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【セ】貴婦人焦がすは鉄の檻【ドラクルージュ】

1DR死魚:2017/12/06(水) 23:01:06

貴卿らがいかなる騎士であるか、こと細かに問いはすまい。
また、その必要もないであろう。
故に此度の発端を詳らかにするのであれば、事はさほど複雑でもない。

即ち、貴卿らはある女騎士に救いを懇願された。
不徳の騎士、のさばるも我が力及ばず。
どうか我が姉を救うため、力添え願いたい、と。

不徳を討つは騎士の定め。
騎士道に則り、貴卿らは不徳の住まう『ゲヒェンリッヒ城』へと向かう事にした。



常夜国騎士譚RPGドラクルージュ――――『貴婦人焦がすは鉄の檻』


今宵、貴卿らを常夜へと誘わん。

29『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/22(金) 23:47:39

× もし、単独で抗うのであれば『目標値“以上”』、複数人で協力して抗うなら『目標値を超える』出目が無効に必要だ。

○ 行いの対象となった者が抗うならば『目標値“以上”』、それ以外の者が参加するならば『目標値を超える』出目が無効に必要だ。

30“月蝕卿”サーラ:2017/12/23(土) 00:28:46
端役に関しては、先んじて私が掃除できます。
ここは《拷問縛鎖の牢獄》に対し、【抗う力】2点にて判定を行いましょう。
とは言え14を出すには、一人ではどうあがいても賽の目が足りませんね。

diceBot : (2D6) → 10[6,4] → 10

鉄杭を具現化、鎖を大地に縫い止める。
さりとて敵もさるもの。力強き鎖は、鉄杭の戒めを引き抜かんと暴れよう。

「―――多少は、狙いやすくなったかと。」

――― 一人であれば、対処しきれはしまい。
しかし。華々しき役目を負うべき者が、そこに居る。

31”艶福卿”コンラッド:2017/12/23(土) 01:04:23
「ふふ、サーラ」

コンラッドは自身の髪をかき上げる。
その目は鉄杭を鎖を否―――すべてを見つめる。

「多少どころではすまないようだね?」

《拷問縛鎖の牢獄》に【抗う力】を2点使用。
diceBot : (2D6) → 9[6,3] → 9
サーラの10点と合わせて19点だ。

コンラッドの槍は針のように動く。
糸は彼の騎士の鎖。鉄杭を引き抜こうと暴れるものを一本また一本と槍で絡めとる。
踊るような身のこなしにて、動きと動きの間に隙間はなく一つなぎのものとなった。
彼の者の前では恐ろしき鎖は蔓よりもたやすく扱われるのだ。

「では、これにて」

槍を地に突き刺せば槍の一部が霧となりコンラッドの手中で固められる。
コンラッドの第二の武具は斧であった。
コンラッド卿自身の紋章の描かれた刃が銀の煌めきを放った。

「断ち切るとしよう」

斧はまっすぐに鎖の束へと振り下ろされた。

32『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/23(土) 01:17:59

【ジョナサン卿】
「小癪――――!」

新たに生み出された端役たちは、輪舞を前に近づけぬと取り巻くばかり。
まるで貴婦人と戯れるが如き槍捌き、あまりに鋭き斧捌き。
がちんと金音ひとつが鳴れば、鎖は一撃に砕け散る。
霧へと還る鎖のあとは、槍持ち斧持つ騎士の美影よ。

【ジョナサン卿】
「なにをしている、かかれ、かかれ!」

ジョナサン卿の号令に、思い出したかのように雑兵共が押し掛ける。
騎士道に悖るとは言うまいが、優美さにはいささか欠けた戦姿と言えようか。

33『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/23(土) 01:29:20

まずは協調しての抗いに成功したため、貴卿らは互いへのルージュを1点伸ばすがよかろう。
そして行いの後、ジョナサン卿は自らの端役を全て【宮廷】へと移動させた。

これにて最初の一巡が終了――――したが故に、まずは絆奏である。
貴卿らはジョナサン卿へ【怒】のノワールを取得せよ。
リネット卿を弾劾する騎士に対し、怒りが沸き上がった格好だ。

そして二巡目……【ノブリス・オブリージュ】にて【喝采点】ないし【畏怖点】を得た上で、再びサーラの手番からである。


――――――――――――――――――――

【玉座】

【宮廷】コンラッド卿、サーラ卿、ジョナサン卿、(雑兵×4、刺客×2)=6

【庭園】


・ジョナサン卿(存在点5)
・雑兵(兵士役)
・刺客(《刺客を放て》にて呼び出された刺客)

――――――――――――――――――――




――――――――なお、ここまでDRが端役の処理について誤っていたことを謝罪せねばなるまい。
公式FAQの記述、即ち、

>同じ[主]による[端役]は、(種別が違ったとしても)全てまとめて扱われます。
>複数点のノワールやルージュによって、複数体を[壁の華]にしてかまいません。
>逆に、個別の対象とは扱われないため、「エリア内の任意の対象にノワール/ルージュ」を与える効果では、
>合計点数以上を与えない限り、全てを[壁の華]にはできません。

以上の記述に従い、これ以後はこのように処理を行う。

34『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/25(月) 00:25:27

端役の処理について、今回の物語においてのみ有効な裁定をここに記す。



【端役の処理】

・主を同じくする複数種類の端役が同じエリアにいた場合、効果を共有する。

 →ただし、同タイミングで発動できる能力は1種類のみ(兵士役と喝采役が同時に存在した場合、与えるのはノワールか喝采点のどちらかを選ぶ)。

 →効果を選択できる場合、人数に関わらず[端役の種類]回数の処理を行う。
 (兵士役と喝采役と近衛役がいた場合、全てがノワールを与える効果を選んだとして、3点のノワールを与えることができる)

・同じエリアの主を同じくする端役は『複数体だが一塊の存在』として処理する。

 →そのため、3ノワールを単体に与える行いを受けた場合は3体の端役が【壁の華】となる。

 →また、3体に1ノワールを与える行いを受けた場合も3体の端役が【壁の華】となる。

 →例外的に、『エリア内の任意の対象』や『エリア内の全て』等を対象とする行いで1ノワールを与えた場合、【壁の華】となる端役は1体となる。

  →その場合、【壁の華】とする端役は攻撃側が任意に選べる。

35“月蝕卿”サーラ:2017/12/25(月) 00:38:44

迫りくる雑兵達。
しかして侍女の動きに陰りなく。
傍をすり抜けんとする刺客の背に、静かに突き立つ刃一つ。
黒より赤がしぶき、赤は黒き霞となる―――

では、旦那様へのルージュは「主」としておきましょう。
さしあたっては私のターン。敵の扱いが変わったとて、基本的な挙動は変わりません。

まずは行い判定をば。
diceBot : (4D6) → 12[5,2,2,3] → 12
5と2で《振り向けばそこに》、2と3で《血塗られた業》。
エリア内の全員に私へのルージュを与えつつ、ジョナサン卿にノワールを1点与えます。
壁の華にする端役は刺客1体。自分へのルージュは「信」にしておきますか。
端役が戦場に残っているので、ターン終了時にジョナサン卿へのノワールが……端役2種類なので2点ですね。
全て絆奏に合わせて「怒」にしておきましょう。何、あとは旦那様が華麗に始末を付けてくだされば問題はありません。

36『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/25(月) 22:41:05

【ジョナサン卿】
「ぬぅ――――――――!」

……もはや、ジョナサン卿の限界も近い。
最後の始末を――――いざ、つけるがよかろう。

――――――――――――――――――――

【玉座】

【宮廷】コンラッド卿、サーラ卿、ジョナサン卿、(雑兵×4、刺客×1)=5

【庭園】


・ジョナサン卿(存在点5→3)
・雑兵(兵士役)
・刺客(《刺客を放て》にて呼び出された刺客)

――――――――――――――――――――

即ち、続くはコンラッド卿の手番である!

37”艶福卿”コンラッド:2017/12/27(水) 00:37:05
「ではチェックといこう」

彼の周囲に霧が流れる。
そして彼が指を鳴らせば、霧は舞い上がり宙にて深紅の薔薇へと姿を変えた。
進む足の運びは軽く。
時に繊細な動きをもってコンラッド卿はジョナサン卿へと肉薄する。

diceBot : (4D6) → 11[1,3,2,5] → 11

1点と2点を足し《華散らす銀閃》 3点にて《赤き月に散れ》 5点にて《騎士のたしなみ》
全てジョナサン卿を対象とし3点のノワールを与える。

「薔薇と共に散るといい」

「我が一撃に美しき華を添えて送ろう」

舞い降りる薔薇の華ごと彼の者の身を貫いて見せよう。

38『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/29(金) 23:56:53

見事、ジョナサン卿の存在点は0となり――――壁の華となった。
端役でない者を【壁の華】とした特典により、貴卿らは【潤い】を1点ずつ得る。
これはいつか渇きに飢えた時、それを打ち消すものとして重宝しよう。


【ジョナサン卿】
「あがっ…………!?」

見事、槍の一撃が騎士の胸を貫いた。
舞い散る薔薇に紛れるように、ジョナサン卿の胸から花弁が零れる。
騎士は不死にして不滅――――しかし、嗚呼、しかしである。

【ジョナサン卿】
「おのれ、ローゼンブルクの青二才めが……!」
「あ、ああ……!」
「Ahhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhh!!!!」

その渇きは!
不徳は、負傷は、堕落は!
“このように”堕落の兆しとして萌芽する!
おお、見よ!黒衣の騎士が、獣性に堕すその悍ましき様を!
フォーンにも似た山羊の角が奇怪な音と共に生え始め、白き肌が地が裂けるにも似てひび割れていく!
端役の雑兵めらが姿を保てず、黒霧へと変じていく!

