさしてある『鞘』が、可憐な少女に合ってないが・・・。

もう片方は、隣の幼げな少女とは違い、二十歳そこそこといった、大人な女性だ。
深い緑色の髪。毛先がはねていて、それはそれで可愛らしい。
ほっそりとした体格で、プロポーションも良い方だろう。
袖の長い青色のクロス、それに似合うように着こなされた、短めのスカート。
これら全てを含め、女性にかなり合っている。
また、何やら奇抜な形をした杖を片手にしている。
完璧に見えるこの女性だが、ただ一つ。
嫌に目を引いてしまう部分があった。
両目だ。
閉じられたその目の上から、『×印』の『白いバンソーコー』が貼られてある。
そのせいで、他の全てが台無しである。


ドリス「う、うん!私に怪我は・・・・・・
     そ、それより、オズー!ここは!?私たち、どうなって・・・・・・」
オズー「空間転移術・・・・・・やられましたね。
     どうやら、ここは・・・・・・」


小牟「ロリっ娘に、姉属性・・・・・・って、何じゃ?あのバンソーコーは?」
隣で妖狐が何やらぶつくさ言っているが、とりあえずは無視することにした。
零児「人だと・・・・・・何やってるんだ、こんなところで!?」
零児が驚くのも無理はない。
ここ渋谷は、完全閉鎖区域に指定されているはずである。
自分たちのような『組織』に属している人間ならともかく、普通の人が入れるはずはないのだ。
見た感じ、目の前にいる二人は、そうでもなさそうだ。
零児「面倒なときに・・・・・・チッ!」
幸い、黒い『何か』は、先ほどから不気味なほど静かに動きを止めている。
零児は、目の先にいる二人の女性に、大声で叫んだ。
零児「おい!そこのお前たち!何やってる!?渋谷は完全閉鎖区域だぞ!!」

145璃九:2005/09/18(日) 20:40:24 HOST:YahooBB220045007138.bbtec.net
ドリス「へっ・・・・・・わわっ!人・・・え、えっとぉ〜・・・」
オズー「シブヤ・・・聞いたことがありませんね。
     間違いなく、ここは・・・・・・」
と、その時、バンソーコーの女性が言葉を止めた。
それは、零児たちとは別の場所にいる、黒い『何か』に顔を向けた時だ。
目が『見えるはずない』というのに、その女性は、その瞬間、顔をしかめた。
オズー「あれは・・・・・・NEO!?」
ドリス「えっ!?」
深紅の瞳を持つ少女は、バンソーコーの女性の声に反応し、
表情に驚異を表したまま、『何か』に顔を向けた。
ドリス「どうして!?オズー、ここは『別の世界』なんじゃ・・・・・・」
オズー「忘れましたか、ドリスさん?
     この世界へ、我々がどうやって渡って来たか・・・。」
ドリス「そ、そっか・・・。空間転移のゲートは、この世界に繋がっていた。
     そして、『彼』もこの世界にたどり着いている・・・。
     だとしたら、NEOがいても・・・・・・。」
オズー「自然なことですね。しかし、こうもタイミングよく遭遇するとは・・・。」
片手に持っていた杖を構え、バンソーコーの女性は黒い『何か』を見据えた。
ドリス「たった一人で『トリニティ・ゲート』と同等の空間転移術の使用を・・・・・・!
     ね、ねぇ!オズー!!」
何かに気づいたかのようにハッとした顔を向けたのは、深紅の瞳を持つ少女だ。
ドリス「サファイアは!?サファイアがいないわ!!」
オズー「えっ!?」
構えていた体制を元に戻したバンソーコーの女性も、ハッとした表情を見せる。


零児(さっきから、何を言い合っているんだ?)
二人のやりとりを、不審そうに零児は見つめていた。
こちらの言葉にも反応したようだが、すぐにそっちのけで何かを言い合っている。
・・・だが、大人しく聞いているわけにもいかない。
この場が、危険であることに変わりはないのだ。
零児「おい!聞いてるのか!?とにかく、この場は危険なんだ!
    そいつらは、倒しても再生してくる。守ってやれないんだ!!」


ドリス「えっ!あ・・・」
零児の言葉に反応し、双方、言い合いを中止する。
オズー「とにかく・・・ドリスさん、ひとまず、この場を何とかしましょう。」
ドリス「オズー・・・・・・」
オズー「サファイアさんなら、きっと大丈夫です。
     ゲートへの侵入のタイミングが、若干遅れたために、私たちと離れてしまいましたが・・・
     この世界のどこかにいる。それは間違いないです。
     ならば、まずはこの場を片付けて、それから捜索しましょう。
     NEOがいる以上、黙って見過ごすわけには行きません!」
ドリス「そ・・・そうだね、オズー。」
深紅の瞳を持つ少女は、落ち着きを取り戻し、そのまま頷いた。
ドリス「オズー、『トリニティ・フィールド』を発動するわ!」
オズー「分かりました。NEOの掃討はお任せを。」
深紅の瞳の少女に合わせ、バンソーコーの女性は再び杖を構えた。
そして、そのまま零児たちの方を向いて言う。
オズー「そこの方々、ご忠告には感謝いたします。
     ・・・ですが、NEOは我々の専門です。
     ここは任せてください!」
零児「専門・・・?それに、『ネオ』だと・・・?」
『NEO』という聞きなれない単語に、零児は不審な顔を浮かべた。
だが、二人は、そんな零児の様子を気にしていない。

146暗闇:2005/09/30(金) 22:11:42 HOST:YahooBB220020057170.bbtec.net
その頃…この世界と似て非なる世界では…

=とある平行世界のニューヨーク=
窓からベドロー島を一望できるロフトで、30を過ぎたばかりに見える白人の男が、黙々とキャンバスに絵筆を走らせていた。
乾いた黒髪。落ちくぼんだ眼窩、そぎ落とされたかのような頬<かお>。病的とも言える痩せ具合だが、目付きは茫洋−−−ある意味で落ち着いている。しかし男を後ろから見た者は、やや顔をしかめただろう。彼の後頭部には、大きな傷があったのである。幅10㎝、太さ3㎝ほど−−−縫合痕が、延髄の辺りを真横に走っている。
男は青いセーターに、赤い夕日に影が落ちた。
手を休め、絵描きは外の景色を眺めた。
自由の女神の足下を、廃船寸前のダグボートが通り過ぎていく。
おもむろに男は筆を置くと、パレットを手に取った。トレイの上にあけた絵の具を、ナイフで淡々と広げていく。
指が滑ったのか−−−パレットナイフが、手の中からスッポ抜けた。空中で回転し、袖まくりした腕に突き刺さる。
眉一つひそめずに、男は腕を眼前に持ってきた。
切っ先が刺さった箇所から、鮮血が漏れ広がっていく。しばらく無言で見ていた男だが、やがて血を指につけ、口に運んだ。
全く陽に当たっていないような白い喉が上下する。
???A「……うん、血だ。私は人間だ」
茫洋と、当たり前のことを、男は呟いた。
???B「……血の味によって、自己の存在を再確認している……か。変わらない、ディーン・タウンゼント」
抑揚のない声をかけられ、タウンゼントと呼ばれた画家は振り返った。奇怪な人影が立っていた。
奇怪な人影が立っていた。
−−−黄金の仮面をつけた、長身の男である。
中南米は石器文明の太陽王を象ったものらしい。陽光を表した突起物が、横から突き出ている。どう見ても純金−−−相当な重さのはずである。異質なのは、首から下が、ただの黒いスーツという点だ。釣り合うデザインではない。
タウンゼントは、立ち上がると目を細め、
タウンゼント「シェピロか。同じハイ・キュレーターが私のアトリエを訪れるとは珍しい。何か面白いものでも見つかったか?」
仮面の男は答えず、代わりにあるものを放った。
−−−ゴシップ詩である。
タウンゼント「なんだこれは?」
シェピロ「……現存する“回る水”がドイツで発見された」
タウンゼント「な……に!?」
画家の顔に、衝撃が走った。蒼然と、誌面に目を落とす。
シェピロ「……ドイツの最高峰・ツークシュピッツェ中腹に建つグランホルツ修道院に、300年ぶりに外部の人間が入り込んだ。イギリスから2人の登山者だ。彼等はそこでフレスコ画、銀の燭台など、数々の美術品を目にした。その中に、望む者の顔を映し出す、奇妙な水があったという。ガラスの筒に入れられ、存在は秘密にされていた水がな」
タウンゼント「望む者の顔を映し出す……? では例のフレイア異伝と、ナチ情報は本当だったということか……!」
シェピロ「……ロープウェイのコースから外れた天然の要害だ。普通の人間は足を踏み入れん」
一切の抑揚を排除した口調で、仮面の男は続けた。
シェピロ「……タウンゼント、お前が行って“井戸”を捜すのだ。館長からの命令だ」
タウンゼント「ほ……う?異端派と呼ばれるこの私を、直に現地に?」
顔を上げ、痩せこけた画家は目を細めた。
シェピロ「……井戸の確保を最優先するため、本館は既に大量の人員を送り込み、さらに“伯爵”にも協力を仰ぎ吸血鬼共も総動員させている」
タウンゼント「伯爵だと!……あの人外に協力を仰ぐと言うことは……」
シェピロ「そうだ。究極の情報網を持つあの男が出てくるのは時間の問題だろう」
タウンゼント「汚いツラ、顔のない男……!ありとあらゆる軍事兵器を操り、無敵の古武道・九頭竜を使う世界最強のトレジャー・ハンター……」
タウンゼントは、忌々しげにこう吐き捨てた。
タウンゼント「ダーティ・フェイスか……!」

147暗闇:2005/09/30(金) 22:31:24 HOST:YahooBB220020057170.bbtec.net
シェピロ「桐古連は富士の樹海で奴と戦って死んだ。おかげで彼が掴んだフェイスの情報も大半が闇に葬られている。おかげで彼が掴んだフェイスの情報も大半が闇に葬られている。未だ正体不明の敵に当たらせるべく、館長は“ヴィタリスの魔筆”を使うハイ・キュレーターをお選びになった。つまり、おまえだ」
迷うことなく画家は頷き、
タウンゼント「いいだろう、引き受けた。桐古を一敗地にまみれさせ、あの“伯爵”をも激闘の末に一度退けている男−−−相手にとって不足はない。さっそく現地へ飛ぶとしよう。手配は整っているな?」
シェピロ「……無論。館長への伝言は?」
タウンゼント「ことが成就した暁には、ティファニーで朝食をご一緒に。むろん館長の支払いで、だ」
タウンゼントの口元を、陰鬱な笑みがよぎった。
仮面の男は背を向け、階段を下りていった。
画家はきびすを返すと、椅子のロングコートに袖を通した。腰を屈めて画材道具一式をケースに収め、再び立ち上がる。懐から携帯電話を抜くと、耳に当てた。
タウンゼント「……スプレイか、私だ。ドイツの田舎に、禁断の井戸を探しに行く。役にはたたんだろうが、ヴァッテンを呼び出しておけ」
タウンゼントは、しかし眉を潜めた。
タウンゼント「……なに?未だにエジプトだと?」

148暗闇:2005/10/01(土) 19:18:20 HOST:YahooBB220020057170.bbtec.net
さらに同じ頃−−−その平行世界の別の場所でのこと。
一点の光すらない空間を、生ぬるい微風が吹き抜けた。完全な暗闇である。ただ、ときおり風の反響音も上がることを考えると、極めて狭い場所のようだった。通路かどこか−−−密閉空間に近いところである。
やがて風と一緒に、呪文のようなものが聞こえてきた。
???A「えー……知行合一説とは、唐の王陽明が唱えた主観的唯心論で……えっと……知識と行動は必ず合一されるものであり……陽明学の一つとして……」
なにやら、気の抜けたコーラみたいな声である。
次いで、ページをめくる音がし、
???A「ああっ、唐じゃなくて明のヒトだった!まずいなー、これで3度目−−−」
???B「……だーっ、もぉっ! 鷲士くん、うっるさぁーい!」
なにかを引っ剥がす音と共に、突然、光が生じた。
暗闇に浮かび上がったのは、2つの顔であった。
片方は、銀幕を飾ってもおかしくないほどの、凄まじい美少女だった。表情は今でこそプンスカだが、メノウ石のような瞳、両サイドをリボンで束ねた栗毛色の髪、長い睫が生み出す造形美は、見る者の脳裏に確実に焼き付くことだろう。着衣は黒一色の戦闘服に、左腕にはウェアラブルPC、頭には暗視装置と、ある意味で物騒な代物ではあるものの、彼女が身に着けると、コミックめいて見えるから不思議だ。
残りの片方は−−−みすぼらしい青年だった。
とにかく、みすぼらしい。
とことん、みすぼらしい。
なにはともあれ、みすぼらしい。
まず、着込んだ黒い戦闘服がみすぼらしい。背負ったリュックがみすぼらしい。腰に引っかけたアサルト・ライフルまで、なぜかみすぼらしい。いや−−−ハッキリ言って、服装も装備も少女と大差ないのだが、彼が身に着けると、なぜかボケて見えるから恐ろしい。原因は、どことなく緩んだ彼の表情にあった。
鷲士「……えっ?どうかした?」
今さらのように、青年は首を傾げた。ほえ〜、という擬音が聞こえてきそうだ。
−−−我らが草刈鷲士と結城美沙である。
案の定、小さい美貌に、青筋が浮かんだ。
美沙「ったく〜!どうかした、じゃないでしょ!さっきからブツブツ−−−もぉ! 時と場所を考えてよね! 鷲士くん、緊張感なさすぎ!」
鷲士「緊張感? 冗談じゃないよ、緊張感ありありだよ」
呆れたように、鷲士は言った。
鷲士「だって明後日には追試なんだよ、ぼく?ただでさえバイトで出席日数危ないし、このままだとホントに留年だ。なのにさ、美沙ちゃんが無理やり−−−」
美沙「だからってピラミッドの中で参考書なんか開く、フツー!?」
不信感てんこ盛りの視線を、美沙は鷲士の手元に向けた。

“東洋哲学史論・改訂版”

さらに同場所から500mほど直上に出れば、青い空と果てしない砂漠、そして崩れかけた聖塔が目にできたはずである。
−−−エジプト・アラブ共和国北西部。気分転換にはなるかも知れないが、追試前のお散歩にしては、距離が気違い沙汰だった。

149暗闇:2005/10/01(土) 20:15:45 HOST:YahooBB220020057170.bbtec.net
直立もままならない地下通路の中、鷲士は頭のゴーグルをつつき、
鷲士「え、でもさ、こういうのあるし。勉強は普段からの予習復習が肝心−−−」
美沙「ノクトビジョンは暗闇で本読むためのものじゃないのっ!」
喚くと、美沙は腕組みして鷲士をねめつけた。
「ちょっとぉ、もぉ、しっかりしてよ? 相変わらずボケボケなんだから〜。わたしはこっちの解析で手一杯だしさ」
と美沙は不満そうに、背後の壁を叩いた。指の間から覗くのは−−−象形文字だ。少女の肩にくっついたライトが、ヒエログリフを浮かび上がらせていた。古代文字が、狭い通路の天井から足下までビッシリだ。
鷲士「わ、分かったってば。それより、ほら、もう少しで目的の部屋なんでしょ?」
美沙「うー、なんか不安」
疑いの眼差しな美沙だったが、やがて拳を作り、
美沙「……ま、でも、ヘナチョコパパを一人前の男に育成するのも娘の役目かぁ!これも試練てヤツよね、うん! 美沙、がんばる!」
鷲士「育成って……あの、それが宝探しとどういう関係が……?」
美沙「よーし! じゃ、レッツゴー!」
人の話など、9割がた右から左−−−四つん這いで進み始めた美沙に、ガックリ肩を落とした鷲士が続く。
幸いにも、小冒険の終わりは、すぐに訪れた。
−−−明かりである。通路の先が、ぼんやりと光を放っていたのだ。
小さな美貌に、不適な笑みが広がった。
美沙「途切れなき以降に包まれし広間−−−あそこだわ!」
床から手を離して中腰になると、美沙は光源へと走り始めた。上方へ傾斜した通路を駆け抜け、目的の場所へと突入する。
−−−眼前に広大な空間が広がった。
入り口には下り階段。左右の壁まで、200〜300mはあるだろう。規則正しく並べられたランプが、ぼんやりと辺りを照らしていた。床と壁を見る限り−−−黄金。すべてブロック状だ。へこんだ部分にも、皮膜の剥離はない。金箔ではない証拠だった。装飾ならいざしらず、構材として使うことはない物質である。
鷲士「はー……! 初代エジプト王、メネス=ナルメルのピラミッドを見つけたってだけでも凄いのに、これほどの規模だったなんて……!」
娘に続いて階段を下りながら、呆然と鷲士は呟いた。地下だというのに天井がない。ランプの光が届いていないのだ。底知れぬ怖さがある。
美沙「あ、変なトコ踏まないでよね! トラップにかかったら、なに起こるか分かんないよ!」
鷲士「え、ええっ? は、早く言ってよ……」
と、おっかなびっくりに、抜き足差し足に切り替える。まず先に美沙が床を踏み、少し遅れて鷲士も続いた。広間中央の台座まで進み、立ち止まる。
少女が顔を上げたのに連動し、肩のライトが動いた。
とんでもないものが、頭上に出現した。
−−−全長40mを越える、巨大な木造船である。
鷲士「なっ……」
エジプトのカヌーとガレー船を合体させたような形だった。大きさの割に乾舷が浅く、舳先がめくれ上がった構造だ。船腹は材質のせいか赤く、両横からは何本もの巨大なオールが突き出している。
鷲士「こ、これが例の、真なる太陽の船……!?」
頭上を覆う質量に圧倒され、鷲士は呟いた。

150藍三郎:2005/10/07(金) 16:40:05 HOST:proxy3.ice.media.hiroshima-u.ac.jp[wu2.ice.media.hiroshima-u.ac.jp]
=港=

 その頃・・・とある埠頭では、二人の人物が相対して、何事かを話していた。
 一人は、30〜40ぐらいの中年男。
 だが、もう一方の男は、明らかに人間ではなかった。
 彼は地球人ではなく、別の星からやって来た異星人・・・
 それも、不可思議犯罪を引き起こす凶悪宇宙人『アリエナイザー』・・・
 『グローザ星人ヘルヘヴン』なのである。

ヘルヘヴン「くくく・・・身代金はちゃんと持ってきたんだろうな?」
中年男「か、金なら、このケースの中に入っている・・・
だ、だから教えてくれ!娘は、娘はどこにいるんだ!?」
ヘルヘヴン「まずはブツの引渡しが先だ!おら、とっとと渡しな!」
中年男「あ、ああ・・・」
 男は恐る恐るヘルヘヴンにトランクを渡す。
ヘルヘヴン「へっ、それでいいんだよ」
中年男「や、約束だ!早く娘の居場所を・・・」
ヘルヘヴン「はっ、慌てんな・・・
すぐに会わせてやるよ・・・あの世でな!!」
 突然、ヘルヘヴンは光線銃を取り出し、男のほうに向ける。
 男の脳天を撃ちぬかんと、光線銃が火を吹くが・・・

