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タブンネ刑務所14

42ショーケースの裏側で:2017/06/06(火) 02:53:37 ID:9mShWw2U0
「チッチッチッチ!」「チィィ〜♪」「ンチッチ」「フチィ〜」
「よしよしです。さあ、たくさん食べてくださいね」
「ミミーッ!!」

ベビ達がご機嫌を直してタッパーで遊びだしたのを見て女子社員は安心し
餌が山盛りになった皿をチビママンネの前に差し出す
見た目は乱雑になってしまったが、そんなことはチビママンネは気にならなかった

「ミッミ!ミッミ!」
「ミッミ!」
「あれ、おちびちゃんも食べたいんですか?」

朝から何も食べられずにお腹が空いてるはずで、出されたらすぐに食いつくかと思いきや
チビママンネは食べる前に勇者ンネを呼び寄せた。一緒に食べようと言っているのだ
勇者ンネはずっと逃げ隠れしていた為にお客さんから餌を貰えず、今日一日何も食べていないのだ
それどころか、あの男達に捕まって以来ショックから丸一日以上何も口に入れていなかった
正気に戻った今、勇者ンネが感じている空腹は想像に余りある
チビママンネは泣きつかれた際にそんな勇者ンネの体調を感じとり、食事に誘ってあげたというわけだ

「ミッミ!ミッミ!」

目の前のごちそうの山に目を輝かせ、耳をぱたつかせて興奮を隠せない勇者ンネ
誇り高い戦士でも心を壊されかけた負け犬でもない、純心な子タブンネの姿がそこにはあった
二匹はどれから先に食べるか少し目移りした後
チビママンネはブロッコリーの芯から、勇者ンネはきんとんから先に食べ始めた
ブロッコリーの芯は十分に加熱してなお硬い繊維質の食感を残していたが、元は野生ぐらしのチビママンネには気にもならない
それよりも加熱したことにより引き立てられた甘みにとても美味しく感じられた
萎びたさつま芋の金団も少し筋っぽかったが、人里離れた山間の草むらに生まれ育った勇者ンネには未体験の美味しさだった
タブンネの最高のご馳走、オボンの実の美味しさは言わずもがなである

「チィ、チィ、チィチ、チィチ」
「ミミッ」「ミーミ?」

2匹が夢中で食べていると、大きなベビンネがよちよち歩きで近寄ってきた
このベビは勇者ンネと同じ群れ出身のベビンネで
乳歯が生え揃う途中の離乳するかしないかの時期なのだ
それは親や仲間が食べているものに興味を示しだす時期でもある

「ミーミー」「チッチ!」「ミィミィ」

勇者ンネはそんな同郷ベビを快く迎え、自分の隣に座らせた
そして「好きなのを食べていいよ」と促すようにごちゃ混ぜに盛られたを餌を指差す
チビママンネも食べる手を止め、その様子をにこやかに笑いながら見ている

「チーチィ、チ、チーチィ…」

食べていいとは言われたものの三種類のうちどれを食べるべきか分からず
嬉しそうな顔をしながらも少し迷っていた同郷ベビだったが
意を決して皿の中で一番興味が惹かれた食べ物をキュッと掴む
それはよりにもよってブロッコリーの芯だった

「あっ、それは…」「ミミミ!」

その瞬間、女子社員はぎょっとした
茹でてあるとはいえブロッコリーの芯は筋張っていて独特の臭いとえぐみもあり、
とても赤ちゃんに食べさせられるような代物ではない
チビママンネもまた女子社員と同じ考えで、両者とも慌てて口に入れるのを止めようとした
だが、同郷ベビは一目惚れしたそれをためらいも無く口に入れてしまう

「チィチィチィチ…」

まずくてすぐに吐き出すかと思いきや、口に含んだまま顎を動かしだしてモムモムと咀嚼し始める
だが、食べ物を歯で噛むというよりかはチュパチュパとしゃぶっているだけの様だ
歯がまだ完全に生えそろっておらずうまく噛めないのである
それでも、シャクッ、シャクッと歯で噛み切る音も時々ではあるがは聞こえてきた

「まずかったら、吐き出してもいいんですよ…」
「チププ…」

女子社員の心配とは裏腹に、同郷ベビはブロッコリーの味を嫌がる様子はなく
それどころか歯で噛む回数もだんだんと増えていき、ついにはゴクンと飲み込んでしまった
この一口を食べている間に同郷ベビはカミカミが格段に上手になっていた
茹でたブロッコリーの芯の程よい硬さが物を噛む練習にちょうど良かったのだ

「ミッミミミ〜!」「ミィーミ!」「チィチィ!チィチィw」
「ええっ、食べれたんですか?」

ブロッコリーの芯を食べられたことにチビママンネと勇者ンネは驚き喜び、
二匹でミィミィと嬉しそうな声で笑いながら同郷ンネを褒め、その頭を撫でた
当の同郷ベビはそれに喜びつつも気持ちは餌の方に向いていたが




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