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クリフトとアリーナへの想いは Vol.1

1管理人★:2015/04/05(日) 00:08:03 ID:???
クリアリの話題を扱うための待避所です。
ほのぼのから悲恋物まで、あらゆるクリアリの行く末を語り合っていきましょう!
職人さんによるSS投稿、常時募集!

【投稿内容に関するお願い】
・原作や投下された作品など他人の作品を悪く言うのは控えてください。小説版も含めて。
・趣向の合わない作品やレスはスルーしましょう。
・個人のサイトやサークルなどを特定する投稿(画像などへのリンク含む)はご遠慮下さい。
・読む人を選ぶ作品(死ネタ、悲恋、鬱ネタ等)を投下する時には、先に注意書きをお願いします。
・性描写を含むもの、あるいはグロネタ801ネタ百合ネタ等は、相応の場所でお願いします。


    ,. --、
    | |田|| 姫様、お気をつけて
     |__,|_||     __△__ 
     L..、_,i    ヽ___/
 . 。ぐ/|.゚.ー゚ノゝ   / ,ノノハ)) クリフトがいるから
   `K~キチス  (9ノ ノ(,゚.ヮ゚ノi. 大丈夫よ!
    ∪i÷-|j @〃とヾ二)つ
    Li_,_/」   ん'vく/___iゝ
     し'`J      じ'i_ノ

クリフトとアリーナへの想いは@wiki(携帯可)
ttp://www13.atwiki.jp/kuriari/
 ※wikiに掲載されたくない場合は、作品を投下する際にお申し出ください。

162従者:2016/04/30(土) 11:24:41 ID:gxwZAjnU
5年がかりのあの教会の夜の続き、やっと仕上がりました。皆さんに心から感謝です。
初めてご覧になる方もいるかと思いますので簡単にあらすじとご説明を。

私はPS版のセリフをなぞったSS(続き物)を書く者です。(合間になぞらないSSを書くときもあります)
王の病気をさえずりの蜜で治しこれからエンドールの武術大会へ向かうという前夜、
お城の教会に泊まりクリフトや神父といろいろな話をして眠りについたという場面から始まります。
前の内容を知っていなければ読み込めないという話にはならぬようなるべく気をつけますが、
wiki管理者さんが>>1のサイトにて保管してくれていますのでもし読んでいただけたら嬉しいです。

では今回はセリフをなぞらないSSアリーナ視点(一部第三者視点)、「旅立ち」10シーク分投下します。
予告するほどご期待に添える仕上がりになったかは不明ですが、どうぞご覧ください。

163旅立ち 1/10:2016/04/30(土) 11:28:53 ID:gxwZAjnU
――また姫さまと旅ができるだなんて……――
――このクリフト、世界中どこへなりとお供をさせていただきます!――
――嬉しいんです。とても嬉しいんです…!姫さまとこんなに近くにいられることが、私には…っ!――

――クリフトも……いつでも姫さまのお側にいることを望んでいた――
――クリフトを選んでくださったということ、クリフトと過ごしてくださった……――
――クリフトもいずれは……いえ、もうすでに……――

クリフトと神父さまの言葉がやけに耳に残ってる。ふたりとも、あれは本気で言ってたのよね。
きっと本気で言ってた……。

クリフトは私のそばにいることを本気で望んでたんだ。でも、どうして?どうしてそこまで?
わかんない。そんなふうに思われる私ってなんなんだろう。わかんない。
ちょっとだけこわい…。
だって、私がクリフトのそばにいたいなんて思ったことあったかな。
……ああ、そうか。
ひとりで旅に出るのは寂しいからクリフトを連れていきたいって思ったことはあったわ。
もしかしたらクリフトも、ひとりが寂しいから私といっしょに旅に出たかったのかなあ。

「姫さま、神父様、朝ですよ」
「んー」
「姫さま」

クリフトの声がする。うっすら目を開けてみるとすぐ目の前に神父さまがおふとんを頭までかぶってた。
その向こうにクリフトが立ってるのが見える。

「んークリフトおはよー」
「おはようございます、姫さま」
「神父さまー朝だってー」
「あと5分、いえ、3分、時間をください」
「えー」
「朝の二度寝とまどろみは最高だと思いませんか?」
「思うー」
「神父様!」

