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涙たちの物語7 『旅の終わりは』

477名無しの話の作者:2004/12/25(土) 09:17 ID:XuyPGJik
「もちょっとそっち行ってもいいかな…」
あんまり隅だと、浅すぎて寒い。
「却下にゃ。こっちは男子禁制にゃ」
言い切るミスラ。
「でも…」
と視線を向けるヒュム戦。
「トラさんは、虎にゃ。男じゃないにゃ」
「じゃあ…」
「あっちは獣人にゃ。男じゃないにゃ」
「む…」
「タルちゃんズはタルタルにゃ。男じゃないにゃ」
「…」
何となく納得しづらいものがある。
「んー、オレはぁ?」
ヒュム戦と一緒に隅にやられてるガル戦。
ある意味、ガル戦も男じゃないような。
「ついでにゃ」
ドボッと湯に倒れ込むガル戦。
「……」
チロッとエル騎士へ視線を向けるヒュム戦。
けど、エル騎士はいい気分で湯につかってる。
ヒュム戦の方を見もしない。
「はぁ…」
ため息ついて、空を見るヒュム戦。
と、
なんかある。
空に。
タルタルたちのぱしゃぱしゃに混じって、なんか聞こえる。
シャンシャンシャン…
鈴の音?
そして。
ヒュルルル…
落ちてくる。
なんか、落ちてくる。
ザッパーン!!
温泉の真ん中に、派手な水柱…いや、湯柱。
「きゃー」
「みー」
「うわー」
「な、なんにゃ!?」
ザザザー
雨のようにお湯が降り注ぐ。
呆然とみんなが見つめる。
落ち着いたあとに現れたのは、
「あーエル白さんー?」
グルグル目を回したエル白。
「知り合いか?」
裸なのに、どこから取り出したのか、盾で湯を避けてるエル騎士。
「うん。どうしたのー?」
ばしゃばしゃとエル白に泳ぎよるタル獣。
「あ…え…」
自身、何がなんだか判ってないみたいなエル白。
けど、目の前のタル獣に気づく。
「タル獣さん、タル獣さん!」
「んきゃっ」
ギューッと抱きしめる。
「ごめんなさい。ごめんなさい!」
「んゃ…」
ギュギュー
「わたし、あやまりたくて、どうしてもあやまりたくて…」
「ゃ゛…」
ギュギュギュー
「エル白さん、エル白さん、タル獣ちゃんつぶれるにゃ」
「あ、ご、ごめんなさい」
ミスラに言われて、慌てて手を離すエル白。
意外と情熱家みたい。
「だいじょうぶー」
とタル獣。
「私、タル獣さんにあやまりたくて。トラさんにもあやまりたくて」
「?」
「逃げたりして、ごめんなさい。いくらあやまっても許してくれないかも知れませんけど、タル獣さんとも、トラさんとも、仲良くなりたいんです」
真剣な表情でタル獣を見つめるエル白。
「いいの」
プルプルと首を振るタル獣。
「エル白さん会いに来てくれたから、とてもうれしいのー」
にっこりと笑む。
「ありがとうございます!」
再びギュューーっとエル白。
「トラさんもいるにゃ」
と虎の方を示すミスラ。
「あ、はい」
そちらを見て
「え…」
固まるエル白。
確かに、トラがいる。
温泉につかってトラがいる…のだけど。
お湯に濡れた毛が、ピッタリペッタリと肌に張り付き、隆々とした筋肉が浮かび上がった巨体は迫力倍増。
けど、もう失敗はしない。


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