【リネット卿】
「……もとより、不徳に身を窶した者」
「堕落の門は、目前だったようですね」

リネット卿の鋭き視線が不徳の騎士を睨み、棘のように言葉が投げかけられる。
その言葉も、届いたかどうか。
ジョナサン卿は獣に堕した。
されど、騎士は不死にして不滅。
この獣の始末をつけられる者は、六つの血筋にただひとつ――――――――

39『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/30(土) 00:07:57


                   , -、           , -、
        、        ∠-─ー-- . ヘ --‐'─- \        ,
.       マ:x、   /      /   \      `ヽ     _, ィ7
         マf三≧ェ廴._     /         \     _斗=fチ三テ′
            ヾ三三三三>、〈  __    __ 〉,x:≦三三三ア
             ,ゞ<三天三ニゞく   ハ   /> ` <三ェr…‐≠ 、
         /       | 、   ヽ l`¨¨´/      /      ノ
           ヽ _,ゝ-, -─`   ¨ ̄ ̄ ̄、  ⌒¨´¨   ー<._
            /      \      _\    ゝ-、__>‐`i
          ,'{⌒,ヽ、__ . イ.:: ̄,`¨7¨´:::::.\`ヽ- '´\:::::::::.\ / 二二二二l
            //ヽ,′::::::::::: |',:::::/.::::∧::::::.、::::::|\:::::::::::::.ヽ::::.\:\       /
.           //  .|::::::::::::::::::ト∨,_\| ',::::/\:|>ヘ.::::::::::::l:::::::::ヽミ <_/
.       //   |::::::::::::::::::|rTfぇミ、 ∨ 'ィチき¨i|::::::::l:::|\.:::::::', \ ` 、   ――――汝、罪有り。
         ,V   /l::::::::::::.\| 弋rシ       弋rシ 小::: ハ|:::::.\:::|   \  \
      / ,\/ ∨:::::::::::.ヽ `¨         ¨´ ノ.:∨.:::::::::::::::::N    ヽ  ‘, 堕落と不徳の咎にて――――
.     / /      〉、:::::::::::.\     '      /.:::ト、::::/、ー‐┘      ',   |
        ,′     / \::::::::.\`: 、 ´ ` . イ.:::::::N ∨、\       |  リ ヘルズガルド家当主、マルグリット・ゲルギアンナ・ヘルズガルド。
     |  |    r‐‐←- ミ _、:::::`:.<l `   ´ l>__|\|,>‐ァ,=‐、\     _ / / 
.      、 、__/`,ヽ、 \   `\:::::.\┐r ´ └,/  ,.'/ \ト、 `¨¨¨ / '´-─ ここに参上致しました。
.      ` `ー | /  \ \   '\:::::.\!   /   //     \`ニ二´___
          /      ヽ 、 _ ノ  ヽ::::::.\  、_ .ノ/      ヽ
.          /        ',       V\::::.ヽ    ′      ハ _,  -─- 、
        ,/{       .}      ○ヽ::::|     { ___     / _  -─- 、| /
.        〃/,>-n‐マニニ{          .}/     }─‐-`ヽ∠≦-─‐----‐'ノ' /
        //// ,r'´l¨l┤}< ヽ       ○      ,′   `ヾ'マニニ=-‐ 彡
.       /〃 { { ノ ノフ/=- \}                |      | l\\─  ¨´
.    / /′,ゝ ´∠//' ,二._ \  _,  ‐   ̄`ヽ ̄|      || lヽ \
    / ./ /, '´./イ Z -‐、_, <´        |_'、     | 、| |\.\
.   / /〈‐┴ 彡 ´| , '´                |   `ヽ    |ヽ_ソ.丿 \ \


――――地獄の番人、ヘルズガルドの騎士に他ならない!
おお、これなるは!
静かに推参した、この見目麗しき氷の少女こそは!
ヘルズガルド家当主、マルグリット公その人である!
騎士が正義を果たし、不徳を討ち果たした折にどこからともなく現れる――――吟遊詩人はそう語り、しかしてそれに偽りなく。
槍で貫かれたジョナサン卿に、罪人縛りの鎖を放つはまさしく“断罪公”!
獣に堕したジョナサン卿が、瞬きの間に縛られてゆく。

【マルグリット公】
「貴方がたが、この罪人を討ち果たした騎士ですね」
「……ああ、失敬。異端もいるようですが」

断罪公の冷たい視線はもはや罪人に向けられず、貴卿らを静かに見やる。
淡々と零れる言の葉は、しかし怜悧な美しさを孕む魔性也。

40”艶福卿”コンラッド:2017/12/30(土) 00:43:46
「……」

(これが堕落……なんという姿)

(騎士としてあるまじき姿。しかし……しかしなぜだ)

(この姿に変わった彼の中に安らぎがあるように思えてしまう)

悲しきかな。道ならざる道を行く堕落の者と共鳴する心を持つ騎士。
コンラッド卿は心中の天秤の傾きは繊細微妙なものである。
ふと目を離せばどちらかに傾き、その勢いで皿に乗った重みのあるそれを放り投げてしまいそうだ。

「マルグリット公。ご足労をおかけした」

「それにしても鮮やかな手並み。流石はヘルズガルド家当主殿であると、感服しました」

41“月蝕卿”サーラ:2017/12/30(土) 01:09:43

無言で一礼する。
望んで得たかはさておくとしても、この身に宿るは異端の血、異端の力。
遍歴の当主マルグリット公は、咎なき異端にも寛容であると言う。
しかし、己に咎なしと判っていても、どうしても緊張は隠せない。

「―――私は、外した方が良いでしょうか。」

少なくとも、サーラ・ヘルロット・フォン・カルンシュタインは、己の世間的な立ち位置を十二分に理解している。
これをご覧の皆様も知っての通り、異端とは堕落者の次に栄光から遠き者。夜獣にすら劣る存在だ―――少なくとも、今の世相では。

42『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/30(土) 01:39:40

【マルグリット公】
「そう畏まらずとも結構」
「我が血統には異端をことさらに弾劾する者もおりますが、私は罪無き異端に用はありません」
「不徳の意思無き夜獣についても同様」
「未だ姿を見せぬ罪について語る気はありませんので」

断罪公の怜悧な視線はコンラッド卿、サーラ、リネット卿と推移していく。
突然の当主の登場に気圧されたか、リネット卿は声も出ない様子。
怯えたように足を竦ませるその姿を、無礼無様と嘲笑することはできまい。

【マルグリット公】
「……貴方がたの武勇により、不徳は見事討ち果たされました」
「ヘルズガルド家当主として、称賛を贈りましょう」
「不徳を討つは騎士の務め。今後も罪を犯すことなく、騎士道に励みなさい」

どこまでも事務的な、淡々とした賛辞が貴卿らに贈られる。
さて、どこまでが彼女の本心か――――否、それを語ることに意味はないのやもしれぬ。
断罪公はヘルズガルドの生きた鎖。鎖に意志など問えはすまい。

【マルグリット公】
「しかし、繰り返しますが――――」
「罪を犯せば罰ありき」
「渇きに身を任せ、咎を得ることなど無きように」

果たして、それは誰に向けられた言葉か。
内に獣を宿すコンラッド卿か、異端たるサーラか。
あるいは――――――――ふと、リネット卿が怯えのあまり膝をついた。
……当主に御目文字かかる栄誉に耐え切れず……というには、いささか異常な怯えぶりだ。
足元まで隠す漆黒の外套を掻き抱き、小鹿のように震えている。

【マルグリット公】
「……そう怯えずとも、貴女を裁きはしませんよ」

【リネット卿】
「は……はい……」

43”艶福卿”コンラッド:2017/12/30(土) 02:03:15
「はは……いえ、失礼。渇きに身を任せることを私は良しとしません」

口ではそう言いながらも体の強張りが隠せない。
自身の中に揺蕩う真黒な炎を感じる。
その炎が我が身を焼く時、自身が獣になったと感じられるだろう。
しかしそれを感じるわけにはいかぬのだ。

「……リネット卿、どうかしたのか?」

「何か気になることがあるのなら」

「あるいは懸念があるのならば伝えて頂きたい」

44“月蝕卿”サーラ:2017/12/31(日) 22:42:19

「―――心得て、おります。」

カルンシュタインの血族は、騎士を僭称する血統である。
なればこそ。時に手段を選ばぬ事こそあれ、その目的は騎士道に則ったものである事が求められる。
無論、騎士道なる言葉は、それこそ幾千幾万の意味を持とうが。
渇きに身を任せ、獣に堕ちる事など、仮令異端の見なれど―――否、異端の身なればこそ。
決して、良しとするはずがないのだ。

「―――旦那様。」

呼びかけ一つ、静かに首を横に振る。
“断罪公”を恐れる者は、概ね二つに分けられる。
一つ、咎持てる者。一つ、印ないし兆しを持つ者。
彼の御方が裁かれるは前者のみ。で、あるならば。
何ら恥ずかしきところなど無きはずの身体をひた隠す、彼の騎士がどちらであるか?
見て取る事は、決して不可能ではないだろう。

堕落の兆し―――本来恥じる所なきはずの騎士が、唯一恥じて然るべきもの。
渇きの果てに身に宿す、肉体の変調。
彼の城にて受けたという責苦の数々が、それを顕すに至らなんだなど。どうして言い切る事ができようか―――

45『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/01/01(月) 23:37:39

【リネット卿】
「あ、その……」

さっと女騎士の顔に青が差し、瞳は力なく地面を見る。
……心を閉ざしている。
なにかに怯えるように。そのことを、貴卿らは感じ取るだろう。
あるいは、サーラの想像することが正しいのであれば――――

【マルグリット公】
「……さて、積もる話もあるようですが、私はこれにて」
「罪人は、責任を持って私が裁きましょう――――“いざ開け、地獄の門”」

氷の視線が、ようやく罪人に戻った。
縛鎖の戒めが一段と強まり、不徳の騎士が苦悶の声を上げる。
それから同時に――――恐怖の表情――――
理由はもはや、問うまでもあるまい。
断罪公の三歩後ろに口を開く、地獄の門を前にしたが故。
無数の白き手が鎖を手繰り、罪人を牢獄へと誘っていく。

【ジョナサン卿】
「ひ、ひぃ……っ」

【リネット卿】
「………………!」

獄卒の手が、罪人の躰を掴んだ。
身の毛もよだつ執行劇は、それにて閉幕。
罪人は地獄へ堕ち、開いた門は轟音とともにまた閉まる。
その光景に眉ひとつ動かさず、断罪公は最後にもう一度貴卿らを見た。

【マルグリット公】
「――――――――では、御機嫌よう」

……そう呟いて去る処刑人を見送れば、後に残るは貴卿らのみ。
静寂、月光、二人の騎士と一人の異端。
怯える女騎士を前に、さて、貴卿らはどのように振舞うべきであろうか――――


                                       【戦の幕、閉幕】

46『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/01/01(月) 23:38:42

――――では、幕間の処理に移行する。
貴卿らは任意の対象にルージュを1点得るか、任意のノワールを1点減らすことができる。
各自、好きなように宣言するがよかろう。

47”艶福卿”コンラッド:2018/01/01(月) 23:51:01
リネット卿:ルージュ【恋】を取得する。

48“月蝕卿”サーラ:2018/01/02(火) 00:00:20
己へのノワールを減らし、0にしておきましょう。

49『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/01/05(金) 00:30:06

【常の幕】

…………不徳の騎士に誅罰を下し、断罪公と言葉をかわし。
それから、しばしの時が経った。
あれ以来、リネット卿はどこか所在無さげに瞳を伏すばかり。
口数少なく、何かに怯えるように。

さてはて、小休止を提案したのは、コンラッド卿であったか、サーラであったか、はたまたリネット卿であったか。
ともあれ貴卿らは、森の中でしばし憩うことに決めた。
赤き真祖の光が貴卿らに降り注ぎ、優しく包み込む。
……リネット卿を、落ち着かせなければなるまい。
可能であれば、彼女の口から真実を聞くべきやもしれぬ。
察することは容易であれ――――察するだけでは、解決はできないのだから。

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       l: |〉、 : :{ Vりノ \|∨ Vり ノ |/ イ l: :.`〈| ∨ \_ \
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                         `ー '

……女騎士の瞳は、不安げに貴卿らを捉えていた。

50”艶福卿”コンラッド:2018/01/06(土) 00:37:46
「ふむ……」

霧で作られた椅子にぐっと自身の体を預ける。
髪をかき上げ、リネット卿に視線を向ける。
柔らかな視線だ。だが心中は平時ほどの柔らかさを持たない。
優雅でありながらその中に歩みを進めんとする固い意志がある。