中年男「・・・・・・やっぱりそう来たか♪」
 何と、男はヘルヘヴンの銃撃を予測していたかのように、
素早く屈んで光線をかわしたのだ。
そして何故か、その声は女のように高い響きだった。
ヘルヘヴン「な!?」
中年男「えい!」
 さらに、男も懐から光線銃を取り出し、ヘルヘヴンに発砲する。
ヘルヘヴン「ぐわあああ!!て、てめえ、何もんだ!?」

 ヘルヘヴンにそう言われ、『男』は『変装』を解く。
 そこに現われたのは、ピンク色の制服を着た若い女だった。
ウメコ「宇宙警察地球署、胡堂小梅よ!
グローザ星人ヘルヘヴン、営利誘拐の現行犯で逮捕するわ!」
ヘルヘヴン「な、何ぃ!?宇宙警察だと!?」
 ヘルヘヴンは驚愕の声をあげる。
 無理も無い。目の前の中年男が、
 いきなり20代前後の若い女・・・しかも宇宙警察の刑事に姿を変えたのだから。
ウメコ「胡堂小梅ちゃんは、変装が大得意だって知らなかった?」
ヘルヘヴン「知るかぁぁぁぁ!!」
ウメコ「とにかく!あなたの悪事もこれまでよ!」
 光線銃をヘルヘヴンに突きつけるウメコ。だが、ヘルヘヴンはすぐに余裕を取り戻す。
ヘルヘヴン「くくっ、バカめ。
こっちには人質がいるんだぜ?そいつがどうなってもいいのか!!」

バン「おっと!お前の思い通りにはいかないぜ!」
 そこにウメコと同じデザインの制服を着た、4人の宇宙刑事が現われる。
 赤い制服を着て、つんつん頭の青年の名は『赤座伴番』。ニックネームは『バン』である。
セン「ウメコがお前と話している間に、人質は救出させてもらったよ」
 緑の制服を着た背の高い青年は『江成仙一』。ニックネームは『センちゃん』。
ホージー「もう逃げられないぞ、アリエナイザー!」
ジャスミン「人生、往生際が肝心よ」
 青の制服を着た刑事の名は『戸増宝児』。ニックネームは『ホージー』。
 黄色の制服を着た女刑事の名は『礼紋茉莉花』。ニックネームは『ジャスミン』という。

ヘルヘヴン「おのれ宇宙警察・・・このままやられてたまるか!」
 ヘルヘヴンは銀色のボールを宙に投げる。すると・・・
アーナロイド「ウィー!ウィー!!」
 ヘルヘヴンの周囲に、戦闘用ドロイド兵士『アーナロイド』が無数に出現する。

バン「わらわら現われやがって!みんな行くぜ!!」
ホージー「お前が仕切るな!」
ウメコ「そうそう!リーダーは私なんだからね!」
ホージー「おい!何でそうなる!」
バン「こういうのは早いもん勝ちだ!チェンジスタンバイ!」
 刑事たちは、手に持った『SPライセンス』を前に突き出す。
5人『エマージェンシー!デカレンジャー!!』

<コールを受けたデカベースから形状記憶宇宙金属デカメタルが
微粒子状に分解され送信される。
そして彼らの体の表面で定着しデカスーツとなるのだ!>

 5人の宇宙刑事は、5色のスーツを纏った戦士へと姿を変える。
デカレッド「一つ!非道な悪事を、憎み!」
デカブルー「二つ!不思議な事件を、追って!」
デカグリーン「三つ!未来の科学で、捜査!」
デカイエロー「四つ!よからぬ宇宙の悪を!」
デカピンク「五つ!一気にスピード退治!」
デカレンジャー『特捜戦隊・デカレンジャー!!』

 S.P.D. スペシャル・ポリス・デカレンジャー。
 熱いハートでクールに戦う5人の刑事たち。
 彼らの任務は地球に侵入した宇宙の犯罪者たちと戦い、
 人々の平和と安全を守ることである!

151藍三郎:2005/10/08(土) 12:18:30 HOST:proxy3.ice.media.hiroshima-u.ac.jp[wu7.ice.media.hiroshima-u.ac.jp]
ヘルヘヴン「やれい!!」
 ヘルヘヴンの号令で、アーナロイド達は一斉にデカレンジャーに襲い掛かる。

デカレッド「へっ、一騎当千!数で攻めたところで、この俺には通用しないぜ!」
 デカレッドは腰から愛用の2丁拳銃『ディーマグナム』を抜く。
デカレッド「うぉぉぉぉぉっ!!!」
 迫り来るアーナロイドに対し、レッドのディーマグナムが火を吹く。
レッドの的確な銃撃は、敵を瞬く間に撃破していく。
デカレッド「見たか!俺のジュークンドーを!」
 調子に乗るデカレッドだったが、
建物の屋上から彼を狙っている戦闘員がいることには気づいていなかった。

デカブルー「バン!油断するな!」
 それにいち早く気づいたブルーが、
専用スナイパーライフル『ディースナイパー』を、その戦闘員に向けて発射する。
 銃撃を食らった戦闘員は、建物から落下していく。
デカレッド「お、サンキュー、相棒♪」
デカブルー「相棒って言うな!
しかしバン、敵が弱いからって調子に乗りすぎだぞ。
常に全ての方向に注意を払いながら行動しろ。これではプロの戦いとは呼べないぜ」
デカレッド「何だと〜〜敵の存在なんて、俺はとっく気づいてたっつーの!
今から華麗に撃ち落すところだったのによ!」
デカグリーン「負け惜しみだね・・・」
デカイエロー「間違いない」
 そんな軽口を叩きながらも、
 デカレンジャーたちは確実にアーナロイド軍団を撃破していった。

ヘルヘヴン「お、おのれ・・・このヘルヘヴン様が、宇宙警察なんぞにやられてたまるか!
貴様らなど、返り討ちにしてやる!!」
 アーナロイドの全滅を目にしたヘルヘヴンはデカレンジャー達に突撃する。
デカイエロー「ふう・・・往生際が悪いのは、感心しないわよ?」
デカピンク「行くわよジャスミン!」
デカイエロー「ええ!!」
 突撃してくるヘルヘヴンに対し、
イエローとピンクは携帯武器『ディースティック』を抜き放つ。
イエロー&ピンク『たぁっ!!』
 イエローとピンクは空高くジャンプし、ヘルヘヴンの両肩に突きを食らわす。
ヘルヘヴン「ぐわぁぁぁぁ!!!」
デカグリーン「まだだよ!ディーブラスター!」
 さらに、グリーンの専用銃『ディーブラスター』が、
 ヘルヘヴンに追い討ちの銃撃を浴びせる。

デカレッド「よし!ジャッジメントだ!」
ヘルヘヴン「う、うう・・・」
 ダメージを受けボロボロになったヘルヘヴンに対し、
 SPライセンスを突きつけるデカレッド。
デカレッド「グローザ星人ヘルヘヴン!
営利誘拐および、二十九の星における殺人罪で・・・ジャッジメント!」
 
<アリエナイザーに対しては、スペシャルポリスの要請により、
遙か銀河の彼方にある、宇宙最高裁判所から判決が下される>

 SPライセンスの画面で、○と×が交互に点灯する。そして結果は・・・

 ×

デカレンジャー『デリート許可!!』
ヘルヘヴン「ぐ、くぅぅぅ!!」

デカピンク「マーフィー!!」
マーフィー「アウーン!」
 ピンクの呼び声に応じ、宇宙警察のロボット警察犬『マーフィーK9』が、
 デカレンジャーの元に駆けつける。
デカレッド「マーフィー、キーボーンだ!」
 骨型の起動アイテム『キーボーン』を投げるレッド。
 空中でそれを咥えるマーフィー。
 すると、マーフィーは大型のバズーカへと変形を遂げていく。

<マーフィーがキーボーンを咥えると、
バズーカモードのスイッチがオンになり、変形が開始される。
そして完成するのが最強の武器ディーバズーカだ>

 ディーバズーカを5人で抱えるデカレンジャー。
デカピンク「ターゲットロック!」
デカレンジャー『ストライクアウト!!』
 ディーバズーカの砲身から、凄まじい熱量を持った火球が発射され、
 ヘルヘヴンに向かって飛んでいく。
ヘルヘヴン「ぐ、ぐあああああああ!!!!!」
 ディーバズーカの直撃を受けたヘルヘヴンは、一撃で木っ端微塵に爆砕する。

デカブルー「よし!」
デカレッド「これにて一件コンプリート!」
デカピンク「あとはお風呂で、のんびりーと」

デカレッド「ああ!決めの台詞は俺が言おうとしてたのに〜〜」
デカイエロー「こういうのは、早いもの勝ちなんでしょ?」
デカグリーン「バンがそう言ってたよね」
デカレッド「くぅ〜〜次こそは!」
デカブルー「くだらないことで騒ぐな。早く人質の子を家に返して、デカベースに戻るぞ」
マーフィー「ワン!」

 これは、今を遡ること数日前の出来事である。そして・・・

152璃九:2005/10/08(土) 20:02:23 HOST:YahooBB220045007138.bbtec.net
=東京 渋谷=


目を瞑り、ドリスは精神統一を行う。
初めに視界、次に聴覚、嗅覚、味覚、感覚・・・・・・と
彼女はその全てを、閉ざし、体中からあふれ出る『力』を最大限にまで高める。
やがてそれが、ある一点に達した時、
ドリスはそれを、一気に解放した。


ドリス『我、魂神の力を以って妖魔を処す。
    妖魂浄化、七神葬送、現れるは神の領域。』

――――――――――――――「トリニティ・フィールド!」――――――――――――――

瞬間、ドリスの足元に、光り輝く紋章が出現する。
そして、その紋章がより大きな光を発したかと思うと、
それは、ドリスの足元から地面を這い、遂にはこの街の全域を覆った。


零児「何だ!?今、何を・・・・・・」
当然、目の前で行われたことを、零児たちは理解できるはずも無く、ただ呆然と立ち尽くすだけである。

ドリス「オズー!」
オズー「了解です!」
ドリスの声に反応し、オズーは地を蹴った。
速い。
次の瞬間には、黒い『何か』の懐へと飛び込んでいた。
オズー「乱!」
左手に持つ、大きな杖の先端を、彼女は右手で掴み、そして引く抜く。
仕込み刀だ。
杖の先端から現れたのは、銀色の刀身。
それが、NEOと呼ばれる黒い『何か』を、一瞬で切り裂いた。

「!!?」
上半身と下半身が裂かれた何かは、当然、動きを止める。
その瞬間だった。
足元の紋章から、白く細い無数の光が現れた。
その光が糸のように、裂かれた『何か』に巻きついていく。
そして、光が全てを巻きつき、覆った瞬間、
NEOと呼ばれる『何か』は、粉々になっていった。

オズー「一体・・・消去」
続けて、彼女は残り二体の懐へ飛び込み、同じように仕込み刀で切り裂いた。

零児(速い・・・尋常ではないぞ、あの動きは・・・・・・)
気づいたときには、三体の何かは、全て消え去っていた。
これらの一連の動作は、零児が意識するよりも早く行われていたからだ。

オズー「戦闘終了。ドリスさん、もういいですよ。」
ドリス「あ・・・うん!」
間もなく、そこから地面に広がった紋章が消えていき、
何事も無かったかのような静寂が、辺りを包んだ。

153藍三郎:2005/10/09(日) 01:07:53 HOST:YahooBB219060041115.bbtec.net
=陣代高校 校門前=

かなめ「あーもうまったく!」
 風になびく青い長髪が目立つ少女、
陣代高校の生徒『千鳥かなめ』は学校へと道を歩きながら不満の声をあげる。
恭子「カナちゃん、今日はいつにもまして機嫌が悪いね。何かあったの?」
 かなめの同級生で親友である、眼鏡がトレードマークの少女『常盤恭子』は、
後ろからくっついてくる少年の方を見てこう返す。
恭子「もしかして、また相良くん?なんか後ろで悲しそうな顔でこっち見てるけど」
宗介「・・・・・・」
 ぶすりとした表情で、かなめ達の後からついてくるのは、
 同じく陣代高校に通う同級生『相良宗介』である。
 頬に刻まれた傷が特徴的な、精悍な顔立ちの少年である。

かなめ「あんの戦争バカ!そんなに銃が撃ちたけりゃスペシャルポリスにでも入って
アリエナイザーでも怪重機でも好きなだけ撃ってればいいのよ!」
恭子「相良くんなら本当にそうするかも・・・」
かなめ「無理無理、しょせんただのマニアでしょ。
ま、あたしと関係ない所でなら好きにしろっての。
だいたい相良くん、あんた何の恨みがあってあたしの周りでばかり騒ぎを起こすわけ?」
宗介「偶然だ」
かなめ「言うかフツー!?今さら偶然なんて言う!?」
宗介「肯定だ。たまたま近くにいる時に君に危険が迫っていたので、
俺はそれを回避すべく・・・」
かなめ「危険ってのはあんたのことよ!わかってんの!?」

 パン!!

 かなめの取り出したハリセンが、宗介の頭部で快音を鳴らす。
宗介「痛いぞ千鳥」
かなめ「下駄箱に入ったラブレターを毒物と勘違いして
下駄箱ごと爆破するなんて!ほんとわけわかんない!!」
恭子「まぁまぁ」
 恭子はかなめをなだめると、話題を切り替える。
恭子「ところで、さっき話に出た宇宙警察のことだったけど、
ちょっと前に、うちの学校の女の子が
身代金目的で誘拐されるって事件があったじゃない?」
かなめ「もちろん覚えてるわよ。確か、どこかの貿易商の娘さんだっけ・・・
無事に救出されたみたいだから、何よりだけど」
恭子「警察の発表じゃ、中国系の犯罪グループの犯行だって言ってたけど、
あれって本当は宇宙人の仕業だったらしいのよ」
かなめ「ええ?マジで!?」
恭子「うん、人質になった子が、そう言ってたの。
それで、宇宙人に捕まってたところをデカレンジャーに助けられたって。
まぁ・・・私も人を通して聞いた話なんだけどね」
かなめ「はぁ〜〜デカレンジャーね。
新聞に写ってるのを、数回見たことあるけど・・・
そんな漫画かアニメのヒーローみたいなのが、
都合良くいるかどうかは正直怪しいわね。
記事を盛り上げるためのホラなんじゃないの?」

宗介(アリエナイザーか・・・そう言えば、少佐殿が千鳥を狙っているのは
異星人系の組織の可能性もあると仰られていたな・・・)
 そう考えながら、宗介は学校の壁に目をやる。そこには一匹の猫が座っていた。
宗介(もしかすると・・・あの猫・・・正体は猫に変身した宇宙人かもしれん。
くっ、この可能性に今まで気づかなかったとは何と迂闊な・・・
あの猫、あの電柱、そして道端に生えている一本の草でさえも、
千鳥を狙う敵であるかもしれんのだ)

恭子「何だか最近、こういう事件多いよね〜
一週間前ぐらいには、怪重機が町で暴れ回ったってニュースがあったし・・・」
かなめ「全く物騒な世の中になったもんね。
ま、あたしは金持ちのお嬢様でもなんでもないし、
宇宙人に誘拐される心配はなさそうだけど・・・
何かのとばっちりを食うはめになったらたまんないわ」
恭子「ん?相良くん、何してるの?」
 宗介は、何故か厳しい目で近くに立っている電柱を眺めていた。
かなめ「ほっときなさい。どーせロクでもないこと考えてんでしょうよ」
 根暗な戦争オタクはアリエナイザーよりタチが悪い。
 かなめはそんな事を考えながら、学校の校門をくぐった。

154藍三郎:2005/10/09(日) 01:08:39 HOST:YahooBB219060041115.bbtec.net
=一週間前 マンションの一室=

クルツ「『デカレンジャー!凶悪怪重機を見事撃破!!』か・・・
あ〜あ、宇宙警察ってのは華やかでいいよなぁ。
俺もデカレンジャーになっていれば
今頃は女の子たちにキャーキャー言われるヒーローになれたによぉ。
何を間違ってこんな地味な仕事にやるはめになったのやら」
 新聞を閉じ、天井を見上げて嘆息するクルツ。
クルツ「お、宗介。もう学校に行く時間か。しっかりやれよ。
いつもみたいに敵もいないのに自爆ばっかすんじゃねぇぞ」
宗介「努力はする。だが千鳥が拉致される可能性があるかぎり、
警戒を怠るわけにはいかん」
クルツ「命令はそうだが、本当に狙われているかどうかも怪しいと思うぜ」
宗介「希望的観測は危険だ」
マオ「クルツ、テッサや少佐が、無意味な仕事をあたしたちにやらせると思う?」
 メリッサ・マオが言葉を挟む。
クルツ「そうは思わないが、カナメはどう見ても普通の子だ。
確かにかわいいが、それだけだ。経歴だって年相応、平凡な16歳の女の子さ。
ただの学生さらってどこの組織が得するってんだ。街のチンピラか?」
宗介「俺たちに知らされなかったのはその必要がないからだろう。
あるいは知らないでいた方が俺たちにとって安全なのかもしれん」
クルツ「幸せな頭しやがって。
普通お前、少佐のやろー何を隠していやがる、とか思わねぇ?」
マオ「確かにアームスレイブまで持ちこませるほどとは思えないけどね。
ま、私たちが何を言ったところでしょうがないわ」
宗介「肯定だ。俺たちは命令どおり、千鳥かなめの護衛に全力を注げばいい」

155アーク:2005/10/09(日) 23:34:57 HOST:YahooBB220022215218.bbtec.net
=空中都市地価最深部付近=
ルシュファー「お、いたいた。ライラ無事か?」
追いついたルシュファーは一息入れているライラに話しかけた
ライラ「何とかね。所で隣の小父さんは誰?」
スパーダ「初めまして我名はスパーダ。魔界四大侯爵の一人剣豪スパーダだ」
スパーダが自己紹介した後ライラは驚いた
ライラ「ま、魔界四大侯爵ってルシュファーのお父さんがいた組織じゃない!」
スパーダ「アスタロトの事を知っているのか?人間が何故?」
スパーダの疑問にルシュファードは簡単に答えた
ルシュファー「簡単だよスパーダ。こいつは俺と一緒に育てられたんだ師匠にな」
スパーダ「君達を育てたその師とは一体何者なんだ?」
ルシュファー「あんたも良く知っている奴さ。精霊王マグナス・ガラントだよ」
スパーダ「マグナス・セフィーロだと?!精霊王が何故君たちを」
ルシュファー「親父達が逃げ込んだ世界がマグナス師匠が治めていた世界だったんだ
       俺はそこで預けられ育てられたんだよ」
スパーダ「なるほどな。何となく理解が出来たよ」
そう言って背を壁にもたれさせ一休みした
ルシュファー「ん?どうやらこの区域を浮かばした奴らのボスらしき奴と勇者が来たようだな」
ルシュファーの言葉にライラとスパーダが振り向くとこちらに来る人影が見えた

