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【セ】貴婦人焦がすは鉄の檻【ドラクルージュ】

1DR死魚:2017/12/06(水) 23:01:06

貴卿らがいかなる騎士であるか、こと細かに問いはすまい。
また、その必要もないであろう。
故に此度の発端を詳らかにするのであれば、事はさほど複雑でもない。

即ち、貴卿らはある女騎士に救いを懇願された。
不徳の騎士、のさばるも我が力及ばず。
どうか我が姉を救うため、力添え願いたい、と。

不徳を討つは騎士の定め。
騎士道に則り、貴卿らは不徳の住まう『ゲヒェンリッヒ城』へと向かう事にした。



常夜国騎士譚RPGドラクルージュ――――『貴婦人焦がすは鉄の檻』


今宵、貴卿らを常夜へと誘わん。

2『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/06(水) 23:03:49

【演者紹介】


“艶福卿”コンラッド・ゲートスケル・フォン・ローゼンブルク
ttps://character-sheets.appspot.com/dracurouge/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFgsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEY6-aTbQw


“月蝕卿”サーラ・ヘルロット・フォン・カルンシュタイン
ttps://character-sheets.appspot.com/dracurouge/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEYqLiChAEM

3『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/06(水) 23:55:24

【序の幕】

遍歴の騎士、コンラッド卿。
貴婦人たちはその美貌を讃え、笑みを浮かべれば妖精も頬を染めようか。
厳格なるヘルズガルドの警吏も、貴卿の魅力には抗えまい。
誰もが貴卿の美しさを褒めそやし、我がものにしたいと願い止まぬ。

されど、貴卿は遍歴の騎士。
誰のものにもなることなく、風の如く翼を広げ旅をする者也。
従者をひとり引き連れて、貴卿の向かう先は何処であろうか。

時に貴卿が連れる従者の名は、サーラという名である。
失われた血統を僭称する、美しき異端の一族。
“月蝕卿”の名も、果たして真に称された名であるかどうか。
ローゼンブルクの暗部を象徴する、影潜みの密使である。
目付けか世話役か、貴卿の従者として旅路を供にする異端の心境は如何なるものであろうか。

ともあれ――――貴卿らは、遍歴のままに森中に歩を刻んでいた。
真祖の現身たる赤き月が貴卿らを見守り、梟が静かに鳴き声を聞かせている。

その折に……梟の鳴き声とも、貴卿らの足音とも違う物音が森に響く。
獣、ともまた違おうか。
騎士の、また異端の感覚は、それが人の身であることを察するであろう。
直後、音の主が姿を現す。
その姿は――――


               .   ―――   、、
             ,     . : : : : : : : : : `' 、
.            /   . . : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ
                . : : : : /: : : : : :|=-: : : : /\    ‘
         ′     .:∥: : :/: : : : : : | `㍉: :|:::::ハ::\  ,
       /.        .:∥: : : ': : : : : : :.| x `ミ|:::/:::ヘ::::\
       ,′     . :.∥/: : :l : : : : : :人 メ   |:/:::::::::',::::::|
            . : : :||/: : : :| : : '"""''〜-、、.,, |:::::::::::::|::::::',
        |  .   . : : : : :|:| : : |.:.| : : : : /ィf芸=ミx. |:::::::::::::|::::::ヘ
        |: : : : : : : : : : :|:|: : :ハ: : : : :.イ^ ん.心  》|::::::::::: |ァ''´ 
       . :|: : : : : : : : | : :|:|: /:.:.|: : :/レ'  乂:ツ 〃/―、:::::|ヽ   `      しまっ――――追っ、手?
       . :|ハ: :.l : : : : :', :从':.:.:.:´∨.:ヽ  。¨¨ ゚。 ノ 人::「:::::/     丶  
       . :|l _l: l : : : : : ∨:.:.:.:..    ヽノ   ヽ  r‐'゙::ヘ::::|::/l}ヽ__      ……駄目ですね、私……ここまで、かしら……
      . :l':::::l:l : : : : :从.:.:゚     , 、   メ;/:::::::::::ハ:::∨イニニニム
   . :/ヽ}:::::::l: : : : :.N -、 。   '  ̄`    イ::::::::::::::::リ:::::|'´二=-マム  、
  . :/::::::::::::::::::::l: : : : |::::::::::>、、      ィ |:::::::::::::::::,イ::::: |ニニニ=-マム
  :〈::::::::::::::::::::: |: : : : |:::::::::::::::::::ハ:.≧==彡 卜、::::::/ニ|::::/ニニニニ=-マム
    .7`<:::::::: |: : : : |::::::::::::::ァ''´} ',    ′  〉ニニ|/ニ./-=ニニニ=-マ沁、
    . l-=ニニ)h、|: : : : |:::::::::::/  _',   /:. .イニニ//ハニ/-=ニニニニ=-寸ム
    |-=ニニ二' : : : :.|、、、、::乂____..斗<//.|ニ///ニ/-=ニニ二ニニ=-ア
   ハ-=ニニ二' : : : 从ニニ∨/////////////// ///ニ/-=二二ニニニ=-,イ
 ’ / : 〉-=ニニ,' : : : : {\///\//////////,イ/////ニ/-=ニニニニニ=-/
  /: : :{-=ニ二|: : : : : :',ニ\///// ̄ ̄ ̄   ∨//ニ乂-=ニニニニ=-/〉


……酷く消耗した様子の、女騎士であった。
貴卿らの姿に表情を絶望に染めながらも、杖のようにしていた剣を震わせながらも構える……

4”艶福卿”コンラッド:2017/12/07(木) 23:43:12
歩みに合わせて揺れる黄金の髪。
天に上る紅き月の如き瞳。
それを持つのがコンラッド・ゲートスケル・フォン・ローゼンブルクである。

女騎士の登場に足を止めた。
瞳に憂いの色がにじむ。

「思い違いがあるようだご令嬢」

「私はコンラッド・ゲートスケル・フォン・ローゼンブルク」

「うら若く気丈なりし騎士殿。どうかその剣をお納め頂きたい」

「出来ることならばその顔にかかる絶望の帳を払いたく思うが、いかがか」

5“月蝕卿”サーラ:2017/12/08(金) 00:00:18


                 -─‐--=、
         / ̄ ̄`'´       \
.      /                \
      /       rz____       ∧
.     /   ru‐ナTΤ 「  / / ̄\__ \',
    │ __,ィ个v {__lー‐┴、厶--、 / 〉   \
     | _レへ /  ヽ        \ / 〉  \\
      l Ll___/                 \   ∧. \
     V  //               ヽ  | ∧\.\
    /  //   |   |    \ \     \! |∧ヽ\ ヽ
.   /´l // | l | | l | V \ ヽ \___ \ー-jハ}ヽ\}ヽ}
.     //  l| l|⊥L|__l l \ /)T二ΤV   \|二ハ\|
.    / '!  /l lハNVヽ|_L// xtテfオラ∨   |_∧厂|
_// |!  / l |ャセ=///\   ̄´ / ∨ト、 |( ̄ ̄\
  ̄   | /jノ| jハ /   ̄ )、   /ト、 } |,ハj 〉    |      (―――さて、さて。)
.       l/(  レヽ/    \‐‐ィ /人__}j/ 〉__//    !
         ,ハr─/    八 冂._/  ∧_{_八  〉    ∧.     (何やら追手を気にしておられた御様子。)
.       | V´i   _/(//{_|\o' /(__ノ{/       ∧
         |  ヽ|   l | l 〈/O\}∨|rく__ノ_)__     ∧
        |/二.|   lノ | 〈/| |_l ,八__L{__,ノ  _   /
       |ヽ--!   , \___!__|_/  / / ∧-=<    /
.         | // |    '.            { l  }、 o\/
.       V/|     ’           lハ   | \_, /
        \」     ',\   _ノ_  -ヘ / / ̄\____,
         |_|      i ̄ ̄         V ∧、  ',     VL
.            '.    /      _   -= ´Vt{、   i    Vハ
             \__/ r‐= T 匸 _     /Vtヘ  |    V}〉


主たるコンラッド卿の傍らにて、静かに佇む影一つ。
身を包みしは、侍女の装い。純白の肌を艶めかしく飾るは、黄金の印。

「―――周囲を探って参ります。旦那様は気にせず、ご歓談をお楽しみください。」

森の木陰に溶け込むように、姿を消す侍女。
如何なる仕儀か? 白と黒では水と油。
されど、おお。その身を飾る白と黄金こそは。
影の一族、カルンシュタインに連なる者の証なれば。
影に溶けるなど、容易きこと。影多き森林など、庭の如きもの。

6『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/08(金) 00:59:36

【女騎士】
「……ローゼン、ブルク……?」
「アヴァロームではない……しかし、その異端は……」

影へと姿を消した異端の従者に、女騎士は眉を顰めた。
異端を従僕とすることは、真っ当な騎士からすれば敬遠される事柄である。
不徳と弾劾する騎士もあろう。
悪名高き過激なる異端審問官であれば、堕落の兆しと弾劾しようか。
宮廷において、異端とはそれほどに蔑まれる邪悪なのである。

とはいえ――――密使として秘密裏に子飼う騎士も、星の数ほどいようか。
貴卿らの属するローゼンブルク家こそは、信仰故にそのような穢れも飲みこむ度量がある。
当主グランツ公が数多の異端を飼っていることは、もはや公然の秘密であるし……サーラもまた、その内のひとりなのだから。

あるいは、異端もまた心ある不死者と、友誼を結ぶ騎士もいる。
公になれば汚名ともなり得るが……異端が邪悪なだけの者どもではないという証左であろうか。

女騎士の暫しの逡巡に、そのような事柄があったかは定かではない。
ただ、彼女は静かに剣を霧散させると、半ば崩れ落ちるかのように跪く。
足先まで隠すような漆黒の外套が、僅かながらも夜風に揺れる。

【女騎士】
「……失礼、致しました」
「私の名はリネット・グリンシルト・フォン・アヴァローム」
「私の逸る心が刃を貴卿に向けてしまった非礼を、どうかお許しくださいませ」
「見たところ、遍歴の騎士様とお見受けします」
「もしも貴卿の道行きに多少の猶予があるのなら……どうか、私の身の上に耳を傾けては頂けないでしょうか」

女騎士――――リネット卿は、どこか縋るような表情でそう述べる。
その態度は対等な騎士同士というより、さながら主従か、民が騎士に語るような口ぶりであった。

7”艶福卿”コンラッド:2017/12/09(土) 00:16:49
「彼女はサーラ。私の従者だ」

「異端の者ではあるが、悪や堕落に身を落とす者ではない。私が保証しよう」

異端の者を従える事がどう見られるかコンラッドは記憶している。
これまで訪れた地でも同じような経験があったことが彼の頭の中にある。
しかし彼の見解を表すのならばその様なもので何かを取りこぼす事の方がはるかに恐ろしい、ということだ。

「気にしないでも構わない。貴卿がどれほどの困難に立ち会っているか、その指標となった」

「元より貴卿に手を貸す心持ち。リネット、語ってもらえるだろうか。貴卿になにがあったか」

「それと、そのような顔をしないでくれ。どこにあっても花は気丈に、そして可憐に咲くもの」

「しおれた姿を見ていると悲しくなるのだ。勿論、君の状況からすれば難しい事なのかもしれないがね」

そういって柔らかく微笑むコンラッド。
薔薇の騎士。艶福卿の名をとる騎士である。
花を愛でる心があった。

8“月蝕卿”サーラ:2017/12/09(土) 00:40:55
       ・ ・ ・ ・ ・
「―――それらしい影はありませんでした。」
「しばらくはこの場に留まっても支障はないかと。」

消えた時と変わらず、侍女は音もなく現れた。
その優美な唇が語るには、周辺に賊の影はなし。
とは言え―――斯様な場所にて立ち話と言うのも、聊か配慮に欠けるというもの。

「ご紹介に与りました、サーラ・ヘルロット・フォン・カルンシュタインです。」
「リネット卿は逃避行でお疲れかと考え、僭越ながら卓をご用意させて戴きました。どうぞ、お掛けください。」

椅子と卓を具現化し、両名に着席を促す。
卓上には暖かなる茶にて満たされたポットと、2人分のカップが用意されている。
侍女は洗練された手つきで2人のカップに茶を注ぎ、音もなく2人の元に配膳した。

9『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/09(土) 01:20:57

【リネット】
「まぁ……そのようなお言葉、身に余りますわ」

花と称えられ、乙女は頬を朱に染めた。
称えられることに不慣れな様子は、やはりどうにも民を想起させる。
あるいは彼女は騎士としての日が浅く、未だ民としての感覚が抜けておらぬのかもしれぬ。
それでも丁重に、優雅に――――やはり、異端の具現化ということでどこかぎこちなさはあったが――――着席する。
騎士としての礼節は、問題なく備えているようでもある。

【リネット】
「……お気遣い、痛み入ります」
「その……カルンシュタインの方を目にするのは、これが初めてのこと」
「少しばかりの驚きがあったことを、正直に告白します」
「気を害したのであれば、本当に申し訳なく思います……」

静かに、紅茶に口をつける。
ほう、と息をつく姿は、それほどに気を張っていた証左であろうか。
暫しの瞠目を経て、緩やかにリネット卿は重い口を開く。

【リネット】
「どこから、話したものでしょうか……」
「……私はかつて、騎士を目指し修練を積む民のひとりでした――――」

――――リネット卿の言葉を纏めると、こうだ。

彼女は民であり、姉がいたこと。
姉は領主の城に務める侍女であったこと。
ある日、姉が領主の寵愛を受け、騎士となったこと。
……その頃から、姉の姿を見かけなくなったこと。
おかしいと思いつつも修練を続け……すると、自分も領主のお眼鏡に敵い叙勲を受けたこと。
――――そこで、悍ましい光景を目にしたこと。

【リネット】
「我が領主……アイアンサイド・ロッソブルク・フォン・アヴァロームは、不徳の騎士と化していました」
「城内地下では彼の信奉者らが詰め、退廃の限りを尽くしていたのです」
「そこで……私と姉は鎖に繋がれ、虜囚の辱めを受けました」
「アイアンサイド卿は我々の堕落を心待ちに、数多の責め苦を与え……」
「…………妖精の助けを借り、こうして私だけが逃げ延びてきた次第です」

アイアンサイド卿――――“鉄印卿”の名を持つ、アヴァロームの騎士である。
気まぐれな二面性を持つ人物であり、鷹揚と粗野の紙一重を自在に行き来する者と詩人は伝えている。

【リネット】
「――――どうか、平にお願いいたします」

リネット卿は目を潤ませ、外套の胸元をきゅっと握る。

【リネット】
「堕落した我が主を討ち、我が姉を救い出して頂きたいのです!」
「今こうしている間にも、姉が責め苦を受けているかと思うと、胸が張り裂けてしまいそう……!」

