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ダンゲロスSSC3 雑談スレ

90狭岐橋 憂・エピローグ:2017/12/10(日) 19:26:32
見上げると、上層階の欠けたC3ステーション本社ビルが目に入ってくる。
そのバーには1組の男女がいた。
女は酒が飲めず、男は未成年である。
ロックのウーロン茶を一口あおり、女――露出卿は話を切り出した。

「運営から特別に聞かされた話であるが、『真の報酬』の対象者は吾輩となるらしい」

天問地文の復讐、鷹岡集一郎の暴走、人類チャンコ化事件。
長い長い1日であったが、この日、DSSバトルは全ての対戦を終了した。
6つの試合に決着が付き、支倉饗子は彼女のVRカードを持つ者がいないため、稲葉白兎は試合に現れなかったため、それぞれ不戦敗となった。
そして視聴ポイントの集計は既になされており、後は明日の表彰式を残すばかりとなっていた。
男――“スパンキング”翔は、やや神妙な面持ちで露出卿の言葉を聞いていた。
しかし、コーラのソーダ割を一気に飲み干すと、翔の表情は爽やかな笑顔に変わっていた。

「そうか、おめで「吾輩は次点のお主に権利を譲渡するつもりでいる」

翔は数秒考え、ゆっくりと口を開く。

「いいのか? お前にだって変えたい過去の一つや二つ、あるんじゃねえか?」

露出卿はまぶたを閉じた。浮かんでくるのはあのドラゴンの姿。救えなかった人々。しかし。

「今日の戦いで一つ思い出したのだ。あれはまさしく天災であったよ。
 あの時、吾輩はもっと救えたのかもしれぬ。だが、救えなかったことが今に繋がっている」

露出卿が基準にしたのはあくまで『今を生きる人間』の側だった。

「翻ってあの娘の場合、過去の行いを自分の『罪』だと認識している」

翔の頭に疑問符が浮かぶのを見て、露出卿は続ける。

「彼女の見せていた意志の強さは本当の強さではない。
 彼女は今も自らの『罪』に対する使命感で動いているのだ」

翔はそこでテーブルを叩いた。

「馬鹿なっ! そいつは俺が背負ってやるって!」

翔に着席を促しながら、呆れ顔で露出卿は言う。

「まったくお主という者は……。いいか、女はただ男に守られているだけを是とはせぬ。
 だが、彼女が願いを叶えられぬなら、その『罪』に押し潰されてしまう可能性があるのもまた真実」

聞いているうちに冷静さを取り戻した翔が答えた。

「要は、俺がありがたく受けとりゃそれで済むってことか」


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