156藍三郎:2005/10/10(月) 21:11:54 HOST:proxy1.ice.media.hiroshima-u.ac.jp[coco23.ice.media.hiroshima-u.ac.jp]
=デカベース=

 宇宙警察地球署・デカベース。
 宇宙警察の技術の粋を尽くして造られたこの建物は、
 要塞と呼んで差し支えないほどの重厚な雰囲気を漂わせていた。

 その中枢・・・ブリーフィングルームでは、
 5人のデカレンジャーを初めとする地球署の主要メンバーが集まっていた。
 その中で、一際異彩を放つ人物が、最奥の席に座っていた。
 いや、『人』物ですら無かった。
 何故なら、彼の全身には水色の体毛が生えており、あまつさえその頭部は犬のものだった。
 もっとも、このデカベースで彼のことを奇異の目で見るものはいない。
 種々雑多な異星人が働いている宇宙警察においては、
 人種の差はおろか『星種』の差すらもささいな問題だからだ。

 彼はアヌビス星人『ドギー・クルーガー』。ここ地球署署長であり、
 地球のスペシャルポリスを統括する最高責任者である。
 彼は優れたスペシャルポリスであるだけでなく、
 部下に対する思いやりの心と、プロとしての厳しさを
 併せ持つ人格面においても非のうちどころの無い人物であり、
 部下であるデカレンジャーのメンバーだけでなく
 デカベースにいる全ての職員から尊敬または親しみの念を持たれていた。

 ドギーは署長の机に両肘をついて、物憂げに何かを考えている。
ドギー「・・・・・・」
スワン「どうしたのドゥギー、浮かない顔して」
 そんなドギーに話しかけてきたのは、白衣に身を包み、
 耳に羽根を生やした女性だった。
 彼女はチーニョ星人『白鳥スワン』である。
 優秀な技術者で、地球署のメカニックを担当している。
スワン「ハーブティーでも一杯どう?」
 スワンはドギーの机にティーカップを置く。
ドギー「ありがとう。スワン」
 ドギーはティーカップを口につけ、美味しそうに茶を口に含む。
スワン「みんなもどう?」
 5人の刑事たちにも、紅茶を勧めるスワン。
セン「是非いただきます」
バン「俺もー♪」

157藍三郎:2005/10/10(月) 21:12:23 HOST:proxy1.ice.media.hiroshima-u.ac.jp[coco23.ice.media.hiroshima-u.ac.jp]
 ドギーはカップを机に置くと、神妙な面持ちで語り始めた。
ドギー「実は・・・考え事というのは、最近の犯罪件数の増加についてなんだ」
セン「確かに、近頃は今までにまして、不可思議犯罪が多いですよね」
ウメコ「のんびりお風呂に入る暇もないよ〜〜」
ジャスミン「ウメコが入りすぎなだけよ。1日に何度も何度も…」
ウメコ「え〜〜一日最低三回は基本だよぉ〜」
ホージー「おい、話をずらすな」
 ホージーが釘をさす。
ホージー「それでボス、ボスはその犯罪増加の背後に、何かあると考えているのですね?」
ドギー「うむ。この所の不可思議犯罪は、今までとはなにか違う。
巨大な影がこの地球に覆いかぶさっている・・・そんな気がしてな」
セン「巨大な・・・影・・・」
ドギー「まず気になるのは、アリエナイザーたちの武装化だ。
近頃現れるアリエナイザーは、
皆ドロイド兵士や怪重機などの強力な装備を持った者たちばかり・・・
俺はそいつらに武器を密かに提供している、影の組織が存在していると睨んでいる」
バン「影の組織・・・」
ウメコ「何かすごそう・・・」
ドギー「そいつらの尻尾をつかまんかぎり、犯罪の凶悪化は進む一方だろう。
だからこそ、テツを調査に向かわせたのだが・・・」
 ドギーが話す『テツ』とは地球署6人目のデカレンジャー、
 デカブレイクこと姶良鉄幹のことである。
 彼はドギーの指示で、現在地球署を離れて独自に行動しているのだ。
ホージー「それで、何か成果は?」
ドギー「うむ…実は、調査の結果、地球に存在する一部のテロ組織が、
ドロイドや怪重機などのアリエナイザーが使うような、
異星の兵器を保有していることが判明したそうだ」
セン「テロリストが、ドロイドや怪重機を?」
ドギー「ああ、テツの報告では、まだおもだった被害は出てないが、
地球人のテロリストたちが異星人の技術による
武装化を図っているのは間違いないらしい」
ジャスミン「怪重機の戦闘力は、地球の一般的な兵器を大きく凌駕しているわ。
そんなのを世界中のテロリストが使いだすようになったら・・・」
セン「考えたくもないね・・・」
バン「へっ!いくら怪重機が出てこようが、
俺らデカレンジャーが皆まとめてぶっ飛ばしてやるぜ!」
 気勢を上げるバンだったが・・・
ホージー「馬鹿、やはりお前は話の深刻さを何もわかってないな」
バン「どーしてだよ!」
ホージー「ことは世界規模の話だ。
デカベースの戦力だけで世界中で動いている
テロ組織すべてに対応しきれるはずが無いだろう」
バン「う・・・」
 ホージーの指摘に黙り込むバン。
セン「やっぱり、さっきボスが話してた『影の組織』ってのがその黒幕なんですかね?」
ドギー「だろうな。アリエナイザーならまだしも、
地球のテロリストが異星の兵器を次々に入手しているなどという事態は異常だ。
何者かが裏で糸を引き、犯罪者やテロリストの援助をしているのだ」
ジャスミン「謎の組織・・・彼らの目的は一体・・・」
ドギー「わからん。だが、俺はそいつらが描く未来が
とてつもなく残酷で恐ろしい光景に思えてならんのだ・・・」
 災厄と恐慌に満ちた暗黒の世界。ドギーはその影を、うっすらとだが感じ取っていた。

158藍三郎:2005/10/10(月) 21:12:52 HOST:proxy1.ice.media.hiroshima-u.ac.jp[coco23.ice.media.hiroshima-u.ac.jp]
=トゥアハー・デ・ダナン=

 『ミスリル』
 いずれの国にも属さない、秘密の軍事組織で
 各国の利害を超えて地域紛争を防ぎ、対テロ戦争を防ぐ精鋭部隊である。 
 謎に包まれた軍隊であるが、保有するAS、潜水艦など、
 その技術力は世界水準の十年先を行っていると言われる。

 太平洋深度50mの地点に、
 『ミスリル』の強襲揚陸潜水艦トゥアハー・デ・ダナンは存在していた。
 外見は背びれの短いサメのように見えるが、そのサイズは数百倍である。
 
テッサ「だいぶ悪戦苦闘しているようですね」
 デ・ダナンの心臓部にあたる中央発令所・・・
 その艦長席に座る少女・・・デ・ダナンの艦長、テレサ・テスタロッサ『大佐』は、
 報告書に目を通してこう漏らした。
 まだ10代半ばの少女だが、彼女の襟には『大佐』の階級章が光っている。
カリーニン「彼にはちょうどいい経験かと」
 艦長席の脇に立つアンドレイ・カリーニン少佐が答えた。
 灰色の髪に口ひげとあごひげをたくわえた、大柄な白人男性である。
テッサ「いい経験・・・ですか。登校の初日には『火器を没収』され、
『護衛対象ほか多数の民間人に殴打』されて、『きわめて不自由な状態でセーフ・ハウス』に帰還しても?」
 これは報告書に最初のページに書かれていた内容である。
 さらに、これに匹敵する数多くのトラブルが、報告書には書き記されていた。
カリーニン「許容範囲内です。大佐殿」
テッサ「まぁ、いいでしょう。マオさんとウェーバーさんもついてるし、サガラさんも、荒事になったらトップクラスですしね」
 テッサは、正面のスクリーンの一角に表示された、時刻を眺めた。
テッサ「それで少佐。あの三人を東京において置くのは、どのくらいの期間になりますか?」
カリーニン「問題の根元を断つまでの数週間です。大佐殿」
テッサ「こちらの作戦の首尾次第、というわけですね。
スムーズに進めば、チドリ・カナメを護衛する必要もなくなる、と」
カリーニン「はい。チドリだけでなく、
ほかの<ささやかれた者(ウィスパード)>候補者も安全になります」
テッサ「当面の間は、でしょう?」
カリーニン「遺憾なことですが」
 一礼してから、カリーニンはテッサの前を辞した。

159ゲロロ軍曹:2005/10/16(日) 23:35:57 HOST:p5081-ipad02okayamaima.okayama.ocn.ne.jp
ちなみに・・・
=無人オフィスビル=
ファイヤーエン「・・?!だ、だれだ、お前らは!??」
通路の奥に人影がいるのを察したファイヤーエン。そして、それに応じて戦闘体制に入る時音とレイス。しかし・・
ルシュファード「おいおい・・、ずいぶんな言いようだな・・。」
ライラ「ま、無理もないけどね・・。安心して。あたしたちはあなたたちの味方よ♪『ダグオン』の勇者さん?」
ファイヤーエン「んな・・?!」
会ったこともない奴が自分が『ダグオン』の一員であると知ってるのに、またもや驚くエン。
エン「あ、あんた、なんで俺がダグオンだって知ってるんだ?!」
ライラ「あーら、あたしとルーシーはこれでも『情報屋』よ?大抵の情報なら、つかんでるわ。」
時音・レイス「「・・、情報屋??」」
エン「・・っていうか、あんたたち誰だよ!?奥にいるおっさんなら、ここのビルを教えてくれたから一応知ってるけど・・。」
スパーダ「・・、すまんが、おっさんと呼ぶのはやめてくれないか?」
何回も「おっさん」呼ばわりされて、さすがに嫌になるスパーダ・・。
ルシュファード「・・、ま、ともかく自己紹介だ。俺はルシュファード・オスカーシュタイン。本業は情報屋だ。」
ライラ「あたしはライラ・キム。ちなみにあたしたち、今日からあなたの学校で教師として働くことになったのよ、『大道寺炎』くん?」
エン「・・んな!??」
自分の正体があっさりとばれてるのに、固まってしまうエンであった・・。
スパーダ「・・ちなみに私はスパーダ。魔界四大侯爵の一人だ。」
時音「魔界・・?」
レイス「つまり、この世界の人じゃないってこと・・?」
スパーダ「・・そういうことだ。ところで、君達は一体・・?」
時音「私、刀野時音。これでも勇者だよ〜♪」
レイス「私はレイス。よろしく〜♪」
スパーダ「あ・・、ああ・・。」
「どこか調子が狂うな・・」スパーダは二人のお子様をみて、ひそかにそう思った・・。

160ゲロロ軍曹:2005/10/16(日) 23:48:50 HOST:p5081-ipad02okayamaima.okayama.ocn.ne.jp
と、その時・・
?「エ〜ン!どこにいる〜!?」
?2「生きてるなら、返事しろよ〜!!」
?3「どこにいるんですか〜!??」
後ろのほうから、エンや時音たちにとって、聞き覚えのある声がした・・。
エン「・・、カイ、シン、ヨク!??」
そう、同じダグオンメンバーのカイたちであった。
カイ「エン!まったく、ようやく見つけたぞ・・。」
シン「ったく・・、一人で突っ走りやがって。おかげで俺達、へんなアリの化けモンと闘ってたんだぞ!?」
ヨク「それに、どうして街が浮上してるんですか?」
エン「・・あああ!いっぺんにいうなっての!!」
とりあえず、カイたちに状況を説明するエン。しかし、「なぜか正体を知ってる奴らがいる」と答えると・・。
カイ「・・、貴様ぁ!!あれほど正体をばらすなといったではないか〜!!(怒)」
エン「だ・・、だから、俺じゃねーって!!(泣)」
・・、誤解がとけるまで、エンとカイの鬼ごっこが数分ほど続いた・・。
カイ「・・、まあいい。今は、一刻も早く装置を止めねば・・。」
シン「エン、装置の場所はどこだ?」
エン「ああ、この階の真ん中の部屋だっていってたから、探してるんだけどよ・・。」
ルシュファード「・・、ガセネタじゃねえよな?」
時音「そんなことないよ?多分、本当に教えてくれたと思う。」
レイス「うん。」
エン「・・、そりゃ、あんないやな思いすりゃ、誰だって逆らえねえっての・・。」
小声でつぶやくエン・・。すると・・
『ズドォオオン!!』
突然、エンたちのいるビルが揺れた。
ライラ「な・・、なんなの!??」
慌てて窓を見てみると、そこには巨大なUFOがいた。
カイ「ちい・・!やつらの母艦か・・!」
エン「・・よし!俺があいつをぶっ倒してくる!お前らは、装置をなんとか止めてくれ!!」
カイ「分かった!油断するなよ、エン!!」
エン「任せとけって!!」
親指で「心配するな!」のサインを送って、窓から飛び降りるファイヤーエン。
エン「ファイヤー、ストラトス!!」
エンの叫びに応じて、ファイヤーストラトスがやってきた。そして、素早く乗り込むエン・・。
エン「行くぜ!融合合体!!!」
この間と同じように、ファイヤーストラトスがパトカー形態から、見る見るロボットの姿へと変形していった・・。
ダグファイヤー「ダグ、ファイヤァー!!!」
最後に決めポーズをとり、ダグファイヤーに変形完了した・・。

161アーク:2005/10/17(月) 23:09:50 HOST:YahooBB220022215218.bbtec.net
ルシュファード「なるほどねぇ。融合合体かカッコいい!」
子供らしい台詞にライラはため息を出した
ライラ「ルシュファーお願いだから子供風な台詞はやめて寒気が来るから」
スパーダ「納得だ。仮にも魔界四大侯爵の息子が情けない」
二人の言葉に落ち込んだルシュファーだがすぐさま立ち上がった
ルシュファード「はいはい悪かったですよ!俺ができる事をやればいいんでしょ!」
そう言って両手を前に翳し何か唱え始めた
ルシュファード「夢の世界を仕切る女王メイヴよ。かの地から眠りの誘いを」
ルシュファードの手のひらから紫の光が飛び出しある一定の区域を包み込んだ
ルシュファー「これでよしっと。これでいいだろお二人さん?」
ルシュファーの質問にライラとスパーダは頷いた。
その行動を目の辺りしたダグオンの四人は唖然とし
時音とレイスは目を輝かせていた
ヨク「あ、あのルシュファーさん。今何をやったんですか?」
ルシュファー「あ?何って見られるとまずいと思ってスリプルを使っただけだけど」
ヨク「ス、スリプルって?」
ルシュファー「睡眠の魔法だよ。俺はこう見えてもウィザードだからな」
ルシュファーの答えにダグオンのメンバーはさらに口を開けた
驚くのも無理もなかったルシュファーは自分の事をウィザード=魔法使いと言ったのだから

162ゲロロ軍曹:2005/10/17(月) 23:34:15 HOST:p2087-ipad31okayamaima.okayama.ocn.ne.jp
ダグファイヤー「おいおい・・。魔法使いって、マジかよ・・?」
ルシュファード「(むっ。)なーに言ってんだよ。俺からすりゃ、お前らのほうだって似たようなもんじゃねえか。」
カイ「う・・うむ・・、確かに、否定できん・・。」
シン「だよなー・・。俺達だって、ある意味非常識だし・・。」
ヨク「ですね・・。」
何だかちょっとブルーになるダグオンメンバーたち・・(汗)。
ライラ「・・って、そんな話をしてる場合じゃないでしょーが!!エン君!あいつが攻撃をしかけようとしてるわよ!!」
ダグファイヤー「何!?」
ライラの言ってることは当たった。巨大UFOから、ダグファイヤーに向けて光線を放ったのである。しかし、ライラの助言もあって、なんとかよける。
ダグファイヤー「ふう・・。あっぶねえ。サンキュー。えっと・・、ライラさん、だったっけ?」
ライラ「ふふ。ライラ先生でもいいわよ?どうせ、今日からあなた達の学校の先生なんだし、あなたが私の授業を受けることがあるかも知れないんだから♪」
ダグファイヤー「げっ・・(汗)。そ・・、そんときは、お手柔らかに頼むぜ・・(大汗)。」
勉強が大の苦手のエンである。正体を知ってる奴が自分の教わる教科の先生だったりしたら、しゃれにならないほどいやだった・・。(『秘密をばらされたくなかったらおとなしく勉強しろ』なんて脅しがあるかもしれないため・・。)

163ゲロロ軍曹:2005/10/29(土) 15:11:52 HOST:p1143-ipad34okayamaima.okayama.ocn.ne.jp
その頃・・
=スマートブレイン本社・社長室=
この会社の社長、村上峡児は自分のイスにもたれながらあることを考えていた。もちろん、昼間に出現したアンデッドと、三人のライダーのことである・・。
村上(アンデッドは、確かに4年前に全て封印されたと聞きます・・。そのおかげで、世界が滅亡せずにすんだということも・・。考えられるのは一つ、何者かが再びアンデッドたちの封印を解いた、ということですが・・。)
しかし、村上にはそれ以上に納得のいかないものがあった。仮面ライダーである。
村上(あの者は、明らかにライダーシステムを使用して変身するタイプのライダー・・。しかし、一体誰があれを?・・一番有力なのは、あれの開発者であった(BOAD)の生き残りであり、現在行方不明の烏丸所長・・。しかし・・。)
村上はふと考えた。『本当にあのライダーたちのベルトを開発したのは烏丸なのか?』ということを・・。しかし、所詮いくら推測を拉致があかないと考え、このことを検討するのをやめた。
村上(・・まったく。『我らの王』が目覚める時も近い、という時に、やっかいな事になりました、ね・・。)
ため息をつきながら、村上はそう思った・・。

164ゲロロ軍曹:2005/10/29(土) 15:13:53 HOST:p1143-ipad34okayamaima.okayama.ocn.ne.jp
す、すいません・・(汗)。「所詮いくら推測を」ではなく、「所詮いくら推測をしても」の間違いです・・(大汗)。

165疾風:2005/10/31(月) 00:03:41 HOST:z25.61-45-87.ppp.wakwak.ne.jp
一方・・・・
時音「・・・・・・・あのアリさん、後で始末しとこ〜」
レイス「そうだね・・・」
時音「エンお兄ちゃん〜手伝ってあげるね〜!」
小声でレイスと何やら怪しげな事を承認しあった後、ダグファイヤーに向かって叫んだ・・
ダグファイヤー「おい、手伝うってお前、そのままで戦うつもりか?!」
時音「言ったでしょ?、私だって勇者だって!」
レイス「戦う位は出来るよ!」
時音「行くよ・・・レイス・・」
レイス「うん・・・時音・・・」
時音「ソウルユニゾン!」
レイス「エネルギーフルモード・・・」
時音「いっくよ!」
巨大化したレイスと同化する時音・・・・
そして、異次元を超えて・・・彼女の武器が舞い降りる・・・・
強行型ジェット機「舞桜」と突撃型トレーラー「烈桜」・・・・・
そして戦場には似合わない桜色の機体が舞い降りる・・・・
レイス「レイス・ファリナ・・・・参る!」
時音「私達・・・手加減しないから・・」
先程の幼さとは違う印象を見せる時音達・・・まるで武人の様な振る舞いで・・・