10”艶福卿”コンラッド:2017/12/10(日) 23:22:32
「すまないなサーラ。給仕に感謝する」

「どうにも私はそのあたりの配慮に欠けるようだ。騎士たる者そのぐらいの気遣いが出来ねばと痛感するよ」

椅子に座り、紅茶に口をつける。
緊張などコンラッドの身に宿されていないが、この紅茶の味わいに気も和らごうというもの。

「堕ちたかアイアンサイド卿」

「堕落させるために叙勲にて気位を虜囚の辱めを与えたことで品位を失ったな」

その言葉には憤りの色が見られた。
しかしコンラッドの内心に秘めたる氷点下の情熱は凍り付いた湖畔の如く穏やかである。
あくまでも落ち着きの調子、優雅であることを崩さない。

「リネット卿。私はここに誓いをたてよう。必ずやアイアンサイド卿を討ち、貴卿の姉を救おう」

「それが貴卿の姉だけでなく貴卿の受けた恥辱を雪ぐ行いとなるのであれば」

「私は嬉しい」

コンラッドの内心に広がる凍土は騎士としての矜持を表すだけものではない。
それはどこかほの暗い全てを凍てつかせる面も持っているのだ。

(アイアンサイド卿……貴卿も我が過去の亡霊とならん……)

11“月蝕卿”サーラ:2017/12/10(日) 23:46:53

「お気遣いは無用に願います。私も少々軽率でしたゆえ。」

人前では印を隠し、化粧にて肌色を誤魔化し、只人の侍女として振舞うが慣わし。
堂々と印を晒していたのは、人目憚らぬ森の中ゆえだ。
そして影に潜む力を晒したのは、急を要すると判断したがゆえ。
つまるところ―――この状況は必然であったか。

「―――私ごときには勿体無いお言葉です、旦那様。」

一通りの給仕を終えれば、侍女は主の斜め後ろに控える。
その振る舞いはまさに侍女のそれであり―――騎士を僭称する者のそれとは、また趣を異とするものだ。
しかし―――疲弊隠せぬ騎士を自然に労う在り様、必要以上に己を飾らぬ謙虚。
それもまた、騎士の美徳と言うべきものだ―――この鉄面皮の侍女にそのような意図があるかは、別であろうが。

さて、侍女は若き騎士の願いに何も言う事はない。
何故ならば―――それは、主が既に決めたことであるからだ。
密使とは、忠実なりし猟犬である。主の決定に異を挿むことなど、あろうはずもない。

12『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/16(土) 01:04:56

【リネット】
「嗚呼……!」
「ありがとうございます、騎士様」
「なんとお礼を申し上げればよいのか……そのお言葉だけで、万の援軍を得たような心地です」

心強い言葉は乙女の胸を打ち、清らかなる雫がその頬を伝う。
しかし、堕落者は領主だ。
領を預かり、騎士を預かる者。
不徳の告発が今までなかったということは――――敵は決して、鉄印卿のみでは在り得まい。
危険は多く、騎士たちの正義の前に立ちはだかるだろう。

                                       ゲヒェンリッヒブルク
詩人に曰く、鉄印卿の根城の名は――――――――――――『危険の城』


                                     ――――――――序の幕、劇終。

13『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/16(土) 02:24:38

【戦の幕】

さて――――貴卿らが乙女騎士リネット卿と共にゲヒェンリッヒ城を目指し、数日の時が過ぎ去った。
常夜は変わらずに真祖の恵みを地に降らし、木々は風に優しくそよぐ。

リネット卿は、この数日でいくらかの癒しと安らぎを得たようである。
追われ、姉の無事を祈り、自らの先行きに光明を見出さんとあがく日々は、さぞ彼女の心を擦り減らしたことであろう。
姉を救うため、心強き騎士らと共に城を目指すことそのものが、彼女にとっての救い足り得るのだ。

そのように旅路を進めると、さて、真っ先に気付いたのはサーラであろうか。
森がざわめき、鳥獣が畏れに飛び発ち、風が平伏するかの如く凪ぐ。
甘き香りが森に漂い、漆黒が姿を見せる。
それは、嗚呼、それは、一人の美しき騎士であった。
烏の濡れ羽めいた装束に身を包む、黒髪の伊達男。
しかし不遜にほくそ笑むその顔は、邪悪な欲望を雄弁に語る。
リネット卿が息を呑む音が、不自然なほどハッキリと貴卿らの耳を叩いた。

【追っ手の騎士】
「おお、ようやく……ようやく見つけたぞ、リネット!」
「か弱き民の身であったものを、我が主より叙勲を受け、永遠の貴族に取り立てて頂いた大恩を忘れたか?」
「よもや城を抜け出し、偽りの風評を吹聴するとは!」

両手を広げ、芝居のように騎士は語る。
朗々と、よく通るその語り口は彼の騎士が演説に手慣れた証左であろうか。
騎士の視線が、貴卿らを捉えた。

【追っ手の騎士】
「そこな騎士らよ!」
「貴卿らがその乙女よりどのような話を聞いたかは、およそ想像がつくというもの」
「その乙女は妖精の悪戯か、自らの記憶したこともあやふやのあべこべになってしまているようでな」
「鉄印卿の温情を裏切り、虚言を吐き散らしているのだ!」
「どうかそのような小娘の繰り言は忘れ、リネットを返して頂きたい」
「我らが主は、リネットの帰りはまだかと思い悩んでいるのだ……」

【リネット】
「っ、其方こそ、繰り言を!」
「貴様らの堕落と退廃、決してこの私は忘れはしない!」
「我が姉と我が身が受けた屈辱を、決して忘れはしないぞ!」

乙女が、悲痛に怒りを滲ませ叫ぶ。
強き意思を秘めた瞳を潤ませ、霧を固めた剣を握る。
貴卿らの心に、正義があるのであれば――――どちらの言葉を信じるべきであるかは、自明であろう。

14”艶福卿”コンラッド:2017/12/17(日) 23:26:13
「わざわざ歓迎とはご足労をかけた。もしくは歓迎ではなく我々にたどり着いたというべきなのだろうか」

「我が名はコンラッド。コンラッド・ゲートスケル・フォン・ローゼンブルク」

うやうやしく礼をするコンラッド。
乱れなき流れるが如き所作。

「貴卿にとっては不本意な事柄かもしれないが、あいにくと私は遍歴の者」

「我が進む道、信じる者は私が決める。そして私はこのリネットを信じているのだ」

「故に彼女を渡すことは出来ない。故に貴卿の言葉を信じること出来ない」

「我が友とならんとするリネットの言葉を虚言とするその精神、許しがたく」

コンラッド自身も霧を固め自らの手の中に獲物を作りださんとする。

15“月蝕卿”サーラ:2017/12/17(日) 23:43:34
騎士は目上の者なれど、主以外に首を垂れる筋もなし。
まして相手が、主の客人を愚弄する輩なれば。

「―――本来ならば、旦那様のお手を煩わす事の無いように努めたいところですが。」

手元に具現化するのは、鋭き短剣。
騎士の手繰る優美な剣とは相反する、武骨な刃。

「一廉の騎士が相手ともなれば、そう容易くは行きませんか。」
「リネット様は御下がりを。客人の御手を煩わせたとあっては、主家の恥となりますれば。」

16『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/21(木) 00:34:57

【追っ手の騎士】
「ほう――――ローゼンブルクの青二才と、穢らわしい異端風情が、よく吠えるもの」
「ならば我が剣にて貴卿らを成敗し、小娘を取り返すとしよう……」

言葉と同時に、騎士が剣と鎧を具現化する。
さらに霞が騎士の周囲を揺蕩い、形作るは無数の兵士。
おお、これなるは偉大なる真祖の加護。
騎士の具現化は、騎馬や雑兵すら生み出してみせる。
貴卿らを取り囲む雑兵を前に、しかし気丈に剣を構える。

【リネット】
「……折角のお気遣いですが、サーラ卿」
「私も真祖ドラクルが系譜の末端に連なる者」
「我が身、我が姉を救うための戦いに、ただ眺めているのみなど、真祖に顔向けができません」

【追っ手の騎士→ジョナサン】
「我が名はジョナサン・シール・フォン・アヴァローム――――命乞いは、早いに越したことはないぞ?」

真紅の月が見守る森で、騎士の戦いが今、始まろうとしている――――!

17『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/21(木) 04:03:12

さて……いよいよ戦の幕を始めるにあたって、まずは戦場を詳らかにせねばなるまい。


――――――――――――――――――――

【玉座】雑兵×2

【宮廷】ジョナサン卿、雑兵×2

【庭園】雑兵×2

――――――――――――――――――――

・ジョナサン卿(存在点10)
・雑兵(兵士役)

【玉座】は月に照らされた湖畔である。
【宮廷】は開けた林道である。
【庭園】は薄暗い藪の中である。

貴卿らは【宮廷】か【庭園】のどちらかに配置することが可能である。
また、リネット卿は戦には参加せず、舞台の外で雑兵と切り結ぶものとする。しばし思考の外に置かれよ。
手引きをよく読み、まずは配置を決定するがよかろう。

18”艶福卿”コンラッド:2017/12/22(金) 00:35:26
「青二才と来たか」

「私もまだまだ若いな。しかし我が技の煌めき、若輩と侮るものの事如くを突き崩す」

手の中に現れるは一本の槍。
剣の腕だけでない。槍の冴えもコンラッドは持っている。
恋多く浮名を流すだけの騎士ではない。

「では行こうサーラ」

【宮廷】に配置。

19“月蝕卿”サーラ:2017/12/22(金) 00:49:25
ほんの少しだけ、唖然とした表情を晒す。
しかし、そこは熟練の密使。すぐさま常の鉄面皮を取り戻そう。
ここは既に戦場なれば、無様なふるまいは許されまい。

「―――私などを騎士としてお呼び下さった方は、これで三人目です。」
「御武運を、リネット様。」

その一人目こそは、彼の“美麗公”グランツ・ローゼンブルク公爵。
そして二人目は、現在の主たる“艶福卿”コンラッド卿その人である―――最近は、少なくとも人前では謹んで下さるようになったが。

―――ともあれ、戦である。
ああ、この場において許しおけぬ罪はただ一つだ。

「―――仰せのままに。」

自らへの侮辱は今更だ。気に留めるほどのことでもない。
だが、主への侮辱を捨て置けようものか。

20“月蝕卿”サーラ:2017/12/22(金) 01:20:19
あ、記載漏れがありましたね。
【宮廷】に配置します。

21『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/22(金) 01:37:41

――――――――――――――――――――

【玉座】雑兵×2

【宮廷】コンラッド卿、サーラ卿、ジョナサン卿、雑兵×2

【庭園】雑兵×2


・ジョナサン卿(存在点10)
・雑兵(兵士役)

――――――――――――――――――――

では、このような配置となる。
いよいよ戦の幕――――さしあたり、【ノブリス・オブリージュ】である。
即ち、貴卿らは【喝采点】ないし【畏怖点】を1点獲得せよ。

異端はあらゆる騎士に先んじて行いを示すことが許される。
故にまずは、美しきサーラ卿の行動から幕を始めるとしよう。

賽を4つ手に取り、投げられよ。
もしも御身が【畏怖点】を消費するのであれば、投げる賽は5つとなろう。
出た目が御身の意向にそぐわぬとあらば、『己へのノワール』を1つ刻むことで賽を振り直すことも許される。
賽の目を組み合わせ、己の『戦の行い』の目標値と見比べながら、行いを示すがよい。

22“月蝕卿”サーラ:2017/12/22(金) 02:17:19

「―――まずは、異端の手妻をば。」

先んじて動くは侍女姿。
白磁の如き指先が閃けば、雑兵たちが倒れ伏す。
胸に刺さるは無骨な短剣。霞の如くに消え去れば、胸から飛沫く赤、赤、赤。

diceBot : (4D6) → 11[1,5,2,3] → 11
なんとも微妙な出目。ここは己へのノワール(怒)を得て振りなおしましょう。

diceBot : (4D6) → 14[5,4,3,2] → 14
†もはや手段は問わず†にて、2の目を5に変更いたします。
これで出目は[5,4,3,5]となりますね。
4と3の出目にて目標値6の《振り向けばそこに》、2つの5の出目にて目標値4の《血塗られた業》《我は汝が影》を使いましょう。
旦那様のノワールを肩代わりできる刻印を具現化しつつ、エリア内の全員にルージュを1点与え、ジョナサン卿にはノワールも1点さしあげます。
これで雑兵二人は存在点を失い、壁の華となりましょう。
己へのルージュは信にでもしておきますか。あまり意味はありませんが。

23”艶福卿”コンラッド:2017/12/22(金) 02:27:32
「ふむ。流石だサーラ」

「戦の場にありながら、給仕同様無駄のない手際。華麗で瀟洒な従者」

拍手を送ることは出来ぬがコンラッドの言葉は賞賛の意を惜しみなく紡ぐ。

24”艶福卿”コンラッド:2017/12/22(金) 02:28:55
ルージュは敬とする

25『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/22(金) 02:32:43

【雑兵】
「おお……!」

【ジョナサン卿】
「異端風情が、しかし踊るものよ……!」

雑兵たちが赤を散らし、黒き霞に還っていく。
もとより霞より生まれし仮初の命。
御身の武技を前に抗うことなどできるはずもなく、骸を晒すことすら恥じ入り消え往くのみ。


――――――――――――――――――――

【玉座】雑兵×2

【宮廷】コンラッド卿、サーラ卿、ジョナサン卿

【庭園】雑兵×2


・ジョナサン卿(存在点10→8)
・雑兵(兵士役)

――――――――――――――――――――


――――続いては自由なる遍歴、コンラッド卿の手番なり。
賽の目を振り、行いを示されよ。

26”艶福卿”コンラッド:2017/12/22(金) 02:57:46
喝采点を一つ獲得しておこう。

「従者に魅せられたままとあっては主君としての資質が問われるだろう」

「では私も優雅に突き崩すとしよう」

diceBot : (4D6) → 15[3,4,5,3] → 15

出目3を使い《赤き月に散れ》 ジョナサン卿にノワール1点。
出目3を使い《華散らす銀閃》 ジョナサン卿にノワール1点。
出目4を使い《騎士のたしなみ》 ジョナサン卿にノワール1点。
残る5を使い《我が名を知れ》 喝采点を1点獲得。
ジョナサン卿には3点のノワールを受けていただく。

「……!」

動きは狼の如く速く。猫の如くしなやかに。
身のこなしは鳥の如く軽く。技はバラの如く美しい。
それがコンラッドの技である。

27『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/22(金) 03:09:13

【ジョナサン卿】
「ローゼンブルクの騎士は技まで華やかというが、なるほど……!」

踊るような槍捌きが、ジョナサン卿の剣を払う。
突き出す槍は糸紡ぎの如く。
穂先が騎士を穿てば、鮮血の代わりに黒薔薇が舞い散る。

【ジョナサン卿】
「……されど、所詮は花拳繍腿」
「こちらの手管も、とくと味わって頂きたい!」


――――――――――――――――――――

【玉座】雑兵×2

【宮廷】コンラッド卿、サーラ卿、ジョナサン卿

【庭園】雑兵×2


・ジョナサン卿(存在点8→5)
・雑兵(兵士役)

――――――――――――――――――――


――――そして次なるは、ジョナサン卿ら追っ手側の手番となる。

28『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/22(金) 23:34:05

【ジョナサン卿】
「さぁいざかかれ、我が配下たちよ!」

騎士の号令と共に、再び霞が人型となって貴卿らに躍りかかる。
それと同時……鉄の棘に覆われた鎖が蛇のように伸びる!
ヘルズガルドの操る地獄の鎖とは異なる、妖精使いの御業也!


