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涙たちの物語7 『旅の終わりは』

476名無しの話の作者:2004/12/25(土) 09:13 ID:XuyPGJik
「えーっと…」
少し困ったような声。
「どうしようか…」
赤鼻のエルヴァーン二人の見下ろす先には、麓まで流れて落ち着き始めた雪崩。
いろんな物を巻き込んでる。
樹の枝葉にまじって、何人かの手足も見えてる。
「いくらなんでも、これは…」
「ねえ…」
うなずきあう二人。
雪面にしゃがみ、素手で掘り始める。
けど、手足が見えてるのとは、全然違うところ。
バサバサバサ
ものすごい勢いで雪を掻き分けて、現れたのはグッタリしたエル白。
それを引っ張り出そうとして、
クシュッ
くしゃみするエルヴァーン。
瞬間。
ポンッ
小さな音と共に、エルヴァーンが消える。
かわりに現れたのは巨大な角をもつ四つ足の獣。
「あれ?」
ブルブルっと身体を振る獣。
ポンッ
再びエルヴァーンに戻る。
「なにやってんの」
「ごめんごめん」
頭をかきながら、エル白を助け出す。

分厚く積もった一面の雪の中、一カ所だけ雪がない。
かわりに、岩の地肌に湯気を上げる液体が溜まってる。
その、独特の匂いの中に、身をひたした人影。
「どうにゃ、気持ちいいにゃ?」
と耳をヘンニャリさせたミスラ。
「あたたかいのー」
「きもちいいー」
とタル白タル黒。
「にゃ〜、星芒祭は温泉にかぎるにゃ〜」
意味がよくわからない。
「いい湯だが、よくこんな所に温泉が湧いてると知っていたな」
肩までしっかりとつかってるエル騎士。
「にゃ〜、ここは秘湯中の秘湯にゃ。知ってるのは温泉マニアぐらいにゃ」
「ミスラさん、温泉マニアなの?」
深い方へ行って、立ち泳ぎしてるタル獣。
「違うにゃ。マニアから情報仕入れたにゃ」
「へへー、仲介したんだよー」
プカプカ平泳ぎなんかしてるタルシーフ。
ぷりぷりお尻が揺れていく。
縁の方は浅いのだけど、中の方はタルタルにはチョト深い。
だから、ついつい泳いじゃう。
「ゆっくりつかって疲れを落としたら、次は御馳走にゃ」
ミスラが示す先には、飲み物や食べ物がたっぷりと用意されてる。
「あとで、プレゼントタイムもあるにゃ」
「え…プレゼント?…あぶぶく…」
慌てて溺れそうになるタル龍騎。
「大丈夫か」
タル龍騎の脚をつかんで引っ張り上げるエル騎士。
「アタシが用意したにゃ。スポンサーもいるにゃ」
チラリと隅で湯につかってる獣人を見るミスラ。
えへへ…と、そっと照れ笑いする獣人五人。
と、
「そこっ!」
突然声を上げるミスラ。
「「!」」
ビクッと身を縮めるタル白タル黒。
「湯にタオルはつけちゃダメにゃ!マナー違反にゃ!!」
湯の中で、泡を作って遊んでたタオルを慌てて持ち上げる。
「…あれはー?」
タルシーフが指さす先には、ゆ〜ったりと湯に横たわるトラと竜。
「毛皮と鱗は別にゃ」
判るような判らないような。
「にゃ、トラさん、さっきのどうなったにゃ?」
「ああ、雪崩と一緒に下って行ったわ。もうこんやろ」
「みゃあ」
うんうんとうなずく竜。
「じゃ、安心にゃ」
ミスラは満足そう。
「あの…ね」
控えめに声がかけられる。
「にゃ?」
クリンとそちらを向くミスラ。
温泉の隅の方にいるヒュム戦。


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