166疾風:2005/11/02(水) 22:57:34 HOST:z25.61-45-87.ppp.wakwak.ne.jp
時音はレイスに指示し武器を構える・・・・
時音「エンお兄ちゃん・・・・下がって!」
ダグファイヤーに後退指示を出し・・・先程のUFOに対し攻撃を仕掛ける・・・・
時音「斬艦刀、大・車・輪!!」
巨大化させた刀を手裏剣の容量で振り投げる・・・・
敵のUFOの装甲に無残な切り跡を付ける・・・・
ダグファイヤー「う・・うそだろ・・・・」
それもその筈、わずか8歳しか年端の行かない女の子が目処前でロボットに乗り戦っている・・・
そして自分でさえ手こずっている相手に深い傷を負わせている・・・・
エン本人はそう思った・・・・
投げ飛ばした刀を再び手に取る・・・・
時音「続けて、チャクラムシューター!」
レイスの左肩より軍事用硬質ワイヤーで繋がったチャクラムが発射される・・・・
UFOに与えた刀傷にさらに深いダメージを与える・・・
時音「どんなに質量が大きくても一点集中攻撃には・・・・」
レイス「耐えられない!」
勢いを付けて空中に飛翔し更に飛び蹴りを加える・・・・
時音「今だよ、ダグファイヤー!」

167ゲロロ軍曹:2005/11/02(水) 23:31:18 HOST:p1211-ipad32okayamaima.okayama.ocn.ne.jp
ダグファイヤー「お・・、おう!ファイヤー、ブラスター!!」
ちょっとあっけに取られていたが、すぐに体制を立て直して、この間サンドール星人を倒せたファイヤーブラスターを取り出した。そして、ファイヤーブラスターにエネルギーがチャージされる・・。
ダグファイヤー「(くらいやがれ!)シュートォー!!!」
そういいながらUFOに向かって引き金を引いたダグファイヤー。それにより、ファイヤーブラスターから炎のエネルギー弾が発射され、UFOに直撃した。
ダグファイヤー「おっしゃあ!ざまあみろ!!」
レイス「・・!違う、まだ終わってないよ!!」
ダグファイヤー「な・・、なんだと!?」
レイスの言うとおり、敵のUFOはまだかろうじて無事のようだった。しかし、ぼろぼろなのには変わりない。だが、次の瞬間、とんでもないことが起こった。なんと、敵のUFOがロボット形態に変形したのである・・。
ルシュファード「お・・、おいおい!あんなのありかよ!?」
時音「くっ・・!それなら、もう一度!!」
再度攻撃しようとしたが、敵のUFOロボット(以下はザゴスロボと呼称します)は、レイスとの戦闘を避けるような動きをした。さすがに、あれほどぼろぼろにされては、戦闘を起きる気にはなれないのだろう・・。代わりに、狙いをダグファイヤーに定めて、触覚のような部分からビームを発した。
ダグファイヤー「!?う・・、うぉおお!??」
すると、ダグファイヤーは重力に押しつぶされるように地面に埋まっていった。そしてザゴスロボはさらに出力を上げて、ダグファイヤーを浮遊してる都市から追い出してしまった。当然ながら、ダグファイヤーには空中飛行能力はないため、ピンチである・・。
時音「エンお兄ちゃん!!」
ダグファイヤー「うわぁあああ!??」
絶体絶命のエン。そんな時・・、
?「いけ、『シャドーホーク』!!!」
どこからともなく紫にそまった戦闘機が表れ、そのコックピットのカバーが開いたと同時に、操縦しているある人物が1枚のカードを投げた・・。次の瞬間、カードは先日エン達を助けてくれた鳥型ロボになり、ダグファイヤーをつかんでくれた・・。
ダグファイヤー「・・リュウ!!」
ダグファイヤーはパイロットを知っていた。なぜなら、同じダグオンの仲間であるシャドーリュウだったからである・・。

168ゲロロ軍曹:2005/11/02(水) 23:51:59 HOST:p1211-ipad32okayamaima.okayama.ocn.ne.jp
そして、何とか地上に無事に降りるダグファイヤー。その隣に、レイスたちがやってくる。
時音「ダグファイヤー、大丈夫?」
ダグファイヤー「ああ・・、何とかな・・。いやぁ〜、まじで死ぬかと思ったぜ・・(汗)。」
と、そうこうしていると、シャドーリュウの機体『シャドージェット』の攻撃で更にぼろぼろになったザゴスロボが降りてきた。
ちなみにこの三機がいる場所は今はまだ空中に浮かんでいる都市が存在していた地面の部分にあたる・・。
ダグファイヤー「くっそー!あいつをぶっ倒してやりてーけど、俺じゃ、どうにもならねえ・・。」
先ほどの戦闘を見ていて、レイスたちでしかあのロボを倒せないと思ってるダグファイヤー。しかし、突然時音がこう言ってきた・・。
時音「・・、大丈夫だよ。エンお兄ちゃん。そろそろ、来ると思うから・・。」
ダグファイヤー「えっ?来るって・・、何がだよ??」
レイス「・・あなたの、新しい力が。」
ダグファイヤー「新しい・・、力?」
時音とレイスの言ってることが分からずちんぷんかんぷんするダグファイヤー。しかしその時、とある物体が上空にいるのが見えた・・。
ダグファイヤー「じゃ・・、ジャンボジェット、か?・・!待てよ、ありゃ確か、ブレイブ星人が作った!?」
エンは数日前の不思議な空間の出来事を思い出した。あの時、新幹線や消防車などほかにも、ジャンボジェット機があったことを・・。そしてそれが、今上空にいるのに似ていることを・・。
ダグファイヤー「・・、時音、レイス。お前達、なんで・・、いや、今はいいや。後で聞くからよ。」
『なんであのジャンボジェットのことを知ってるんだ?』と聞こうとしたが、やめておいた。何故なら今は、目の前の敵ロボットを倒すことが先決だからだ・・。
時音「・・うん。それより、早くしてね。一応、あのロボは私たちが抑えとくから・・。」
ダグファイヤー「頼むぜ。・・、おっしゃあ!行くぜ!!!」
ダグファイヤーの号令と共に、『合体』が開始された。まず、赤いジャンボジェット機『ファイヤージャンボ』のコンテナ部分から、消防車と救急車『ファイヤーラダー』と『ファイヤーレスキュー』が飛び出した。そして、ファイヤージャンボ自体が、その機体をロボットの形へと徐々に変化させていった・・。
胸の部分が開き、ロボットの顔が出てきたのちに、先ほど飛び出したファイヤーラダーとファイヤーレスキューがそれぞれ右腕と左腕になる。その後、再度胸の部分が開いて、ダグファイヤーを誘導するような光を出した・・。
ダグファイヤー「うぉおおおお・・・、てりゃあ!!」
ダグファイヤーはある程度走ってから、思いっきりジャンプした。その直後、すかさずビークル形態へと変形し、ロボットの胸の内部へと収まった。そして胸が閉じられると、ロボットの目に緑色の輝きが見えた。
ここに、炎のように熱い魂を持った勇者が誕生した。その名も・・・
ファイヤーダグオン「『火炎合体』・・、ファイヤー、ダグオン!!!」

169アーク:2005/11/03(木) 09:40:44 HOST:YahooBB220022215218.bbtec.net
ルシュファー「頑張っているようだな。ブレイブ星人が認めただけの事はあるな」
ファイヤーダグオンを見ながらルシュファーはそう呟いた
ルシュファーはこの世界が好きだった。命をかけて大切なものを守りたい
そういう人々の想いに触れながら彼は育ったのだから
スパーダ「邪魔者はいなくなった。戦いの続きをしようルシュファード」
ルシュファー「ああ、さっさとけりをつけようぜ!」
二人はそう言って自分の武器を構えた。しかし、突然あたりが光り輝きだした
いきなりの光にほかのダグオンのメンバーやライラは驚いた
その光が消えるといつの間にか白いマントを羽織った者が数人立っていた
???「ついに見つけたぞ!禁忌の子供、災いの存在!」
先頭にいた人が言った言葉にルシュファーは一瞬だけ反応した
スパーダ「貴様らは!貴様らが何のようだ!!」
スパーダの存在に気づいた一人は高らかに笑った
???「これは嬉しい。魔界四大公爵のスパーダ男爵までいるとは神の思し召しとしか言いようがない」
カイ「何者だお前たちは。ザゴス星人か」
???「我々が宇宙人だと?人間風情が口を慎め!我らは神に認められた存在なのだぞ」
シン「も、もしかして新手の信仰教団?」
???「我々の目的はそこにいる災いの存在とスパーダ男爵だけだ。神に免じてお前達の命は助けよう」
ライラ「…………ルシュファー。あの人たち……もしかして!」
ルシュファー「早速お出ましかよ。今回は運が悪いとしか言いようがないな」
白いマントを羽織った数人は羽織っていたマントを脱いだ
それと同時に背中に真っ白な羽が現れた
???「アズラエル様の命により災いの存在と魔界の人間を排除する!人間が邪魔をすれば殺しても構わん!!」
天使達は自分たちの武器を手に持ちルシュファーとスパーダに襲い掛かった
だが彼らは気づいていなかった。自分達の行いがルシュファーの中に眠る
最も恐ろしい存在を目覚めさせることを

170飛燕:2005/11/06(日) 23:27:03 HOST:family.e-catv.ne.jp
一方、北欧の方では・・・

天美「にしても・・・・一体、何があったんでしょうね?」
しげしげと、そこらへんの石ころや雑草と一緒に立ち並ぶ廃屋の数々を見ながら天美は小首を傾げた。都会に移り住んでいって疎開して荒れ果てた・・・それなら別に気にする必要もない。だが・・・目の前の廃屋はどう見ても・・・
叢魔「戦闘があった、みたいだな・・・」
目前にある風化して、ボロボロに朽ちている瓦礫を顎でさしながら呟いた。僅かに焦げた跡が残っていた・・・そしてそっち方面の専門家が下したこの焦げた跡の正体の結論は一同を頷かせるものだった。
天美「やっぱりこの跡・・・・硝痕だよ。それも・・・・この弾薬量からして携帯型のミサイルみたい」
満天「こんな街中でミサイルぅ!?・・・・LAW80じゃねぇの?」
LAW80、英国軍用に開発された使い捨て方式のロケット兵器の名前を満天は口にした。
大抵のロケットランチャーには使われているのだが、弾頭にはHEAT弾と呼ばれる着弾後、高熱を噴出して一切を焼き払う対戦車用兵器ならば、これだけの焦跡を残しても不思議じゃないと思ったからである。
だが、その意見を天美は首を横に振りながら否定した。
天美「違う・・・・ロケットランチャーにしては、焦跡の具合が大き過ぎる。それに・・これ、ひょっとしたら、ミサイルはミサイルでも・・・・対人用なのかも」
研也「対人用?」
天美「うん・・・・ミサイルっていうのは、ロケット兵器と同じく着弾後の高熱や爆風で多数の相手を殲滅するために開発されたものなんだけど・・・・これは、明らかに着弾後のエネルギーを着弾ポイントにだけ集中させているの・・・」
叢魔「他にもおかしな点は色々とあるみたいだがな・・・」
突然、叢魔が拳大ほどの瓦礫の一つを無造作に太陽に放り投げながら、一同の視線を集めた。そりゃ、対人用らしきミサイルの着弾痕が見つかった後に、これ以上おかしな点があると言われたら視線を集めない方がおかしい。
太陽「わったたたたっとぉ!?っきなし、放り投げんじゃねぇよ!せめて、声くれぇかけろってぇの!!」
叢魔「文句を言う前に、その瓦礫の断面を見てみろ」
先刻、クラウスという懐かしき知人に出会えて幾分かは機嫌が治った太陽の愚痴を軽く一蹴すると、用件だけさっさと述べた。
太陽「あ゛ぁ?・・・・・」
何でこいつの言う事を聞いてから行動しなきゃ・・・と、ぶつくさ文句を言いながら、しげしげと瓦礫を眺め出し、そして、間も無く目を見開いて叢魔に向き直った。
太陽「・・・・お前、これどうした?」
叢魔「その辺りから拾っただけだ・・・・よく見れば、そこら中がこの有様だったがな」
クラウス「・・・・どういう、意味ですか?」
新たな事実に気づいた人間2名にクラウスは、太陽が瓦礫を見て気付いた事が何かという事を尋ねた。が、先に答えたのは明確な答えが分かっていない組に入る界魔であった。
界魔「・・・・力ずく、か?」
天美「えっ!?」
太陽「・・・界の字。良く気付いたなぁ?」
界魔「いや、山勘だよ。壊され方がやけに大雑把だと思ったんでね・・・・だけど、まさか、これが魔力等によるものでなく単純な力押しで破壊されたのも含まれるという事は・・」
クラウス「少なくとも・・・ヒトと呼べる生物がやった事ではない、ですね?」
叢魔「だろうな・・」
八雲「いったい・・・・何があったのかな?」
一同は目に見えぬ恐怖に戦慄した。結局のところ、自分達が目撃したこれらの犯人は皆目検討がつかないままに会話が終わってしまったからだ。
だが一つ言える事は――――この対人用らしいミサイルの焦痕はこの大量の建造物を瓦礫の山に変えた者に使われたであろう、という事それだけであった。
輪廻がさりげなく、背後から界魔に抱きつき、今度こそ・・・と、かなり不謹慎な考えが脳裏に過ぎった時だった。

???<おい、2代目!話し込んでる場合じゃないさ!>
突然、太陽の腰元から男性の喚き声がしたのである。声からしてまだ20代ギリギリ行くか行かないかぐらいである。だが、その声色は明らかに一同に警告を発していた。

171飛燕:2005/11/08(火) 22:15:57 HOST:proxy.e-catv.ne.jp[10.0.82.202]
太陽「・・・・一体全体、何があったんでぇ?シーソー?」
鼻緒を、腰紐に結び付けてある、ややくたびれた下駄に向かって、うんざりしたような様子で太陽は口を開いた。
シーソー君<気付かないのか?・・・・だからお前は初代に比べて、落ち着きも無くてへなっちぃと貶され・・>
太陽「燃えないゴミの日に出されたくなけりゃ、用件ちゃっちゃっと言いやがれっての?」
シーソー君<むっ!お前、下駄は燃えないゴミの日に出すものじゃないさぁ!出すなら燃えるゴミさね?>
叢魔「全くだ。知能が凡人よりも低下しているとは思っていたが、よもや生活面における知恵すらも低下していようとは思ってもみな・・」
太陽「横槍を入れんなっての!しかも、何気に貶してんじゃねぇよ!!ったく、一々癪に障るや・・」
ぶつぶつ文句を言う下駄の現所有者は放って置いて、叢魔はやや訛っているものの喋る事が出来る下駄に先程の言葉の意味を追求した。
叢魔「それで、シーソー?先程の言動、ただ事では無かったが・・・・どういうこ・・」
叢魔が言い切る前にそれは起こった。突然、地面が揺れたのである。しかも、地震などではなく、何かの咆哮によって揺るいだのである。
一同「「ッ!?」」
実に一同の行動は迅速且つ、息の合った行動を起こした。界魔が身近に居た輪廻と八雲を抱きかかえ、クラウスは明と研也、太陽が起介と天美を抱きかかえ、跳躍。残る叢魔と降魔達も0.2コンマ遅れて跳躍。廃屋と化してはいるものの、まだ倒壊するまでには至っていないビルに飛び乗った。





満天「お客さん・・・・にしては、見かけない顔だよな?」

172飛燕:2005/11/08(火) 22:20:30 HOST:proxy.e-catv.ne.jp[10.0.82.202]
飛び移ったビルの屋上から、先程まで自分達が立っていた場所を眺めながら満天は訝しげに呟いた。細長いヤリイカの出来損ないみたいな物が多数、人型でありながらも人間とはかなりかけ離れた物・・・おそらくそれらのリーダー格であろう。イカが30体に対し、人型は僅か5体という割合である。
界魔「・・・・頭数もそんなにない。更に、妖しの類いでもない・・・・見た目からして、宇宙生物か何かか?」
妖気ましてや、霊気の一欠けらも感じられない生物に囲まれながらも冷静に状況分析出来る辺り、流石にクラウスを除けばこのメンバーの中で一番場数を踏んでいるだけの事はあった。
クラウス「まぁ・・・何れにしろ、どうも私達との会合を邪魔する無粋な輩には相違ないでしょう」
友好的どころか明らかに殺気を放っている奇怪な生物達が目の前に居れば、確かに無粋な輩という言葉が当てはまるだろう。クラウスの意見に頷きながら、叢魔が口を開いた。
叢魔「そうだな。では・・・・さしあたって、太陽。お前だけで倒して来い」
太陽「あ゙?何で、俺だけなんでぇ?てめぇが行ってくりゃぁ〜良いじゃねぇか?」
前向きに言えば「アグレッシブ」。悪い言い方をすれば「喧嘩腰」。そんな性格で、尚且つ毛嫌いしている相手にお前だけで倒して来い、と命令されて「はい、わかりました」と答えるほど、太陽の性分はマシではなかった。
叢魔「苛立っている貴様を思って、全部を譲ってやると言っているんだ。ストレス解消程度にはなるだろう・・それとも・・・・1対多数の戦闘方法は韋駄天には無いのか?」
だが、あくまで叢魔はその冷淡な口調で冷静に対応した。しかもさりげなく、爆弾も落としていきやがるから口の悪いことこの上ない。いや・・・人を使うのが巧いことこの上ないといえるだろう。実際、その爆弾に太陽は直撃した。
太陽「・・・・へっ、てやんでぇッ!上等じゃねぇか、纏めて倒してやるよ!蹴りが飛ばねぇように、おめぇら退がってな!」
蹴りは飛んでこないが、蹴り飛ばした際の衝撃の余波が来る可能性が高いので太陽は一同に退がるよう促した。
叢魔「・・・・・・馬鹿と鋏みは使いようだな」
鼻で笑い、これ以上ない貶し言葉を太陽に送りつけてやった。
太陽「蹴り飛ばされたくなけりゃ、その口にチャックでもしときな!ボンボン坊や!」
叢魔「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
不毛な論争が30秒程続いたが、先に叢魔が折れた。
これ以上、口を開いていては結局は自分も戦わざるを得なくなる。
実力を計るという意味でも太陽をぶつけておきたい叢魔としては、そんな小さなリスクでも充分避けるべきと判断しているからだ。