《刺客を放て》目標値7+3=10 間合0 対象:エリア
 端役召喚(2体):この[端役]は[主]がノワールを与えた時、対象のエリアにいる任意の存在にノワール1点を与える。


《拷問縛鎖の牢獄》目標値12+2=14 間合0〜1 対象エリア
 対象のエリアにいる任意の存在にノワール2点を与える。
 選択された存在は次のターン終了時まで移動できない。

※『+n』と表記されているのは、余剰させて達成値としたもの。
 抗い判定の難易度を上げるため、余った行動値を行いに振り分けている。


……さて、貴卿らには2点ずつ、【抗う力】が存在する。
これはターンごとに2点まで回復する、行いを無効化する力だ(つまり、持ち越しはできない)。
【抗う力】は1点毎に賽子ひとつを振ることが可能であり、またこれは複数人で協力し、合計することもできる。
もし、単独で抗うのであれば『目標値“以上”』、複数人で協力して抗うなら『目標値を超える』出目が無効に必要だ。
邪悪な騎士ジョナサン卿の行いにどのように抗うか、示したまえ。

29『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/22(金) 23:47:39

× もし、単独で抗うのであれば『目標値“以上”』、複数人で協力して抗うなら『目標値を超える』出目が無効に必要だ。

○ 行いの対象となった者が抗うならば『目標値“以上”』、それ以外の者が参加するならば『目標値を超える』出目が無効に必要だ。

30“月蝕卿”サーラ:2017/12/23(土) 00:28:46
端役に関しては、先んじて私が掃除できます。
ここは《拷問縛鎖の牢獄》に対し、【抗う力】2点にて判定を行いましょう。
とは言え14を出すには、一人ではどうあがいても賽の目が足りませんね。

diceBot : (2D6) → 10[6,4] → 10

鉄杭を具現化、鎖を大地に縫い止める。
さりとて敵もさるもの。力強き鎖は、鉄杭の戒めを引き抜かんと暴れよう。

「―――多少は、狙いやすくなったかと。」

――― 一人であれば、対処しきれはしまい。
しかし。華々しき役目を負うべき者が、そこに居る。

31”艶福卿”コンラッド:2017/12/23(土) 01:04:23
「ふふ、サーラ」

コンラッドは自身の髪をかき上げる。
その目は鉄杭を鎖を否―――すべてを見つめる。

「多少どころではすまないようだね?」

《拷問縛鎖の牢獄》に【抗う力】を2点使用。
diceBot : (2D6) → 9[6,3] → 9
サーラの10点と合わせて19点だ。

コンラッドの槍は針のように動く。
糸は彼の騎士の鎖。鉄杭を引き抜こうと暴れるものを一本また一本と槍で絡めとる。
踊るような身のこなしにて、動きと動きの間に隙間はなく一つなぎのものとなった。
彼の者の前では恐ろしき鎖は蔓よりもたやすく扱われるのだ。

「では、これにて」

槍を地に突き刺せば槍の一部が霧となりコンラッドの手中で固められる。
コンラッドの第二の武具は斧であった。
コンラッド卿自身の紋章の描かれた刃が銀の煌めきを放った。

「断ち切るとしよう」

斧はまっすぐに鎖の束へと振り下ろされた。

32『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/23(土) 01:17:59

【ジョナサン卿】
「小癪――――!」

新たに生み出された端役たちは、輪舞を前に近づけぬと取り巻くばかり。
まるで貴婦人と戯れるが如き槍捌き、あまりに鋭き斧捌き。
がちんと金音ひとつが鳴れば、鎖は一撃に砕け散る。
霧へと還る鎖のあとは、槍持ち斧持つ騎士の美影よ。

【ジョナサン卿】
「なにをしている、かかれ、かかれ!」

ジョナサン卿の号令に、思い出したかのように雑兵共が押し掛ける。
騎士道に悖るとは言うまいが、優美さにはいささか欠けた戦姿と言えようか。

33『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/23(土) 01:29:20

まずは協調しての抗いに成功したため、貴卿らは互いへのルージュを1点伸ばすがよかろう。
そして行いの後、ジョナサン卿は自らの端役を全て【宮廷】へと移動させた。

これにて最初の一巡が終了――――したが故に、まずは絆奏である。
貴卿らはジョナサン卿へ【怒】のノワールを取得せよ。
リネット卿を弾劾する騎士に対し、怒りが沸き上がった格好だ。

そして二巡目……【ノブリス・オブリージュ】にて【喝采点】ないし【畏怖点】を得た上で、再びサーラの手番からである。


――――――――――――――――――――

【玉座】

【宮廷】コンラッド卿、サーラ卿、ジョナサン卿、(雑兵×4、刺客×2)=6

【庭園】


・ジョナサン卿(存在点5)
・雑兵(兵士役)
・刺客(《刺客を放て》にて呼び出された刺客)

――――――――――――――――――――




――――――――なお、ここまでDRが端役の処理について誤っていたことを謝罪せねばなるまい。
公式FAQの記述、即ち、

>同じ[主]による[端役]は、(種別が違ったとしても)全てまとめて扱われます。
>複数点のノワールやルージュによって、複数体を[壁の華]にしてかまいません。
>逆に、個別の対象とは扱われないため、「エリア内の任意の対象にノワール/ルージュ」を与える効果では、
>合計点数以上を与えない限り、全てを[壁の華]にはできません。

以上の記述に従い、これ以後はこのように処理を行う。

34『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/25(月) 00:25:27

端役の処理について、今回の物語においてのみ有効な裁定をここに記す。



【端役の処理】

・主を同じくする複数種類の端役が同じエリアにいた場合、効果を共有する。

 →ただし、同タイミングで発動できる能力は1種類のみ(兵士役と喝采役が同時に存在した場合、与えるのはノワールか喝采点のどちらかを選ぶ)。

 →効果を選択できる場合、人数に関わらず[端役の種類]回数の処理を行う。
 (兵士役と喝采役と近衛役がいた場合、全てがノワールを与える効果を選んだとして、3点のノワールを与えることができる)

・同じエリアの主を同じくする端役は『複数体だが一塊の存在』として処理する。

 →そのため、3ノワールを単体に与える行いを受けた場合は3体の端役が【壁の華】となる。

 →また、3体に1ノワールを与える行いを受けた場合も3体の端役が【壁の華】となる。

 →例外的に、『エリア内の任意の対象』や『エリア内の全て』等を対象とする行いで1ノワールを与えた場合、【壁の華】となる端役は1体となる。

  →その場合、【壁の華】とする端役は攻撃側が任意に選べる。

35“月蝕卿”サーラ:2017/12/25(月) 00:38:44

迫りくる雑兵達。
しかして侍女の動きに陰りなく。
傍をすり抜けんとする刺客の背に、静かに突き立つ刃一つ。
黒より赤がしぶき、赤は黒き霞となる―――

では、旦那様へのルージュは「主」としておきましょう。
さしあたっては私のターン。敵の扱いが変わったとて、基本的な挙動は変わりません。

まずは行い判定をば。
diceBot : (4D6) → 12[5,2,2,3] → 12
5と2で《振り向けばそこに》、2と3で《血塗られた業》。
エリア内の全員に私へのルージュを与えつつ、ジョナサン卿にノワールを1点与えます。
壁の華にする端役は刺客1体。自分へのルージュは「信」にしておきますか。
端役が戦場に残っているので、ターン終了時にジョナサン卿へのノワールが……端役2種類なので2点ですね。
全て絆奏に合わせて「怒」にしておきましょう。何、あとは旦那様が華麗に始末を付けてくだされば問題はありません。

36『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/25(月) 22:41:05

【ジョナサン卿】
「ぬぅ――――――――!」

……もはや、ジョナサン卿の限界も近い。
最後の始末を――――いざ、つけるがよかろう。

――――――――――――――――――――

【玉座】

【宮廷】コンラッド卿、サーラ卿、ジョナサン卿、(雑兵×4、刺客×1)=5

【庭園】


・ジョナサン卿(存在点5→3)
・雑兵(兵士役)
・刺客(《刺客を放て》にて呼び出された刺客)

――――――――――――――――――――

即ち、続くはコンラッド卿の手番である!

37”艶福卿”コンラッド:2017/12/27(水) 00:37:05
「ではチェックといこう」

彼の周囲に霧が流れる。
そして彼が指を鳴らせば、霧は舞い上がり宙にて深紅の薔薇へと姿を変えた。
進む足の運びは軽く。
時に繊細な動きをもってコンラッド卿はジョナサン卿へと肉薄する。

diceBot : (4D6) → 11[1,3,2,5] → 11

1点と2点を足し《華散らす銀閃》 3点にて《赤き月に散れ》 5点にて《騎士のたしなみ》
全てジョナサン卿を対象とし3点のノワールを与える。

「薔薇と共に散るといい」

「我が一撃に美しき華を添えて送ろう」

舞い降りる薔薇の華ごと彼の者の身を貫いて見せよう。

38『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/29(金) 23:56:53

見事、ジョナサン卿の存在点は0となり――――壁の華となった。
端役でない者を【壁の華】とした特典により、貴卿らは【潤い】を1点ずつ得る。
これはいつか渇きに飢えた時、それを打ち消すものとして重宝しよう。


【ジョナサン卿】
「あがっ…………!?」

見事、槍の一撃が騎士の胸を貫いた。
舞い散る薔薇に紛れるように、ジョナサン卿の胸から花弁が零れる。
騎士は不死にして不滅――――しかし、嗚呼、しかしである。

【ジョナサン卿】
「おのれ、ローゼンブルクの青二才めが……!」
「あ、ああ……!」
「Ahhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhh!!!!」

その渇きは!
不徳は、負傷は、堕落は!
“このように”堕落の兆しとして萌芽する!
おお、見よ!黒衣の騎士が、獣性に堕すその悍ましき様を!
フォーンにも似た山羊の角が奇怪な音と共に生え始め、白き肌が地が裂けるにも似てひび割れていく!
端役の雑兵めらが姿を保てず、黒霧へと変じていく!

【リネット卿】
「……もとより、不徳に身を窶した者」
「堕落の門は、目前だったようですね」

リネット卿の鋭き視線が不徳の騎士を睨み、棘のように言葉が投げかけられる。
その言葉も、届いたかどうか。
ジョナサン卿は獣に堕した。
されど、騎士は不死にして不滅。
この獣の始末をつけられる者は、六つの血筋にただひとつ――――――――

39『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/30(土) 00:07:57


                   , -、           , -、
        、        ∠-─ー-- . ヘ --‐'─- \        ,
.       マ:x、   /      /   \      `ヽ     _, ィ7
         マf三≧ェ廴._     /         \     _斗=fチ三テ′
            ヾ三三三三>、〈  __    __ 〉,x:≦三三三ア
             ,ゞ<三天三ニゞく   ハ   /> ` <三ェr…‐≠ 、
         /       | 、   ヽ l`¨¨´/      /      ノ
           ヽ _,ゝ-, -─`   ¨ ̄ ̄ ̄、  ⌒¨´¨   ー<._
            /      \      _\    ゝ-、__>‐`i
          ,'{⌒,ヽ、__ . イ.:: ̄,`¨7¨´:::::.\`ヽ- '´\:::::::::.\ / 二二二二l
            //ヽ,′::::::::::: |',:::::/.::::∧::::::.、::::::|\:::::::::::::.ヽ::::.\:\       /
.           //  .|::::::::::::::::::ト∨,_\| ',::::/\:|>ヘ.::::::::::::l:::::::::ヽミ <_/
.       //   |::::::::::::::::::|rTfぇミ、 ∨ 'ィチき¨i|::::::::l:::|\.:::::::', \ ` 、   ――――汝、罪有り。
         ,V   /l::::::::::::.\| 弋rシ       弋rシ 小::: ハ|:::::.\:::|   \  \
      / ,\/ ∨:::::::::::.ヽ `¨         ¨´ ノ.:∨.:::::::::::::::::N    ヽ  ‘, 堕落と不徳の咎にて――――
.     / /      〉、:::::::::::.\     '      /.:::ト、::::/、ー‐┘      ',   |
        ,′     / \::::::::.\`: 、 ´ ` . イ.:::::::N ∨、\       |  リ ヘルズガルド家当主、マルグリット・ゲルギアンナ・ヘルズガルド。
     |  |    r‐‐←- ミ _、:::::`:.<l `   ´ l>__|\|,>‐ァ,=‐、\     _ / / 
.      、 、__/`,ヽ、 \   `\:::::.\┐r ´ └,/  ,.'/ \ト、 `¨¨¨ / '´-─ ここに参上致しました。
.      ` `ー | /  \ \   '\:::::.\!   /   //     \`ニ二´___
          /      ヽ 、 _ ノ  ヽ::::::.\  、_ .ノ/      ヽ
.          /        ',       V\::::.ヽ    ′      ハ _,  -─- 、
        ,/{       .}      ○ヽ::::|     { ___     / _  -─- 、| /
.        〃/,>-n‐マニニ{          .}/     }─‐-`ヽ∠≦-─‐----‐'ノ' /
        //// ,r'´l¨l┤}< ヽ       ○      ,′   `ヾ'マニニ=-‐ 彡
.       /〃 { { ノ ノフ/=- \}                |      | l\\─  ¨´
.    / /′,ゝ ´∠//' ,二._ \  _,  ‐   ̄`ヽ ̄|      || lヽ \
    / ./ /, '´./イ Z -‐、_, <´        |_'、     | 、| |\.\
.   / /〈‐┴ 彡 ´| , '´                |   `ヽ    |ヽ_ソ.丿 \ \


――――地獄の番人、ヘルズガルドの騎士に他ならない!
おお、これなるは!
静かに推参した、この見目麗しき氷の少女こそは!
ヘルズガルド家当主、マルグリット公その人である!
騎士が正義を果たし、不徳を討ち果たした折にどこからともなく現れる――――吟遊詩人はそう語り、しかしてそれに偽りなく。
槍で貫かれたジョナサン卿に、罪人縛りの鎖を放つはまさしく“断罪公”!
獣に堕したジョナサン卿が、瞬きの間に縛られてゆく。

【マルグリット公】
「貴方がたが、この罪人を討ち果たした騎士ですね」
「……ああ、失敬。異端もいるようですが」

断罪公の冷たい視線はもはや罪人に向けられず、貴卿らを静かに見やる。
淡々と零れる言の葉は、しかし怜悧な美しさを孕む魔性也。

40”艶福卿”コンラッド:2017/12/30(土) 00:43:46
「……」

(これが堕落……なんという姿)