「朝ですねー。起きますかー」
「ふぁーい」

寝ぼけ顔をこすりながら私は大きく伸びをした。夢を見てた気がするんだけどなんだか思い出せない。

164旅立ち 2/10:2016/04/30(土) 11:32:41 ID:gxwZAjnU
「おはようクリフト。あなたはいつも早起きですね」
「おはようございます神父様、いえそんな」
「姫さまも、おはようございます。夕べはよく眠れましたか?」
「おはようございますー。んー眠れたー」
「それはよかった」
「あ、神父さま寝ぐせー」
「え、どこですか?」
「ここー」
「ああ、本当ですね。恥ずかしいです見ないでください」
「ふふ」
「姫さま。姫さまも、髪が少々乱れておりますよ」
「え、うそっ」

クリフトに言われてあわてて髪をととのえた。ちょっと、少々どころじゃないわ、爆発してるじゃない。

「やだもうー」

昨日ナイトキャップはお部屋に置いてきちゃったの。旅の間はしなかったからもうないのに慣れちゃってて……。

「クリフト、そこのニ段目の引き出しに使っていないブラシがあります。姫さまの髪をといてさしあげなさい」
「わ、私がですか?」
「クリフトといてー」
「そ…っ」

なんとなくつられて言っちゃったけど、クリフトに髪をといてもらうのなんて初めてだわ。
お城にいた時はいっつも侍女にといてもらってたの。お母さまがいた時はお母さまもといてきれいに結ってくれた。
でも旅に出てからは自分でとくことを覚えた。髪もお着替えも、ご飯もお洗たくも、ほんとはぜんぶ自分でやるものなのね。
旅に出て本当にいろんなことを覚えたわ。今までどれだけみんなに甘えてたのかってことも。
でも、今だけは甘えちゃってもいいわよね。これからまたすぐ旅人に戻るんだし。神父さまとクリフトだし。

「で、では姫さま、失礼いたします……」
「うん」

クリフトがブラシを持ってきたから私は反対側を向いた。
神父さまはお着替えをしてるみたい。シャラって金属の音が聞こえるのはロザリオかな。
クリフトもそうだけど、ロザリオってジャマにならないのかな。
パンチをするたびに揺れるだろうしキックをしたら外れるかよけいにからまるかしそう。
そんなことを考えてたらブラシがゆっくり髪にとおった。あ、引っかかった。
クリフトは何回か引っぱってるみたいなんだけどぜんぜんとけない。私の髪、ずいぶんからまっちゃってるみたい。
そしたらクリフトは止まっちゃって。しかもブラシを外しちゃった。さらにおんなじことをもういちど繰り返し。

165旅立ち 3/10:2016/04/30(土) 11:36:32 ID:gxwZAjnU
「ちょ、ちょっとクリフト、そんなやり方じゃぜんぜんとけないわよ。先のほうでかたまるだけじゃない」
「も、申し訳ありませ……姫さま、痛くはありませんでしたか?」
「っもう、クリフトったらまどろっこしいわね。こうやるのよ」

私は左手で髪のつけ根あたりを束にしてつかんで、右手でブラシをクリフトの手ごとつかんで何回かしっかりとおした。
からまった髪がやっとほどけてきれいにとけた。

「ひ、ひめさ…っ」
「そのまんま引っぱると痛いから、こうやって髪を押さえてブラシをとおすの。わかった?」
「…は、はい…」

クリフトは今度は覚えたみたいでちゃんとといてる。でもまだなーんか動きがのそのそしててまどろっこしい。
いつもはなんでもてきぱきやるくせに。髪をつかむ時なんかあんまりゆっくりやるからくすぐったくてむずむずしちゃった。

「…ねえ。クリフトってもしかして、不器用なの?」
「っ…女性の、それも姫さまの髪をとくなどまったくもって想定外です。触れるなどとんでもないことですっ」
「そんなにおこらなくたっていいじゃない」
「い、いえ別に怒っているわけでは…っ」
「おこってるじゃない」

神父さまがくすくす笑ってる。

「神父さまーどうして笑ってるの?」
「いえいえ、これは失礼。それにしても、おふたりは本当に仲良しですね」
「え?」
「そ…」
「な、仲良くなんかないわよっ」
「おや、そうですか?」
「そう!」
「……」
「あ……」