明「いぃ〜〜まぁ〜どぉきぃ〜〜、お〜かぁ〜〜ねぇ持ちのこぉ〜〜とを、ボ〜〜ンボォ〜〜ンってぇ、言うのもぉ〜〜・・どぉ〜〜かとぉ・・・・」
クラウス「・・・・相変らず、のんびりとした口調ですね。明ちゃん?」
輪廻「界魔お義兄ちゃん・・・・怖い」
界魔「・・・・そう思うのなら、笑顔で抱きつくのは止めないか?輪廻・・」
対照的に、まぁ・・・なんとも、のほほんとした会話を繰り広げているが、決してこのような状況に陥ったからといって気が動転したワケではない。
かといって、この状況下を無視しているワケでもない。
この程度の修羅場なら、総掛かりで行けば物の数分でカタがついてしまうからだ。
それなら無駄に体力を浪費しなくとも、無駄に体力だけは有り余っている人間に片付けてもらうのがよっぽど建設的というものだからだ。
研也「それに、無駄弾も使用したくないしねぇ・・・・」
降魔「・・・・誰に向かって、言ってるの?」
明後日の方向に向かって何やら独り言を呟いている研也に、降魔は小首を傾げながら尋ねた。
研也「いや、このページの外に居る人達が俺達が何で『俺達も混ぜてくれ〜』って乱入しないのかを説明してただけだよ?」
言ってる意味が分からず、やっぱり、小首を傾げる降魔だった。

173ゲロロ軍曹:2005/11/10(木) 01:10:33 HOST:p1213-ipad28okayamaima.okayama.ocn.ne.jp
その頃・・
ファイヤーダグオン「こいつはすげえや・・、こいつはすげえぜ!!」
何とか合体に成功したエンは、そのありふれるパワーに感動していた。
時音「・・、それじゃ、ファイヤーダグオン。そろそろ、止めさす?」
ファイヤーダグオン「・・ああ。俺は、いつでもいいぜ?」
そう言いながら、レイスとファイヤーダグオンはザゴスロボを見た。慌てたザゴスロボはファイヤーダグオンに先ほどの重力ビームを仕掛けてきた。しかし・・
ファイヤーダグオン「へん!そんなもん・・、きいてたまるかぁ!!」
何と、ファイヤーダグオンはダメージを受けることなく重力ビームをものともしてなかった。これには、ザゴスロボもたじろぐ・・。
ファイヤーダグオン「今度はこっちからだ!・・ファイヤー、スターバーン!!」
ファイヤーダグオンの額から、星型のエネルギー体が発射され、ザゴスロボに直撃した。これにより、さらにダメージを受けるザゴスロボ。
ファイヤーダグオン「今だ!・・ファイヤァー、ホォォールド!!」
ファイヤーダグオンの胸にある鳥のくちばしが開き、そこから何やら光線を放出し、ザゴスロボを動けなくした。どうやら、相手を捕縛するための光線のようである。
ファイヤーダグオン「一気にいくぜ、時音、レイス!!」
時音&レイス「「うん!!!」」
ファイヤーダグオン「おおお!ファイヤー、ブレェェードォ!!!」
右腕のパーツとなってるファイヤーラダーのはしごが伸び、そこから剣が登場した。これこそ、ファイヤーダグオンの必殺武器、『ファイヤーブレード』である。
そしてレイスも、いつの間にかその手に斬艦刀を握っていた・・。
レイス「・・、いくよ、ファイヤーダグオン!」
ファイヤーダグオン「おっしゃあ!・・うぉおおおおお!!」
レイスの言葉を合図に、背中のスラスターを全快にして、一気にザゴスロボに詰め寄る。レイスも、ファイヤーダグオンに続くように、空高く跳躍した。
ファイヤーダグオン「おおおおおお・・・、フィニィィィッシュ!!!」
レイス「斬艦刀・・・、乱れ桜!!!」
ファイヤーダグオンは、斜めクロスに、レイスは一文字斬りのごとく、ザゴスロボを『斬った』。ほぼ同時のタイミングで、互いの必殺技を決めたファイヤーダグオンとレイス・・。その後、ザゴスロボは斬られた後が輝いたと思った瞬間、突如爆発をして、跡形もなくなった・・。
ファイヤーダグオン「へへっ、やったぜ。」
時音&レイス「「うん♪」」
どうやら、先ほどの攻撃がうまくいったため、満足している様子の三人であった・・。

174ゲロロ軍曹:2005/11/10(木) 21:44:20 HOST:p5081-ipad28okayamaima.okayama.ocn.ne.jp
=山海高校・グラウンド付近=
吹雪「・・ったく、エンの奴、一体どうしたんだ?」
もう放課後になったため、帰路へとつこうとしてる吹雪。しかし、他のクラスメイトから、エンがいつの間にかエスケープしていることを聞き、思わずため息をついて、エンの事を心配する・・。すると、足元にサッカーボールが転がってきた。
吹雪「・・?サッカー部のかな?」
そう思って拾うと、遠くの方から声がした。
?「あ、あった!おーい、そのボール、渡してくんないか〜!?」
声のしている方を向くと、そこにいたのはサッカー部のユニフォームを着ている少年がいた・・。そして吹雪は、彼のことを知っていた。何を隠そう、吹雪の「クラスメート」なので・・。
吹雪「あ、小津・・。」
彼の名前は『小津魁(おづ かい)』。正義感が強くて、曲がったことが大嫌いな性格。いつも感情をストレートに出す、いわゆる『熱血』系のスポーツ少年である・・。
魁「ん?・・、ああ、なーんだ、藤堂だったのか。遠くからだったから分かんなかったぜ。」
苦笑いしながら吹雪に近づいた魁。
吹雪「そうか・・。あ、これ、返すよ。」
魁「サンキュー♪」
拾ったサッカーボールを魁に渡した吹雪・・。と、そんなとき、『プルル!プルル!』という、コール音が聞こえてきた。
吹雪「・・?何の音だ??」
魁「・・あ!まさか・・(汗)。」
恐る恐るズボンのポケットに手を入れる魁。するとそこから、先ほどの音を発してる、携帯電話らしき物がでてきた。市販で出ているタイプと何か違っており、カバーは金色に染まっていたりしている・・。
吹雪「変わった携帯だなぁ・・。どこで売ってるんだ?」
魁「いっ!?い・・、いや、わりぃ、ちょっと、それはいえないことになってんだよ・・ははは・・(汗)。」
吹雪「・・?まあ、言いたくないんなら、別にいいけど・・。」
魁「す、すまねえ!あ、それじゃ、俺もう行くから!またな、藤堂!!」
そう言いながら、猛ダッシュでその場を離れる魁であった・・。
吹雪「・・、どうしたんだ、あいつ?」
首をかしげながらも、むやみに他人の事情に関わるのは迷惑だと考え、再び帰路へとつく吹雪だった・・。ちなみに、魁はというと、なぜか人気のないところで先ほどの携帯電話で会話していた・・。
魁「もしもし、こちら魁!」
?「あ、魁ちゃーん!どうしよ〜!!(泣き声)」
魁「芳香ねえちゃん?!一体どうしたんだよ!?まさか、『インフェルシア』の奴らが!??」
魁に電話をかけたのは、モデルの職業をしている魁の姉、『小津芳香(おづ ほうか)』であった・・。
芳香「違うのよ〜!実は、今仕事が終わってバイキングに来てるんだけど・・、どのケーキから食べたら良いか悩んでるの〜!!」
それを聞いて、魁は思わずずっこけた・・・。
芳香「あー、急がないと、他の人に全部食べられちゃう〜!ねえ、魁ちゃん、どれにしたらいいと思う!?みんなにも聞いたんだけど、全然とりあってくんないのよ〜!!」
それを聞いて、魁は思わず頭にきた・・。
魁「・・・んなの知るか〜!!(怒)そんなんで、いちいち『マージフォン』にかけてくんなっての!!」
芳香「だって〜、あたしのケータイ、充電切れてるし〜!」
魁「・・もういい!切る!!」
芳香「ちょ・・魁ちゃ(ぶつっ!!)」
魁「・・ったく・・、慌てた俺がバカみたいだよ・・(ため息)。」
思わずしょんぼりとする魁・・。しかし、気持ちを切り替えて、急ぎ部活の練習へと戻っていった・・。

175ゲロロ軍曹:2005/11/12(土) 10:14:22 HOST:p6080-ipad28okayamaima.okayama.ocn.ne.jp
その頃・・・
=デカベース・ブリーフィングルーム=
ドギー「・・そういえば最近、妙な噂が流れてるようだな。」
ホージー「ああ、ボスもご存知でしたか?」
ドギー「まあな、少し小耳に挟んだ程度だが。」
スワンが入れてくれたハーブティーを飲みながら、ふと思い出したようにつぶやいたドギー。
スワン「それってもしかして・・、『魔法使いと怪物』の噂のことかしら?」
バン「はあ?魔法使いと怪物??」
セン「あれ、知らないの、バン?最近山海市のある地区で、恐ろしい姿のモンスターが多数目撃されてるって噂なんだ。んで、そのモンスターを『5人の魔法使い』が倒してくれてるんだって。」
ウメコ「へ〜・・、そーなんだ〜・・。」
ホージー「・・、ウメコ、お前まで知らなかったのか?(汗)」
ウメコ「あ!何よホージーさん、その顔は!!失礼しちゃう〜!!」
ジャスミン「まーまー、怒らない、怒らない。」
顔を真っ赤にして怒ってるウメコをなだめるジャスミン。
バン「・・でもさ〜、それ単なる噂だろ?アリエナイザーならまだしも、モンスターだとか魔法使いだなんて、まるっきり御伽話じゃんか。」
ホージー「・・確かにな。だが、もし本当にそんな奴らがいたとしたら、一度じっくり拝ませてもらいたいもんだ。」
セン「うーん・・、本当にいれば、の話だろうけどね・・。」
・・このように、デカレンジャーの面々は半信半疑であったが、実は、この噂は『事実』だったりする・・。
=小津家・魔法部屋=
外から見れば一見、何の変哲もないふつうの家である小津家。しかし、この家にはとある『隠し部屋』があり、この家の住民も、他人にはいえないある『秘密』を持っていたりする・・。
?「はー・・。今のところ、『魔法110番』はでないようようでござります。まあ、何事も平和が一番でござりますですね〜・・。」
何だか変てこなしゃべりの子供っぽい声が聞こえた。しかし、実際に声を出してるのは子供ではなく・・、この部屋の机に置かれてる鉢に植えられてる、『植物』だったりする・・。
この植物の名前は『マンドラ坊や』。鉢からひっこぬくと、耳が痛くなるほどの奇声をあげるのが特徴である・・。と、そんな時・・
?「ふう・・、あー、疲れたー!」
何やら大柄の男性があろうことか壁を『すり抜けて』この部屋に入ってきたのである。何やら、農作業をしていたらしく、全身が土まみれのようであった・・。
マンドラ坊や「あ、『蒔人ちん』、お疲れ様でござります〜♪」
何やら大柄の男性をねぎらってあげるマンドラ坊や。
ちなみにこの大柄の男性は『小津蒔人(おづ まきと)』。近所にある家庭菜園を『アニキ農場』と名づけて、そこで収穫した野菜を使って毎日の如く『アニキサラダ』なるものを食卓に出したりしている。この家に住んでいる5兄弟の長男でもあり、明朗快活な性格。マイペースでのんびり屋だが、家族のことを誰よりも愛している。しかし、少々過保護な面があり、逆にうっとおしがられる事も少々・・。
蒔人「おう。見てくれ、今日もアニキ農場は大収穫だ。」
そういって、先ほど収穫した野菜を見せる蒔人・・。
マンドラ坊や「ほえ〜、すごいでござりますです〜・・。・・それにしても、最近『魔法110番』、でないでござりますですね〜・・。」
蒔人「・・そういえば、そうだな・・。・・まあ、大丈夫さ。『インフェルシア』の奴らが何を企もうと・・、俺達兄妹が力を合わせて阻止するだけさ!」
そういいながら、気合のあるポーズをとる蒔人。
マンドラ坊や「おお!蒔人ちん、張り切ってるでござりますです〜・・。」
蒔人「まーな!はっはっはっは・・(ごきっ!)ぐぉ!?」
突然、豪快に笑っていた蒔人から、変な音がした・・。そして、何ゆえか痛そうに背中に手を当てながら床にゆっくり倒れる蒔人。
マンドラ坊や「ま・・、蒔人ちん?!どうしたでござりますか!??」
蒔人「こ・・、腰が・・(汗)。しゅ・・、収穫、がんばりすぎたみた・・(ぎしぎし!)あいててててて!!」
マンドラ坊や「・・あらあ・・(大汗)。」
・・、あきれてその光景を見ているしかないマンドラ坊やであった・・(汗)。

176飛燕:2005/11/13(日) 15:20:04 HOST:proxy.e-catv.ne.jp[10.0.82.106]
=北欧大陸・廃屋街=

クラウス「・・・・うん?」
自ら孤軍奮闘という不利な状況に飛び込んでいった太陽を熱心に応援している子供達の耳に、突然、クラウスの素っ頓狂な声が上がったので一斉に振り向いた。
研也「クラウスさん?どうかしたの?」
とは、口には出さず視線だけで訴えてきた。
クラウス「え?あ、あぁ・・・いえね。ちょっと、用足しに行くだけですよ?」
一瞬だけ目が泳いでいたのを目聡い満天と界魔は見たが、直ぐに何時もどおりの穏やかな表情に戻ったので、さして気にも留めなかった。
満天「なら、とっとと戻ってきた方が良いっすよv中々の見物だから・・・・それ!そこだ、太陽ぉ!」
クラウス「ええ・・・・それでは、なるべく直ぐに戻ってきますから・・」






――――なるべく?――――



普通、トイレに行くだけなのに、なるべくを使うであろうか?
その事を聞こうと、界魔は顔だけ後ろにやったのだが、既に稀代の魔術師はそこには居なかった。




=廃屋街・元地下鉄乗り場=

太陽が一対多数の圧倒的不利な闘いをストレス解消という目的で順調に勝ち星を挙げているその頃・・・その真下。
つまり、地下街に一人の女性が佇んでいた。
見た目からして、おそらく20代半ばといったところであろうか。髪は銀色で、耳の後ろの毛先は黒のメッシュが入っており狐の耳を思わせるような特徴があり、水牛の皮をなめした黒皮のジャケット、胸の開いた上着。意外と露出度の高い格好をしているが、この廃れ去った街の・・・しかも地下に居る時点で、人ならざるものというのは間違いなかった。
???「へぇ・・・・これが、件(くだん)のバグシーンの実力か・・中々使えるじゃないw」
手の平におぼろげに光る鏡を・・・おそらく、魔力か何かによって、太陽の戦闘を遠くに居ながらにして、鮮明な画像としてみていた。誰も居ない地下だから、明るすぎて投影し辛いという心配がないので、その映像は本当にそこに人や化け物が居るように見える。
最初、突然現れた少年少女を用いてバグシーンの能力を測ろうと試みたのだが、思ったよりも少年達は強いらしかった。現に、少年一人にバグシーンは言いようにあしらわれている。だが・・・。
???「あれだけ、蹴りを入れられても・・・・全然、びくともしないのだから・・・・時間稼ぎや、防衛には十分使えるわね」
廃屋とはいえ、鉄骨やらをあっさりと曲げるバグシーンの怪力にひけをとらない太陽の蹴りをさりげなく賞賛しながら、これからの使い方をじっくりと考えていた。
???「それにしても・・・・血気盛んな坊やねぇ・・・・ちょっと、抓み喰いしちゃおうかしら?」
バグシーンという新たな駒を手に入れ、その算用を如何にするか?そして、突然現れた少年の童貞を奪ってみようか?と、物思いに耽っていたせいで気付かなかった。トイレに行くと言って一同から離れていった、青年の『存在』に・・・。
クラウス「ふむ・・・・今までの口ぶりからして、貴方があの化け物達のボスと見て、間違いないみたいですね?」
???「ッ!?」
クラウス「僅かですが、霊力とも魔力とも言えぬ物を感じ取って、密かに来て見れば・・・・大当たり、だったみたいですね」
静かなホームに、稀代の魔術師の足音と、それと対峙するかのように妙齢な女性のため息だけが響いた。

177藍三郎:2005/11/14(月) 20:59:35 HOST:proxy1.ice.media.hiroshima-u.ac.jp[coco24.ice.media.hiroshima-u.ac.jp]
=陣代高校 校庭=

クルツ「そろそろ昼飯時か・・・朝っぱらから
    ずっと腰掛けっぱなしってのも結構くるものがあるな・・・」
 クルツ・ウェーバーはASのシートに腰掛けてぼやく。
 これまで彼は自身のAS『M9ガーンズバック』に乗り、
 校庭に潜みつつ校舎の様子を監視していた。
 ASを人に見つからないように隠すなど不可能に思えるだろうが、
 ミスリルの最新鋭技術であるECS不可視迷彩を用いて
 クルツのガーンズバックは完全に姿を消していた。
クルツ「大体、こういう地味な仕事は俺よりソースケ向きだと思うんだが・・・
    これがアメリカの高校だったら、
    俺があっち側に行って女子高生に囲まれる楽しい学園ライフを送れたのによ〜」
 他愛ない愚痴を垂れつつも、そこはプロの傭兵。
 クルツはいかなる事態に対応できるよう、監視の目を緩めることはなかった。

=陣代高校=

恭子「相良くん、またお昼ごはん干し肉だけ?」
かなめ「あんたもいい加減にしないと体壊すわよ。少しはまともな物食べたら?」
 宗介は干し肉をかじりながら言葉を返す。
宗介「問題ない。栄養剤も併用している。
   任務中は素早い食事こそが求められるもので」
 そんな時、ふと宗介は窓の方に目をやる。
 その直後、瞳孔を見開くと椅子を蹴っ飛ばして立ちあがった。
かなめ「な、何よ一体・・・?」
宗介「いかん!!千鳥!敵襲だ!!ただちにこの学校から退避しろ!」
かなめ「はぁ?」
 宗介の言葉に対し若干呆れた表情になるかなめ。
かなめ「あのね相良くん、あなたが戦争ごっこ大好きなのは
    もうじゅぅぅぅぅぅぅぅぅぶんっっっっすぎるほどわかったから、
    私相手よりももっと趣味の合う友達でも見つけて・・・」
 かなめは、またいつものように宗介が
 無意味で根拠の無い騒ぎを起こすものと考えていた。
 しかし、それにしては様子が変なことに気づく。
 周りの生徒たちも、悲鳴を上げながら教室逃げ出していたのだ。
 恐る恐る窓の方に振り返ってみると・・・

かなめ「んなっ・・・!」
 校庭には、アニメで出てくるような、
 天を衝くほどの大きさを持った巨大ロボットが立っていたのだ。
 赤や金などの色で塗られた、妙にレトロチックな外見を持ったこのロボットは、
 異星人が使用する怪重機『エンバーンズ』であった。