「少しは落ち着かれたかな。リネット卿」

51“月蝕卿”サーラ:2018/01/07(日) 22:39:08

必要が無ければ、口を挟まないのも従者の仕事だ。
こういう時、状況を動かすのは―――私ではなく、主であるべきだろう。

主人の斜め後ろに、静かに佇む。
一先ずは、状況を静観しよう。

52『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/01/09(火) 01:27:16

【リネット卿】
「それは……」
「……ええ、その、申し訳ありません」
「まだ……少し」

控えめに、再び少女は瞳を伏せる。
外套の端が風に揺れ、しかし中を伺うことはできない。
――――彼女の心を、解きほぐさねば。




――――――――常の幕を始めるにあたり、舞台を解説しよう。


――――――――――――――――――――

【玉座】

【宮廷】リネット卿

【庭園】

――――――――――――――――――――

・リネット卿(存在点10)

【玉座】は月に照らされた丘である。
【宮廷】は岩の転がる丘の麓である。
【庭園】はうっそうと生い茂る森の中である。


貴卿らは好きな位置に駒として自らを配置することができる。
【ノブリス・オブリージュ】――――1点の喝采点ないし畏怖点を得ると共に、配置を決定せよ。

53”艶福卿”コンラッド:2018/01/10(水) 00:05:36
【ノブリス・オブリージュ】喝采点を1点獲得。

自身を宮廷に配置する。

54“月蝕卿”サーラ:2018/01/10(水) 00:20:46
現在の畏怖点は3。
配置は宮廷。

55『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/01/10(水) 00:25:18

――――――――――――――――――――

【玉座】

【宮廷】リネット卿、コンラッド卿、サーラ卿

【庭園】

――――――――――――――――――――

・リネット卿(存在点10)

【玉座】は月に照らされた丘である。
【宮廷】は岩の転がる丘の麓である。
【庭園】はうっそうと生い茂る森の中である。



――――――――では、サーラ卿より行いを開始せよ。

56“月蝕卿”サーラ:2018/01/12(金) 00:40:14

では行い判定をば。
diceBot : (4D6) → 14[6,1,6,1] → 14
……6,6と1,1で栄光の目が2つですね。
1,1,6,6,10,10となります。これは凄い。

1,1,10で《嘲笑う因果の車輪》を具現化。行いの目標値を1増やす代わりに、使用回数を増加することができるようになりました。
残る6,6と10をそれぞれ、目標値と使用回数を増加した《影は傍にて離れず》2回分に割り振ります。
リネット卿とお互いにルージュを4点与え合いましょう。私はリネット卿への絆が満たされるので、[潤い]を1点獲得いたします。
リネット卿への絆は消えざる絆ですので、新たに憐の絆を1点分得ておきますね。

57『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/01/17(水) 02:05:36

【リネット卿】
「…………」

――――静かな時が流れる。
あるいは沈黙は心を強張らせることもあろう。
されど――――カルンシュタインは、静寂の影と共に生きる血統なれば。
沈黙が心を解し、安堵が二人の乙女を包む。

【リネット卿】
「サーラ卿は……」
「…………いえ」
「無礼を、働くところでした」
「“異端として生きる道は、どのような心境なのか”と……あまりに、無礼な問いです」
「お許しを」

伏し目がちに、乙女が言葉を切る。
恥じ入るように微笑み、首を左右に僅かに振った。

58“月蝕卿”サーラ:2018/01/17(水) 23:05:09

「―――難しい問いです。」
「未だ120を数えたばかりの若輩ですが、それでも現状に慣れるには十分な時間を、理解ある主の庇護下で得られましたので。」

あるカルンシュタインの血族の気まぐれで、印を受けた。
それから大旦那様―――グランツ公に拾われるまでは、はて。
どう生きていたのか、今一つ記憶が曖昧だ。
私に印を与えたヘルロット卿は、今どこで何をしているのやら―――

「大旦那様に拾っていただくまでは―――申し訳ありません。何分、昔のことですので記憶の方が少々曖昧でして。」

これでも、自分なりに真摯な解答ではある。
覚えていないと言う事は、きっと無用な記憶だったのであろう。

59『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/01/18(木) 02:40:18

【リネット卿】
「そう、ですか……それは……」
「……サーラ卿は、縁に恵まれていらっしゃるのですね」

僅かに力なく、リネット卿は微笑んだ。
はて、彼女の胸中にあるのは如何なる縁のことであろうか。
叙勲を施した主に辱められることは、どれほどの苦痛であろうか。


――――――――さて、次なるはコンラッド卿の行いとなる。

60”艶福卿”コンラッド:2018/01/19(金) 00:11:36
diceBot : (4D6) → 16[2,4,5,5] → 16
《武勲知らせる囁き》(4)でリネット卿にルージュ1点。
《甘き口づけ》(5+5)でリネット卿とルージュを1点ずつ与え合う。

「縁か……」

「私もそうだ。縁あってこの場にいる」

「そう、リネット卿。君やサーラとの縁だ」

そういって優雅に微笑む。

61『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/01/24(水) 00:30:50

【リネット卿】
「……畏れ多い、ことです」

女騎士の頬にさっと朱が差し、俯く瞳が潤む。

【リネット卿】
「コンラッド卿……私は、恐ろしいのです」
「私の運命に、貴卿らを巻き込んでしまったことを」
「もはや、言葉にしても詮無い事とわかってはいても……そう、思わずにはいられません」
「私はもはや、貴方様を魔道へと呼び込んでいるのは、と……」

62”艶福卿”コンラッド:2018/01/28(日) 00:50:41
「ふ。はは、何を言うかと思えば……」

コンラッド卿が笑えばそれに連動するかのように美しき髪が揺れる。
彼の瞳はまっすぐにリネット卿の事を見つめていた。

「魔道であろうと、構いはしないさ」

「私達の道はその程度の寄り道を許さないものではない」

「だから気にすることはない」

63『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/22(木) 03:35:40

【リネット卿】
「……なんと、誇らしい御言葉でしょう」
「その御言葉だけで、万の援軍を得たかのよう」

リネット卿は、しかしどこか寂しげに微笑んだ。

【リネット卿】
「しかし……しかし、私は」

乙女は語る。
乙女の瞳に映ったものを。


――――リネット卿の手番を処理しよう。


《暗き情熱の発露》目標値:6+5=11 間合:自身 対象:自身
 [刻印具現化]:対象はターン終了時、与えたノワールの半分の【存在点】を得る。

《刻み付ける憎悪》目標値:6 間合:0 対象:他の一体(コンラッド卿)
 対象にルージュを1点与える。この[行い]には[抗い判定]を行えない。この際、何らかの情報を与えてもよい。

《おぞましき心得》目標値6+1=7 間合:0〜1 対象:他の一体(コンラッド卿)
 対象にノワールを1点与える。この[行い]の[判定値]を「7」で発動させた時、与えるノワールは1点上昇する。


――――騎士よ、異端よ、[抗い判定]を選択せよ。


【リネット卿】
「騎士として、あるまじきことを告白致しましょう」
「我が憎悪を」
「刃よりもなお冷たく、洞穴よりもなお暗い、我が憎悪を語らねば、私は……!」

乙女は語る。
彼女の胸中にて燃え上がる、深き深き憎悪の念を。
騎士にあるまじき、不徳にも数えられよう憤怒の渇きを。

64”艶福卿”コンラッド:2018/03/22(木) 23:26:45
《おぞましき心得》に【抗う力】2点を使って対抗。
diceBot : (2D6) → 9[3,6] → 9

「その言葉を受け入れよう」

「それが騎士として、同胞としての務めだ」

目をつむり、指を組む。
そしてコンラッドは彼女の言葉に耳を傾ける。

65『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/23(金) 02:10:25

――――見事。
貴卿が抗いに成功したことにより、リネット卿にルージュが1点与えられた。


【リネット卿】
「……憎いのです」
「私はあの男が、どうしても憎くて仕方がない」
「我が姉を幽閉し、慰み者に嬲り尽くしたあの男が」
「私を、姉を甚振るための道具とするためだけに叙勲を施したあの男が!」
「私も、姉も……心から、騎士道を愛しいと思い、騎士様にお仕えしてきたのに……!」

乙女が吐露する。
彼女の中にある憎悪。
……騎士道を穢す者を見た時、憤るは騎士として当然のことであろう。
だが、ならぬ。
騎士はその憎悪を律せねばならぬ。
騎士たるもの、憎悪や憤怒に身を任せるなどということはあってはならぬ。
それは闇だ。それは渇きだ。
邪な感情は騎士の誇りを渇きで貶め――――やがては。
……私欲のために獣に堕し、地獄へと幽閉された騎士を貴卿らはよく知ろう。
先ほど、その光景を目にしたばかり故。
だが、堕落とは汚らわしい私欲のみによってなされるものではないのだ。
時に――――正当なる怒りすらも、騎士を闇へと引きずり込む。

66『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/23(金) 02:13:07

さぁ――――貴婦人を堕落へと貶めてはならぬ。
今少し、語らう必要があろう。



1巡目を終了し、2巡目に移行する。
その際、まず【絆奏】――――【リネット卿】に対し【憐】のルージュを貴卿らは得るがよい。
そして再び2点の[抗う力]が付与され――――――――――――いざ、サーラ卿より手番を開始せよ。



――――――――――――――――――――

【玉座】

【宮廷】リネット卿、コンラッド卿、サーラ卿

【庭園】

――――――――――――――――――――

・リネット卿(存在点3/10)

【玉座】は月に照らされた丘である。
【宮廷】は岩の転がる丘の麓である。
【庭園】はうっそうと生い茂る森の中である。

67『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/23(金) 02:25:17

※また、【ノブリスオブリージュ】によって各自[喝采点]及び[畏怖点]を獲得せよ。

68“月蝕卿”サーラ:2018/03/23(金) 02:47:58

「―――少しばかり、差し出口をお許しください。」
「騎士の在り様について、私のような者が口を挿むというのは、おかしな話やもしれませんが。」

烈しい憎悪を宿す彼女の在り様は、よく似ている。
無論、私にではない。そう―――我が傍らに座す、旦那様にだ。
方向性は違えど、旦那様もまた、烈しい気性を覆い隠して生きる騎士。
これもまた、縁なのだろうか。

「憤りを感じるのは当然です。騎士以前に、ヒトとして当たり前の事でしょう。」
「ですが―――騎士となった以上、貴女の双肩には、騎士の責務が掛かるでしょう。」
「それは時に、重石となって貴女を煩わせるやもしれません。ですが―――」
                                      ・ ・ ・ ・
「―――それを煩うならば。貴女もまた、彼の不徳の騎士と同じものとなりましょう。」
「それは―――とても、悲しい事かと存じます。どうか、心をお鎮めください。」

「騎士の剣は、荒れ狂う憎悪や、燃え盛る熱情ではなく―――正しき理性によって振るわれねば、ならないのです。」

それは、リネット卿だけではなく―――傍らの主にも向けられた言葉なのだろう。
騎士たる者は、常に己を律し、戒めねばならない。
そうでなければ、何故民の心が安んじられようか。
基本に立ち返り、己の身を今一度省みよ。その姿に、不徳の騎士が影を見るがいい。