思わず叫んじゃったけど、クリフトがなんにもしゃべらないのが気になってきちゃった。手はゆっくり動いてるけど……。
うう、なんだか振り返れない。でもどんな顔してるかわからないのもこわい。どうしよう。

「あ、そうだクリフト。聞きたいことがたくさんあるのよ!」

166旅立ち 4/10:2016/04/30(土) 11:40:29 ID:gxwZAjnU
そういえば思い出した。
昨日クリフトに聞くことがたくさん出てきて頭の中で整理したんだわ。
でも、なんだったっけ。

「ちょっと待ってね。今思い出すから」

そう、聞きたいことが3つあったのよ。数だけは覚えてるんだけど……かんじんの内容が出てこない。

「ええと、なんだったっけ。えーと……」

いっしょうけんめい思い出してるんだけどどうしてこう思い出したいときに思い出せないのかしら。あーもう!
そしたら後ろでクリフトが笑ったような気がしたの。え、笑った?怒ってない?気まずくなってない?

「…クリフトー」
「はい、姫さま」

あ、普通に返事してくれた。よかったー。ってなんでクリフトが普通に返事するとほっとするのよ。

「あ!思い出した!」

さっきまでぜんぜん思い出せなかったのにほっとしたらなんでか一気に思い出した。

「あのねクリフト、昨日は私、途中で寝ちゃったの。だからクリフトとなに話したか覚えてないの。
それを教えてちょうだい」
「…………」
「それとそれと、どうして私のそばにいたいのかと、あと、どうして最初はいやがってたのかも教えてほしいの」
「…………」
「そうよ。前にもおんなじようなこと聞いた時あったわ。だから今度はちゃんと答えて」
「………………」

クリフトまた黙っちゃった。手も止まってるし。神父さまも黙ってる。しーん。うう、どうしよう。
でも私はクリフトがなにか言ってくれるまでじっと待った。そしたらクリフトがやっと口を開いたの。

「ひ、姫さま……」
「う、うん……」

167旅立ち 5/10:2016/04/30(土) 11:44:44 ID:gxwZAjnU
なんだろう、自分から聞いておいてなんだかドキドキしてきたわ。
これで今までの長年の謎が解けるような気がするの。

「その……そのように一気にいろいろ聞かれましても、何からお話しすればよいか…」
「あ、そっか」

私、あせって一気にいろいろ聞きすぎたのね。

「じゃあじゃあ、どうして私のそばにいたいのかを教えてちょうだい。それがいちばん知りたいの」
「………………」

また黙っちゃった。私、言いにくいこと聞いちゃってるのかなあ。

「おふたりとも、大切なお話の途中で大変申し訳ないのですが……」
「え?」

ずっと黙ってた神父さまが話しかけてきた。お着替えはもうすんだみたい。

「姫さまはいったんお部屋に戻られたほうがいいでしょう。話は旅に出てからもできますから、今は…」
「あ、そっか」

私、昨日はこっそり教会に来たんだった。確かにいちどお部屋に戻って仕切りなおしたほうがいいかも。
せっかく聞いたことがおあずけになっちゃうのは悔しいけど、クリフトとはいつでもお話しできるものね。
そしたらクリフトが小さくため息をついたような気がしたの。ため息っていうか、ほっとしたような…?
私は思わず振り返ってクリフトに言った。

「ちょっとクリフト、今聞いたことちゃんと覚えておいてよね。あとでまた答えてもらうんだから」
「あ、はい姫さま!」

ちょっとびっくりして私を見るクリフト。いつものあわてクリフト。なんでだろう、やっぱりほっとしてしまう。

「髪、もういいわ。ありがと」

私は髪をまとめる振りして目をそらしちゃった。
クリフトの行動ひとつひとつにあせったりほっとしたりするのがなんだか悔しいの。
クリフトのくせに。私よりよわっちいくせに。

168旅立ち 6/10:2016/04/30(土) 11:48:16 ID:gxwZAjnU
「神父さまも、泊めてくれてありがとうございます。お着替えをしたらまた来るわ」
「そうですか。ええ、いくらでもいらしてください」
「クリフトはここにいる?」
「あ、いえ、私も外に行く用事がありますので途中までご一緒いたします」
「うん」
「あの、姫さま、このような大きな忘れ物をされては少し戸惑ってしまうのですが……」

あ、私のまくら!