=陣代高校 校庭=

クルツ「おいおい、ちょっと待てよ!!」
 クルツは突如怪重機が校庭に出現したのを見て、ASのシートから飛び起きる。
 いかなる事態にも対応できるつもりでいたが、さすがにこれは予想外の出来事である。
クルツ「怪重機が出てくるなんざ、聞いてねぇぞ、たく!!」
 “敵”がASを用いて襲撃をかけるぐらいは予測していた。
 だからこそこちらも護衛にASを投入したぐらいである。
 しかし、まさか怪重機が出てくるとは・・・
 いくら最新鋭機のガーンズバックとはいえ、ASのサイズでは怪重機に太刀打ちできない。
クルツ「とにかくマオ姐に連絡を・・・ん!?」
 通信回線を開こうとするが、その前に怪重機が動く方が早かった。
 怪重機の額に備え付けられたアンテナが、赤く輝き出す。
 やがて、赤い閃光が校舎に向けて放たれ、校舎に命中する。
 それと同時に目の眩むような凄まじい閃光が周囲に満ちた。

クルツ「く・・・何だぁ!?」
 何とか光が晴れ、通常の明るさに戻る。
 だが、そこでクルツは信じられない光景を目の当たりにすることになった。

 エンバーンズの怪光線を浴びた
 陣代高校の校舎一区画が、まるごと“消失”していたのだ。

178藍三郎:2005/11/15(火) 16:48:34 HOST:proxy3.ice.media.hiroshima-u.ac.jp[wu8.ice.media.hiroshima-u.ac.jp]
=????=

かなめ「・・・・・・」
宗介「千鳥、起きろ。千鳥!」
 隣で呼びかける声に応じて、かなめは目を覚ます。
かなめ「ん・・・相良くん・・・ここは?」
宗介「今まで俺達がいた教室だ。
   君は怪重機の放った閃光のショックで、しばらく昏倒していたようだ」
かなめ「そうだ!怪重機!!あいつはどうなったの!?」
 意識を失う前の光景がまざまざと蘇る。
 窓の外にいた怪重機が、赤い閃光を放ったところで、
 かなめの意識は途切れていたのだ。
宗介「怪重機はすでにいない。
   引き上げた・・・というより、俺達が移動させられたと言う方が正しいか」
かなめ「??どういうこと・・・それ?」
宗介「信じられないだろうが、先ほどの怪重機の光線で、
   どうやら俺達は校舎ごと別の場所に転送されたらしい」
かなめ「は・・・?」
 宗介の一言に対し信じられないという調子で言葉を返す。
かなめ「ちょっとちょっと、あなたミリタリーオタクなだけじゃなくSFオタクでもあるの?
    校舎ごと転送って、そんなことあるわけ・・・」
宗介「そう思うのなら、窓の外を見てみるといい」
 宗介の言葉どおり窓側に目をやるかなめ。
 次の瞬間、彼女の顔は驚愕に凍りついた。
 そこから見えるのはいつもの見なれた校庭ではなく、
 多数の戦車やASが蠢く、軍施設のような場所だった。
 周辺には一件の民家も無く、代わりに鬱蒼とした森林に包まれている。

かなめ「嘘・・・」
宗介「恐らくは、どこかの廃棄された軍施設だと思われる。
   正確な位置は、まだ特定できていない」
かなめ「何か悪い夢でも見てるんじゃないでしょうね?
    そうよ・・・きっとあの怪重機が出てきたところから、全部夢で・・・」
宗介「残念ながら、全て現実だ。
   立体映像や集団幻覚の可能性も考慮したが、
   校舎ごと移動したというのがこの状況に最も附合する結論らしい。
   しかも、事態はそれだけではない」
 宗介はそう言って周囲を見まわすように言う。
 見ると、教室内には黒いボディをしたドロイドや
 銃器を持った兵士の姿があちらこちらに見える。
かなめ「何なのあいつらは・・・」
宗介「この場所に校舎が移動した直後、
   大多数の武装した兵士やドロイドが校舎内に侵入した。
   現在この校舎全てが敵によって占拠され、
   我々以下二年四組の生徒および教員は全員、この教室内に軟禁状態におかれている」
かなめ「・・・・・・」
 宗介から次々と告げられる衝撃の事実に、
 かなめの思考はついていけなくなりそうになる。
 ただ、現在自分たちが最悪の状況に置かれていることは、はっきりと理解できた。

179藍三郎:2005/11/15(火) 16:50:47 HOST:proxy3.ice.media.hiroshima-u.ac.jp[wu8.ice.media.hiroshima-u.ac.jp]
=デカベース ブリーフィングルーム=

 怪重機出現の報を受けたデカレンジャーは、
 デカマシーンでただちに現場に駆けつけたが、時既に遅し。
 陣代高校の校舎は跡形も無くなっており、
 怪重機もデカレンジャーたちの目の前で消失していったのだ。

ジャスミン「それにしても、建物まるごと消しちゃうだなんて・・・
      派手なことやってくれるわね・・・」
バン「クソッ!俺たちがもっと早く駆けつけていれば!」
 バンは拳を掌にたたきつけ、悔やみの声をあげる。
ウメコ「あの校舎には、何百人もの人達がいたんだよね・・・どうなっちゃうんだろう!?」
 最悪の展開を予想し、ウメコも暗い気分になる。
スワン「その事なら、まだ救いがあるかもしれないわ」
ウメコ「スワンさん!」
 資料を手に抱え室内に入って来るスワン。
スワン「映像を解析した結果、あの怪重機と同タイプと思われるものの情報が
    宇宙警察のデータベースで見つかったわ」
 スワンは先ほどコンピューターを駆使した得た情報をデカレンジャーたちに告げる。
スワン「あの怪重機には、一種の空間転送装置が内蔵されていて、
    光線を照射した物質を指定した位置に転送してしまうの」
ウメコ「え、それじゃ・・・」
スワン「恐らくはあの校舎も、どこか別の場所に飛ばされたに違いないわ」
ホージー「なるほど。それなら、次にすることは決まりだな」
バン「ああ!急いで消されちまった学校を見つけ出して、
   学校の人達を助け出さねぇと!」
 バンは再び気勢を上げる。
セン「それも勿論だけど・・・俺はこの事件を引き起こした、犯人の目的も気になるね」
ウメコ「目的〜〜?」
セン「校舎一つを鮮やかに消してしまう手並みといい、退き際の早さといい・・・
   これは事件の派手さとは裏腹に、相当綿密に計画された犯行だね。
   何か大きな目論見があるように思えてならないよ・・・」
ドギー「そうだな。一体何を企んでいるのか・・・」

 デカレンジャー達が今後の対策を協議している、その時だった。
 ドギーのデスクに、一報の通信が入ってくる。
ドギー「こちら、地球署署長ドギー・クルーガー。
    要件は・・・・・・何!?・・・・・・ああ、わかった・・・・・・」
 ドギーは応対しつつ話を聞いていたが、
 やがて通信を切ると、強張った表情で唸り声をあげる。
ドギー「グルルルル・・・」
ジャスミン「どうしたんですか?ボス・・・?」
 ボスの様子がただごとでは無いことを、この場にいた者たちは気づいていた。
 ドギーは重い口調でこう告げる。
ドギー「陣代高校の校舎を“誘拐”した犯人と思われる者達からの、犯行声明が出た」
 さらにドギーの口から、その“犯行声明”の内容が告げられた。
ドギー「犯行グループは、陣代高校の生徒および教職員約500名を人質に、
    宇宙警察地球署の所有する特殊兵器全ての引渡し・・・
    そして宇宙警察の地球からの撤退を要求している」
ホージー「な!?」
 一同はドギーの言葉に驚愕する。

180藍三郎:2005/11/15(火) 16:51:29 HOST:proxy3.ice.media.hiroshima-u.ac.jp[wu8.ice.media.hiroshima-u.ac.jp]
=トゥアハー・デ・ダナン=

マデューカス「非常識この上ないな」
 デ・ダナンの副長リチャード・マデューカス中佐は、
 カリーニンから話を聞いた後、開口一番こう言い放った。

 日本時間で午後0時25分、私立陣代高等学校の校舎の一角が、
 正体不明の怪重機の光線により“消失”・・・
 これが、日本にいるメリッサ・マオ曹長より
 トゥアハー・デ・ダナンに送られてきた今回の事件の概要だった。
カリーニン「ですが事実です」
マデューカス「酔って幻覚でも見たのだろう・・・と言いたいところだが、
       荒唐無稽すぎて逆に冗談には聞こえんな」
 マデューカスはそう言って鼻を鳴らす。

テッサ「それにしても・・・敵がどんな手を使ってきても
    対応できるつもりでいましたが・・・甘かったですね」
カリーニン「我々の仕事は“もぐら叩き”のようなものです。
      根本的な予防策はありません。
      ましてこのような非常識極まる事態となると・・・」
テッサ「わかっています。今は善後策を協議しましょう。
    まずは、マオ曹長とウェーバー軍曹を呼び戻してください」
カリーニン「了解です」
テッサ「それから・・・宇宙警察地球署にコンタクトをとります」
マデューカス「宇宙警察に?」
テッサ「遺憾ながら、ことは我々の予測を大きく超えて動いています。
    この事件を無事解決に導くには、彼らの協力を仰ぐことも必要でしょう?」

181アーク:2005/11/15(火) 19:29:36 HOST:YahooBB220022215218.bbtec.net
デカレンジャー達が驚いている最中デカベースの上空でその事を同時に聞いている者達がいた
一人は黒いマントを羽織、もう一人は白いマントを羽織っていた
???「人間界に来て早々このような状況を聞くとはな」
???「そうだねぇ。アスタロト公爵の息子の様子を見たらすぐ戻ろうと思ったけど
    こんな話を聞いたら黙ってはいけないね無明」
無明「そうだな。このような事は忌々しき事態だ。奴の息子の様子を見るのは後回しだ
   まずはこの状況を何とかするしかあるまいな。分かっているな聖夜」
聖夜「分かっているよ無明。彼らにばれない様に後をつけるんだね」
無明「いや、その行方不明になった学校に直接向かう」
魔界の王こと無明の考えに天界の王こと聖夜は驚いた
自分達の存在を明かしてはいけないと言う掟に従い彼らは人間界にやって来たのだ
来て早々自分達の事を人間達に気づかれてはまずいと聖夜は思った
聖夜「でもさぁ無明僕達の存在を人間達に気づかれたらやばいんじゃないの?」
無明「問題はない。この世界には様々な種族もいるようだ。だから我らが現れたとて誰も怪しむ者はおらん
   逆に我らの存在は地球外知的生命体と思うだろう」
聖夜「何となく腑に落ちないけど仕方ないか。いいよ、行こうじゃないか」
聖夜の言葉を待っていたかのように無明は次元の扉を開きその中に入っていった
行方不明となった学校を探し求めて

182ゲロロ軍曹:2005/11/15(火) 20:31:02 HOST:p6031-ipad33okayamaima.okayama.ocn.ne.jp
=???=
恭子「かなちゃん!」
かなめ「恭子、無事だったのね?!」
親友の無事な姿を見る事ができて、思わず涙ぐみながらかなめに抱きつく恭子・・。
恭子「うう・・、よかったぁ・・、かなちゃんが無事で・・。」
かなめ「・・ったく、おおげさねえ・・。」
少し呆れながらも恭子をなぐさめてあげるかなめ。一方の宗介は、一人何やら考え込んでいた・・。
宗介(・・、うかつだった。まさか、怪重機で学校を襲撃し、校舎を丸ごと別の場所に瞬間移動させるとは・・。しかし、奴らの目的は一体何だ?一番有力なのは、この高校の生徒や教職員を人質とし、どこかの組織を脅迫、というところだが・・。)
恭子「・・、ねえ、かなちゃん。相良君、何考えてるのかな??」
かなめ「あ〜・・、ほっときなさいよ。あんな戦争ボケ男の考えてる事なんか、分かりたくもないわよ。」
うんざりした様子で答えるかなめ・・。と、その時、かなめたちに年四組のクラス担任である、『神楽坂恵理(かぐらざか えり)』先生が、何やら落ち着かない様子で教壇に立った・・。
神楽坂「み・・、皆さん、落ち着いてください!こ、こういうときこそ、へ、へ、平常心が大切よ!!」
・・どうみても、一番平常心が必要なのは言ってる本人に見えた・・(汗)。ちなみにクラスの生徒たちは、最初はパニくっていたものの、今では落ち着いて(というかめちゃくちゃくつろいで)いた・・。中には、ASや戦車を見て興奮している生徒までいる・・(汗)。
宗介(・・、さて、どうしたものか?ミスリルが何とかこの場所を発見してくれれば問題はないのだがな・・。)
ため息をつきながら、窓の様子をうかがい続ける宗介であった・・。

183飛燕:2005/11/15(火) 22:33:28 HOST:proxy.e-catv.ne.jp[10.0.82.106]
=廃屋街・元地下鉄乗り場=

クラウス「御婦人・・・・今直ぐ、上で暴れている下っ端達を引き連れて帰って頂けるのならば、この事は私の胸の中に閉まっておきましょう」
空気がピリピリしている・・・おそらくは、この忠告も無駄に終わるだろうと覚悟はしているものの、クラウスは敢えて退却するように言った。だが、予想通り、その忠告は無駄に終わる事となった。
???「フフフ・・・誰が来たのかと思えば、あの子達の親御さんかしら?・・・・にしては、歳はそんなに取ってないわね?」
良く見るとまだ20歳でも十分いけるルックスである。と、なると差し詰め、彼は従兄弟あたりであろうか?この状況下でおおよそ、そんな能天気な事を考えられるのは彼女が余程の実力者なのか、それとも唯のあーぱーなのか・・・。
クラウス「いえね。私の知人の息子達ですよ・・・・諸々の事情でその知人には、色々と貸し借りがありましてね?悪いことは言いません。彼等の貞操を奪うのは止めておいた方が良いですよ?特に、あそこの『長男』は・・」
普段は軽挙妄動だが、長男の事となると別人の動きと凶暴さを存分に発揮(?)した彼女の姿を思い浮かべながら、ジョークを飛ばした。おそらく、彼の記憶の中での彼女があのまま成長したらば、その行き過ぎた複雑過ぎる愛はパワーアップを遂げている筈である。彼女の愛に、必死になって逃亡し続ける義兄の姿を想像し、顔がほころんでしまうのはクラウスの想像力が豊かなせいである。
???「クスwそうなの・・・・でも、貞操を奪うのは無しとなると・・・・」
瞬間、クラウスの視界から彼女の姿が消えた。余りにも突然だったので、咄嗟にバックステップをしなければ、クラウスの首は胴体を離れていただろう。
クラウスが先程まで居た空間を、すさまじい斬撃が空を切り裂き、続いてクラウスの眼前で炎が吹き上げたのである。これも瞬間的に、クラウスがシールドを張っていなければ、胸板に風穴が開いていたことだろう。12ゲージのショットシェルは、半透明の『壁』によって勢いを完全に削がれ、虚しく地面に落ちていった。
クラウス「驚きましたね・・・・よもや、何も無い空間から炎を纏う刀とショットガンを出してくるとは」
???「貴方こそ、障壁を一瞬で張るほどの魔術師とはね・・・・是非、お名前を伺いたいわねw」
クラウス「・・・良いですよ。クラウス=ド=シングス=エターナル・・・・クラウスで結構ですよ、御婦人?」
???「あら?まだ名乗ってなかったかしら?・・・・私の名前はぁ・・沙耶。刀剣の鞘じゃなくて、正気の沙汰の『沙』に耶律楚材(やりつそざい)の『耶』よw」
耶律楚材とは元の政治家であり、遼の王族の子孫の事である。金に仕え、のち元の太祖を助けた文人でもある。文学、天文、地理、医学にも詳しく、後に詩集『湛然居士(タンゼンコジ)集』を残した人物で、中国の歴史の中では割とマイナーな文人だ。尤も、彼方此方の世界を渡り歩いているクラウスにとっては、ポピュラーと割り切るのだから、ある意味凄いといえるだろう。

184藍三郎:2005/11/16(水) 10:50:00 HOST:proxy1.ice.media.hiroshima-u.ac.jp[coco17.ice.media.hiroshima-u.ac.jp]
=????=

 二年四組にいる生徒たちは、
 先行きの見えない状況に半ば開き直り、思い思いに騒いでいた。
 室内には見張りの兵士やドロイドがいたが、
 特に注意する事も無く、無言で突っ立ったままだったので、
 生徒たちは彼らのことは彫像か何かと考えて無視することにした。

 そんな中、ドアが開き、三人の男が教室内に入って来る。
 生徒たちは途端に静まりかえり、視線を男達に集中させる。

???「やれやれ、賑やかな人質もいたもんだねぇ」
 覆面をつけた兵士を両脇に従えているのは、
 イタリア製のスーツを身に纏った、東洋人らしき男だった。
 顎には無精髭を生やしており、額には縦一文字に大きな傷跡が刻まれている。
 まるで、固く閉じられた第3の目のようだった。

宗介(あいつは・・・ッ!?)
 男の姿を目にした時、宗介は大きな衝撃を受けた。
 その驚きは相当なものであったが、何とかそれを表情に出さぬよう務める。
宗介(馬鹿な・・・何故奴がここに・・・)

???「ま、ここから逃げ出したりしなけりゃ、別に構わんよ。さぁ、続けて続けて」
 そう言われても、再び騒ぎだす生徒はほとんどいなかった。
 静まる生徒達を横切りながら、男は教室内を歩いていく。

恭子「カナちゃん・・・あの人こっちに向かって来るみたいなんだけど・・・」
 ひそひそ声で話す恭子。そして、悪い予感は的中することになった。

 男はかなめのいる席の側で立ち止まると、穏やかな口調で彼女に話しかける。
???「そこのロングヘアのお嬢さん、話があるのだがね」
かなめ「はぁ、何でしょうか?」
???「マスコミに送る映像を作りたくてね。
    出演してくれる人を探していたところなんだ。君に出て欲しいと思ってね」
かなめ「そ、そうですか。
    でもわたしなんか見ての通りケチなコムスメですから、
    視聴者の皆さんが不愉快になるだけですって、ホント」
???「いいから来いって、なぁ。遠慮せずに」
 男の連れの兵士がかなめを両脇から引っ立てた。
かなめ「ちょっと、離して!どうしてあたしなの!?」
恭子「カナちゃん!」
 恭子は悲鳴に近い声をあげる。
 その場に担任の神楽坂恵里が駆けつけてきて、男に抗議を開始する。
神楽坂「ちょっと、私の生徒をどうする気です!?」
???「何、少しばかり協力してもらうだけですよ。すぐにお返しします」
神楽坂「いいえ、許しません!連れて行くなら私になさい!」
???「あなたでは意味が無いんでね。これはマスコミの・・・」
神楽坂「そんな口実は通りません!子供を利用するだなんて、この卑怯者!」
 その後も神楽坂は罵詈雑言を交えて猛抗議を続ける。
 男はうざったそうにそれを聞いていたが、やがてぼそりと呟く。
???「やれやれ・・・」
 そのままスーツの下から拳銃を抜き、神楽坂に突きつける。
???「あんた、うるさいな。
    額に穴の一つでも開けてやれば、少しはおとなしくなるかな?」
 レーザー光の照準を彼女の額にポイントし、男は引き金を引こうとする。

ガシャン!!