―――騎士ならぬ異端の言葉は、さながら鏡のようだ。
自らに不徳の影を見ればこそ、その言葉は重く伸し掛かるであろう。

まずは[行い判定]をば。
diceBot : (4D6) → 15[5,2,4,4] → 15
5と2で《影は傍にて離れず》を旦那様に。
4と4で《この身は忠犬》をリネット様に使いましょう。
旦那様とルージュを2点与え合い、[刻印具現化]しているリネット様には2点のルージュを与えます。

69”艶福卿”コンラッド:2018/03/23(金) 03:28:03
【ノブレスオブリージュ】にて[喝采点]を1点獲得する。

「そうか……」

深く息を吐く。
己が歩んだ歴史を思い返す。
強い念。その激情を己も宿していた。しかし騎士の身でそれが許されるはずもない。
目の前にいる者がまるで過去の自分の鑑写しのように感じてしまう。

「リネット卿……確かに貴卿の持つそれは騎士として律さねばならないものだ」

「それでも私はこういおう」

「だがそれでいい、と」

[行い判定]
diceBot : (4D6) → 13[1,5,4,3] → 13
サーラ卿の逸話の効果を受け、1の目を5に変更する。

5+3にて《甘き口づけ》リネット卿とルージュを1点ずつ分け合う。
5にて《武勲知らせる囁き》リネット卿にルージュを1点与える。
4にて《舞うが如き歩み》【喝采点】を1点獲得。さらに自身にルージュを1点獲得。
これにて【潤い】を得る。

「騎士となる前、私は騎士としての資格を持たぬ者だった」

「多くの恋と多くの闘争。自分の中の漆黒の炎に薪をくべるだけの日々だ」

「私の叙勲も何か裏のあるものだったのかもしれない」

だが騎士となった以上、自身を律するのも務め。
一人の騎士として歩いていく覚悟を固めていた。
間違えのないように進んでいく。

「遍歴となったのも、恐れていたからだ。一つの場所に留まればこの炎がより燃えるのではないかと」

「だが、私にはサーラがいる。私には過ぎたる従者。異端でありながらも誉れある騎士とその在り方は変わらない」

「もしも私が堕落したとしても、この者が醜悪な芝居に幕を下ろすだろう」

サーラ卿への信頼の念がある。
自分の中の危険を納める者がいる。そして一人での旅よりもう二人での旅の方がずっといいことをコンラッドは知っている。

「リネット卿。我々はここからだ。今の激情が過去の激情となれば」

「誰にも恥じることのない騎士としての道の上にいられるのだ」

70”艶福卿”コンラッド:2018/03/23(金) 03:35:38
《武勲知らせる囁き》の対象はリネット卿ではなくサーラ卿であった。

71『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/23(金) 04:00:38

――――見事。
リネット卿の存在点は0となり、[壁の華]となった。
これにより貴卿らには1点の【潤い】が与えられ――――常の幕の処理を終了する。



【リネット卿】
「……まだ」
「まだ、間に合うのでしょうか」
「騎士らしく、私は歩むことができるのでしょうか」
「私が――――」

貴卿らの言葉に、リネット卿がそっと外套を握りしめる。
常に閉ざしていた、その外套。
……もう、貴卿らは察していることだろう。
彼女の外套の、その下にあるものを。

――――意を決したように、悲壮な笑みを浮かべながら、乙女は外套を開いた。

72『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/23(金) 04:01:17

                         . ._
                        . : : : : : : : : 、
                    , : : : : : : `: : : : : .、
                      /: :/: : : : : : :ヽ: : :i,.'ヽ⌒ヽ
                      .': : :{: : : :i: : :',: :l; :.ノ,ィァ'、ヽ }
                      l: : :ハ: : : :'; lVヽ!j/ 、  ∨ヽ、'
                    ノ: :.' : :、: : {ソイア    ,  }ヽ 、
                   ,.: : / : : : 乂:ゝ、   ´__.'_ ヽ{
                  /: : イ: : : : : :.ト,.-=ニニ二二二}        「―――――――――このような、獣脚のケダモノでも」
.                . : : :/ ,: : : : : : :.!ニニニニニニニ!
.              /: : : '  /: : : : : : :,ニニニニニ=‐-=ト、
.              ,: : ;.'  , : : : : : : : :/ニニ,ィニ/ ,.イニニヽ.\ 、
            {: / , イ: : : : : : : : / ` ー,イ/ ,.イ/ニニ二iニ〉\ヽ
            ,: {: : : /: : :/: : : :/  _l.!',l ,.イニニニ二lア  .ハ
. ._   _. . . : : : : :ヽ、:, ': : : /: : : :/  〈二Vl〈ニニニニニ{'   ./ニ}
: : : : : : : : : : : : : : : : : :./、: : : : : : : /   ,ゝニヽ,マニニ二二〉 ./-‐'
: : : : : : : : : : : : : : : :./: : : : ;.': : : :./  /ニニ/ニニニ>‐" /ィ  '
: : : : : : : : : : : : : :./: : : : : : : : : :.;.',.イニニニ,イニニ二/-‐<イノノ_ ,
‐- _: : : : : : /: : : : : : : : : : : /ニニニニ/ニニニ/、´ >マ _/
二ニ=-._  ̄/: : : : : : : : : : : : ;イ二二>"イ二二/_ゝ入__ノ,'<./
ニニニ二/ : : : : : : : : : : : : : イニニ/./ニニニ/、-‐ '" ̄} ト _ノ
ニ二/: : : : : : : : : : : : : : :イ-=≦´-イニニニ/ニニ>-___.ノ
ニ/: : : : : : : : : : : : : : : :イニニニ/ニニ二/ニ> '"´      .
': : : : : : : : : : : : : : : :./ニニ,.イニニニ/ ̄         .
: : : : : : : : : : : : : : /ニニ.イニ二二二/ ,             :
: : : : : : : : : : : : イニニ,.イニニニニニ/ {          、
: : : : : : : : : <二,.イニニニニニニ/   、          、
: : : : : : <ニニニ{ニニニニニ>'"  、
: : ;.<ニ二二二/_ ̄ ̄7'"           ヽ         、
"ニニニニ,. <ニ二二二Y        、
ニニ, <ニニニニニニノ               ヽ        、  ,、
=/ニニニ二二>'"/           ヽ   ,ィヽ        V,イノ、
'ニニ二二>"   //            , -‐-、{//∧        / / ./.!
ニ二>" /  ,イ.'             `'<//////∧ ,.イ⌒>./ /.!,/:'.l
,. '"  /  /イ> 、              ヽ/////,' ,. ⌒  、', .!:::::'.!
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  ノ/ ̄∨///////////////////////////////\.ヽ ー‐ '"/ l:'/ヽ
 ,イ.'      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ``" ‐-<//////r―>― '"   /  .:!
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73『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/23(金) 04:01:48

――――おお、なんと悍ましきその異形。
女騎士の両足は、汚らわしき山羊の脚へと変じている。
これなるは堕落の兆し。
渇いた騎士がその身に宿す、罪の烙印。
いかにも、彼女は清廉なる騎士などではない。
渇きに溺れ、堕落へと足を踏み入れた浅ましき獣――――夜獣の道を往く、呪われた騎士なり。

【リネット卿】
「鉄印卿の辱めに、私は耐えることができなかった……!」
「怒りと絶望に染まった私の心を、真祖ドラクルは見逃しはしなかった!」
「この獣脚こそ、私の罪の証!」

「――――――――姉さんは、堕落の兆しを得る事などなかったのに!」

……心の弱さ、と罵ることは容易だろう。
現に彼女の姉は、強き心を保ち堕落することなく辱めに耐え忍んだのだという。
妹にのみ現れた獣の兆しは、さぞ彼女を苦しめ、鉄印卿を愉快にさせたことだろう――――

74”艶福卿”コンラッド:2018/03/24(土) 01:26:34
「歩めるとも」

コンラッド卿の結論は変わらない。
例え堕落の兆しが見えていただろうと。
その生きざまを受け入れて進むほかない。
でなければコンラッド卿は自身の生きざますら否定しなければならない。

「行こうリネット卿。ここからだ」

「この先に真の騎士道があるのだ」

75“月蝕卿”サーラ:2018/03/24(土) 02:11:11

どう生きるか。難しい命題ではあるが、そこに他者の目を介在させる必要はあるだろうか?
答えは否だ。あえて苦難の道をゆかんとする事に、周囲の視線などは聊かの意味も持ちはしない。

「―――周囲の視線は、厳しいものとなりましょう。」
「ですが―――いえ、だからこそ。あえて苦難の道を往かんとする志こそは、何物よりも貴きものかと愚考する次第です。」

そも、これなる侍女こそは異端の血族、僭称者カルンシュタイン。
夜獣とて、彼の者らに比ぶれば真っ当とされよう。
つまりは、そう。その程度の話なのだ。

「清廉なる騎士の道からは外れてしまいました。それは事実です。今さら覆す事は出来ようはずもありません。」
「ですが―――それでもなお騎士らしくあらんとするのであるならば、その足もまた、己を省みる糧となるでしょう。」

「―――同じ過ちを、繰り返さぬために。」

76『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/29(木) 01:28:49

「……ああ」
「本当に――――罪深い」

乙女は静かに、雫を瞳より零す。
哀しみによって――――などではなく。

「ですが……私は、この深き罪と共に」
「罪によって始まった私の騎士道は、罪と共に在りましょう」

歓喜。
その感情が、乙女の瞳から雫を零した。

「ありがとうございます、コンラッド卿」
「ありがとうございます、サーラ卿」

獣脚にて、乙女は跪く。
祈るように両手を絡め、恭しく礼をして。

「我が獣脚は罪の証」
「脆く手折れた、我が弱き心の証」
「――――同時に、鉄印卿が犯した罪の証」

「彼の騎士の罰となり―――――騎士道の義務を、果たしに参りましょう」

そして顔を上げれば、穏やかながらも美しき笑顔が咲いているのであった。


                                     ――――――――常の幕、劇終。

77『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/29(木) 01:31:24

――――では、幕間の処理に移行する。
貴卿らは任意の対象にルージュを1点得るか、任意のノワールを1点減らすことができる。
各自、好きなように宣言するがよかろう。

78“月蝕卿”サーラ:2018/03/30(金) 00:25:33

今回は、己への[信]のルージュを1点増やしておきましょう。
振り直し回数がかさんだ時にリセットしやすくなります。

79”艶福卿”コンラッド:2018/03/30(金) 00:27:33
リネット卿:ルージュ【恋】を1点増やそう

80『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/30(金) 00:44:52

【終の幕】

いくつの森を超えただろう。
いくつの丘を越えただろう。
数多の道を踏みしめて、数多の草木を踏みしめて。

            ゲヒェンリッヒブルク
――――貴卿らは、“危険の城”に辿り着いた。
暗き森に囲まれたその城の、おお、なんと悍ましき事か!
煌々と掲げられた松明たちが、真祖の柔らかき赤光を掻き消さんばかりに輝いている。
かつては堅牢であったろう城門は、無残不埒に開け放たれていた。
びゅうびゅうと、生暖かい風が城内から漂っている。
その風に乗り、淫蕩な喧騒が微かながらも聞こえるであろう。
他ならぬ騎士、あるいは異端である貴卿らの耳は、微かな音すら聞き逃さぬ。それが幸であれ、不幸であれ。