(騎士としてあるまじき姿。しかし……しかしなぜだ)

(この姿に変わった彼の中に安らぎがあるように思えてしまう)

悲しきかな。道ならざる道を行く堕落の者と共鳴する心を持つ騎士。
コンラッド卿は心中の天秤の傾きは繊細微妙なものである。
ふと目を離せばどちらかに傾き、その勢いで皿に乗った重みのあるそれを放り投げてしまいそうだ。

「マルグリット公。ご足労をおかけした」

「それにしても鮮やかな手並み。流石はヘルズガルド家当主殿であると、感服しました」

41“月蝕卿”サーラ:2017/12/30(土) 01:09:43

無言で一礼する。
望んで得たかはさておくとしても、この身に宿るは異端の血、異端の力。
遍歴の当主マルグリット公は、咎なき異端にも寛容であると言う。
しかし、己に咎なしと判っていても、どうしても緊張は隠せない。

「―――私は、外した方が良いでしょうか。」

少なくとも、サーラ・ヘルロット・フォン・カルンシュタインは、己の世間的な立ち位置を十二分に理解している。
これをご覧の皆様も知っての通り、異端とは堕落者の次に栄光から遠き者。夜獣にすら劣る存在だ―――少なくとも、今の世相では。

42『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2017/12/30(土) 01:39:40

【マルグリット公】
「そう畏まらずとも結構」
「我が血統には異端をことさらに弾劾する者もおりますが、私は罪無き異端に用はありません」
「不徳の意思無き夜獣についても同様」
「未だ姿を見せぬ罪について語る気はありませんので」

断罪公の怜悧な視線はコンラッド卿、サーラ、リネット卿と推移していく。
突然の当主の登場に気圧されたか、リネット卿は声も出ない様子。
怯えたように足を竦ませるその姿を、無礼無様と嘲笑することはできまい。

【マルグリット公】
「……貴方がたの武勇により、不徳は見事討ち果たされました」
「ヘルズガルド家当主として、称賛を贈りましょう」
「不徳を討つは騎士の務め。今後も罪を犯すことなく、騎士道に励みなさい」

どこまでも事務的な、淡々とした賛辞が貴卿らに贈られる。
さて、どこまでが彼女の本心か――――否、それを語ることに意味はないのやもしれぬ。
断罪公はヘルズガルドの生きた鎖。鎖に意志など問えはすまい。

【マルグリット公】
「しかし、繰り返しますが――――」
「罪を犯せば罰ありき」
「渇きに身を任せ、咎を得ることなど無きように」

果たして、それは誰に向けられた言葉か。
内に獣を宿すコンラッド卿か、異端たるサーラか。
あるいは――――――――ふと、リネット卿が怯えのあまり膝をついた。
……当主に御目文字かかる栄誉に耐え切れず……というには、いささか異常な怯えぶりだ。
足元まで隠す漆黒の外套を掻き抱き、小鹿のように震えている。

【マルグリット公】
「……そう怯えずとも、貴女を裁きはしませんよ」

【リネット卿】
「は……はい……」

43”艶福卿”コンラッド:2017/12/30(土) 02:03:15
「はは……いえ、失礼。渇きに身を任せることを私は良しとしません」

口ではそう言いながらも体の強張りが隠せない。
自身の中に揺蕩う真黒な炎を感じる。
その炎が我が身を焼く時、自身が獣になったと感じられるだろう。
しかしそれを感じるわけにはいかぬのだ。

「……リネット卿、どうかしたのか?」

「何か気になることがあるのなら」

「あるいは懸念があるのならば伝えて頂きたい」

44“月蝕卿”サーラ:2017/12/31(日) 22:42:19

「―――心得て、おります。」

カルンシュタインの血族は、騎士を僭称する血統である。
なればこそ。時に手段を選ばぬ事こそあれ、その目的は騎士道に則ったものである事が求められる。
無論、騎士道なる言葉は、それこそ幾千幾万の意味を持とうが。
渇きに身を任せ、獣に堕ちる事など、仮令異端の見なれど―――否、異端の身なればこそ。
決して、良しとするはずがないのだ。

「―――旦那様。」

呼びかけ一つ、静かに首を横に振る。
“断罪公”を恐れる者は、概ね二つに分けられる。
一つ、咎持てる者。一つ、印ないし兆しを持つ者。
彼の御方が裁かれるは前者のみ。で、あるならば。
何ら恥ずかしきところなど無きはずの身体をひた隠す、彼の騎士がどちらであるか?
見て取る事は、決して不可能ではないだろう。

堕落の兆し―――本来恥じる所なきはずの騎士が、唯一恥じて然るべきもの。
渇きの果てに身に宿す、肉体の変調。
彼の城にて受けたという責苦の数々が、それを顕すに至らなんだなど。どうして言い切る事ができようか―――

45『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/01/01(月) 23:37:39

【リネット卿】
「あ、その……」

さっと女騎士の顔に青が差し、瞳は力なく地面を見る。
……心を閉ざしている。
なにかに怯えるように。そのことを、貴卿らは感じ取るだろう。
あるいは、サーラの想像することが正しいのであれば――――

【マルグリット公】
「……さて、積もる話もあるようですが、私はこれにて」
「罪人は、責任を持って私が裁きましょう――――“いざ開け、地獄の門”」

氷の視線が、ようやく罪人に戻った。
縛鎖の戒めが一段と強まり、不徳の騎士が苦悶の声を上げる。
それから同時に――――恐怖の表情――――
理由はもはや、問うまでもあるまい。
断罪公の三歩後ろに口を開く、地獄の門を前にしたが故。
無数の白き手が鎖を手繰り、罪人を牢獄へと誘っていく。

【ジョナサン卿】
「ひ、ひぃ……っ」

【リネット卿】
「………………!」

獄卒の手が、罪人の躰を掴んだ。
身の毛もよだつ執行劇は、それにて閉幕。
罪人は地獄へ堕ち、開いた門は轟音とともにまた閉まる。
その光景に眉ひとつ動かさず、断罪公は最後にもう一度貴卿らを見た。

【マルグリット公】
「――――――――では、御機嫌よう」

……そう呟いて去る処刑人を見送れば、後に残るは貴卿らのみ。
静寂、月光、二人の騎士と一人の異端。
怯える女騎士を前に、さて、貴卿らはどのように振舞うべきであろうか――――


                                       【戦の幕、閉幕】

46『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/01/01(月) 23:38:42

――――では、幕間の処理に移行する。
貴卿らは任意の対象にルージュを1点得るか、任意のノワールを1点減らすことができる。
各自、好きなように宣言するがよかろう。

47”艶福卿”コンラッド:2018/01/01(月) 23:51:01
リネット卿:ルージュ【恋】を取得する。

48“月蝕卿”サーラ:2018/01/02(火) 00:00:20
己へのノワールを減らし、0にしておきましょう。

49『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/01/05(金) 00:30:06

【常の幕】

…………不徳の騎士に誅罰を下し、断罪公と言葉をかわし。
それから、しばしの時が経った。
あれ以来、リネット卿はどこか所在無さげに瞳を伏すばかり。
口数少なく、何かに怯えるように。

さてはて、小休止を提案したのは、コンラッド卿であったか、サーラであったか、はたまたリネット卿であったか。
ともあれ貴卿らは、森の中でしばし憩うことに決めた。
赤き真祖の光が貴卿らに降り注ぎ、優しく包み込む。
……リネット卿を、落ち着かせなければなるまい。
可能であれば、彼女の口から真実を聞くべきやもしれぬ。
察することは容易であれ――――察するだけでは、解決はできないのだから。

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      V, : l\ト、`        ´  ヌ ノ: : : :ヘ、 \     ̄   「……………………」
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                         `ー '

……女騎士の瞳は、不安げに貴卿らを捉えていた。

50”艶福卿”コンラッド:2018/01/06(土) 00:37:46
「ふむ……」

霧で作られた椅子にぐっと自身の体を預ける。
髪をかき上げ、リネット卿に視線を向ける。
柔らかな視線だ。だが心中は平時ほどの柔らかさを持たない。
優雅でありながらその中に歩みを進めんとする固い意志がある。

「少しは落ち着かれたかな。リネット卿」

51“月蝕卿”サーラ:2018/01/07(日) 22:39:08

必要が無ければ、口を挟まないのも従者の仕事だ。
こういう時、状況を動かすのは―――私ではなく、主であるべきだろう。

主人の斜め後ろに、静かに佇む。
一先ずは、状況を静観しよう。

52『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/01/09(火) 01:27:16

【リネット卿】
「それは……」
「……ええ、その、申し訳ありません」
「まだ……少し」

控えめに、再び少女は瞳を伏せる。
外套の端が風に揺れ、しかし中を伺うことはできない。
――――彼女の心を、解きほぐさねば。




――――――――常の幕を始めるにあたり、舞台を解説しよう。


――――――――――――――――――――

【玉座】

【宮廷】リネット卿

【庭園】

――――――――――――――――――――

・リネット卿(存在点10)

【玉座】は月に照らされた丘である。
【宮廷】は岩の転がる丘の麓である。
【庭園】はうっそうと生い茂る森の中である。


貴卿らは好きな位置に駒として自らを配置することができる。
【ノブリス・オブリージュ】――――1点の喝采点ないし畏怖点を得ると共に、配置を決定せよ。

53”艶福卿”コンラッド:2018/01/10(水) 00:05:36
【ノブリス・オブリージュ】喝采点を1点獲得。

自身を宮廷に配置する。

54“月蝕卿”サーラ:2018/01/10(水) 00:20:46
現在の畏怖点は3。
配置は宮廷。

55『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/01/10(水) 00:25:18

――――――――――――――――――――

【玉座】

【宮廷】リネット卿、コンラッド卿、サーラ卿

【庭園】

――――――――――――――――――――

・リネット卿(存在点10)

【玉座】は月に照らされた丘である。
【宮廷】は岩の転がる丘の麓である。
【庭園】はうっそうと生い茂る森の中である。



――――――――では、サーラ卿より行いを開始せよ。

56“月蝕卿”サーラ:2018/01/12(金) 00:40:14

では行い判定をば。
diceBot : (4D6) → 14[6,1,6,1] → 14
……6,6と1,1で栄光の目が2つですね。
1,1,6,6,10,10となります。これは凄い。

1,1,10で《嘲笑う因果の車輪》を具現化。行いの目標値を1増やす代わりに、使用回数を増加することができるようになりました。
残る6,6と10をそれぞれ、目標値と使用回数を増加した《影は傍にて離れず》2回分に割り振ります。
リネット卿とお互いにルージュを4点与え合いましょう。私はリネット卿への絆が満たされるので、[潤い]を1点獲得いたします。
リネット卿への絆は消えざる絆ですので、新たに憐の絆を1点分得ておきますね。

57『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/01/17(水) 02:05:36

【リネット卿】
「…………」

――――静かな時が流れる。
あるいは沈黙は心を強張らせることもあろう。
されど――――カルンシュタインは、静寂の影と共に生きる血統なれば。
沈黙が心を解し、安堵が二人の乙女を包む。

【リネット卿】
「サーラ卿は……」
「…………いえ」
「無礼を、働くところでした」
「“異端として生きる道は、どのような心境なのか”と……あまりに、無礼な問いです」
「お許しを」

伏し目がちに、乙女が言葉を切る。
恥じ入るように微笑み、首を左右に僅かに振った。

58“月蝕卿”サーラ:2018/01/17(水) 23:05:09

「―――難しい問いです。」
「未だ120を数えたばかりの若輩ですが、それでも現状に慣れるには十分な時間を、理解ある主の庇護下で得られましたので。」

あるカルンシュタインの血族の気まぐれで、印を受けた。
それから大旦那様―――グランツ公に拾われるまでは、はて。
どう生きていたのか、今一つ記憶が曖昧だ。
私に印を与えたヘルロット卿は、今どこで何をしているのやら―――

「大旦那様に拾っていただくまでは―――申し訳ありません。何分、昔のことですので記憶の方が少々曖昧でして。」

これでも、自分なりに真摯な解答ではある。
覚えていないと言う事は、きっと無用な記憶だったのであろう。

59『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/01/18(木) 02:40:18

【リネット卿】
「そう、ですか……それは……」
「……サーラ卿は、縁に恵まれていらっしゃるのですね」

僅かに力なく、リネット卿は微笑んだ。
はて、彼女の胸中にあるのは如何なる縁のことであろうか。
叙勲を施した主に辱められることは、どれほどの苦痛であろうか。


――――――――さて、次なるはコンラッド卿の行いとなる。

60”艶福卿”コンラッド:2018/01/19(金) 00:11:36
diceBot : (4D6) → 16[2,4,5,5] → 16
《武勲知らせる囁き》(4)でリネット卿にルージュ1点。
《甘き口づけ》(5+5)でリネット卿とルージュを1点ずつ与え合う。

「縁か……」

「私もそうだ。縁あってこの場にいる」

「そう、リネット卿。君やサーラとの縁だ」

そういって優雅に微笑む。

61『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/01/24(水) 00:30:50

【リネット卿】
「……畏れ多い、ことです」

女騎士の頬にさっと朱が差し、俯く瞳が潤む。

【リネット卿】
「コンラッド卿……私は、恐ろしいのです」
「私の運命に、貴卿らを巻き込んでしまったことを」
「もはや、言葉にしても詮無い事とわかってはいても……そう、思わずにはいられません」
「私はもはや、貴方様を魔道へと呼び込んでいるのは、と……」

62”艶福卿”コンラッド:2018/01/28(日) 00:50:41
「ふ。はは、何を言うかと思えば……」

コンラッド卿が笑えばそれに連動するかのように美しき髪が揺れる。
彼の瞳はまっすぐにリネット卿の事を見つめていた。

「魔道であろうと、構いはしないさ」

「私達の道はその程度の寄り道を許さないものではない」

「だから気にすることはない」

63『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/22(木) 03:35:40

【リネット卿】
「……なんと、誇らしい御言葉でしょう」
「その御言葉だけで、万の援軍を得たかのよう」

リネット卿は、しかしどこか寂しげに微笑んだ。

【リネット卿】
「しかし……しかし、私は」

乙女は語る。
乙女の瞳に映ったものを。


――――リネット卿の手番を処理しよう。


《暗き情熱の発露》目標値:6+5=11 間合:自身 対象:自身
 [刻印具現化]:対象はターン終了時、与えたノワールの半分の【存在点】を得る。

《刻み付ける憎悪》目標値:6 間合:0 対象:他の一体(コンラッド卿)
 対象にルージュを1点与える。この[行い]には[抗い判定]を行えない。この際、何らかの情報を与えてもよい。

《おぞましき心得》目標値6+1=7 間合:0〜1 対象:他の一体(コンラッド卿)
 対象にノワールを1点与える。この[行い]の[判定値]を「7」で発動させた時、与えるノワールは1点上昇する。