 その時、室内にけたたましい音が鳴り響いた。
 銃声ではなく、なにかの金属が打ち鳴らされた音だ。
 音のした方向を見ると、相良宗介が床に落ちた食器を拾い上げていた。
宗介「・・・失礼」
 そう言った後、宗介は何事も無かったかのように自分の席に座りなおす。

???「・・・・・・」
 男はじっと宗介を凝視していたが、
 やがて「ふん・・・」と鼻を鳴らすと、気を削がれたように銃を腰にしまう。
???「行くぞ、この連中にもう用は無い」
 部下とかなめを引き連れて、男は教室を後にして行った。
 残された恵里は、ぽかんとしていたが、
 やがて自分が命の危機に晒されていたことを理解し、眩暈を起こしてその場に倒れた。

185藍三郎:2005/11/16(水) 10:51:06 HOST:proxy1.ice.media.hiroshima-u.ac.jp[coco17.ice.media.hiroshima-u.ac.jp]

宗介(俺は何て馬鹿だ)
 テロリストがかなめを連れ去って部屋を出ていった後、
 宗介は自分の行動を思い返し、心の中でうめき声をあげる。
宗介(もし“奴”が俺の顔を覚えていれば、俺はあの場で“奴”に殺されていた。
   それなのにわざわざ敵の注意を引くなど・・・正気の沙汰ではない)
 だが、窮地の神楽坂を救うにはああするしかなかった。
 何度も「見捨てろ」という言葉が頭の中で繰り返されたが、
 結局彼女を救う選択肢を選んだ。理由は今でもわからない。
宗介(とにかく、これではっきりした。奴らの本当の狙いは千鳥だ。
   だとすると、俺達全員の命の保証はほぼ無くなってきたな・・・)
 まして敵側には“あの男”がいる。
 “奴”なら、千鳥の拉致を隠すため、校舎にいる全員を殺すぐらい平気でやりそうだ。
宗介(悠長に好機を待っているのは逆に危険だな・・・)
 そう判断した宗介は、行動を開始することに決めた。

恭子「神楽坂先生、大丈夫?」
 恭子は倒れた神楽坂を心配した声をかける。
 そして、ドアの方を見てこう言う。
恭子「カナちゃん、どうなっちゃうんだろう・・・ねぇ、相良く・・・」
 恭子は宗介のいる方に振り向くが、そこできょとんとした表情になる。
 相良宗介は、恭子からも、他の生徒たちからも、
 見張りのドロイドにも気づかれることなく、教室内から忽然と姿を消していたのだ。

186藍三郎:2005/11/16(水) 10:53:06 HOST:proxy1.ice.media.hiroshima-u.ac.jp[coco17.ice.media.hiroshima-u.ac.jp]
=デカベース ブリーフィングルーム=

 陣代高校を消失させた犯人から、宇宙警察への要求が出されてから数十分・・・
 用があるからと部屋を後にしたドギーの指示で、
 デカレンジャー達は室内で待機していた。
セン「敵の狙いは、俺たち宇宙警察の無条件降伏か・・・」
ジャスミン「そのために500名もの人達を浚って行ったのね」
バン「畜生!許せねぇぜ!
   なぁ、このままじっとしてていいのかよ!?」
 犯人のやり口に憤りを隠せないバン。
ホージー「落ちつけ。ボスが言っていたように、
     人質が取られている以上、うかつな行動は厳禁だ」
バン「だけどよぉ・・・」
ウメコ「ねーねー、あいつらの要求だけど、どうするの?」
ジャスミン「宇宙警察の持つ装備を敵に渡せば、
      散々悪用された挙句、さらに酷い事態になるのは間違いないわ」
ホージー「それに、宇宙警察が地球から撤退すれば、
     それを聞きつけたアリエナイザーが地球に押し寄せ、
     地球は犯罪者のはびこる無法地帯になる・・・そうなれば地球は終わりだ。
     宇宙の平和を守るスペシャルポリスとして、到底飲める要求じゃない」
 冷静に語るホージーとジャスミン。
ウメコ「え?じゃあ人質はどうするの!?」
ホージー「馬鹿。人質も助け、犯人も捕まえる。両方やるのがプロの仕事だろうが!」

ドギー「ホージーの言う通りだな」
 その言葉と共に、ボスが室内に入って来る。
バン「ボス!」
ドギー「要求に従ったところで、人質が無事に解放される保証は無い。
    ここは救出作戦を展開すべきだろう」
 そう言いながらドギーは署長の椅子に座る。
バン「へっ、その言葉、待ってましたよボス!」
ドギー「だが、こちらは500名以上の人質を取られている・・・
    大っぴらに動く事は避けた方がいい。無論、デカマシーンの出撃も許可できん」
セン「まずは人質の救出を最優先・・・ですね?」
ドギー「ああ。そのことだが、救出作戦において、
    お前達五人はこれから“ある組織”の元に出向してもらう」
ジャスミン「ある組織・・・?」
 ドギーは疑問符を浮かべる五人に対し、こう語り出す。

ドギー「お前達、“ミスリル”という名前を聞いた事はないか?」
ウメコ「ああ、あの四人組の・・・」
ジャスミン「多分本気で間違えてるんだろうけど、
      冗談で言ってるように思われるから止めときなさい」
 ボケようとする二人は無視して、ホージーはその概要を語る。
ホージー「もちろん聞いています。
     どこの国にも属さない秘密の軍事組織で、
     各国の利害を越えて行動し、テロ戦争にあたる精鋭部隊だとか・・・」
ドギー「その通りだ。実は、つい先ほど
    その“ミスリル”から我々宇宙警察への協力要請があった」
セン「ミスリルから?」
ドギー「どうやら先方は、今回の事件について既にかなりの事を知っているらしい。
    救出作戦のプログラムも、すでに完了しているそうだ」
ホージー「なるほど・・・我々はその作戦に参加し、人質の救出をサポートするのですね?」
ドギー「そうだ。詳しい説明は、ミスリルの艦内で行われる。
    迎えの輸送機がまもなくデカベースに到着だろう。
    お前たちはそれに乗って移動してくれ」
ジャスミン「あらまぁ、何から何まで準備の良いことで」
セン「このあたりは、さすが対テロ事件のスペシャリストといったところだね」
ドギー「俺は地球署を預かる立場上、うかつに動く事はできん。
    お前たちの働きに、人質の生命がかかっている。頼んだぞ!」
バン「はい!必ず人質を救出してみせます!」
 5人の顔を見まわすと、ボスは彼らに出撃の指示を下す。

ドギー「よし・・・デカレンジャー、出動!!」
五人「「「「「ロジャー!!」」」」」

187藍三郎:2005/11/16(水) 10:54:34 HOST:proxy1.ice.media.hiroshima-u.ac.jp[coco17.ice.media.hiroshima-u.ac.jp]
=トゥアハー・デ・ダナン=

カリーニン「先ほど、宇宙警察地球署より地球署のスペシャルポリス五名を乗せた
      輸送機が出発しました。あと数分でこちらに到着します」
テッサ「五人のスペシャルポリス・・・話に聞く『特捜戦隊デカレンジャー』ですね。
    これまで様々な不可思議犯罪を解決してきた地球署の主力メンバー・・・
    彼らの協力を得られた事、幸運に思わないといけませんね」
マデューカス「ですが、今回の事件においては我々が専門家(スペシャリスト)として、
       彼らを主導する側にあります。
       彼らは街中で、ヒーローよろしく派手に怪重機を蹴散らすことには長けていても、
       こう言った隠密行動を主眼とする任務はまだまだ実戦不足でしょうからな」
カリーニン「さて、それはどうですかな・・・真のプロフェッショナルは、
      たとえ慣れない案件(ケース)においても、柔軟に対応できるものです。
      この任務においても、期待以上の実力を発揮してくれるものと思いますがね」
 そこまで話すと、カリーニンは話題を変える。
カリーニン「ところで、犯人の目的ですが・・・やはり<ウィスパード>でしょうな」
テッサ「怪重機を出撃させたのも、派手に校舎を消してみせたのも、
    そして、宇宙警察への降伏勧告すらも・・・
    全ては“本当の目的”を悟らせないためのカモフラージュ・・・」
カリーニン「だとすると、さらに駄目押しとして
      チドリ以外の人質を全員殺すということも、十分に考えられます。
      下手に交渉を行い、時間を引き延ばしたりすれば、
      逆に人質を危険にさらすことになりかねません」
テッサ「迅速に、かつ安全に人質を救出せねばなりませんね。
    しかし未だ敵の全容は不明瞭のまま・・・
    状況は非常に不利ですね・・・」
カリーニン「ですが敵は、体内に“猛毒”を抱えています」
 カリーニンは、怪重機によって消された校舎に居合わせた“部下”の事を語る。
 猛毒。こうした局面では、彼は確かに猛毒だった。
テッサ「ええ、彼の連絡を待ちましょう」

188飛燕:2005/11/16(水) 21:57:02 HOST:proxy.e-catv.ne.jp[10.0.82.106]
=廃屋街・元地下鉄乗り場=

沙耶「さて、と・・・・それじゃあ、自己紹介も済んだ事だし・・・・そろそろ、挨拶を終わらせましょうか?」
クラウスの返事を待たずに斬光一閃。今度は、蒼い雷光がクラウスの鼻先の分子を焦がしながら、空を裂いた。
クラウス「今度は稲妻を纏った刀剣ですか・・・・飽きさせない闘いをどうも有難う御座いますw」
無論、皮肉だが、妖しの類である以上、長命である。長命という事はそれだけ、言葉の幅も感受性も広く、大きい。妖笑しながら、沙耶は言葉を返した。
沙耶「いえいえ、此方こそw今度は、空気を振動させて、自身を後方へと押しやるなんて横着な魔法を見せてもらって・・・・実に参考になるわね」
クラウス「横着ではなく、せめて小賢しいといって欲しいですね」
肩を竦めながら、クラウスは杖を握る力を強めた。余り強大な魔法を使うにしても、中程度の威力の魔法を使うだけで衝撃で天井が崩れそうな場所なので、必然的に、肉弾戦に持ち込むようになってくるのだ。不慣れとはいえ、それなりには・・・まぁ、なんとかなるだろう。
互いに歩を進め、一瞬の静寂の後に同時に跳躍した。沙耶の振るった刀の刀身だけを狙って、杖で叩き落し、今度は空いているもう片方の手に握っている散弾銃の銃口を此方に向けて来た。
トリガーに指をかける寸でのところで、クラウスは機転を利かせた。一度、叩き落とした刀身を、横からはたいて、沙耶の前へと跳ね上げたのである。お陰で、本来の着弾地点から大きくそれたショットシェルはクラウスの髪の毛数本を穿つだけという最小限の被害しか起こせなかった。
だが、そこで攻撃の手が休まらなかった。今度は、手を床について、器用に両足を宙に投げ出して、回転脚を沙耶が見舞ってきたのである。
沙耶が床に手をつくと同時に、クラウスは杖を地面に突き立てると、そのまま軽やかに跳躍。そのまま、杖と一緒に、バック宙返りをして沙耶の攻撃を見送ったりと、魔術師というよりも軽業師としても食っていけるような動きを見せられて、これには流石の沙耶も呆気に取られた。
沙耶「あらまぁ・・・・貴方、やるわねぇ・・・・」
結構自信があったのに、とケタケタ笑いながら言うのだが、実際、どちらもまだ決定打を出そうとはしなかった。第3者から見れば、実に見応えもあるものだが・・・・このままの試合が続いても、見飽きてしまうだろう。尤も、そこには第3者なんて、見ているはずもなければ居るはずも無かった・・・。
???「・・・雌狐。何時まで、稚戯を続けるつもりぞえ?」
する筈の無い声に驚いたクラウスは、その場から飛び去り、ホームの中央へと陣取った。
そして、間も無く、声のしたトンネルの向こうから・・・可笑しな格好をした男がやってきた。
髪は肩にかかるまで伸ばしているのだが、手入れをしていないのかボサボサに生えており、その色は初老の白髪頭のそれより白かった。
そして、顔も人というには少々離れた作りであり、尚且つ常人には到底放てぬ明らかな殺意を迸しっていた。
そして、一番に目につくのは・・・その格好である。日本の戦国時代に出てくるような着物の上に同じ年代の鎧甲冑に身を纏い、一振りの刀を腰に提げている事だろうか。
話し方からして、親しくは無いが同時に敵でも無いような素振りである。思わず、クラウスの口からその単語が出てきた。
クラウス「新手?・・・」
白髪男の出現に、此方も相当驚いており、腕組みして感心したような素振りで沙耶は口を開いた。
沙耶「あら、珍しいw・・・・貴方達が手助けをしてくれるなんて、珍しい事もあるものねぇ〜?」
探りを入れようと思ったのだが、勅命の一言で沙耶はあっさり納得した。
上からの命令ならば、致し方ないであろう・・・ましてや『彼等』が崇める者の発言は絶対的であると沙耶は十分に理解しているからである。
???「鎌倉殿の勅命が無ければ、お主に貸しを作る気も・・・・ましてや、義理もないぞえ?」
そこで、ようやくクラウスが話に割り込めた。といっても、割り込むタイミングなど、幾らでもあったのだが・・・。
クラウス「その鎧・・・・戦国時代の人間、ですか?」
白髪男が、愚民が口を開くなと言い終える前に沙耶が、2人の間に割って入り、勝手にクラウスにヒントを与えた。
沙耶「う〜〜〜ん、惜しいわねv70点。ヒントはさっきの『鎌倉殿w』」

189飛燕:2005/11/16(水) 22:37:17 HOST:proxy.e-catv.ne.jp[10.0.82.106]



――――カマクラドノ?――――



自分の記憶が正しければ、その単語には2つの意味がある。
一つは、室町から江戸時代にかけて武士達が鎌倉政権のことを大抵「鎌倉殿」呼称している方・・・ともう一つ。だが、ここの建造物の文化レベルを考える限り、その単語の意味・・・その人物はとっくの昔に没落している筈なのである。
だが、話しからして前者は無いものだろう。ならば簡単に消去法でゆけば、答えは後者となることに嫌でもなってしまう・・・。
???「雌狐めが・・・・余計な事を・・」
ぎぬろと沙耶を一睨みしたのを見て、クラウスの疑念は確信へと変わった。やはり、その『鎌倉殿』は・・・
沙耶「あら?本当の事じゃない?それに・・・・今のヒントで分かるという事は、それだけ『あの人』が有名だという裏返しでしょ?」
???「ぐ・・・・ぬぅ・・・・」
沙耶の言う事が褒め称えている言葉なので、返す言葉が見つからないらしく、忌々しげにその武士は唸った。

―――平安時代末期に河内源氏の棟梁である源義朝の三男として生を受け―――


―――平治の乱で父が平清盛に敗れ、伊豆国に流されるが、成人後に平家打倒の兵を挙げ、鎌倉を本拠とし関東を平定した―――


―――そして・・・平家を京から追った源義仲との戦いに勝利し、平家追討に活躍した源義経を追放し、諸国に守護と地頭を配した、かの有名人物―――


―――奥州合戦を経て奥州藤原氏を滅ぼし、征夷大将軍に任じられた男で日本人なら誰でも知っているだろうその男の名前は―――


クラウス「源・・・頼朝、公・・・・それが、貴方の上司というわけですか」
思わず頬が引き攣りそうになった。生物兵器
沙耶「正〜解〜ぃvちなみに、この白髪鬼みたいな顔した武士の名前は・・」
???「誰が白髪鬼か?・・・・我が名は、義仲。性は、恐れ多くも源(ミナモト)也・・・・だが、人は私をこう呼ぶ。木曽で育った、源氏ゆえに・・・・『木曽義仲』とな!」

稀代の魔術師が、源氏の武士と化狐を相手にしている頃・・・

=廃屋街・郊外=

郊外では2人の男女がボードのようなものに乗って、市街へ入ろうとしていた。
尤も、双方共に仮面ともヘルメットとも区別がつかないものを顔に着用しており、一風変わったスーツを着込んでおり、判り難いのだが声で男女の判別はかろうじて出来た。
???「Hei!セラ!確かこの辺だったよな?」
その仮面とスーツ・・・此方の世界では『バイザー』と呼称される物を身に纏った、陽気な声の持ち主は相方らしい女性に確認をとった。
セラ「ええ、この辺りの筈よ。目撃情報によれば、ね・・・・」
男性とは正反対の冷ややかながらも、透き通った声が男のイヤホンに響いた。バイザーに取り付けられたマイクから発信された声が、イヤホンが拾っているのだ。
???「これで、今週に入って6件目だぜ?・・・・いや、全くやってられないぜ・・」
愚痴と不平を零していながらも、彼の武装はそんな陰気臭い空気もぶっ飛ばしそうな兵器ばかりだから馬鹿に出来なかった。
背丈ほどはあろうかという、長距離支援用中口径銃に、小型のミサイルランチャー・・・おそらく、天美達が見つけた焦跡の原因はこれで間違い無いだろう。それと、腕の長さと大して変わらない山刀(マチェット)。
セラ「そうも言ってられないでしょ?・・・・ジェナスが独りで頑張っているんだから・・だから、ラグナ・・・・私達も負けてられないでしょ?」
優しく諭すようにセラは口を開いた。声だけ聞けば、女神のような・・・と思うのだが、此方の武装も見れば、聖乙女というより戦乙女の方が似合うといっても過言ではなかった。
高周波の刃を持ち、それ自体の大きさが人の頭の5つ分ぐらいもあり、思念簡易探知操作輪・・・彼等、『アムドライバー』達の言葉を借りるならば、ブーメランと呼ばれる武器を4つずつ。H&K(ヘッケラー&コック)MK23ソーコムピストル、合衆国特殊部隊統合軍の正式採用にもなっている高性能拳銃を更に改造し、マガジンへの装弾数を1.5倍にまで底上げをした、ハイブリットピストルを片手にしているのだから、物騒な事この上無かった。
ラグナ「へっ!分かってるって、んな事・・・」


―――ドッゴォオオオオオオオオォォォォ・・・・―――


太陽が傍若無人にまで暴れまくっている音は、ここ、廃屋街の郊外に当たる地域にも、はっきりと聞こえた。
ラグナ「・・・・どうやら、出てきたみたいだなw」
大胆不敵・・・そんな笑みを、バイザー越しに浮かべながら、ラグナ達は爆音地へ赴く足を更に進めた。

190藍三郎:2005/11/17(木) 11:45:31 HOST:proxy1.ice.media.hiroshima-u.ac.jp[coco10.ice.media.hiroshima-u.ac.jp]
=秘密基地=

 その頃、基地内の一角に作られたテロリスト達の司令室・・・
 そこでは、今回の事件の主犯格である2人の人物が話をしている最中だった。

 “人物”と言ったが、この2人はいずれも“人間”ではない。
 一人は黒マントを身にまとい、蝙蝠のような銀色の頭部を、
 円筒形のクリアケースで覆った異星人だった。
 彼の名は『エージェント・アブレラ』。
 地球で暗躍するアリエナイザーやテロリストに
 様々な兵器を売りさばいている闇の武器商人である。