【リネット卿】
「……恐らく、鉄印卿は玉座の間にいるかと思われます」
「行きましょう――――我らが、騎士道がために」

81”艶福卿”コンラッド:2018/03/30(金) 01:11:15
「城門を開けたままにするとは不用心だな」

「……いや、もうそれをするほどの理性もないほど堕ちたか」

堕落への共鳴を持つコンラッドだがまだこの域ではない。
一度瞳を閉じ、再び開いた時にはその目の奥には強い意志が込められていた。
倒さねばならぬ。かのものを。

「あぁ、行こう」

「騎士の道に栄光と誉れのあらんことを」

82“月蝕卿”サーラ:2018/03/30(金) 23:49:36

この喧騒こそ、何よりも雄弁に不徳を語るもの。
今さら疑う余地も無し。成すべきは一つ。

「―――仰せのままに。」

―――狩りの時間だ。

貴き人々の言葉の元に。
この身は正しく、猟犬となろう。

83『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/31(土) 02:12:18

リネット卿に案内されるままに城内を進めば、さしたる妨害も無く玉座の間までたどり着く。
……油断か、狂気か。
あるいは――――誘っているのか。
いずれにせよ、進む以外の道はありはせぬ。
あけ放たれた玉座の間に足を踏み入れれば――――そこには、唾棄すべき饗宴が催されていた。


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               l |.:.:.:.:.:.:.: |:.:.|:.:.:.:. ! |!、:.:ハ \       、,,  /         「よくぞ我が城においでなすった」
                   !:!.:.:.:.:.:.:.: !:.:.!:.:.:.:.:.\:\ソ   ヽ        ,'         「我が騎士を連れてきてくれたのかな?」
                   ∨、.:.:.:.:.:.ヽ:.ヽ:.> '"´ ̄`ヽ \ >  __   j
                   \ヽ:.:.:>"´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ハ  \ rー―''"´
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84『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/31(土) 02:16:01

鷹揚に貴卿らを迎えるのは、玉座に腰かける騎士。
……貴卿らの傍らで、獣脚を露わにしたリネット卿が怒りと共に剣を抜く。

【リネット卿】
「アイアンサイド卿……!」

――――彼こそは、“鉄印卿”アイアンサイド・ロッソブルク・フォン・アヴァローム。
リネット卿とその姉を辱めた、不徳堕落の騎士である。

【アイアンサイド卿】
「ははは、そう睨むな、リネット」
「懐かしくなって、帰ってきたんだろう?」
「また楽しく暮らそうじゃないか。なぁ?」

アイアンサイド卿は、上機嫌に両手を広げている。
……そろそろ、この堕落の園について目を向けねばなるまい。
見るも悍ましい、この堕落の園。

――――――――男がおり、女がいる。
それらは思い思いに過ごしていた……と表現するのは、いささか怠惰が過ぎようか。
彼らは全裸体で――――まぐわっているのだ。
好きなように、男女の区別もなく……淫らに、まぐわっている。
嬌声と歓声が部屋に響き、淫靡な水音が絶え間なく鳴っている。

【アイアンサイド卿】
「――――お前もそう思うだろう、ライネット?」

……そして、玉座の隣には、鎖にて繋がれた乙女が一人。
もはや語るまでもあるまい。
この美姫こそ、リネット卿の姉君――――ライネット・グリンシルト・フォン・アヴァローム。
乙女は悲壮に言葉をつかえさせ、涙を流す。

85『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/31(土) 02:24:26

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         |::|:::::::|:::::::|::::|Ⅵ从 }/     :.:.:.:.:.:.:   r'::::|ーイ:|   「――――来てしまったのね、リネット」
         |::|:::::::|:::::::|:从 リ     、         .イ::::: }| 〉:::|    「貴女は、逃げてと……そう、言ったのに」
         |::|:::::::|:::::::|::::::|、     c っ     イ::|::|:::::||':::|::|
         |::|:::::::|:::::::|::::::|:`   .        / |: |::|: /'|::::|::|
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じゃら、と彼女を縛る鎖がこすれた。
……これが、鉄印卿の戯れなのだ。
見初めた民を叙勲し……縛り、淫らな饗宴を開く。
決して乙女に手出しはせぬ。
ただ、目の前で交わり騒ぐのみ。
…………ただそれだけが無限に続き、ただそれだけが騎士の心を砕く。
リネット卿の脚が、獣に変じてしまったように。

【リネット卿】
「アイアンサイド卿……!」
「姉さんを、返していただきます!」

【アイアンサイド卿】
「ははは! 相変わらず、血気盛んなやつめ」
「そういうところを気に入っているのだ。くく、客人まで連れてきて……」
「どうだ? 貴卿らも、この宴に加わらんか」
「至上の快楽を貪らせてやるぞ?」

86”艶福卿”コンラッド:2018/04/02(月) 23:36:55
「はぁ……」

眉間にしわが寄り、表情が曇る。
まさかここまでとはと言いたそうにコンラッドは片手で自身の頭を抱える。

「堕ちるところまで堕ちるとこうなるのだな……全く、不快なことだ」

そのまま手が髪をかき上げる。
コンラッドの瞳がアイアンサイド卿に向けられる。

「あいにく、快楽とは一滴の滴のようなものだと思っているものでね」

「渇きを抑えるのは一滴の潤い。そのようにとめどなく流れるものは潤いではなく濁流だ」

コンラッドは霧にて弓と矢を生成する。
そして鎖に向けて矢を放たんと指を離した。

「そこに美などありはしない」

87“月蝕卿”サーラ:2018/04/03(火) 00:02:49

見よ、この悍ましき腐乱の園を。
堕落とは、まさにこれ。不徳とは、まさにこれ。
これなる在り様を笑い楽しむ者。
これを悪と呼ばずして、一体何と呼んだものか。
聡明なりし真祖とて、そればかりは答えられまい。

―――侍女は何も語らない。
猟犬は静かに控え、主の言葉を待つ。
狩猟の始まりを告げる、一声を。

88『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/04/09(月) 01:25:27

【アイアンサイド卿】
「――――残念だ。実にね」

コンラッド卿が放った矢を、玉座に座ったままにアイアンサイド卿が無造作に掴み取る。
――――その腕は、異形に歪んでいる。
獣だ。
獣の腕が、悪徳の領主の腕として矢を握り折った。

【アイアンサイド卿】
「では、仕方あるまい」
「謳うとしよう。踊るとしよう」
「快楽を、快楽を、快楽を――――さぁ諸君! 宴を始めよう!」

鉄印卿が立ち上がる。
一歩進み出れば、足は獣脚に変わった。
一歩進み出れば、両腕も獣のそれに。
一歩進み出れば、美しき相貌は醜き悪魔の獣となる。

黒山羊卿――――奸智姦淫に溺れた騎士の、堕落の末路。
巨大な山羊の怪物が号令を飛ばせば、玉座にて交わり続けていた男女が歓喜の叫びをあげる。
彼らは好色な視線を貴卿らに向ければ、群れとなって貴卿らを取り囲む。

【ライネット卿】
「ダメ……逃げて――――!」

【リネット卿】
「いいえ、姉さん! 今、貴女を助けます!」

89『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/04/09(月) 01:35:06


――――――――終の幕を始めるにあたり、舞台を解説しよう。


――――――――――――――――――――

【玉座】アイアンサイド卿、ライネット卿(熱烈な味方役)

【宮廷】兵士役×3

【庭園】

――――――――――――――――――――

・リネット卿(存在点10)

【玉座】は、玉座周辺である。
【宮廷】は、嬌声響く玉座の間である。
【庭園】は、玉座の間手前の廊下である。


貴卿らは【宮廷】か【庭園】に駒として自らを配置することができる。
また、貴卿らはリネット卿を『喝采役』として【宮廷】か【庭園】に配置することができる。
【ノブリス・オブリージュ】――――1点の喝采点ないし畏怖点を得ると共に、配置を決定せよ。

90『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/04/09(月) 01:43:27

■訂正■

――――――――――――――――――――

【玉座】アイアンサイド卿、ライネット卿(熱烈な味方役)

【宮廷】兵士役×3

【庭園】

――――――――――――――――――――

・アイアンサイド卿(存在点20)

【玉座】は、玉座周辺である。
【宮廷】は、嬌声響く玉座の間である。
【庭園】は、玉座の間手前の廊下である。

91『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/04/10(火) 00:50:41

なお、兵士役の主はアイアンサイド卿であり、リネット卿とライネット卿は貴卿らを主とする端役である。
リネット卿とライネット卿が【壁の華】となってもペナルティは無いため、安心されたし。

92“月蝕卿”サーラ:2018/04/10(火) 00:52:10
現在の畏怖点は5。
配置は【宮廷】としておきましょう。

93”艶福卿”コンラッド:2018/04/10(火) 23:08:43
畏怖点を1点得よう。
そして配置は【宮廷】

94”艶福卿”コンラッド:2018/04/11(水) 00:53:30
リネット卿は【庭園】にいていただこう

95『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/04/16(月) 23:21:17

――――――――――――――――――――

【玉座】アイアンサイド卿、ライネット卿(熱烈な味方役)

【宮廷】コンラッド卿、サーラ、兵士役×3

【庭園】リネット卿(喝采役)

――――――――――――――――――――

・アイアンサイド卿(存在点20)

【玉座】は、玉座周辺である。
【宮廷】は、嬌声響く玉座の間である。
【庭園】は、玉座の間手前の廊下である。



――――――――――――では、サーラ卿より手番を開始されよ。

96“月蝕卿”サーラ:2018/04/17(火) 00:11:05

                       r―v‐┬┬ 、
                    /`Y´\ ̄` ̄ ̄ >、
                   (⌒Y´|   \   ー=≦⌒ヽ
                   / Уソ \    \ー=ニ二  ̄`
                   // .イ/∧   ` ー=ニ二三三二ニ =--‐一
                |//|| | \  __ ー=ニ三三 ̄`ヾY´
                |/ 八|\ `'ーV》r:≦> 三三二ニ`Y⌒ヽ
             {\     |   l! |、Υ(乂乂ノ⌒ヽー=≦⌒ヾ|
             \\     {V(乂ノY´Y∠二ヽ从≧x.  丿
             \\   ((ノΥ ̄ ̄>―-、::\Y(_))
                   \.X^⌒ヽ{/  ´ ̄)::::>'--、|_
       丶二二二二二ヘ.)_)> |〉   ´「ro>< ̄}:::::::`ヽ                ____
          丶ニニニニヘ.)<.ノーヘ    / /   ` ー<::::::: ̄`ヽ              /     /
                          〈__|_!: : .        >-、r<::\__,        /       {_
                       \} /::::::::\: .     /  _\.>:::: |   __  /   ´ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
                         |{`'<:::::::\   /  / ̄ ̄\ : |/ /  / // ̄ ̄ ̄    ',
                          /|    ̄`ヽ>ヘ {   : : : : \ : ////∠ .. __      }
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            (`Y´\    /   /\    : : :.二>‐{     : : : : : :∨,/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ   |
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            ( ∧  ニ=‐Υ// ̄ \  . : : : :/::::::| ヽ.  ´ ̄)/二二二ニ==‐  .    ∨
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       ヽ.二二ヽ.__/ :::::::::: \   . : : : : : : : |:::::::::::::::::::::__/)こノ ̄`Y/\ \\三/\__丿
.            )_ 二二二)'´ ̄ ̄〈\: : : : : : : .:.:.:|こ.二.二.入ノ  }三三三三三 > \\  ノ
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             /      ヽ. <´ ̄ ̄/\: : : :.:.:| ̄ ̄ ∧    |丿  丿  人__)
           __/___ /ー―<__.ノ―‐\: : :.|―<_, ヘ   人_/__ノ
         /////////∧'               \:|       ',. ///,\
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.      ///////////                           `ヾ,////∧
.       ////////'/                          \///∧


