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タブンネ刑務所14

115ショーケースの裏側で:2017/07/06(木) 05:19:47 ID:wkpBM6l60
「フィッフューー!」

シルフィはムッとして高い声で吠えて威嚇したが、声が怖くないのでお隣ンネは意に関さず
子供を抱きかかえたまま巣の中へ飛び込むように潜り込む
逃げ場のない巣に逃げ込むのは愚策かと思われるかもしれないが、このお隣ンネに限ってはそうではない
お隣ンネはなかなか聡明なタブンネで、逃げ切れる作戦があった

夜の巣の中は月の光さえ届かぬ真の闇で、敵はこちらを捕捉することに難儀するだろう
巣の中はタブンネ臭で充満しているので、鼻が利く敵も自分たちを察知するのは困難だ
一方、自分たちは耳のレーダーを使えばある程度は暗闇の中でも自由に動き回れる
敵が巣の中で右往左往している隙にもう一つある出入り口からこっそり逃げ出し、仕上げに入口を塞いでしまう
こうすれば安全な場所まで逃げるのに十分な時間が稼げるだろう
この作戦は父タブンネから受け継いだ生き抜く知恵であった

「ミッグ… ヒグゥ…」「ミーミィ…」

グズグズと泣く蹴られンネを抱きしめて慰めながら、
お隣ンネは巣の中心部で聞き耳を立てあの捕食者が入るのを待ち構えていた
暗さゆえに分からないが、蹴られンネの右耳は幾つもの裂け目が入りズタズタだ
治ったとしても元の形には戻らないだろう

「ミ…?」

その予想に反し、謎の捕食者は何時まで経っても巣に入って来ない
諦めてくれたのならそれが一番だが、気配は未だ入口の前に居座ったままだ
こうなると外に出ることも出来ずただじっと待つしかない
親子で息を殺して耐えていると突然巣の中に甘い匂いがする風がヒュウと吹き込んできた
外は風もない筈なのに変だなと思ったお隣ンネだったが、
思慮する合間もなく体の風が当たっている部分に猛烈な痛みが走った

「ギギギギィッギ、ギィィ!!」「ギヂヂヂヂヂヂ!ヂヂィ!!」

その痛みはお隣ンネ親子にとって全く未体験の痛みだった
例えるなら、グラスファイバーの粉塵を肌の柔らかい所に擦り込まれるような
金属ブラシで全身をメッタ刺しされるような、そんな感じのチクチクした嫌さがある激痛だ

これはニンフィアが使う「妖精の風」という技で、
フェアリータイプのエネルギーを帯びた桃色の風を相手に吹き付けるという技である
しかし屋外や広い場所では相手に当たるまでにエネルギーが飛び散ってしまい
相手に当たる時には大した威力では無くなっている為に弱い技とされているが
このタブンネの巣のようなかなり狭い密室では話は別だ
風に乗ったフェアリーエネルギーが飛び散ることなく濃密なまま容赦なく襲いかかるのだ




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