――――騎士よ、異端よ、[抗い判定]を選択せよ。


【リネット卿】
「騎士として、あるまじきことを告白致しましょう」
「我が憎悪を」
「刃よりもなお冷たく、洞穴よりもなお暗い、我が憎悪を語らねば、私は……!」

乙女は語る。
彼女の胸中にて燃え上がる、深き深き憎悪の念を。
騎士にあるまじき、不徳にも数えられよう憤怒の渇きを。

64”艶福卿”コンラッド:2018/03/22(木) 23:26:45
《おぞましき心得》に【抗う力】2点を使って対抗。
diceBot : (2D6) → 9[3,6] → 9

「その言葉を受け入れよう」

「それが騎士として、同胞としての務めだ」

目をつむり、指を組む。
そしてコンラッドは彼女の言葉に耳を傾ける。

65『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/23(金) 02:10:25

――――見事。
貴卿が抗いに成功したことにより、リネット卿にルージュが1点与えられた。


【リネット卿】
「……憎いのです」
「私はあの男が、どうしても憎くて仕方がない」
「我が姉を幽閉し、慰み者に嬲り尽くしたあの男が」
「私を、姉を甚振るための道具とするためだけに叙勲を施したあの男が!」
「私も、姉も……心から、騎士道を愛しいと思い、騎士様にお仕えしてきたのに……!」

乙女が吐露する。
彼女の中にある憎悪。
……騎士道を穢す者を見た時、憤るは騎士として当然のことであろう。
だが、ならぬ。
騎士はその憎悪を律せねばならぬ。
騎士たるもの、憎悪や憤怒に身を任せるなどということはあってはならぬ。
それは闇だ。それは渇きだ。
邪な感情は騎士の誇りを渇きで貶め――――やがては。
……私欲のために獣に堕し、地獄へと幽閉された騎士を貴卿らはよく知ろう。
先ほど、その光景を目にしたばかり故。
だが、堕落とは汚らわしい私欲のみによってなされるものではないのだ。
時に――――正当なる怒りすらも、騎士を闇へと引きずり込む。

66『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/23(金) 02:13:07

さぁ――――貴婦人を堕落へと貶めてはならぬ。
今少し、語らう必要があろう。



1巡目を終了し、2巡目に移行する。
その際、まず【絆奏】――――【リネット卿】に対し【憐】のルージュを貴卿らは得るがよい。
そして再び2点の[抗う力]が付与され――――――――――――いざ、サーラ卿より手番を開始せよ。



――――――――――――――――――――

【玉座】

【宮廷】リネット卿、コンラッド卿、サーラ卿

【庭園】

――――――――――――――――――――

・リネット卿(存在点3/10)

【玉座】は月に照らされた丘である。
【宮廷】は岩の転がる丘の麓である。
【庭園】はうっそうと生い茂る森の中である。

67『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/23(金) 02:25:17

※また、【ノブリスオブリージュ】によって各自[喝采点]及び[畏怖点]を獲得せよ。

68“月蝕卿”サーラ:2018/03/23(金) 02:47:58

「―――少しばかり、差し出口をお許しください。」
「騎士の在り様について、私のような者が口を挿むというのは、おかしな話やもしれませんが。」

烈しい憎悪を宿す彼女の在り様は、よく似ている。
無論、私にではない。そう―――我が傍らに座す、旦那様にだ。
方向性は違えど、旦那様もまた、烈しい気性を覆い隠して生きる騎士。
これもまた、縁なのだろうか。

「憤りを感じるのは当然です。騎士以前に、ヒトとして当たり前の事でしょう。」
「ですが―――騎士となった以上、貴女の双肩には、騎士の責務が掛かるでしょう。」
「それは時に、重石となって貴女を煩わせるやもしれません。ですが―――」
                                      ・ ・ ・ ・
「―――それを煩うならば。貴女もまた、彼の不徳の騎士と同じものとなりましょう。」
「それは―――とても、悲しい事かと存じます。どうか、心をお鎮めください。」

「騎士の剣は、荒れ狂う憎悪や、燃え盛る熱情ではなく―――正しき理性によって振るわれねば、ならないのです。」

それは、リネット卿だけではなく―――傍らの主にも向けられた言葉なのだろう。
騎士たる者は、常に己を律し、戒めねばならない。
そうでなければ、何故民の心が安んじられようか。
基本に立ち返り、己の身を今一度省みよ。その姿に、不徳の騎士が影を見るがいい。

―――騎士ならぬ異端の言葉は、さながら鏡のようだ。
自らに不徳の影を見ればこそ、その言葉は重く伸し掛かるであろう。

まずは[行い判定]をば。
diceBot : (4D6) → 15[5,2,4,4] → 15
5と2で《影は傍にて離れず》を旦那様に。
4と4で《この身は忠犬》をリネット様に使いましょう。
旦那様とルージュを2点与え合い、[刻印具現化]しているリネット様には2点のルージュを与えます。

69”艶福卿”コンラッド:2018/03/23(金) 03:28:03
【ノブレスオブリージュ】にて[喝采点]を1点獲得する。

「そうか……」

深く息を吐く。
己が歩んだ歴史を思い返す。
強い念。その激情を己も宿していた。しかし騎士の身でそれが許されるはずもない。
目の前にいる者がまるで過去の自分の鑑写しのように感じてしまう。

「リネット卿……確かに貴卿の持つそれは騎士として律さねばならないものだ」

「それでも私はこういおう」

「だがそれでいい、と」

[行い判定]
diceBot : (4D6) → 13[1,5,4,3] → 13
サーラ卿の逸話の効果を受け、1の目を5に変更する。

5+3にて《甘き口づけ》リネット卿とルージュを1点ずつ分け合う。
5にて《武勲知らせる囁き》リネット卿にルージュを1点与える。
4にて《舞うが如き歩み》【喝采点】を1点獲得。さらに自身にルージュを1点獲得。
これにて【潤い】を得る。

「騎士となる前、私は騎士としての資格を持たぬ者だった」

「多くの恋と多くの闘争。自分の中の漆黒の炎に薪をくべるだけの日々だ」

「私の叙勲も何か裏のあるものだったのかもしれない」

だが騎士となった以上、自身を律するのも務め。
一人の騎士として歩いていく覚悟を固めていた。
間違えのないように進んでいく。

「遍歴となったのも、恐れていたからだ。一つの場所に留まればこの炎がより燃えるのではないかと」

「だが、私にはサーラがいる。私には過ぎたる従者。異端でありながらも誉れある騎士とその在り方は変わらない」

「もしも私が堕落したとしても、この者が醜悪な芝居に幕を下ろすだろう」

サーラ卿への信頼の念がある。
自分の中の危険を納める者がいる。そして一人での旅よりもう二人での旅の方がずっといいことをコンラッドは知っている。

「リネット卿。我々はここからだ。今の激情が過去の激情となれば」

「誰にも恥じることのない騎士としての道の上にいられるのだ」

70”艶福卿”コンラッド:2018/03/23(金) 03:35:38
《武勲知らせる囁き》の対象はリネット卿ではなくサーラ卿であった。

71『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/23(金) 04:00:38

――――見事。
リネット卿の存在点は0となり、[壁の華]となった。
これにより貴卿らには1点の【潤い】が与えられ――――常の幕の処理を終了する。



【リネット卿】
「……まだ」
「まだ、間に合うのでしょうか」
「騎士らしく、私は歩むことができるのでしょうか」
「私が――――」

貴卿らの言葉に、リネット卿がそっと外套を握りしめる。
常に閉ざしていた、その外套。
……もう、貴卿らは察していることだろう。
彼女の外套の、その下にあるものを。

――――意を決したように、悲壮な笑みを浮かべながら、乙女は外套を開いた。

72『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/23(金) 04:01:17

                         . ._
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                      .': : :{: : : :i: : :',: :l; :.ノ,ィァ'、ヽ }
                      l: : :ハ: : : :'; lVヽ!j/ 、  ∨ヽ、'
                    ノ: :.' : :、: : {ソイア    ,  }ヽ 、
                   ,.: : / : : : 乂:ゝ、   ´__.'_ ヽ{
                  /: : イ: : : : : :.ト,.-=ニニ二二二}        「―――――――――このような、獣脚のケダモノでも」
.                . : : :/ ,: : : : : : :.!ニニニニニニニ!
.              /: : : '  /: : : : : : :,ニニニニニ=‐-=ト、
.              ,: : ;.'  , : : : : : : : :/ニニ,ィニ/ ,.イニニヽ.\ 、
            {: / , イ: : : : : : : : / ` ー,イ/ ,.イ/ニニ二iニ〉\ヽ
            ,: {: : : /: : :/: : : :/  _l.!',l ,.イニニニ二lア  .ハ
. ._   _. . . : : : : :ヽ、:, ': : : /: : : :/  〈二Vl〈ニニニニニ{'   ./ニ}
: : : : : : : : : : : : : : : : : :./、: : : : : : : /   ,ゝニヽ,マニニ二二〉 ./-‐'
: : : : : : : : : : : : : : : :./: : : : ;.': : : :./  /ニニ/ニニニ>‐" /ィ  '
: : : : : : : : : : : : : :./: : : : : : : : : :.;.',.イニニニ,イニニ二/-‐<イノノ_ ,
‐- _: : : : : : /: : : : : : : : : : : /ニニニニ/ニニニ/、´ >マ _/
二ニ=-._  ̄/: : : : : : : : : : : : ;イ二二>"イ二二/_ゝ入__ノ,'<./
ニニニ二/ : : : : : : : : : : : : : イニニ/./ニニニ/、-‐ '" ̄} ト _ノ
ニ二/: : : : : : : : : : : : : : :イ-=≦´-イニニニ/ニニ>-___.ノ
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: : : : : : : : : : : : : : /ニニ.イニ二二二/ ,             :
: : : : : : : : : : : : イニニ,.イニニニニニ/ {          、
: : : : : : : : : <二,.イニニニニニニ/   、          、
: : : : : : <ニニニ{ニニニニニ>'"  、
: : ;.<ニ二二二/_ ̄ ̄7'"           ヽ         、
"ニニニニ,. <ニ二二二Y        、
ニニ, <ニニニニニニノ               ヽ        、  ,、
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73『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/23(金) 04:01:48

――――おお、なんと悍ましきその異形。
女騎士の両足は、汚らわしき山羊の脚へと変じている。
これなるは堕落の兆し。
渇いた騎士がその身に宿す、罪の烙印。
いかにも、彼女は清廉なる騎士などではない。
渇きに溺れ、堕落へと足を踏み入れた浅ましき獣――――夜獣の道を往く、呪われた騎士なり。

【リネット卿】
「鉄印卿の辱めに、私は耐えることができなかった……!」
「怒りと絶望に染まった私の心を、真祖ドラクルは見逃しはしなかった!」
「この獣脚こそ、私の罪の証!」

「――――――――姉さんは、堕落の兆しを得る事などなかったのに!」

……心の弱さ、と罵ることは容易だろう。
現に彼女の姉は、強き心を保ち堕落することなく辱めに耐え忍んだのだという。
妹にのみ現れた獣の兆しは、さぞ彼女を苦しめ、鉄印卿を愉快にさせたことだろう――――

74”艶福卿”コンラッド:2018/03/24(土) 01:26:34
「歩めるとも」

コンラッド卿の結論は変わらない。
例え堕落の兆しが見えていただろうと。
その生きざまを受け入れて進むほかない。
でなければコンラッド卿は自身の生きざますら否定しなければならない。

「行こうリネット卿。ここからだ」

「この先に真の騎士道があるのだ」

75“月蝕卿”サーラ:2018/03/24(土) 02:11:11

どう生きるか。難しい命題ではあるが、そこに他者の目を介在させる必要はあるだろうか?
答えは否だ。あえて苦難の道をゆかんとする事に、周囲の視線などは聊かの意味も持ちはしない。

「―――周囲の視線は、厳しいものとなりましょう。」
「ですが―――いえ、だからこそ。あえて苦難の道を往かんとする志こそは、何物よりも貴きものかと愚考する次第です。」

そも、これなる侍女こそは異端の血族、僭称者カルンシュタイン。
夜獣とて、彼の者らに比ぶれば真っ当とされよう。
つまりは、そう。その程度の話なのだ。

「清廉なる騎士の道からは外れてしまいました。それは事実です。今さら覆す事は出来ようはずもありません。」
「ですが―――それでもなお騎士らしくあらんとするのであるならば、その足もまた、己を省みる糧となるでしょう。」

「―――同じ過ちを、繰り返さぬために。」

76『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/29(木) 01:28:49

「……ああ」
「本当に――――罪深い」

乙女は静かに、雫を瞳より零す。
哀しみによって――――などではなく。

「ですが……私は、この深き罪と共に」
「罪によって始まった私の騎士道は、罪と共に在りましょう」

歓喜。
その感情が、乙女の瞳から雫を零した。

「ありがとうございます、コンラッド卿」
「ありがとうございます、サーラ卿」

獣脚にて、乙女は跪く。
祈るように両手を絡め、恭しく礼をして。

「我が獣脚は罪の証」
「脆く手折れた、我が弱き心の証」
「――――同時に、鉄印卿が犯した罪の証」

「彼の騎士の罰となり―――――騎士道の義務を、果たしに参りましょう」

そして顔を上げれば、穏やかながらも美しき笑顔が咲いているのであった。


                                     ――――――――常の幕、劇終。

77『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/29(木) 01:31:24

――――では、幕間の処理に移行する。
貴卿らは任意の対象にルージュを1点得るか、任意のノワールを1点減らすことができる。
各自、好きなように宣言するがよかろう。

78“月蝕卿”サーラ:2018/03/30(金) 00:25:33

今回は、己への[信]のルージュを1点増やしておきましょう。
振り直し回数がかさんだ時にリセットしやすくなります。

79”艶福卿”コンラッド:2018/03/30(金) 00:27:33
リネット卿:ルージュ【恋】を1点増やそう

80『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/30(金) 00:44:52

【終の幕】

いくつの森を超えただろう。
いくつの丘を越えただろう。
数多の道を踏みしめて、数多の草木を踏みしめて。

            ゲヒェンリッヒブルク
――――貴卿らは、“危険の城”に辿り着いた。
暗き森に囲まれたその城の、おお、なんと悍ましき事か!
煌々と掲げられた松明たちが、真祖の柔らかき赤光を掻き消さんばかりに輝いている。
かつては堅牢であったろう城門は、無残不埒に開け放たれていた。
びゅうびゅうと、生暖かい風が城内から漂っている。
その風に乗り、淫蕩な喧騒が微かながらも聞こえるであろう。
他ならぬ騎士、あるいは異端である貴卿らの耳は、微かな音すら聞き逃さぬ。それが幸であれ、不幸であれ。