―――影が踊り、刃が舞う。
その歩みは、舞踏の如く軽やかで。
その刃に、慈悲はない。
優雅で、苛烈で、無慈悲。
それが、侍女の仮面の内側だ。

diceBot : (4D6) → 11[3,2,5,1] → 11
己へのノワール「怒」を1点得て振り直しましょう。
diceBot : (4D6) → 14[1,5,2,6] → 14
逸話†もはや手段は選ばず†にて、1を5に変更。
5で兵士役に《怪物を見る目とは》、5で《我は汝が影》、6で《振り向けばそこに》を使用。
兵士役にルージュ2点とノワール1点、旦那様と己にルージュ1点を与えます。
そして旦那様にノワールの肩代わりをする刻印を具現化しておきます。

97『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/04/22(日) 23:20:21

見事、御事、美事。
従者の慈悲無き舞踏が、狂乱する淫蕩の罪人たちを壁の華へと押しやっていく。
彼らは悲鳴を上げることもなく、嬌声の中へと消えていく。

【アイアンサイド卿】
『ほう――――美しい』
『欲しいな。あの、美しい従者も』

黒山羊が、醜悪に嗤った。


――――――――――――――――――――

【玉座】アイアンサイド卿、ライネット卿(熱烈な味方役)

【宮廷】コンラッド卿、サーラ

【庭園】リネット卿(喝采役)

――――――――――――――――――――

・アイアンサイド卿(存在点20)

【玉座】は、玉座周辺である。
【宮廷】は、嬌声響く玉座の間である。
【庭園】は、玉座の間手前の廊下である。



――――――――次なるは、コンラッド卿の手番である。

98”艶福卿”コンラッド:2018/04/23(月) 00:37:16
コンラッド卿は【玉座】に移動する。

diceBot : (4D6) → 17[6,5,4,2] → 17

6で《颯爽たる推参》を使用。アイアンサイド卿に2点ルージュを与える。
4+2で《我と共にあれかし》を使用。ライネット卿の[主]を自身に変更する。
5で《騎士のたしなみ》を使用。アイアンサイド卿に1点ノワールを与える。

「いや、させないとも――――」

跳躍。一気に接近する。
ほの暗い炎が燃える。目の前の騎士の身と体を砕かんとする企て。
堕落した者との共鳴によって起こる誰よりも美しく汚い在り方。
堕落した者だけが理解できるかもしれない美の形。

「コンラッド、馳せ参じた。わが友のためにだ」

99『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/05/18(金) 03:17:18

【アイアンサイド卿】
『ああ、失敬、失敬した!』
『コンラッド卿、貴卿もまた美しく――――嗚呼、私は貴卿が欲しい……!』

剣戟。
騎士の刃と黒山羊の蹄とが激しくぶつかり合い、もたらすは喝采也。
さながら、舞踏の如く。
堕落した獣を相手にすれど、艶福卿の美麗が損なわれることはなく。
花弁の如く、火焔の如く、危うくも美しい姿が謁見間を魅了する。

【ライネット卿】
「コンラッド郷……!」

故に、乙女の視線も熱を帯びる。
美しき舞踏を、最も間近で堪能できる栄誉。
常夜国広しと言えど、これほどの悦楽が他にあろうか?



――――――――“熱心な味方役”の効果により、コンラッド卿は己へのルージュを2点獲得せよ。

――――――――――――――――――――

【玉座】アイアンサイド卿、コンラッド卿、ライネット卿(熱烈な味方役)

【宮廷】サーラ

【庭園】リネット卿(喝采役)

――――――――――――――――――――

・アイアンサイド卿(存在点17)

【玉座】は、玉座周辺である。
【宮廷】は、嬌声響く玉座の間である。
【庭園】は、玉座の間手前の廊下である。

100『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/05/18(金) 03:31:52

――――では、アイアンサイド卿の行動となる。


《正視に耐えぬ悪徳》目標値:4 間合:0〜1 対象:他の1体(コンラッド卿)
 次のターン、対象が使用する[行い]の[目標値]は1上昇する。
 この[行い]は[PC人数]回使用してよい。

《正視に耐えぬ悪徳》目標値:4 間合:0〜1 対象:他の1体(サーラ)
 次のターン、対象が使用する[行い]の[目標値]は1上昇する。
 この[行い]は[PC人数]回使用してよい。

《我こそが王なり》目標値:12 間合:0 対象:エリア(玉座)
 対象のエリアにいる全ての[端役]を【壁の華】にする。
 貴卿は次ターン開始時に【存在点】10点か、【行動点】20点を得る。

《堕落!おお堕落!》目標値6+4=10 間合:0 対象:エリア(玉座)
 [領域具現化]:対象のエリアにいる存在が得る[抗う力]は1減少する。


――――騎士よ、異端よ、[抗い判定]を選択せよ。



【アイアンサイド卿】
『欲しい、欲しい、欲しいィィィィィィィィ!!!』
『なにもかも、なにもかもだ!』
『貴卿も! 貴卿も! 貴卿も!』
『我が快楽の沼に沈んでくれ……!』

暴走する黒山羊が――――ライネット卿を、標的とした。
乙女を拘束する鎖を引き、手元に手繰り寄せようと。
おお――――これを見過ごせば、いかなる悪徳が繰り広げられるかについては、あまりに悍ましき故に筆を置きたい。
もはや彼の騎士は、乙女をその手で汚すことしか頭にないのだから。

101“月蝕卿”サーラ:2018/05/24(木) 00:44:12

短剣を投げつけ、鎖を縫い止める。
とは言え、鎖を砕くほどの力はない。
殊更に、相手は先のジョナサン卿よりも高位の騎士。
ちょっとした時間稼ぎが精々であろう。

《我こそが王なり》に抗いましょう。
手持ちの抗う力2点を使って判定します。
diceBot : (2D6) → 6[4,2] → 6
……普通ですね。流石に一人で抗うのは無理がありそうです。

102”艶福卿”コンラッド:2018/05/24(木) 23:30:35
舞うように武器を振るう。
迫る鎖に楔を打つ。

「そう猛らないでもらおうか。少々、品位を欠く」

抗う力を2点使う。

8 [2D6] 5,3 (00:46:59)

サーラ卿の6点と合わせて14点で《我こそが王なり》に対抗しよう

103『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/05/25(金) 23:35:17

短剣が鎖を穿つ。
次いで、槍が。

――――乾いた音と共に、乙女を縛る鎖が砕けた。

【ライネット卿】
「きゃあっ……!」

乙女が重心を崩し、倒れ込む。
怒り狂ったのは、軽くなった鎖を手繰る黒山羊だ。

【アイアンサイド卿】
『嗚呼……酷い、酷い……ワタシはぁ……!』
『私はただ、何もかもが欲しいだけなのにィィィィィィィ!!!』

醜く、獣が地団太を踏む。
……かつては、あれも騎士であった者だ。
美しく、誇りを持っていたはずの者の成れの果てが――――この醜き獣。
なんとおぞましく、残酷な事実であろうか。
貴き真祖の眷属たる騎士が、これほどまでに堕落しようとは……


――――《我こそが王なり》が打ち消され、アイアンサイド卿の【存在点】が1減った。
その他三つの行いは、発動した。


……最後に、ライネット卿及びリネット卿の移動が行える。
決定権は貴卿らに。
移動を行わない場合も、「移動を行わない」と宣言せよ。

104”艶福卿”コンラッド:2018/05/26(土) 00:05:25
「欲することでどれだけのものを穢した」

「私には貴様の方がよほど酷いものに映ると知れ」

言葉が己に跳ね返る。
否、それはどこかにいたはずの、いつかいたはずの若者の話だ。
艶福卿、コンラッドの身には帰らぬ言葉。

移動はしない。
騎士は目の前の敵を強く見続ける。

105”艶福卿”コンラッド:2018/05/26(土) 00:09:07
「ライネット卿。ここは危険だ。これ以上、花が傷つけられる様を見たくはない」

ライネット卿には宮廷に下がっていただく。

106“月蝕卿”サーラ:2018/05/26(土) 00:29:03

リネット卿には、そのままの位置で待機していていただきましょう。
こちらに来ても良い事はありませんし。

107『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/05/27(日) 22:47:56

【ライネット卿】
「は、はい……御武運を……!」


――――――――――――――――――――

【玉座】アイアンサイド卿、コンラッド卿

【宮廷】サーラ、ライネット卿(熱烈な味方役)

【庭園】リネット卿(喝采役)

――――――――――――――――――――

・アイアンサイド卿(存在点16)

【玉座】は、玉座周辺である。領域:《堕落!おお堕落!》が具現化している。
【宮廷】は、嬌声響く玉座の間である。
【庭園】は、玉座の間手前の廊下である。



……では、次のターンへ移行する。
各々方、【ノブリス・オブリージュ】にて喝采点と……【抗う力】を獲得せよ。
玉座にいるコンラッド卿は、獲得する【抗う力】が減少する点に注意せよ。
また、両者とも《正視に耐えぬ悪徳》を受けている点に注意せよ。


――――――――サーラ卿より、手番を開始されたし。

108“月蝕卿”サーラ:2018/05/27(日) 23:30:33

ライネット卿とすれ違うように、玉座へと歩み寄る。
直後―――おお、これは如何なる仕儀か!
まるで切り取られたかのごとく、玉座周辺が深い闇に包まれたのだ!
逆もまた然り。玉座の間近にある者たちには、あたかも外側が切り取られたかのごとく見えたであろう。
如何なる者が、真祖の恩寵なき真なる闇を越えられようか。
今や二つの領域は、闇の帳にて完全に切り離されたのだ!

