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涙たちの物語7 『旅の終わりは』
474
:
名無しの話の作者
:2004/12/25(土) 09:05 ID:XuyPGJik
「名無しの話」の28 −思い・悩み 4−
どうして逃げてしまったの…。
時間がたって落ち着けば、わき上がる後悔。
タル獣さんは、あんなに優しかったのに。
あんなに嬉しそうだったのに。
怖かった。
虎が怖かった。
けれど。
タル獣さんは、言ってた。
トラは強いと。
トラは優しいと。
トラは家族だと。
…。
謝ろう。
タル獣さんに謝ろう。
許してもらえないかもしれないけれど…。
そして、エル白は町を出た。
タル獣を追って。
見つからない。
見つからない。
あのとき、寝床の場所は聞いてなかった。
けれど、狩り場は聞いた。
エル白は、そこを探して回った。
幾日も、幾日も。
白魔導師一人では、とても危ない所もあったけど、それでも探して回った。
でも、見つからない。
出会った冒険者に聞けば、
さっきいた
あそこにいた
と言うのに。
探せばやはりいない。
避けられてるようにさえ思えてしまう。。
それでもエル白は探す。
一生懸命に。
何日かして。
もう、どこを探せばいいのか判らなくなったエル白に
「ねーねー、あなた、タル獣探してる?」
声をかけてきたのは、初めて見るエルヴァーンの二人組。
見たことのない茶の服。赤らんだ鼻はカゼでもひいてるのだろうか。
「みつからないんだろ?」
「…はい」
うなずくエル白。
「だったらね、……を探すといいよ」
「そこに絶対にいるから」
「見つけてあげてねー」
言うだけ言って、さっさと行ってしまうエルヴァーン二人。
それは、ずっと北の地名。
雪に閉ざされた険しい土地。
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