「うーん、ここに置いてっていい?お城に帰ってきたらまたここに泊まりたいの」
「そんな……こまりましたね。お帰りを待つ間抱きまくらにしてしまいそうです」
「んーいいよー」
「…………」

「何かはなむけでもできればよいのですが、こんな色気のない部屋では……」
「えーいいよー」

神父さまはタンスを開けたり閉めたりなにかさがしてたみたいだけど小ビンを持ってきた。
見たことのある青く透きとおった小ビン。

「ふむ、こんなものしかありませんねえ。持ってきます?聖水。使いかけですけど」
「え、いいの?」
「ええ、いいですとも。来るべき姫さまの門出に使いかけの聖水ではまことに締まりませんが」
「ううん、神父さまありがとう!」

私は神父さまから聖水を受けとった。出かける前にまくと虫よけになるんですって。
ちっちゃいころお出かけするとき神父さまがまいててまき方がすごーくカッコよかったの。
さっそく使おうかしら。

「王に、あなたのお父上にごあいさつしてお出かけくださいね」
「えー?」
「どうかごあいさつを」
「えー」
「姫さま」
「うー。わかったわよ、あいさつね」

169旅立ち 7/10:2016/04/30(土) 11:52:36 ID:gxwZAjnU
私はまず神父さまにあいさつしてクリフトとしずーかに教会を出た。


アリーナたちが出ていったあと、普段の静けさを取り戻した居室で神父はふと呟いた。

「姫さま……。あなたが遺伝や親譲りに嫌悪を示すのは、
あなた自身が幼いころからそのことでつらい思いをされてきたからでしょうか……。
ですが、何も心配することはありませんよ。
何者にも立ち向かっていく力強さと、何者をも愛することのできる心優しさは、亡き王妃そっくりです。
クリフト……」

――姫さまを、どうかよろしくお願いしますよ――

神父はそう言うと少し目を伏せて小さく笑った。
彼女たちがその意味を知ることになるのはもう少し先の話。


「昨日は申し訳ありませんでした」
「え?」
「結局何を申し上げたかったのかはっきりしないままで……」

クリフトがうつむきながら小声でしゃべった。あれ、なんの話だっけ。

「えーと、なんだったっけ」
「…………」
「だ、だから昨日話したこと覚えてないんだって。なんのことで謝ってるの?」
「………………」

うう。
私ってなんでかんじんなこと覚えてないのかなあ。思い出すのだって頭の中でちゃんと整理したのに時間かかったし。
そしたらクリフトがすこしだけ笑ったの。あ、また笑った。
バカにした笑いじゃなくて、おかしい笑いでもなくて、なんだろう、ほっとするような笑い。ほんとになんなんだろう。

「では、改めて申し上げます」
「う、うん」

クリフトは立ち止まった。私をまっすぐ見つめる。

170旅立ち 8/10:2016/04/30(土) 11:56:32 ID:gxwZAjnU
「私は姫さまに、感謝しているということです」

え?

――もしあの日姫さまが城の外へ出なければ、私が外で出ることも、こうしていろいろ学ぶことも、
何より姫さまのおそばにいることはなかったでしょう――

「今まで気づけなかったことや知らなかったことがあまりに多く自分の不甲斐なさに落ち込む時もありますが、
それも含めいろいろ学ばせていただけるこの機会に、おそばにいられるこの時間に、心から感謝しているのです」
「…………」
「姫さま、本当にありがとうございます」
「………………」

「……もしかして、それが答えなの?」
「え?」
「さっきどうして私のそばにいたいのか聞いたじゃない。
それは、今まで気づけなかったことや学べることが、いっぱいあるから?」
「…………」

