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【セ】『それは頁を手繰るように重く』【ブラミト】

1GM:2018/02/02(金) 22:53:12

人生は一冊の書物に似ている。
馬鹿者たちはそれをぺらぺらめくっていくが、賢い人間は念入りに読む。
その書物を読むことはただ一度しか出来ないと知っているからだ。

                             ――ジャン・パウル(1763〜1825)

254明日華・デヴィット『ブラジリアン柔術 セオリー&テクニック』:2018/04/06(金) 00:02:48
「わざと……」

目を伏せる。
それについて口出しすることも考えることもしない。
そんな事をして何になるというのだろうか。

「……」

(もう真正面から振れるほど強いよキミは)

(結局、真の意味で愛されていたわけではないのかな)

お互いがお互いを掴みながら汚泥の中に沈もうとしていたわけだ。
そこに真となる芯があったかは分からない。
ただそんなことももうどうでもいいことかもしれない。

(……いいか)

「千尋さん。この本、貰ってください。ほら、なんていうか。アナタにも読んで欲しいし」

「それとワタシは自分がその数えるほどしかいない友人に入れてみますか……いや、止めときましょう。ワタシの事など好きではないだろうし」

「嫌いではなかったとしてもどうだっていいでしょうし」

首を回し、目を閉じる。
目が痛い。ずっと液晶とにらめっこだったから目が疲れている。

(……)

スマホで潤に電話をかける。
多分、出ないだろうからその時はチャットアプリでメッセージを入れておこう。

【ありがとう。ルーズリーフを見たよ。字を消す必要なんてなかったのに】

【それと、楽しかった。これは取り繕いでもご機嫌伺いでもない事実】

【じゃあ、さようなら】

相手が見たかどうかを確かめる必要はない。
ただ、そう伝えて別れたかっただけだ。

255太刀川 千尋『王とサーカス』:2018/04/08(日) 23:59:48

「『わざと悪い選択肢』ですか」

 不器用なところは変わりないようで、それは少しだけ安心する。
 優等生を辞める、という彼女なりの決意表明なのだろう。
 それにしたって、些か極端が過ぎる。

「しかし……恋人とはいえ、メッセージは君にだけかい」
「あまり目立たなかったかもしれないが、僕だって体を張ったんだけどね」

 意地の悪い笑みを浮かべ、デヴィットを小突く。
 差し出された本を、拒むこともしない。

「……? まあ、君がそういうなら貰っておくけれど」

 受け取った本を学生鞄に仕舞い、部屋を背にする。
 この部屋は、もうただの部屋だ。用が無ければ去るべきだ。

「……あのなあ、デヴィット」

 デヴィットの最後の言葉には、振り向かずに答えた。
 こういう言葉を吐くときは、あまり顔を見られたくはない。

「前々から思っていたことだけれど、いい機会だから言っておくよ。
 恋だとか、友情だとか、そういう大切な関係はだな……
 大切だから、うっかり壊してしまわないように、しまっておきたい人間だっているんだ」

「……僕も、潤も。答えになったかい?」

256『さらば海神号』:2018/04/09(月) 23:33:01

『   [既読] 15:42   』

数分遅れてデヴィットの送ったメッセージに既読マークが付く……返信はない。
彼女が千尋の言うような人間なら、これ以上の感情が零れてしまわないように、
手紙にメッセージを託したのかもしれない。
それでも盛大に筆が滑ったようだし、その痕を消さずに送ってきたが。

『――ピロリン♪』

同じタイミングで、千尋のスマホにSNS通知が表示される。
送信者は潤――メッセージ欄にはURLが貼られている。

……『Oceanus』の言語版の物理書籍通販ページだ。

『 オススメ。英語だけど 15:44 』
『 邦訳版は訳者がダメ。読むなら絶対原語版 15:44 』

『 読み終わったら今度はチーの小説も読ませてくれる? 15:46 』

もちろん彼女は君の英語の成績を知っている。

257『さらば海神号』:2018/04/09(月) 23:35:39

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
-Oceanus 432ページ-

 ワイヤーが断ち切られ、■■たちを乗せたボートは投げ出されるように着水した。
水面が弾け、身を切るような冷たい海水が浴びせかけられる。
■■は寒さにかじかむ手でスターターワイヤーを引き、船のエンジンを始動させる。

「バックマン!」■■は最後にもう一度、オケアノス号の方を振り返る。
燃え落ちてゆく甲板で、炎の中に飲まれる人影が見えた。


-Oceanus  434ページ-

 見渡す限りの水平線が広がっている。
バックマン神父の話通りなら、ここから陸まで数百kmはあることになる。
5人を乗せた救命艇は衛星のナビゲートもない、絶望的な航海へと漕ぎ出してゆく。

 灰色に滲む空。
遥か西の方で、雲の切れ間から差し込む光が海面を照らしている。

「まずはあそこまで向かうとするさ」

■■は舵を切り、船首を西へと向けた。


〈了〉

258『さらば海神号』:2018/04/09(月) 23:40:26
★シナリオ終了 ――→ 回復と成長


・トラウマと喪失を全て回復する
 この時、「感情後遺症表(251頁)」を振って後遺症を決めてもいい

・獲得した禁書ビットと禁書能力を喪失する

・任意の成長(186頁)をおこなう


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