【リネット卿】
「……恐らく、鉄印卿は玉座の間にいるかと思われます」
「行きましょう――――我らが、騎士道がために」

81”艶福卿”コンラッド:2018/03/30(金) 01:11:15
「城門を開けたままにするとは不用心だな」

「……いや、もうそれをするほどの理性もないほど堕ちたか」

堕落への共鳴を持つコンラッドだがまだこの域ではない。
一度瞳を閉じ、再び開いた時にはその目の奥には強い意志が込められていた。
倒さねばならぬ。かのものを。

「あぁ、行こう」

「騎士の道に栄光と誉れのあらんことを」

82“月蝕卿”サーラ:2018/03/30(金) 23:49:36

この喧騒こそ、何よりも雄弁に不徳を語るもの。
今さら疑う余地も無し。成すべきは一つ。

「―――仰せのままに。」

―――狩りの時間だ。

貴き人々の言葉の元に。
この身は正しく、猟犬となろう。

83『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/31(土) 02:12:18

リネット卿に案内されるままに城内を進めば、さしたる妨害も無く玉座の間までたどり着く。
……油断か、狂気か。
あるいは――――誘っているのか。
いずれにせよ、進む以外の道はありはせぬ。
あけ放たれた玉座の間に足を踏み入れれば――――そこには、唾棄すべき饗宴が催されていた。


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                   !:!.:.:.:.:.:.:.: !:.:.!:.:.:.:.:.\:\ソ   ヽ        ,'         「我が騎士を連れてきてくれたのかな?」
                   ∨、.:.:.:.:.:.ヽ:.ヽ:.> '"´ ̄`ヽ \ >  __   j
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84『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/31(土) 02:16:01

鷹揚に貴卿らを迎えるのは、玉座に腰かける騎士。
……貴卿らの傍らで、獣脚を露わにしたリネット卿が怒りと共に剣を抜く。

【リネット卿】
「アイアンサイド卿……!」

――――彼こそは、“鉄印卿”アイアンサイド・ロッソブルク・フォン・アヴァローム。
リネット卿とその姉を辱めた、不徳堕落の騎士である。

【アイアンサイド卿】
「ははは、そう睨むな、リネット」
「懐かしくなって、帰ってきたんだろう?」
「また楽しく暮らそうじゃないか。なぁ?」

アイアンサイド卿は、上機嫌に両手を広げている。
……そろそろ、この堕落の園について目を向けねばなるまい。
見るも悍ましい、この堕落の園。

――――――――男がおり、女がいる。
それらは思い思いに過ごしていた……と表現するのは、いささか怠惰が過ぎようか。
彼らは全裸体で――――まぐわっているのだ。
好きなように、男女の区別もなく……淫らに、まぐわっている。
嬌声と歓声が部屋に響き、淫靡な水音が絶え間なく鳴っている。

【アイアンサイド卿】
「――――お前もそう思うだろう、ライネット?」

……そして、玉座の隣には、鎖にて繋がれた乙女が一人。
もはや語るまでもあるまい。
この美姫こそ、リネット卿の姉君――――ライネット・グリンシルト・フォン・アヴァローム。
乙女は悲壮に言葉をつかえさせ、涙を流す。

85『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/03/31(土) 02:24:26

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         |::|:::::::|:::::::|::::|Ⅵ从 }/     :.:.:.:.:.:.:   r'::::|ーイ:|   「――――来てしまったのね、リネット」
         |::|:::::::|:::::::|:从 リ     、         .イ::::: }| 〉:::|    「貴女は、逃げてと……そう、言ったのに」
         |::|:::::::|:::::::|::::::|、     c っ     イ::|::|:::::||':::|::|
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じゃら、と彼女を縛る鎖がこすれた。
……これが、鉄印卿の戯れなのだ。
見初めた民を叙勲し……縛り、淫らな饗宴を開く。
決して乙女に手出しはせぬ。
ただ、目の前で交わり騒ぐのみ。
…………ただそれだけが無限に続き、ただそれだけが騎士の心を砕く。
リネット卿の脚が、獣に変じてしまったように。

【リネット卿】
「アイアンサイド卿……!」
「姉さんを、返していただきます!」

【アイアンサイド卿】
「ははは! 相変わらず、血気盛んなやつめ」
「そういうところを気に入っているのだ。くく、客人まで連れてきて……」
「どうだ? 貴卿らも、この宴に加わらんか」
「至上の快楽を貪らせてやるぞ?」

86”艶福卿”コンラッド:2018/04/02(月) 23:36:55
「はぁ……」

眉間にしわが寄り、表情が曇る。
まさかここまでとはと言いたそうにコンラッドは片手で自身の頭を抱える。

「堕ちるところまで堕ちるとこうなるのだな……全く、不快なことだ」

そのまま手が髪をかき上げる。
コンラッドの瞳がアイアンサイド卿に向けられる。

「あいにく、快楽とは一滴の滴のようなものだと思っているものでね」

「渇きを抑えるのは一滴の潤い。そのようにとめどなく流れるものは潤いではなく濁流だ」

コンラッドは霧にて弓と矢を生成する。
そして鎖に向けて矢を放たんと指を離した。

「そこに美などありはしない」

87“月蝕卿”サーラ:2018/04/03(火) 00:02:49

見よ、この悍ましき腐乱の園を。
堕落とは、まさにこれ。不徳とは、まさにこれ。
これなる在り様を笑い楽しむ者。
これを悪と呼ばずして、一体何と呼んだものか。
聡明なりし真祖とて、そればかりは答えられまい。

―――侍女は何も語らない。
猟犬は静かに控え、主の言葉を待つ。
狩猟の始まりを告げる、一声を。

88『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/04/09(月) 01:25:27

【アイアンサイド卿】
「――――残念だ。実にね」

コンラッド卿が放った矢を、玉座に座ったままにアイアンサイド卿が無造作に掴み取る。
――――その腕は、異形に歪んでいる。
獣だ。
獣の腕が、悪徳の領主の腕として矢を握り折った。

【アイアンサイド卿】
「では、仕方あるまい」
「謳うとしよう。踊るとしよう」
「快楽を、快楽を、快楽を――――さぁ諸君! 宴を始めよう!」

鉄印卿が立ち上がる。
一歩進み出れば、足は獣脚に変わった。
一歩進み出れば、両腕も獣のそれに。
一歩進み出れば、美しき相貌は醜き悪魔の獣となる。

黒山羊卿――――奸智姦淫に溺れた騎士の、堕落の末路。
巨大な山羊の怪物が号令を飛ばせば、玉座にて交わり続けていた男女が歓喜の叫びをあげる。
彼らは好色な視線を貴卿らに向ければ、群れとなって貴卿らを取り囲む。

【ライネット卿】
「ダメ……逃げて――――!」

【リネット卿】
「いいえ、姉さん! 今、貴女を助けます!」

89『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/04/09(月) 01:35:06


――――――――終の幕を始めるにあたり、舞台を解説しよう。


――――――――――――――――――――

【玉座】アイアンサイド卿、ライネット卿(熱烈な味方役)

【宮廷】兵士役×3

【庭園】

――――――――――――――――――――

・リネット卿(存在点10)

【玉座】は、玉座周辺である。
【宮廷】は、嬌声響く玉座の間である。
【庭園】は、玉座の間手前の廊下である。


貴卿らは【宮廷】か【庭園】に駒として自らを配置することができる。
また、貴卿らはリネット卿を『喝采役』として【宮廷】か【庭園】に配置することができる。
【ノブリス・オブリージュ】――――1点の喝采点ないし畏怖点を得ると共に、配置を決定せよ。

90『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/04/09(月) 01:43:27

■訂正■

――――――――――――――――――――

【玉座】アイアンサイド卿、ライネット卿(熱烈な味方役)

【宮廷】兵士役×3

【庭園】

――――――――――――――――――――

・アイアンサイド卿(存在点20)

【玉座】は、玉座周辺である。
【宮廷】は、嬌声響く玉座の間である。
【庭園】は、玉座の間手前の廊下である。

91『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/04/10(火) 00:50:41

なお、兵士役の主はアイアンサイド卿であり、リネット卿とライネット卿は貴卿らを主とする端役である。
リネット卿とライネット卿が【壁の華】となってもペナルティは無いため、安心されたし。

92“月蝕卿”サーラ:2018/04/10(火) 00:52:10
現在の畏怖点は5。
配置は【宮廷】としておきましょう。

93”艶福卿”コンラッド:2018/04/10(火) 23:08:43
畏怖点を1点得よう。
そして配置は【宮廷】

94”艶福卿”コンラッド:2018/04/11(水) 00:53:30
リネット卿は【庭園】にいていただこう

95『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/04/16(月) 23:21:17

――――――――――――――――――――

【玉座】アイアンサイド卿、ライネット卿(熱烈な味方役)

【宮廷】コンラッド卿、サーラ、兵士役×3

【庭園】リネット卿(喝采役)

――――――――――――――――――――

・アイアンサイド卿(存在点20)

【玉座】は、玉座周辺である。
【宮廷】は、嬌声響く玉座の間である。
【庭園】は、玉座の間手前の廊下である。



――――――――――――では、サーラ卿より手番を開始されよ。

96“月蝕卿”サーラ:2018/04/17(火) 00:11:05

                       r―v‐┬┬ 、
                    /`Y´\ ̄` ̄ ̄ >、
                   (⌒Y´|   \   ー=≦⌒ヽ
                   / Уソ \    \ー=ニ二  ̄`
                   // .イ/∧   ` ー=ニ二三三二ニ =--‐一
                |//|| | \  __ ー=ニ三三 ̄`ヾY´
                |/ 八|\ `'ーV》r:≦> 三三二ニ`Y⌒ヽ
             {\     |   l! |、Υ(乂乂ノ⌒ヽー=≦⌒ヾ|
             \\     {V(乂ノY´Y∠二ヽ从≧x.  丿
             \\   ((ノΥ ̄ ̄>―-、::\Y(_))
                   \.X^⌒ヽ{/  ´ ̄)::::>'--、|_
       丶二二二二二ヘ.)_)> |〉   ´「ro>< ̄}:::::::`ヽ                ____
          丶ニニニニヘ.)<.ノーヘ    / /   ` ー<::::::: ̄`ヽ              /     /
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             /      ヽ. <´ ̄ ̄/\: : : :.:.:| ̄ ̄ ∧    |丿  丿  人__)
           __/___ /ー―<__.ノ―‐\: : :.|―<_, ヘ   人_/__ノ
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.       ////////'/                          \///∧


―――影が踊り、刃が舞う。
その歩みは、舞踏の如く軽やかで。
その刃に、慈悲はない。
優雅で、苛烈で、無慈悲。
それが、侍女の仮面の内側だ。

diceBot : (4D6) → 11[3,2,5,1] → 11
己へのノワール「怒」を1点得て振り直しましょう。
diceBot : (4D6) → 14[1,5,2,6] → 14
逸話†もはや手段は選ばず†にて、1を5に変更。
5で兵士役に《怪物を見る目とは》、5で《我は汝が影》、6で《振り向けばそこに》を使用。
兵士役にルージュ2点とノワール1点、旦那様と己にルージュ1点を与えます。
そして旦那様にノワールの肩代わりをする刻印を具現化しておきます。

97『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/04/22(日) 23:20:21

見事、御事、美事。
従者の慈悲無き舞踏が、狂乱する淫蕩の罪人たちを壁の華へと押しやっていく。
彼らは悲鳴を上げることもなく、嬌声の中へと消えていく。

【アイアンサイド卿】
『ほう――――美しい』
『欲しいな。あの、美しい従者も』

黒山羊が、醜悪に嗤った。


――――――――――――――――――――

【玉座】アイアンサイド卿、ライネット卿(熱烈な味方役)

【宮廷】コンラッド卿、サーラ

【庭園】リネット卿(喝采役)

――――――――――――――――――――

・アイアンサイド卿(存在点20)

【玉座】は、玉座周辺である。
【宮廷】は、嬌声響く玉座の間である。
【庭園】は、玉座の間手前の廊下である。



――――――――次なるは、コンラッド卿の手番である。

98”艶福卿”コンラッド:2018/04/23(月) 00:37:16
コンラッド卿は【玉座】に移動する。

diceBot : (4D6) → 17[6,5,4,2] → 17

6で《颯爽たる推参》を使用。アイアンサイド卿に2点ルージュを与える。
4+2で《我と共にあれかし》を使用。ライネット卿の[主]を自身に変更する。
5で《騎士のたしなみ》を使用。アイアンサイド卿に1点ノワールを与える。

「いや、させないとも――――」

跳躍。一気に接近する。
ほの暗い炎が燃える。目の前の騎士の身と体を砕かんとする企て。
堕落した者との共鳴によって起こる誰よりも美しく汚い在り方。
堕落した者だけが理解できるかもしれない美の形。

「コンラッド、馳せ参じた。わが友のためにだ」

99『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/05/18(金) 03:17:18

【アイアンサイド卿】
『ああ、失敬、失敬した!』
『コンラッド卿、貴卿もまた美しく――――嗚呼、私は貴卿が欲しい……!』

剣戟。
騎士の刃と黒山羊の蹄とが激しくぶつかり合い、もたらすは喝采也。
さながら、舞踏の如く。
堕落した獣を相手にすれど、艶福卿の美麗が損なわれることはなく。
花弁の如く、火焔の如く、危うくも美しい姿が謁見間を魅了する。

【ライネット卿】
「コンラッド郷……!」

故に、乙女の視線も熱を帯びる。
美しき舞踏を、最も間近で堪能できる栄誉。
常夜国広しと言えど、これほどの悦楽が他にあろうか?