 もう一人は黒いスーツにサングラスをかけた、鋭い顔つきをした男だった。
 一見普通の人間に見えるが、彼の正体は人間ではなく、
 人間に化けた不死生物(アンデッド)である。彼の人間体時の名前は『伊坂』という。

 彼ら以外にも部屋の中には数名の人影がいたが、
 そのほとんどが人間ではないアリエナイザーであった。
 
伊坂「千鳥かなめ・・・こんな小娘が本当に<ウィスパード>なのか?」
 デスクに腰掛けた伊坂は、手にした資料に目を通しながらそう問いかける。
アブレラ「99%間違い無い。正確な結論は、もうじき研究所の連中が出すだろう」
伊坂「ここまで大げさにことを運んでおいて無駄骨というのは避けたいものだな」
アブレラ「全くだ。こちらは怪重機まで投入しているのだからな・・・
     まぁ、代金はすでに“奴ら”に頂いているから、損をすることはないが」
 そんなことを話していると、部屋に入って来る者がいた。

191藍三郎:2005/11/17(木) 11:45:54 HOST:proxy1.ice.media.hiroshima-u.ac.jp[coco10.ice.media.hiroshima-u.ac.jp]

???「ふぅ、“化け物”が2匹、何をひそひそ話してるんだが」
 先ほど二年四組に顔を出した、東洋人の男が部屋に入って来る。
伊坂「ガウルンか。娘はどうした?」
ガウルン「ああ、女なら研究施設の連中に引き渡してきたよ。
     どうもやることなすこと簡単過ぎてつまらんねぇ」
 ガウルンと呼ばれた男は相変わらず妙にけだるそうな様子で答える。
アブレラ「フフフ、そう言うな。
     まぁ、確かに君ほどの男なら、退屈に思うのも無理は無いが・・・」
ガウルン「しかし・・・例の宇宙警察への犯行声明を聞かせてもらったんだが、
     あんな幼稚な内容でいいのかい?
     いくらなんでも、宇宙警察があんな無茶な要求呑むわきゃないと思うがね」
 横柄な口の聞き方だが、2人は気にした風もなくこう答える。
伊坂「内容そのものは問題ではない。
   要は、宇宙警察の連中を少しでも牽制できればいいのだ」
アブレラ「それに、宇宙警察は人命に関してはとにかく敏感だからな。
     完全に屈服させることはできないにしても、ある程度動きを鈍らせることは可能だろう」
ガウルン「ふぅん・・・そうかい。
     それなら、残った人質は始末しちまっても構わないかい?
     うちの雇い主から、“後始末”はきちんとつけるよう言われてるんでね」
アブレラ「それもいいだろう。
     500名もの人質を死なせてしまったとあっては、
     宇宙警察も世間の非難を浴びることは確実・・・
     地球人の信用を失えば、宇宙警察も何かと活動しにくくなる。
     我々の目論見を進める上でも非常に有益だ」
ガウルン「そいつはよかった。んじゃ、俺はそろそろ持ち場に戻るとするか」
 ガウルンはそう言って部屋を後にしようとする。
 だが、その前に、近くにいた一人のアリエナイザーがガウルンを呼びとめた。
アリエナイザー「待て!地球人!」
ガウルン「あん?」
アリエナイザー「さっきから聞いていれば、地球人風情が偉そうな口を叩きおって!
        今回は共同作戦とはいえ、我々と貴様らとでは格が違うということがわかっておらんようだな!」
ガウルン「ふぅ・・・」
 一気にまくし立てる地球人蔑視主義者のアリエナイザーに対し、
 ガウルンはため息をつく。
 そして、まるで煙草のケースでも抜き出す様に自動拳銃を抜くと、
 ためらいもなくアリエナイザーの顔面に向けて発砲した。
アリエナイザー「がは・・・・・・!?」
 一撃で頭部の大半を吹き飛ばされ、絶命するアリエナイザー。
ガウルン「これでよし・・・と」
 何事も無かったかのようにそのまま部屋を後にしようとする。
 だが、ドアの前で立ち止まると、伊坂の方に振り返りこう言う。
ガウルン「おっと、まさか怒ったりはしないよな?
     “あんたら”にしちゃこんな奴、いくらでも代えが利くんだろうからさ」
伊坂「フン、まぁその通りだな」
 伊坂も特に何も言わなかった。
 ガウルンの言う通り、彼は配下のことなど、消耗品か何かにしか考えてなかったからだ。
 伊坂とアブレラ以外のメンバーは、さすがに呆然となっていたが、
 彼らを尻目に悠々とガウルンは部屋を出て行く。

192藍三郎:2005/11/17(木) 11:47:14 HOST:proxy1.ice.media.hiroshima-u.ac.jp[coco10.ice.media.hiroshima-u.ac.jp]
=トゥアハー・デ・ダナン=

マデューカス「艦長、サガラ軍曹から通信が入ったそうです。
       敵のネットワーク端末の使用に成功したようですな。
       メリダ島の基地を経由しています」
テッサ「サガラさんから?こちらへ回してください」
 やがて、ダナンのモニターの一画に相良宗介の顔が映し出される。
テッサ「サガラさん、無事ですか?」
宗介『肯定であります。大佐殿』
テッサ「よかった。少佐?」
カリーニン「サガラ軍曹、状況を報告せよ」
宗介『はっ。自分は現在、敵グループの通信施設の中にいます。
   敵の全容および連れ去られた人質の状況は・・・』
 宗介は陣代高校の生徒や教員が転送された校舎に軟禁されていること、
 そして、校舎を抜け出してから、
 時間の許す限り調査した軍施設の様子を詳しく説明していった。
 その中には、敵は人間と異星人(アリエナイザー)を中心とした
 2つのグループに分けられており、それら2つが共同作戦をとっていること、
 そして、敵が千鳥かなめを連れ去っていったことも含まれていた。

カリーニン「チドリ・カナメが連れて行かれたか」
テッサ「やはり、敵の狙いは彼女だったのね」
カリーニン「軍曹、チドリのいる場所はわかるかね?」
宗介『不明です。これから捜索しますが、基地内にいるかさえわかりません』
カリーニン「安全な範囲で捜索しろ。君には陽動の仕事がある」
宗介『了解』
カリーニン「君の情報でかなり見通しが立った。
      これから救出作戦を展開する。くれぐれも、行動は慎重にな」
宗介『はっ、それから少佐殿』
カリーニン「なんだ?」
宗介『敵の人間グループのリーダーは、ガウルンです』
カリーニン「何・・・?」
 宗介の言葉に、カリーニンは眉をかすかに動かす。
宗介『われわれが戦った時とは、まるで印象が異なりますが、間違いありません』
カリーニン「あの男は死んだはずだ」
宗介『ですが、生きていました。自分が射抜いたはずの額に、傷跡が残っています』
カリーニン「そうだとして、奴はお前に気づいたか?」
宗介『いえ、自分の容貌もかなり変わっておりますので』
 当時の宗介は、髪を伸ばし放題にしていた。
 体格も小さく、日焼けもしていたので、現在の宗介とはほとんど別人である。
 ガウルンが気づかなかったのはそのせいもあっただろう。
カリーニン「わかった。奴がいるとなれば、
      こちらもそれ相応の対策を練らねばならん。気を抜くな」
宗介『了解。交信を終了します』

193藍三郎:2005/11/17(木) 11:47:58 HOST:proxy1.ice.media.hiroshima-u.ac.jp[coco10.ice.media.hiroshima-u.ac.jp]

テッサ「サガラさんのいる位置は特定できましたか?」
マデューカス「はっ、電波を逆探知したところ、サガラ軍曹の言う敵グループと人質は、
       東京湾沖の無人島にある、廃棄された米軍の軍施設にいるようです」
カリーニン「その軍施設を改造して、基地に仕立て上げたというわけか。
      しかし、灯台もと暗しというか・・・思ったより近い場所でしたな」
テッサ「ええ。恐らく、敵の怪重機は
    あまり長距離には物質を転送できないようですね。
    いずれにせよ、日本近海に敵基地があるのは幸いです。
    これでこちらもすぐ行動に移せます」
カリーニン「はっ」
テッサ「それと少佐、軍曹の報告にあった、『ガウルン』なる人物のことですが…」
カリーニン「・・・危険なテロリストです」
 重たげな口調でカリーニンは語る。
カリーニン「『ガウルン』は中国語で『九つの竜』という意味です。
      あの男が九つの国籍を持つことが由来と言われています。
      これまで30人以上もの要人を暗殺し、
      航空機の爆破も最低二度は実行しています」
 昔を思い出しつつ、カリーニンは続ける。
カリーニン「ミスリル(ここ)に入る前、私とサガラ軍曹はガウルンと対決しました。
      数年前のことです。当時われわれはKGBから追われる身で、
      アフガニスタンのイスラムゲリラにかくまわれていました」
 その話はテッサも聞いていた。アンドレイ・カリーニンは
 ソ連軍部とKGBの仕組んだ陰謀に巻きこまれ、今も逃亡中の身なのだ。
カリーニン「ガウルンはKGBに雇われた追っ手でした。
      奴は私の留守中に、アーム・スレイブ二機を率いて
      ゲリラの村を襲撃したのです。
      たくさんの村人が殺されました。無関係の女子供も、です」
テッサ「・・・それで?」
カリーニン「私は報復を誓いました。機会が訪れたのは二週間後のことです。
      パキスタンの山中に追跡してきたガウルンを我々は待ち伏せしました。
      私が囮になり、ソウスケが狙撃を。
      いろいろとありましたが、ソウスケはガウルンを仕留めました」
テッサ「でも違った」
カリーニン「そのようです」
テッサ「残虐な男なのね?」
カリーニン「はい。奴ならば、チドリの拉致を隠すため、
      人質を皆殺しにするぐらいは平気でやるでしょう」
テッサ「でも、私たちがいる限りそうはさせない。
    サガラ軍曹の報告で、私たちは敵の位置と全貌を把握した。
    そのガウルンという人やアリエナイザーの皆さんには、
    高いツケを払わせてやる必要がありますね」
 テッサは冷たい微笑を浮かべてそう言った。

194ゲロロ軍曹:2005/11/18(金) 02:03:04 HOST:p4249-ipad02okayamaima.okayama.ocn.ne.jp
=長野県警・休憩室=
???「ふう・・。」
缶コーヒーを一口飲んでから、ため息をついてる男刑事、『一条薫(いちじょう かおる)』。彼は、缶コーヒーをテーブルに置き、とある資料を見ていた。アリエナイザーや正体不明の化け物などについての不可思議事件を集めたものである。
一条「・・、アリエナイザーに、正体不明の化け物、か・・。今のところ、こちら(長野)では確認されてないが、それもいつまで続く事か・・。」
その時、彼はふと昔のことを思い出した。人々を襲う謎の『未確認生命体』たち、そしてそんな奴らから人々を守るために闘ってくれた『英雄』のことを・・。
一条「・・、『あいつ』は今ごろ、どこを冒険してるんだろうか?」
そういいながら、一条刑事は『彼』のことを思いだしていた。自分がどんなに傷ついても、人々の『笑顔』を守るために、必死に戦っていた姿を・・。自分も、何度か『彼』に命を助けてもらった事を・・。
一条「まあ・・、こっち(日本)に帰ってきたら、また『技』が増えてるんだろうがな・・。」
苦笑いをしながら、缶コーヒーを再び飲みだした一条刑事であった・・・。
=???=
???2「は・・は・・はくしゅん!!」
どこかの雪国だろうか?外が吹雪いてる様子が見える窓であった。その窓から少し離れた暖炉の近くで、くしゃみをした男性がいた。
少年「?『ユースケ』、風ひいちゃったの??」
外国人らしき少年が、心配した様子で男性の顔をうかがう。すると、男性は少年に向かって笑みを浮かべた。
???2「ううん、そんなことないよ。多分、俺のことを誰か噂したんだと思うよ。」
少年『噂・・??』
少年が頭に?マークを出してる様子を見ながら、ふと彼は思い出した。日本にいる自分の妹や知人、友人たちのことを・・。
???2(そういえば、冒険をしてからずいぶん経つよな〜・・。今度、日本に帰ってみよっかな・・?)
そう考えると、彼は再び窓のほうを見た。そしてふと、知人や妹達の顔が思い浮かび、思わず笑みを浮かべるのであった・・・。

195疾風:2005/11/18(金) 23:24:06 HOST:z203.220-213-5.ppp.wakwak.ne.jp
一方・・・・
ザコス星人の母艦を撃退したダグオンであったが・・・・・・
もう一つの事件を解明しなくてはならなかった・・・・・

=山海高校=
<部室>
エン「時音、どうして俺達の事を知っていたんだ?」
時音「説明するけど話すと長くなるし理解して貰えない所とかあるけどいい?」
ヨク「とにかく話してください・・・」
時音「私はこの世界の人間じゃないの・・・・・」
エン「この世界?!」
ヨク「つまり別世界から来たと言う事ですね・・・」
時音「うん、別世界にある地球からね・・・」
レイス「その世界で私達はダグオンの事を知っていたの・・・・」
時音「勇者はダグオンだけじゃないよ、いっぱい仲間が居たんだよ♪」
エン「お・・おい、まさかそいつら全員・・・ダグオンって訳じゃないよな?」
時音「ううん、ダグオンはエンお兄ちゃん達しか居なかったよ?」
レイス「後はいろいろ・・・・」
時音「説明すると頭が爆発すると思うから言わない・・・・」
レイス「私達がここに来た理由は・・・・」
時音「お父さん達を探しに来たの・・・」
カイ「ご両親を?」
時音「うん、私が2歳の時に居なくなったの・・・それで探しに来たの・・・」
レイス「多分、何処かの世界に居るかもしれないって言われたから・・・」
ヨク「所で時音ちゃんのご両親の年齢とか外見は解りますか?・・・探す手がかりになるのですけど・・・」
時音「えっと・・・お父さん達の年齢は26歳で・・・外見は高校生位なの・・・」
レイス「時音ちゃんのお父さん達はある事情で18歳のまま成長してないの・・・」
シン「18!」
リュウ「そんなに若いのか?!」
時音「うん、私を18で産んだくらいだから・・・・」
シン「美人な人妻・・・・・・・」
ヨク「シン、嫌らしい妄想はしないでください・・・・」
シン「・・・・・・・・」
エン「聞いてねぇぞ・・・・・」

196暗闇:2005/11/19(土) 01:11:12 HOST:YahooBB220020057170.bbtec.net
樹々の鬱蒼と茂る荒れ寺の境内に殺気がみなぎっていた。
木漏れ日を浴びながら若き2人の格闘家が対峙している。
白い空手着を身につけた1人はリュウ。
ざんばら髪で彫りの深い顔には修業一筋に励むひたむきさが滲み出ている。
身構えたその姿は重厚で無駄がない。
対峙するもう一人は真っ赤な空手着を身につけたケンだ。
長い金髪を華麗になびかせ、口元には不適な微笑を浮かべている。
『真の格闘家』を目指すリュウにとってケンは良き友であった。が、また倒さねばならない宿敵でもあった。
2人は幼いころから武神流門下生として寝食を共にし、師匠の剛拳のもとで技を鍛え合った仲なのであ
だが、今の2人の周りには、そんなことを微塵も感じさせないほどの緊迫した空気が漲っていた。
まるで、その場だけ異空間と化してしまったようだ。
もちろん今までにもこういった対決の場がなかったわけではない。
しかし、この対決がいつものそれとは違っていることは2人が最もよく知っていた。
―――今日こそ決着をつける時だ。
互いのそう意識していた。
ほんのわずかなスキを見せれば、瞬く間に相手の攻撃が炸裂する。
下手に動けば瞬息の間に撃たれる。
互いにそれを熟知していた。
ケンはリュウの目を見据えたまま、上下に軽やかなフットワークを続けている。
微笑が崩れない。
この死闘を楽しんでいるかのようにも見える。
―――飛ぶのを待っているのか?
リュウは相手との距離を目測した。
―――明らかに『射程距離』だ。
間合いを詰めるために跳躍でもしようものなら、大きく横に伸びる昇龍拳の一撃で叩き落とされるだろう。
それゆえにリュウは迂闊にジャンプできない。
ケンの昇龍拳は、真上からの攻撃に対抗するという本来の目的を、はるかに超越したレベルにまで到達しているのだ。
それは、ケンが生まれながらに持つ格闘技の優れたセンスによるものだった。
ケンは、武神流の奥義とされる技に独自のアレンジを施すことで、リュウとは別の方向に技の完成度を高めてきたのである。
―――動けぬのなら、動かすしかない。
リュウは相手に悟られぬように注意しながら、独特のリズムで呼吸を始めた。
ほどなくリュウの体内に小さな熱の固まりが生じ、それは呼吸のリズムに合わせて次第に大きさを増していった。
―――失敗すれば、即ち、壮絶な死が待っている……

197暗闇:2005/11/19(土) 01:28:05 HOST:YahooBB220020057170.bbtec.net
相手に対する畏怖の念はケンも同じだった。
―――リュウは……阿修羅だ。
―――当たり前の論理では及びもつかないほどのパワーを宿している。
―――リュウは手堅く相手を転ばせることを目的とした改良を完成させている。
ケンはそれを今までの稽古の過程で嫌というほど思い知らされていた。
恐怖を感じたわけではない。
だが、躰が心とは無縁のところで震えていた。
体内でアドレナリンが渦巻く。熱い血がたぎる。
ケンは間合いを計った。
刹那、リュウが動いた。
リュウの体内に芽生えた熱は、今や大きな固まりに成長していた。
両腕を手首で合わせ、体を捻る。
リュウが宿した熱は荒れ狂う波と化し、両腕を伝って掌へと押し寄せた。
―――時には自分を打たせることによって、相手の急所を狙う。
体の右側へ引き寄せた両掌に、青い光球が生じた。
リュウ「波動拳!」
勢いよく突き出したリュウの両手から、その光球はケンを目指して飛んだ。
波動拳は、人間の体内で発生する波動―――中国では『気』と呼ばれる―――を1つに収束し、遠距離の目標に向けて放出する技である。
―――間に合うか?
咄嗟にケンはジャンプした。
リュウの上半身を狙い、跳び蹴りの体勢をとる。
波動拳は、すさまじい破壊力と引き替えに使う者の体力を瞬間的に消耗させる。発射後の一瞬、全身が硬直してしまうのである。
ケンは、この隙に一撃を喰らわす狙いなのだ。
ガツッ!
ケンの踵が、リュウの肩にヒットした。
リュウの躰がグラリと揺らぐ。
が、直後、ケンの視界は白い闇に包まれた。
顎と胸に、鋭い痛みが走る。覚えているのは、鋭い光が胸ではじけたことだけだ。
着地する際に見せた一瞬の隙に、リュウはケンの顎にアッパーを叩き込むと、間髪入れずに波動拳を見舞ったのである。


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