「色々と目に余りましたゆえ、覆いをかけさせていただきました。」
「不作法の程は、お許しを―――」

足取りは軽やかに、翻る手は冷酷に。通る声は、涼やかに。
鋭利な刃が、獣に迫る。

まず畏怖点を1点獲得。現在の畏怖点は6点となります。
このうち2点を使い、行い判定のダイスを2個増やしましょう。残る畏怖点は4点ですね。

diceBot : (6D6) → 21[3,6,4,6,1,1] → 21
栄光の目がふたつ。3,4,6,6,1,1,10,10となりますね。
まず玉座に移動。10にて《黒く黒く満たせ》(目標値8+1)を使用。玉座と宮廷の境界は、私の[境界具現化]を解除しない限り何人たりとも通過できません。
さらに1,10にて《この身は猟犬》(目標値10+1)を旦那様に使用。次の旦那様の行いの目標値をすべて2減少いたします。
3,4にて《影は傍にて離れず》(目標値6+1)、6,1にて《振り向けばそこに》(目標値6+1)。旦那様に1点、アイアンサイド卿に3点のルージュを与え、アイアンサイド卿へのルージュを2点得ます。私の得るルージュの属性は憐にでもしておきましょうか。
最後に6にて《称賛の声はなし》(目標値4+1)。畏怖点を1点獲得。これで残る畏怖点は5点になります。

109『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/05/27(日) 23:57:18

御武運を――――すれ違いざま、乙女の声援が従者にかかったやもしれぬ。
正義を――――その背に、乙女の悲願が投げかけられたやもしれぬ。
二人の姫君を、闇にて切り離す。
これより演じられるは、あまりに浅ましき堕落者の末路であるが故。
短剣を突き立てられた獣が――――喜悦に、悲鳴を漏らした。


――――――――――――――――――――

【玉座《堕落!おお堕落!》】アイアンサイド卿、コンラッド卿

《黒く黒く満たせ》

【宮廷】サーラ、ライネット卿(熱烈な味方役)

【庭園】リネット卿(喝采役)

――――――――――――――――――――

・アイアンサイド卿(存在点13)

【玉座】は、玉座周辺である。領域:《堕落!おお堕落!》が具現化している。
【玉座】と【宮廷】の間には、境界:《黒く黒く満たせ》が具現化している。
【宮廷】は、嬌声響く玉座の間である。
【庭園】は、玉座の間手前の廊下である。


――――――――次なる行動は、コンラッド卿によるもの也。

110”艶福卿”コンラッド:2018/05/28(月) 00:40:51
「サーラ! 苦労を掛ける」

コンラッドの鎧が霧と化し、この世から失われる。
しかし霧は未だ消えず。新たな形をこの世に産み落とす。
まるで舞踏会に華を添えるが如き美しい礼服。
それこそが艶福卿であるコンラッドの真の鎧。
全てを舞うかのように優雅に行うという意思の表れである。

「さぁ、まだ我が手を緩めるには至っておらんよ」

喝采点を1点受け取り、2点使用する。

diceBot : (6D6) → 27[4,5,3,6,6,3] → 27
栄光の目によって 4,5,3,6,6,3,10だ。

《麗しき我が血統》(目標値17-1 10+6使用)を使用。
形態具現化。これより宣言する[行い]の対象が[自身]以外である時、その[行い]の間合いは1増加し、与えるルージュは1点増加する

《武勲知らせる囁き》(目標値4-1 3使用)
アイアンサイド卿にルージュを1+1で2点を与える。

《甘き口づけ》(目標値8-1 3+4使用)
アイアンサイド卿と1+1で2点を与え合う。

《華散らす銀閃》(目標値3-1 5使用)
アイアンサイド卿に1点ノワールを与える。

《騎士のたしなみ》(目標値4-1 6使用)
アイアンサイド卿に1点ノワールを与える。

これで4点のルージュと2点のノワールのはずだ。

111『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/05/29(火) 23:43:51

【アイアンサイド卿】
「おおお……!」

ひとつ、ふたつ、みっつ!
踊るように、次々と黒血が迸る。
玉座を穢し、蒸気となって溶けていく。
罪を示す、醜悪なる黒血だ。


――――――――――――――――――――

【玉座《堕落!おお堕落!》】アイアンサイド卿、コンラッド卿

《黒く黒く満たせ》

【宮廷】サーラ、ライネット卿(熱烈な味方役)

【庭園】リネット卿(喝采役)

――――――――――――――――――――

・アイアンサイド卿(存在点7)

【玉座】は、玉座周辺である。領域:《堕落!おお堕落!》が具現化している。
【玉座】と【宮廷】の間には、境界:《黒く黒く満たせ》が具現化している。
【宮廷】は、嬌声響く玉座の間である。
【庭園】は、玉座の間手前の廊下である。

112『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/05/29(火) 23:47:40

――――――――――――――――――――

【玉座《堕落!おお堕落!》】アイアンサイド卿、コンラッド卿、サーラ

《黒く黒く満たせ》

【宮廷】ライネット卿(熱烈な味方役)

【庭園】リネット卿(喝采役)

――――――――――――――――――――

・アイアンサイド卿(存在点7)

【玉座】は、玉座周辺である。領域:《堕落!おお堕落!》が具現化している。
【玉座】と【宮廷】の間には、境界:《黒く黒く満たせ》が具現化している。
【宮廷】は、嬌声響く玉座の間である。
【庭園】は、玉座の間手前の廊下である。

113『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/05/30(水) 23:36:02


――――では、アイアンサイド卿の行動となる。


《正視に耐えぬ悪徳》目標値:4 間合:0〜1 対象:他の1体(コンラッド卿)
 次のターン、対象が使用する[行い]の[目標値]は1上昇する。
 この[行い]は[PC人数]回使用してよい。

《堕落の偶像》目標値:14 間合:0〜1 対象:エリア(玉座/コンラッド卿・サーラ)
 対象のエリアにいる任意の存在が持つ全ての[絆]に、加えられているルージュと同量のノワールを与える。

《禁じられた悦び》目標値10+2=12 間合:0 対象:他の2体(コンラッド卿・サーラ)
 対象の【潤い】を1点減らす。


――――騎士よ、異端よ、[抗い判定]を選択せよ。



【アイアンサイド卿】
『暗い……暗い……暗いぞ……!』
『暗いのは……嫌だ……輝きがなくては……輝きが……!』

傷付いた黒山羊が、己の胸を掻きむしる。
飛び散る黒血――――それが、じゅうと音を立てて香気へと変じる。
堕落の獣が放つ、醜悪なる魅了の香気――――騎士とて、浴びれば正気を保つのは容易ではあるまい。

114”艶福卿”コンラッド:2018/06/05(火) 22:57:01
《正視に耐えぬ悪徳》に抗う力1点で対抗しよう。

diceBot : (1D6) → 3

一つ足らず。コンラッド卿は敵の攻撃をかわしきることはかなわなかった。

115“月蝕卿”サーラ:2018/06/05(火) 23:02:08

では、こちらの[抗う力]2点を使い、《正視に耐えぬ悪徳》に協力して抗いましょう。
出目を合計すれば1ゾロでも問題なく判定に成功しますので、判定は省略。

116『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/06/06(水) 22:50:51

では《正視に耐えぬ悪徳》が無効化され、アイアンサイド卿の存在点は【6点】となる。

《堕落の偶像》《禁じられた悦び》は発動――――各員ノワールを獲得し、潤いを減らしたまえ。

117“月蝕卿”サーラ:2018/06/06(水) 23:03:32
己へのノワールが4点上昇。渇きが1点上昇。
リネット卿へのノワール(妬)が2点上昇。
旦那様へのノワール(妬)が3点上昇。
アイアンサイド卿へのノワール(殺)が2点上昇。
潤いが1点減少。残る潤いは2点となります。

118”艶福卿”コンラッド:2018/06/07(木) 00:00:15
自身へのノワールが2点
コンラッド卿へのノワール(殺)が2点
潤いを1つ失い残り1

119『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/06/12(火) 00:02:52

では、最後に絆奏――――各自はアイアンサイド卿に【殺】のノワールを受けよ。

そして各自が【抗う力】を1点ずつ獲得し――――第三ターン。
サーラ卿より、手番を開始せよ。

120“月蝕卿”サーラ:2018/06/14(木) 00:59:45

呻く黒山羊の喉元に、突き立つ刃。
肩を、手を、足首を。矢継ぎ早に貫く刃。
騎士も、異端も、堕落者とて、その程度では死ねまいが―――

肩を射抜かれれば、手に力は籠らぬ。
手首を射抜かれれば、手は動かぬ。
足首を射抜かれれば、歩みは進まぬ。
喉を射抜かれれば、言葉は紡げぬ。
無論、傷が癒えれば刃も抜けよう。
傷が癒えるまでに、さほど時間も掛かるまい。

しかし、それはもはや、問題ではない。
何故ならば。嗚呼、何故ならば。

121“月蝕卿”サーラ:2018/06/14(木) 01:01:01


                   , -‐ ‐ ´   `  、
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             /       ,ィ´ ∨_ j    {   l    /  人
              /    ,   フ、/  /       i   ノ   |/
           / .   /   / ./ /   ,  -‐‐ -、   `ヽ |
              /   /    7/ /  , ィ ´       /   ヽ|
          /   /      / /  /     ,,,,, -‐ /     ',
         ,'   ,'    /  { ∥ /_ -―'''' _, 7   /   ',
            i  / ,' /  / l ` |/.:∧    -=彡イ/ /}       |
        /_,イ i /   {  |   l 乂.ノノ)'乍芹ミX / ∠z7    /}  |
         /  l  i/   ∧ l   | :Yイ ハ Vノ   // ,イリヾ.:| / ,' /
          ', .|  ./ ∧ |   l  乂.ノノ) `¨  /  {-' / リ!/'/
           V . {  / ∧i l i l',|:Yイ ハ       ∨厶イ)
           \∧/∨ 〉 | ! l l 乂 ノノ)、 __   イ |.乂`Y       ―――それでは、後はお願いいたします。
                /   ,´! ト、| l l  Yイ ハ |`:く  ! | 乂ハ             ・ .・..・ .・ .・ .・
                    / `  、}.|.l   乂ノ.ノ) l__ ∧/ 八  乂`Y     私は、部屋の片付けがありますので。
               /     l/    :Yイ ハヘ  ∧./  j   乂ハ
                〉、         く⌒Y⌒ヘ ∧    <⌒Y⌒>
               ,':::::`ヽ、       :レ介ーく∨∧     ∨ハ⌒ヾイ
                 i::::::::, -‐==、-- 、 :| ハ 乂 ∨∧    人 ....彡′
                   !:::::/      \ ヽ!乂ミ=ー、 ∨∧      ̄
               _.   l::::/        `、:::::::ヽ `ヽ::\∨∧<ヽ-、
          / \ |::/         ! `、::::: ヽ _  ∨.へ.ィ/ /


―――狩りの時間は、もう終わり。
後に待つのは、裁きの時だ。

diceBot : (7D6) → 31[6,6,6,2,4,5,2] → 31
6,6で栄光の目が成立し、10が追加。さらに渇き1点を保持しているため、6のうち1つが7になります。
つまり宣言に用いることのできる出目は7,6,6,2,4,5,2,10となりますね。
2,10にて《嘲笑う因果の車輪》を宣言。このラウンド中、私は行いの目標値を1増やす事で、その行いを2回宣言できます。
5,2,7にて《影は傍にて離れず》(目標値6+1)を2回、6,6にて《怪物を見る目とは》(目標値5+1)を2回、4にて《血塗られた業》(目標値4)を1回宣言いたします。
アイアンサイド卿にルージュを6点、ノワールを3点与え、私はアイアンサイド卿へのルージュを4点獲得します。
おや、アイアンサイド卿への絆が潤いになりましたね。これで手持ちの潤いは3点です。