――――――――“熱心な味方役”の効果により、コンラッド卿は己へのルージュを2点獲得せよ。

――――――――――――――――――――

【玉座】アイアンサイド卿、コンラッド卿、ライネット卿(熱烈な味方役)

【宮廷】サーラ

【庭園】リネット卿(喝采役)

――――――――――――――――――――

・アイアンサイド卿(存在点17)

【玉座】は、玉座周辺である。
【宮廷】は、嬌声響く玉座の間である。
【庭園】は、玉座の間手前の廊下である。

100『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/05/18(金) 03:31:52

――――では、アイアンサイド卿の行動となる。


《正視に耐えぬ悪徳》目標値:4 間合:0〜1 対象:他の1体(コンラッド卿)
 次のターン、対象が使用する[行い]の[目標値]は1上昇する。
 この[行い]は[PC人数]回使用してよい。

《正視に耐えぬ悪徳》目標値:4 間合:0〜1 対象:他の1体(サーラ)
 次のターン、対象が使用する[行い]の[目標値]は1上昇する。
 この[行い]は[PC人数]回使用してよい。

《我こそが王なり》目標値:12 間合:0 対象:エリア(玉座)
 対象のエリアにいる全ての[端役]を【壁の華】にする。
 貴卿は次ターン開始時に【存在点】10点か、【行動点】20点を得る。

《堕落!おお堕落!》目標値6+4=10 間合:0 対象:エリア(玉座)
 [領域具現化]:対象のエリアにいる存在が得る[抗う力]は1減少する。


――――騎士よ、異端よ、[抗い判定]を選択せよ。



【アイアンサイド卿】
『欲しい、欲しい、欲しいィィィィィィィィ!!!』
『なにもかも、なにもかもだ!』
『貴卿も! 貴卿も! 貴卿も!』
『我が快楽の沼に沈んでくれ……!』

暴走する黒山羊が――――ライネット卿を、標的とした。
乙女を拘束する鎖を引き、手元に手繰り寄せようと。
おお――――これを見過ごせば、いかなる悪徳が繰り広げられるかについては、あまりに悍ましき故に筆を置きたい。
もはや彼の騎士は、乙女をその手で汚すことしか頭にないのだから。

101“月蝕卿”サーラ:2018/05/24(木) 00:44:12

短剣を投げつけ、鎖を縫い止める。
とは言え、鎖を砕くほどの力はない。
殊更に、相手は先のジョナサン卿よりも高位の騎士。
ちょっとした時間稼ぎが精々であろう。

《我こそが王なり》に抗いましょう。
手持ちの抗う力2点を使って判定します。
diceBot : (2D6) → 6[4,2] → 6
……普通ですね。流石に一人で抗うのは無理がありそうです。

102”艶福卿”コンラッド:2018/05/24(木) 23:30:35
舞うように武器を振るう。
迫る鎖に楔を打つ。

「そう猛らないでもらおうか。少々、品位を欠く」

抗う力を2点使う。

8 [2D6] 5,3 (00:46:59)

サーラ卿の6点と合わせて14点で《我こそが王なり》に対抗しよう

103『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/05/25(金) 23:35:17

短剣が鎖を穿つ。
次いで、槍が。

――――乾いた音と共に、乙女を縛る鎖が砕けた。

【ライネット卿】
「きゃあっ……!」

乙女が重心を崩し、倒れ込む。
怒り狂ったのは、軽くなった鎖を手繰る黒山羊だ。

【アイアンサイド卿】
『嗚呼……酷い、酷い……ワタシはぁ……!』
『私はただ、何もかもが欲しいだけなのにィィィィィィィ!!!』

醜く、獣が地団太を踏む。
……かつては、あれも騎士であった者だ。
美しく、誇りを持っていたはずの者の成れの果てが――――この醜き獣。
なんとおぞましく、残酷な事実であろうか。
貴き真祖の眷属たる騎士が、これほどまでに堕落しようとは……


――――《我こそが王なり》が打ち消され、アイアンサイド卿の【存在点】が1減った。
その他三つの行いは、発動した。


……最後に、ライネット卿及びリネット卿の移動が行える。
決定権は貴卿らに。
移動を行わない場合も、「移動を行わない」と宣言せよ。

104”艶福卿”コンラッド:2018/05/26(土) 00:05:25
「欲することでどれだけのものを穢した」

「私には貴様の方がよほど酷いものに映ると知れ」

言葉が己に跳ね返る。
否、それはどこかにいたはずの、いつかいたはずの若者の話だ。
艶福卿、コンラッドの身には帰らぬ言葉。

移動はしない。
騎士は目の前の敵を強く見続ける。

105”艶福卿”コンラッド:2018/05/26(土) 00:09:07
「ライネット卿。ここは危険だ。これ以上、花が傷つけられる様を見たくはない」

ライネット卿には宮廷に下がっていただく。

106“月蝕卿”サーラ:2018/05/26(土) 00:29:03

リネット卿には、そのままの位置で待機していていただきましょう。
こちらに来ても良い事はありませんし。

107『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/05/27(日) 22:47:56

【ライネット卿】
「は、はい……御武運を……!」


――――――――――――――――――――

【玉座】アイアンサイド卿、コンラッド卿

【宮廷】サーラ、ライネット卿(熱烈な味方役)

【庭園】リネット卿(喝采役)

――――――――――――――――――――

・アイアンサイド卿(存在点16)

【玉座】は、玉座周辺である。領域:《堕落!おお堕落!》が具現化している。
【宮廷】は、嬌声響く玉座の間である。
【庭園】は、玉座の間手前の廊下である。



……では、次のターンへ移行する。
各々方、【ノブリス・オブリージュ】にて喝采点と……【抗う力】を獲得せよ。
玉座にいるコンラッド卿は、獲得する【抗う力】が減少する点に注意せよ。
また、両者とも《正視に耐えぬ悪徳》を受けている点に注意せよ。


――――――――サーラ卿より、手番を開始されたし。

108“月蝕卿”サーラ:2018/05/27(日) 23:30:33

ライネット卿とすれ違うように、玉座へと歩み寄る。
直後―――おお、これは如何なる仕儀か!
まるで切り取られたかのごとく、玉座周辺が深い闇に包まれたのだ!
逆もまた然り。玉座の間近にある者たちには、あたかも外側が切り取られたかのごとく見えたであろう。
如何なる者が、真祖の恩寵なき真なる闇を越えられようか。
今や二つの領域は、闇の帳にて完全に切り離されたのだ!

「色々と目に余りましたゆえ、覆いをかけさせていただきました。」
「不作法の程は、お許しを―――」

足取りは軽やかに、翻る手は冷酷に。通る声は、涼やかに。
鋭利な刃が、獣に迫る。

まず畏怖点を1点獲得。現在の畏怖点は6点となります。
このうち2点を使い、行い判定のダイスを2個増やしましょう。残る畏怖点は4点ですね。

diceBot : (6D6) → 21[3,6,4,6,1,1] → 21
栄光の目がふたつ。3,4,6,6,1,1,10,10となりますね。
まず玉座に移動。10にて《黒く黒く満たせ》(目標値8+1)を使用。玉座と宮廷の境界は、私の[境界具現化]を解除しない限り何人たりとも通過できません。
さらに1,10にて《この身は猟犬》(目標値10+1)を旦那様に使用。次の旦那様の行いの目標値をすべて2減少いたします。
3,4にて《影は傍にて離れず》(目標値6+1)、6,1にて《振り向けばそこに》(目標値6+1)。旦那様に1点、アイアンサイド卿に3点のルージュを与え、アイアンサイド卿へのルージュを2点得ます。私の得るルージュの属性は憐にでもしておきましょうか。
最後に6にて《称賛の声はなし》(目標値4+1)。畏怖点を1点獲得。これで残る畏怖点は5点になります。

109『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/05/27(日) 23:57:18

御武運を――――すれ違いざま、乙女の声援が従者にかかったやもしれぬ。
正義を――――その背に、乙女の悲願が投げかけられたやもしれぬ。
二人の姫君を、闇にて切り離す。
これより演じられるは、あまりに浅ましき堕落者の末路であるが故。
短剣を突き立てられた獣が――――喜悦に、悲鳴を漏らした。


――――――――――――――――――――

【玉座《堕落!おお堕落!》】アイアンサイド卿、コンラッド卿

《黒く黒く満たせ》

【宮廷】サーラ、ライネット卿(熱烈な味方役)

【庭園】リネット卿(喝采役)

――――――――――――――――――――

・アイアンサイド卿(存在点13)

【玉座】は、玉座周辺である。領域:《堕落!おお堕落!》が具現化している。
【玉座】と【宮廷】の間には、境界:《黒く黒く満たせ》が具現化している。
【宮廷】は、嬌声響く玉座の間である。
【庭園】は、玉座の間手前の廊下である。


――――――――次なる行動は、コンラッド卿によるもの也。

110”艶福卿”コンラッド:2018/05/28(月) 00:40:51
「サーラ! 苦労を掛ける」

コンラッドの鎧が霧と化し、この世から失われる。
しかし霧は未だ消えず。新たな形をこの世に産み落とす。
まるで舞踏会に華を添えるが如き美しい礼服。
それこそが艶福卿であるコンラッドの真の鎧。
全てを舞うかのように優雅に行うという意思の表れである。

「さぁ、まだ我が手を緩めるには至っておらんよ」

喝采点を1点受け取り、2点使用する。

diceBot : (6D6) → 27[4,5,3,6,6,3] → 27
栄光の目によって 4,5,3,6,6,3,10だ。

《麗しき我が血統》(目標値17-1 10+6使用)を使用。
形態具現化。これより宣言する[行い]の対象が[自身]以外である時、その[行い]の間合いは1増加し、与えるルージュは1点増加する

《武勲知らせる囁き》(目標値4-1 3使用)
アイアンサイド卿にルージュを1+1で2点を与える。

《甘き口づけ》(目標値8-1 3+4使用)
アイアンサイド卿と1+1で2点を与え合う。

《華散らす銀閃》(目標値3-1 5使用)
アイアンサイド卿に1点ノワールを与える。

《騎士のたしなみ》(目標値4-1 6使用)
アイアンサイド卿に1点ノワールを与える。

これで4点のルージュと2点のノワールのはずだ。

111『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/05/29(火) 23:43:51

【アイアンサイド卿】
「おおお……!」

ひとつ、ふたつ、みっつ!
踊るように、次々と黒血が迸る。
玉座を穢し、蒸気となって溶けていく。
罪を示す、醜悪なる黒血だ。


――――――――――――――――――――

【玉座《堕落!おお堕落!》】アイアンサイド卿、コンラッド卿

《黒く黒く満たせ》

【宮廷】サーラ、ライネット卿(熱烈な味方役)

【庭園】リネット卿(喝采役)

――――――――――――――――――――

・アイアンサイド卿(存在点7)

【玉座】は、玉座周辺である。領域:《堕落!おお堕落!》が具現化している。
【玉座】と【宮廷】の間には、境界:《黒く黒く満たせ》が具現化している。
【宮廷】は、嬌声響く玉座の間である。
【庭園】は、玉座の間手前の廊下である。

112『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/05/29(火) 23:47:40

――――――――――――――――――――

【玉座《堕落!おお堕落!》】アイアンサイド卿、コンラッド卿、サーラ

《黒く黒く満たせ》

【宮廷】ライネット卿(熱烈な味方役)

【庭園】リネット卿(喝采役)

――――――――――――――――――――

・アイアンサイド卿(存在点7)

【玉座】は、玉座周辺である。領域:《堕落!おお堕落!》が具現化している。
【玉座】と【宮廷】の間には、境界:《黒く黒く満たせ》が具現化している。
【宮廷】は、嬌声響く玉座の間である。
【庭園】は、玉座の間手前の廊下である。

113『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/05/30(水) 23:36:02


――――では、アイアンサイド卿の行動となる。


《正視に耐えぬ悪徳》目標値:4 間合:0〜1 対象:他の1体(コンラッド卿)
 次のターン、対象が使用する[行い]の[目標値]は1上昇する。
 この[行い]は[PC人数]回使用してよい。

《堕落の偶像》目標値:14 間合:0〜1 対象:エリア(玉座/コンラッド卿・サーラ)
 対象のエリアにいる任意の存在が持つ全ての[絆]に、加えられているルージュと同量のノワールを与える。

《禁じられた悦び》目標値10+2=12 間合:0 対象:他の2体(コンラッド卿・サーラ)
 対象の【潤い】を1点減らす。


――――騎士よ、異端よ、[抗い判定]を選択せよ。



【アイアンサイド卿】
『暗い……暗い……暗いぞ……!』
『暗いのは……嫌だ……輝きがなくては……輝きが……!』

傷付いた黒山羊が、己の胸を掻きむしる。
飛び散る黒血――――それが、じゅうと音を立てて香気へと変じる。
堕落の獣が放つ、醜悪なる魅了の香気――――騎士とて、浴びれば正気を保つのは容易ではあるまい。

114”艶福卿”コンラッド:2018/06/05(火) 22:57:01
《正視に耐えぬ悪徳》に抗う力1点で対抗しよう。

diceBot : (1D6) → 3

一つ足らず。コンラッド卿は敵の攻撃をかわしきることはかなわなかった。

115“月蝕卿”サーラ:2018/06/05(火) 23:02:08

では、こちらの[抗う力]2点を使い、《正視に耐えぬ悪徳》に協力して抗いましょう。
出目を合計すれば1ゾロでも問題なく判定に成功しますので、判定は省略。

116『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/06/06(水) 22:50:51

では《正視に耐えぬ悪徳》が無効化され、アイアンサイド卿の存在点は【6点】となる。

《堕落の偶像》《禁じられた悦び》は発動――――各員ノワールを獲得し、潤いを減らしたまえ。

117“月蝕卿”サーラ:2018/06/06(水) 23:03:32
己へのノワールが4点上昇。渇きが1点上昇。
リネット卿へのノワール(妬)が2点上昇。
旦那様へのノワール(妬)が3点上昇。
アイアンサイド卿へのノワール(殺)が2点上昇。
潤いが1点減少。残る潤いは2点となります。

118”艶福卿”コンラッド:2018/06/07(木) 00:00:15
自身へのノワールが2点
コンラッド卿へのノワール(殺)が2点
潤いを1つ失い残り1

119『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/06/12(火) 00:02:52

では、最後に絆奏――――各自はアイアンサイド卿に【殺】のノワールを受けよ。

そして各自が【抗う力】を1点ずつ獲得し――――第三ターン。
サーラ卿より、手番を開始せよ。

120“月蝕卿”サーラ:2018/06/14(木) 00:59:45

呻く黒山羊の喉元に、突き立つ刃。
肩を、手を、足首を。矢継ぎ早に貫く刃。
騎士も、異端も、堕落者とて、その程度では死ねまいが―――

肩を射抜かれれば、手に力は籠らぬ。
手首を射抜かれれば、手は動かぬ。
足首を射抜かれれば、歩みは進まぬ。
喉を射抜かれれば、言葉は紡げぬ。
無論、傷が癒えれば刃も抜けよう。
傷が癒えるまでに、さほど時間も掛かるまい。

しかし、それはもはや、問題ではない。
何故ならば。嗚呼、何故ならば。

121“月蝕卿”サーラ:2018/06/14(木) 01:01:01


                   , -‐ ‐ ´   `  、
                  /             \
                  /        __  r‐、  ,‐‐、
                   /      __ .,´ `i/ Vヾ二´ /`‐-‐イ\
             /       ,ィ´ ∨_ j    {   l    /  人
              /    ,   フ、/  /       i   ノ   |/
           / .   /   / ./ /   ,  -‐‐ -、   `ヽ |
              /   /    7/ /  , ィ ´       /   ヽ|
          /   /      / /  /     ,,,,, -‐ /     ',
         ,'   ,'    /  { ∥ /_ -―'''' _, 7   /   ',
            i  / ,' /  / l ` |/.:∧    -=彡イ/ /}       |
        /_,イ i /   {  |   l 乂.ノノ)'乍芹ミX / ∠z7    /}  |
         /  l  i/   ∧ l   | :Yイ ハ Vノ   // ,イリヾ.:| / ,' /
          ', .|  ./ ∧ |   l  乂.ノノ) `¨  /  {-' / リ!/'/
           V . {  / ∧i l i l',|:Yイ ハ       ∨厶イ)
           \∧/∨ 〉 | ! l l 乂 ノノ)、 __   イ |.乂`Y       ―――それでは、後はお願いいたします。
                /   ,´! ト、| l l  Yイ ハ |`:く  ! | 乂ハ             ・ .・..・ .・ .・ .・
                    / `  、}.|.l   乂ノ.ノ) l__ ∧/ 八  乂`Y     私は、部屋の片付けがありますので。
               /     l/    :Yイ ハヘ  ∧./  j   乂ハ
                〉、         く⌒Y⌒ヘ ∧    <⌒Y⌒>
               ,':::::`ヽ、       :レ介ーく∨∧     ∨ハ⌒ヾイ
                 i::::::::, -‐==、-- 、 :| ハ 乂 ∨∧    人 ....彡′
                   !:::::/      \ ヽ!乂ミ=ー、 ∨∧      ̄
               _.   l::::/        `、:::::::ヽ `ヽ::\∨∧<ヽ-、
          / \ |::/         ! `、::::: ヽ _  ∨.へ.ィ/ /