私はなんとなく思ったまんまに聞いてみた。そしたらクリフトはすこしだけ目をそらしたの。

「それもありますが、その……」
「うん…」
「それだけではありません」

…………。

「……じゃあ、なに?」
「それは……その……」

口ごもるクリフト。でも私はまくしたてないで次の言葉を待った。待ってればクリフトは必ず返事をくれるから。

「その…」
「うん…」
「…………」
「…………」
「………………」
「…………」

171旅立ち 9/10:2016/04/30(土) 12:00:32 ID:gxwZAjnU
「私にも、わからないのです…」
「わからない?」
「っ……」

クリフトはすこしとまどった様子を見せた。なんか、いっしょうけんめい言葉をさがしてますって感じ。

「なんと申し上げればいいのか……その……」
「…………」
「ありませんか?こう、理屈では説明できないようななにか、こう、感情的な心理が……」
「…………」
「と、ともかく私は、ひ、姫さまのおそばにいたいのですっ」

クリフトが早口で言いきった。ちょっと顔が赤くなってる。
まるで思いどおりにならなくて駄々をこねるような、子どもみたいなクリフト。余裕のないクリフト。
…………ぷっ。なんでか笑っちゃった。

「もうー、クリフトったらー」
「恥ずかしい…っ」

両手で顔を隠すクリフト。きっと今真っ赤なんじゃないかな。ふふ。

私がクリフトを連れていきたいって思ったのも別に難しい理由があるからじゃなくて、
ひとりで旅に出るのはなんだか寂しいと思ったから。やっぱりクリフトもひとりが寂しいからなのかな。
でも、私はクリフトを連れていきたい理由が寂しいからなんて悔しくてぜったい言わないって決めたから、
クリフトだってはっきり答えてくれなくても文句は言えないわ。
それになんだか嬉しいの。
だからここまで教えてくれたことに感謝して私はあとのふたつを聞くのはやめた。
クリフトが私のこと嫌いなわけじゃないのはとてもよく伝わってきたしなんだか聞かなくてもよくなっちゃった。

「ありがと」
「姫さま…?」
「言いにくいこと言ってくれてありがと」
「姫さま…」

私はクリフトににっこり笑ってみせた。これからもよろしくね、クリフト。

172旅立ち 10/10:2016/04/30(土) 12:07:01 ID:gxwZAjnU
クリフトといったん別れてお着替えをしてお部屋にいるお父さまにかんたんにあいさつをすませて。
じいがそばにいてなにか話してたみたい。あとで合流するから先に正門まで行っててくれって。
私は荷物をまとめて急いで教会へ。クリフトも荷物をまとめて待ってたみたいでまたいっしょになった。
神父さまに最後のあいさつをして教会を出る。やっと堂々と正門から旅に出られるんだわ!

「あっアリーナ姫さま!ごきげんうるわしゅう!城内異常ありません!」
「うん、おはよう」

兵士があいさつしてきた。昨日会った兵士のひとりだ。どうしよう、昨日のこと謝らなくっちゃ。

「ねえ。……あのね……」
「?…はっ!」
「昨日は、ごめんなさい……」
「?…え、あ、な、何を?ひ、姫さまそのようなっ…あ、頭をお上げください!いったいどうされましたっ?」
「ん…」

私は昨日会った兵士たちに昨日はひとりで寝たくなかったのって言ってみね打ちしちゃったことを謝った。
でもだれも私を責めなくて。
最初に私を見つけた兵士は「あれからお風邪は召されませんでしたか?」って私を心配してくれて。
私がいきなりキックしちゃった兵士は「姫さまがご無事で何よりです!」って叱りもしなかった。
最後に会った兵士はすこしだけ顔が赤くて「昨夜はご無礼をどうかお許しください」ってはんたいに謝っちゃって。
だれも私があのあとどこで寝たのかは聞かなかった。どうしてみんな……。

「それはひとえに姫さまのお人柄によるもの。誰もが皆姫さまを信頼し大切に思っているのですから」
「……そうなの?」
「はい」
「…………」

クリフトの言ったこと、よくわかんない。でも私は兵士たちみんなにお礼を言うのを忘れなかった。

正門でじいとも合流する。
「このブライめの目の黒いうちは姫さまにそうそうムチャはさせませんぞ!」ですって。
お父さまのお許しが出たからもう引き止めるのはやめてちがう作戦に出たみたい。やっぱりじいだなあ。
さあ、向かうはエンドール。今度帰ってくる時は武術大会に優勝した時よ!


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