122『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/07/03(火) 04:58:20

――――アイアンサイド卿の存在点が、0になった。
各自、【潤い】を一点獲得せよ。


――――――――交戦意思を持つな脇役がいなくなったため、戦闘処理を終了とする。




【アイアンサイド卿】
「バカな……!」

踊るが如き、従者の猛攻。
……否や否。
主従の舞踏と、そう呼ぶべきか。
美しき薔薇は花弁を散らし、月を蝕む者は湖上の如く。
穿たれ、穿たれ、穿たれる。
獣の黒血が玉座を濡らす。

【アイアンサイド卿】
「何故だ……!」
「何故、私のものにならない……!」

獣が吠える。
喉に刃が。
血を吹き、血を吐き、言葉が消える。
ど、と黒山羊が膝を突いた。
……限界、ということだ。
堕落者は今、討伐され――――



      _ィ<二二二二二/}トニニ―_
    _ィニ/ 。...¨..<二二/.....jj...}二二ニィ.〉
  _-=ニニ/。.......゚..>个ー-f ⌒Y...ノ ̄)/.../
  《...>-〈..,,ィ⌒i  人_ノ⌒< ̄>ノ⌒>/== ―ミ
  `\  〉 t__ し<:.:.:ト:.:.:.:.:.:.:.:.:Y⌒>' ̄> ¨¨⌒ヽ \
   r≦__/^爪:.:.:.、:.:.:.斗z≧'':.:.:.:.:}`ー <ミ=ー
   ', /¨:.:‐:‐ト、:.:.ミ ィ存歹;.:ヽ:.:ト............/∧     〉 )
   乂{:.:.:.:.:|ハリ ,\    ̄¨V:.:.:リ.:.\......../∧     / /   「――――――――罪状」
     }Ⅵ:从f苡       ル人:.:.:.:.:.\...._〉ニ≦/
        乂:.ゝ   _   ノイ:.:.ト:.:.:.:.:.:.:.Yヽ≦三三三ニ==ー _
      /:.:.:ト.  ‘     ル从ハ:.:ミ.:.:.:.}_         ̄¨¨ ・・==三三三三ミ
     .:.:.:.:.小)≧o。__,,,≦zzzyVヘ:、.:V...........ヽ
     /.:.:.:∧トミ _《ニr]i[ョ二彡〃......リ...≫==》
      {.:.:.〈/ >... ̄...辷宀¬二《......../" > ¨¨`-…ミ
     >x:ミ《......_彡斥ニ‐二二ヾ≪ //        \
    //  厂¨¨/二、○''二二二Y , ' / >…==ミヾ \
  //    /   ,'ニ二二二二二二ニ] {  / /¨¨ ̄ ̄ `y 〉
//    /   {二二二,ニ二二二ニj { V  /{ λ   厂 Ⅳ
     〈     v二ニ_^二二二ニ入 j{  {iiiy//}   Ⅳ'\
      《≧ry三}二二○二二二二Vニ>{  {iiiV/从   |////\
     /       」ニ二二二二二二ニY 〈  iiirV//乂 ノ//////\
    r'^ ヾ  rf][ ][二二][ ̄][二ニ]}  \ⅷr'V/////////////\
   /     >二二二^ミ二二二ぇY     ¨と y//////////////\
 /   >ニ二二二'○、二二二二ニ\    〈_У//////////////∧
,‘   >ニ二二二二二二二二二二ニへ〉       V,////////////,/ /
   f≧<二二二ニイ'|二二二二二二二\       V//////////// /
  /¨¨ヾ\二≫゚/| [二二二二二二二二〉     ∨////////// /
/      >…イ'  ト “<二二二二二>' イ       V ̄_ ̄_]./
    /    /  i  \“<二二>”< 八


――――いる。
いる。
既に。
黒き御髪を小さく揺らし、鎖を鳴らして現れる。
ヘルズガルド家現当主、マルグレット公――――堕落者に、判決を告げる者。

【マルグレット公】
「我欲に呑まれ、民を虐げ」
「快楽に溺れ、従者を弄び」
「人心に病を投じ、醜くも堕落を晒す」
「――――その上で騎士に敗れた以上、貴卿に下す判決はただひとつ」




                          「いざ開け、地獄の門」




開く、開く、開く。
彼女の背で、地獄の門がゆっくりと開いて往く。
地獄の亡者どもが白き腕をまさぐらせ、道連れを求めていた。
獄卒共が、その奥から堕落者を嘲笑っている。
鎖が伸びる。
黒山羊を捕らえた。

【アイアンサイド卿】
「い、いやだ……!」
「私は、私はまだ、なにも手に入れていない!」
「ライネット! ああ、私のライネット!」
「何故だ! なぜ君は私の側にいないのだ!」
「どうして君は、私のものにならないのだ! 何故!」

黒山羊が喚く。
その巨体が、徐々に地獄へと誘われて行く。
誰も抗う事など出来ぬ。
常夜国の、罪人である限りは。

二人の乙女は、二度と姉妹が引き裂かれることがなきよう、白き指を互いに絡ませる。
リネット卿が、ライネット卿が、涙ながらに怒りを宿す。

123『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/07/03(火) 04:59:00

                    . . . .-―‐-. .
                   、丶`: : : : : : : : : : : : : : : . .
_                 . : : : : : : : : : /: : } : : : : : V/: : : .
ニ-_             /: : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : :V/: : : :\
ニ=-_          , : : : : : /: : : : : :/: : : : : : : : : : : : v/: : : : : .
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ニニ=-_r<ニニニニ=- _: }                /i:i:i://    .}i}
ニニニ=-ヽニ=-‐=ニニニ込、             ./i:i:i:/. /   //}  「――――騎士道を知らぬ畜生に」
ニニニニ=-}ニニ=-‐=ニニニ_     r::、    {i:i:i:/ ‐七I〔i:i:/: i
ニニニニ=-}ニニニ=-‐=ニニニ _ニニニニニ=- _{i:i:/ / : /:/i:i:/: : :}
ニニニニ=-}ニニニニ=-‐=ニニニVニニニニニニニニ=-,/:/i:i:/}: : : V/
ニニニニ=-}ニニニニニ=-‐=ニニVニニニニニニニニニ}/// , :! : : : .
ニニニニ=-}=-‐=ニニニニ=-‐=ニニ}/,ニニニニニニニニ:}//////,_: : : :v/
ニニニ=-/ニ=-‐=ニニニニ=-‐=ニ}//,ニニニニニニニ '//////}-: : : :V/
ニニニ=- {ニニニ=-‐=ニニニ=-‐=}///,ニニニニニニ////////=-: : : :\
ニニ=-/ [ニニニニ-}ニニニ=-‐=}////,ニニニニニ////////=-: : : : : : :丶
ニ=- ニニ{ニニニ=-/ニニニニ=-‐V/////,ニニニニ////////-/=、 : : : : : : \
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124『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/07/03(火) 04:59:43

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                      |: |::::::|示∨::/∨ィ=、|:| | |: ::|
                    |::|::::::|弋ソ∨   弋ツ |:|_|_|: ∧
                    |::|::::::|    '       /: :|-、::::∧   「――――語ることなど、御座いません」
                   _|::|::::::|` 、  -  ./l: :::| |::: ::∧
                _, -‐'´ |::|::::::|/_≧._≦/!:::::| k::::::::∧
         、-‐'´ ∧.   |::|::::/|∨: :「|:::::::://::::/ ./\::::∧
       , -'´∨   ∧   |/∨-レV: :|.|:::::::||:/:::://   \: !
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125『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/07/03(火) 05:01:30

「「……さようなら、領主様」」

乙女らの最後の呟きは、如何なる想いが込められたものか。
黒山羊が、喚き散らして地獄へと。
亡者獄卒の無数の腕が、堕落の獣を掴んで離さぬ。

【アイアンサイド卿】
「嫌だ……!」
「私は、嫌だァッ!」

【マルグレット公】
「残念ですが――――」
「汝、罪有り」
「地獄への幽閉を、執行します」

獣の怨嗟の叫びごと……地獄は、深く飲みこんだ。
重々しい音を立て、地獄の門が閉まっていく。
後に残るものはといえば、血塗られた玉座があるばかり。
……堕落者は、地獄へ堕ちたのだ。

【マルグレット公】
「…………お疲れ様でした」
「堕落者を見事に討ち取った貴卿らの名声は、未来永劫語り継がれることでしょう」

マルグレット公の淡白な称賛が、どこか場違いに響き渡った――――

126”艶福卿”コンラッド:2018/07/05(木) 23:34:34
「手間を取らせました」

コンラッド卿は静かに礼をした。
地獄の中を垣間見たものの、彼の心に揺らぎはない。
自身もあそこに落ちるのかもしれないという不安はない。
潤い、満たされた心に影の差し込む隙間はない。

「……さて、では、帰るとしようか」

「貴卿らはどのようにする?」

127“月蝕卿”サーラ:2018/07/06(金) 00:07:46

処刑が執行される中、無数の使用人らが具現化し、手際よく民らを戒めから解き、穢れを掃き出す。
かくて執行終わりたる頃には、堕落者が宴の残滓は、今や玉座の血痕が残るばかり。
堕落者は繋がれた。もはや、民らが脅かされる事はない。

「―――勿体無きお言葉にございます、閣下。」

サーラ・ヘルロット・フォン・カルンシュタインは考える。
猟犬に誉は不要。ただ餌があれば、それでよい。
故に、称賛にはさほど関心を抱かない。或いは、抱けないのか。

ともあれ、ただ一点を除き、一通りの掃除は完了した。
ただ一点―――血塗られた玉座を除いては。

「―――畏まりました、旦那様。」

ちらり、と。血塗られた玉座を見遣り。
ちらり、と。姉妹を見遣り。
そして、まるで何事もなかったかのように、涼やかに応じる。

128『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/09/20(木) 00:40:18

【リネット卿】
「そうですね……どうしましょうか」

【ライネット卿】
「領主がいないまま、というわけには行きません」
「民のためにも……新たな領主を見つけなければ」

ふと視線をやれば、既にマルグレット公の姿は無い。
次なる罪人を裁くため、遍歴の旅に戻ったのだろう。
あのお方は決して一か所に留まるということを知らぬ。

【リネット卿】
「……我々は……強制的な叙勲から、まだどれほども年月を経ていません」
「私に至っては夜獣」
「私たちが領を治めるというのは、いささか難しいことでしょう」

彼女らは確かに騎士ではあるが……その心根は、およそ民に等しい。
貴族としての務めを果たせというのは、いささか酷だろう。

【リネット卿】
「ですから――――――――」

リネット卿の瞳が、そっとコンラッド卿を捉えた。
捉えて――――遠慮がちに微笑むと、瞳は姉へと向けられた。
言いかけた言葉があった。
その言葉は、そっと乙女の胸の内に。

【リネット卿】
「――――代わりを探すことにいたしましょう」
「探し、待ち……やがてこの領が元の通り穏やかになるように、身を砕きますとも」

そう言って――――乙女たちは、美しく笑ったのだった。
彼女たちを閉じ込める檻は、もうないのだから。


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