―――狩りの時間は、もう終わり。
後に待つのは、裁きの時だ。

diceBot : (7D6) → 31[6,6,6,2,4,5,2] → 31
6,6で栄光の目が成立し、10が追加。さらに渇き1点を保持しているため、6のうち1つが7になります。
つまり宣言に用いることのできる出目は7,6,6,2,4,5,2,10となりますね。
2,10にて《嘲笑う因果の車輪》を宣言。このラウンド中、私は行いの目標値を1増やす事で、その行いを2回宣言できます。
5,2,7にて《影は傍にて離れず》(目標値6+1)を2回、6,6にて《怪物を見る目とは》(目標値5+1)を2回、4にて《血塗られた業》(目標値4)を1回宣言いたします。
アイアンサイド卿にルージュを6点、ノワールを3点与え、私はアイアンサイド卿へのルージュを4点獲得します。
おや、アイアンサイド卿への絆が潤いになりましたね。これで手持ちの潤いは3点です。

122『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/07/03(火) 04:58:20

――――アイアンサイド卿の存在点が、0になった。
各自、【潤い】を一点獲得せよ。


――――――――交戦意思を持つな脇役がいなくなったため、戦闘処理を終了とする。




【アイアンサイド卿】
「バカな……!」

踊るが如き、従者の猛攻。
……否や否。
主従の舞踏と、そう呼ぶべきか。
美しき薔薇は花弁を散らし、月を蝕む者は湖上の如く。
穿たれ、穿たれ、穿たれる。
獣の黒血が玉座を濡らす。

【アイアンサイド卿】
「何故だ……!」
「何故、私のものにならない……!」

獣が吠える。
喉に刃が。
血を吹き、血を吐き、言葉が消える。
ど、と黒山羊が膝を突いた。
……限界、ということだ。
堕落者は今、討伐され――――



      _ィ<二二二二二/}トニニ―_
    _ィニ/ 。...¨..<二二/.....jj...}二二ニィ.〉
  _-=ニニ/。.......゚..>个ー-f ⌒Y...ノ ̄)/.../
  《...>-〈..,,ィ⌒i  人_ノ⌒< ̄>ノ⌒>/== ―ミ
  `\  〉 t__ し<:.:.:ト:.:.:.:.:.:.:.:.:Y⌒>' ̄> ¨¨⌒ヽ \
   r≦__/^爪:.:.:.、:.:.:.斗z≧'':.:.:.:.:}`ー <ミ=ー
   ', /¨:.:‐:‐ト、:.:.ミ ィ存歹;.:ヽ:.:ト............/∧     〉 )
   乂{:.:.:.:.:|ハリ ,\    ̄¨V:.:.:リ.:.\......../∧     / /   「――――――――罪状」
     }Ⅵ:从f苡       ル人:.:.:.:.:.\...._〉ニ≦/
        乂:.ゝ   _   ノイ:.:.ト:.:.:.:.:.:.:.Yヽ≦三三三ニ==ー _
      /:.:.:ト.  ‘     ル从ハ:.:ミ.:.:.:.}_         ̄¨¨ ・・==三三三三ミ
     .:.:.:.:.小)≧o。__,,,≦zzzyVヘ:、.:V...........ヽ
     /.:.:.:∧トミ _《ニr]i[ョ二彡〃......リ...≫==》
      {.:.:.〈/ >... ̄...辷宀¬二《......../" > ¨¨`-…ミ
     >x:ミ《......_彡斥ニ‐二二ヾ≪ //        \
    //  厂¨¨/二、○''二二二Y , ' / >…==ミヾ \
  //    /   ,'ニ二二二二二二ニ] {  / /¨¨ ̄ ̄ `y 〉
//    /   {二二二,ニ二二二ニj { V  /{ λ   厂 Ⅳ
     〈     v二ニ_^二二二ニ入 j{  {iiiy//}   Ⅳ'\
      《≧ry三}二二○二二二二Vニ>{  {iiiV/从   |////\
     /       」ニ二二二二二二ニY 〈  iiirV//乂 ノ//////\
    r'^ ヾ  rf][ ][二二][ ̄][二ニ]}  \ⅷr'V/////////////\
   /     >二二二^ミ二二二ぇY     ¨と y//////////////\
 /   >ニ二二二'○、二二二二ニ\    〈_У//////////////∧
,‘   >ニ二二二二二二二二二二ニへ〉       V,////////////,/ /
   f≧<二二二ニイ'|二二二二二二二\       V//////////// /
  /¨¨ヾ\二≫゚/| [二二二二二二二二〉     ∨////////// /
/      >…イ'  ト “<二二二二二>' イ       V ̄_ ̄_]./
    /    /  i  \“<二二>”< 八


――――いる。
いる。
既に。
黒き御髪を小さく揺らし、鎖を鳴らして現れる。
ヘルズガルド家現当主、マルグレット公――――堕落者に、判決を告げる者。

【マルグレット公】
「我欲に呑まれ、民を虐げ」
「快楽に溺れ、従者を弄び」
「人心に病を投じ、醜くも堕落を晒す」
「――――その上で騎士に敗れた以上、貴卿に下す判決はただひとつ」




                          「いざ開け、地獄の門」




開く、開く、開く。
彼女の背で、地獄の門がゆっくりと開いて往く。
地獄の亡者どもが白き腕をまさぐらせ、道連れを求めていた。
獄卒共が、その奥から堕落者を嘲笑っている。
鎖が伸びる。
黒山羊を捕らえた。

【アイアンサイド卿】
「い、いやだ……!」
「私は、私はまだ、なにも手に入れていない!」
「ライネット! ああ、私のライネット!」
「何故だ! なぜ君は私の側にいないのだ!」
「どうして君は、私のものにならないのだ! 何故!」

黒山羊が喚く。
その巨体が、徐々に地獄へと誘われて行く。
誰も抗う事など出来ぬ。
常夜国の、罪人である限りは。

二人の乙女は、二度と姉妹が引き裂かれることがなきよう、白き指を互いに絡ませる。
リネット卿が、ライネット卿が、涙ながらに怒りを宿す。

123『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/07/03(火) 04:59:00

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=- _}: ::{:八: : 八: : ::{: :ハ  `¨⌒  <!       `¨¨/i:i:i:/  .Vi:i:i:i:/
ニニ=-_r<ニニニニ=- _: }                /i:i:i://    .}i}
ニニニ=-ヽニ=-‐=ニニニ込、             ./i:i:i:/. /   //}  「――――騎士道を知らぬ畜生に」
ニニニニ=-}ニニ=-‐=ニニニ_     r::、    {i:i:i:/ ‐七I〔i:i:/: i
ニニニニ=-}ニニニ=-‐=ニニニ _ニニニニニ=- _{i:i:/ / : /:/i:i:/: : :}
ニニニニ=-}ニニニニ=-‐=ニニニVニニニニニニニニ=-,/:/i:i:/}: : : V/
ニニニニ=-}ニニニニニ=-‐=ニニVニニニニニニニニニ}/// , :! : : : .
ニニニニ=-}=-‐=ニニニニ=-‐=ニニ}/,ニニニニニニニニ:}//////,_: : : :v/
ニニニ=-/ニ=-‐=ニニニニ=-‐=ニ}//,ニニニニニニニ '//////}-: : : :V/
ニニニ=- {ニニニ=-‐=ニニニ=-‐=}///,ニニニニニニ////////=-: : : :\
ニニ=-/ [ニニニニ-}ニニニ=-‐=}////,ニニニニニ////////=-: : : : : : :丶
ニ=- ニニ{ニニニ=-/ニニニニ=-‐V/////,ニニニニ////////-/=、 : : : : : : \
ニ=- ニニ{ニニ=-/ニニニニニ=-‐V//////,ニ////////-‐=ニ=-_ : : : : : : : :V/
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124『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/07/03(火) 04:59:43

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                      |: |::::::|示∨::/∨ィ=、|:| | |: ::|
                    |::|::::::|弋ソ∨   弋ツ |:|_|_|: ∧
                    |::|::::::|    '       /: :|-、::::∧   「――――語ることなど、御座いません」
                   _|::|::::::|` 、  -  ./l: :::| |::: ::∧
                _, -‐'´ |::|::::::|/_≧._≦/!:::::| k::::::::∧
         、-‐'´ ∧.   |::|::::/|∨: :「|:::::::://::::/ ./\::::∧
       , -'´∨   ∧   |/∨-レV: :|.|:::::::||:/:::://   \: !
.      /,__   ∨   ∧, -'´    |V::||::: :::||:|:::// __ ._, -‐`ヽ、
     | .///〉 |\, -‐'´      /:::::::|::: :::::::|///, -'´, - '´ ̄ \                   , -'⌒i
     l//  | /        /:::::::::::/::::::::::::::\ヽ| ./´  , -'´´ ̄ \          __/    /
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                     | ||   ./      〈   /  / ̄ `ヽ、_, -― - 、!   `i、
                    / ||  {        \/  /              / l、   \
                      / ./l< `!        `ー‐'´              /´ l、 \__>
                    l´ /: :|   ∨   ., -‐ 、.   \   _       <__, -‐'´∨ ∧
                    / /∨::|    ∨ /    `ヽ、__` ̄/`ヽ、         \__l
                 /l ./:l: :∨|    X           \ ̄´:::::::::::::\
                   | |/::/:::::|: :V _/、            `ー< ̄ ̄ ̄, -‐'´ ̄ ̄`!

125『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/07/03(火) 05:01:30

「「……さようなら、領主様」」

乙女らの最後の呟きは、如何なる想いが込められたものか。
黒山羊が、喚き散らして地獄へと。
亡者獄卒の無数の腕が、堕落の獣を掴んで離さぬ。

【アイアンサイド卿】
「嫌だ……!」
「私は、嫌だァッ!」

【マルグレット公】
「残念ですが――――」
「汝、罪有り」
「地獄への幽閉を、執行します」

獣の怨嗟の叫びごと……地獄は、深く飲みこんだ。
重々しい音を立て、地獄の門が閉まっていく。
後に残るものはといえば、血塗られた玉座があるばかり。
……堕落者は、地獄へ堕ちたのだ。

【マルグレット公】
「…………お疲れ様でした」
「堕落者を見事に討ち取った貴卿らの名声は、未来永劫語り継がれることでしょう」

マルグレット公の淡白な称賛が、どこか場違いに響き渡った――――

126”艶福卿”コンラッド:2018/07/05(木) 23:34:34
「手間を取らせました」

コンラッド卿は静かに礼をした。
地獄の中を垣間見たものの、彼の心に揺らぎはない。
自身もあそこに落ちるのかもしれないという不安はない。
潤い、満たされた心に影の差し込む隙間はない。

「……さて、では、帰るとしようか」

「貴卿らはどのようにする?」

127“月蝕卿”サーラ:2018/07/06(金) 00:07:46

処刑が執行される中、無数の使用人らが具現化し、手際よく民らを戒めから解き、穢れを掃き出す。
かくて執行終わりたる頃には、堕落者が宴の残滓は、今や玉座の血痕が残るばかり。
堕落者は繋がれた。もはや、民らが脅かされる事はない。

「―――勿体無きお言葉にございます、閣下。」

サーラ・ヘルロット・フォン・カルンシュタインは考える。
猟犬に誉は不要。ただ餌があれば、それでよい。
故に、称賛にはさほど関心を抱かない。或いは、抱けないのか。

ともあれ、ただ一点を除き、一通りの掃除は完了した。
ただ一点―――血塗られた玉座を除いては。

「―――畏まりました、旦那様。」

ちらり、と。血塗られた玉座を見遣り。
ちらり、と。姉妹を見遣り。
そして、まるで何事もなかったかのように、涼やかに応じる。

128『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/09/20(木) 00:40:18

【リネット卿】
「そうですね……どうしましょうか」

【ライネット卿】
「領主がいないまま、というわけには行きません」
「民のためにも……新たな領主を見つけなければ」

ふと視線をやれば、既にマルグレット公の姿は無い。
次なる罪人を裁くため、遍歴の旅に戻ったのだろう。
あのお方は決して一か所に留まるということを知らぬ。

【リネット卿】
「……我々は……強制的な叙勲から、まだどれほども年月を経ていません」
「私に至っては夜獣」
「私たちが領を治めるというのは、いささか難しいことでしょう」

彼女らは確かに騎士ではあるが……その心根は、およそ民に等しい。
貴族としての務めを果たせというのは、いささか酷だろう。

【リネット卿】
「ですから――――――――」

リネット卿の瞳が、そっとコンラッド卿を捉えた。
捉えて――――遠慮がちに微笑むと、瞳は姉へと向けられた。
言いかけた言葉があった。
その言葉は、そっと乙女の胸の内に。

【リネット卿】
「――――代わりを探すことにいたしましょう」
「探し、待ち……やがてこの領が元の通り穏やかになるように、身を砕きますとも」

そう言って――――乙女たちは、美しく笑ったのだった。
彼女たちを閉じ込める檻は、もうないのだから。

129”艶福卿”コンラッド:2018/09/20(木) 01:02:39
「そうか、であればこれ以上私が口を挟むこともあるまい」

「とはいえ、何かあれば我が領主へ文を出されよ」

「すぐに馳せ参じる」

柔らかく笑む艶福卿。
しなやかで強く、そして優雅であれとする心。
それさえあればどんな道も光がさす。
彼はそう信じている。

「行こう。サーラ」

130“月蝕卿”サーラ:2018/09/20(木) 01:16:16

彼女らには、領地を治めることは難しい。
しかし―――それでも、領地に騎士は必要だ。
故に彼女らは、この地を離れることはできない。

「騎士と異端に時の枷はありません。」
「縁あらば、またお会いすることもあるでしょう。」

「―――それでは、またいつか。」

最後に一つ、礼をして。
静かに身を翻す。

131『貴婦人焦がすは鉄の檻』:2018/09/21(金) 01:40:18

【リネット卿】
「……ええ、またいつか」

【ライネット卿】
「本当に、ありがとうございました」

【リネット卿】
「またいつか――――またいつか!」

乙女たちは静かに手を掲げる。
その手の内には、具現化にて生み出されたいくつもの花弁。
騎士と従者の出立を祝福するように、花弁が高々と振りまかれる。

騎士と異端に時の枷は無く――――それ故に、悠久に果ても無く。
またいつか、と。
その言葉に、どれほどの祈りが込められたものか。

花弁が舞う。
貴卿らが呪われた城を後にして、やがてその城が見えなくなるまで。
風に乗った一片の花弁は、遥か彼方まで貴卿らを見送るのであった――――――――



                           ――――――――――――【終の幕、閉幕】


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