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クリフトとアリーナへの想いは Vol.1
149
:
従者の心主知らず ナイト 13/16
:2016/04/24(日) 23:58:56 ID:qzWYjsm6
――ありがとうございます…っ――
その声は震えながらも少しだけ嬉しそうに聞こえた。
「う……っ…」
「ナイト、大丈夫ですよ。大丈夫……」
「っ……」
騎士はロザリーにしがみついた。両手で服をつかんでぎゅってする。ロザリーが手を離したから不安になったのかな。
ロザリーはベッドに座って騎士をひざまくらした。泣き顔を無理に笑ってみせる。
騎士は両腕をロザリーの腰に回して抱きついた。まるで子どもがお母さまに甘えてるみたい。
ロザリーも両手で騎士の頭や肩をそっと包み込む。そのままなでてあげたらやっと安心したみたい、騎士は静かになった。
私はなぜか気になって、騎士のことを聞いてみたの。
「この人、ナイトってお名前なのね」
「……それが、わからないのです……」
「わからない?」
「ナイトは自分のことをピサロナイトだと言うのでナイトと呼んでいるのですが、私はそれは名前ではなくて役職だと思うのです。
でもナイトはそれ以外の名前を教えてくれませんし、ピサロさまに聞いてもそれが名前だとおっしゃるので……。でも、私……」
「……じゃあ、この人のほんとのお名前はわからないのね」
「……ええ……」
「アドンて言ってたぜ」
「え?」
荷物をまとめてたソロが返事した。
「さっき戦ったとき、自分のことアドンって名乗ってた」
「アドン?」
「ああ…」
ロザリーは嬉しそうな顔をして騎士を見つめた。
「アドン…」
騎士の頭や肩を優しくなでる。騎士は静かに寝てる。気持ちよさそう。ロザリーのひざまくらにすっかり安心したみたい。
アドン……どうして今まで名乗らなかったんだろう……。どうしてソロには名乗ったんだろう……。やっぱり耳がとがってる。
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