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【セ】貴婦人焦がすは鉄の檻【ドラクルージュ】
13
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『貴婦人焦がすは鉄の檻』
:2017/12/16(土) 02:24:38
【戦の幕】
さて――――貴卿らが乙女騎士リネット卿と共にゲヒェンリッヒ城を目指し、数日の時が過ぎ去った。
常夜は変わらずに真祖の恵みを地に降らし、木々は風に優しくそよぐ。
リネット卿は、この数日でいくらかの癒しと安らぎを得たようである。
追われ、姉の無事を祈り、自らの先行きに光明を見出さんとあがく日々は、さぞ彼女の心を擦り減らしたことであろう。
姉を救うため、心強き騎士らと共に城を目指すことそのものが、彼女にとっての救い足り得るのだ。
そのように旅路を進めると、さて、真っ先に気付いたのはサーラであろうか。
森がざわめき、鳥獣が畏れに飛び発ち、風が平伏するかの如く凪ぐ。
甘き香りが森に漂い、漆黒が姿を見せる。
それは、嗚呼、それは、一人の美しき騎士であった。
烏の濡れ羽めいた装束に身を包む、黒髪の伊達男。
しかし不遜にほくそ笑むその顔は、邪悪な欲望を雄弁に語る。
リネット卿が息を呑む音が、不自然なほどハッキリと貴卿らの耳を叩いた。
【追っ手の騎士】
「おお、ようやく……ようやく見つけたぞ、リネット!」
「か弱き民の身であったものを、我が主より叙勲を受け、永遠の貴族に取り立てて頂いた大恩を忘れたか?」
「よもや城を抜け出し、偽りの風評を吹聴するとは!」
両手を広げ、芝居のように騎士は語る。
朗々と、よく通るその語り口は彼の騎士が演説に手慣れた証左であろうか。
騎士の視線が、貴卿らを捉えた。
【追っ手の騎士】
「そこな騎士らよ!」
「貴卿らがその乙女よりどのような話を聞いたかは、およそ想像がつくというもの」
「その乙女は妖精の悪戯か、自らの記憶したこともあやふやのあべこべになってしまているようでな」
「鉄印卿の温情を裏切り、虚言を吐き散らしているのだ!」
「どうかそのような小娘の繰り言は忘れ、リネットを返して頂きたい」
「我らが主は、リネットの帰りはまだかと思い悩んでいるのだ……」
【リネット】
「っ、其方こそ、繰り言を!」
「貴様らの堕落と退廃、決してこの私は忘れはしない!」
「我が姉と我が身が受けた屈辱を、決して忘れはしないぞ!」
乙女が、悲痛に怒りを滲ませ叫ぶ。
強き意思を秘めた瞳を潤ませ、霧を固めた剣を握る。
貴卿らの心に、正義があるのであれば――――どちらの言葉を信じるべきであるかは、自明であろう。
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