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ダンゲロス流血少女MM:生徒会応援スレ

1流血少女GK:2015/08/01(土) 23:45:07
生徒会用

66エるだぁ・マじかる・後藤さん:2015/08/12(水) 08:34:21
【世界の外の墓地にて】

『山ノ端一人』と名前が彫られた石の墓標。
墓標はひとつではない。
無数の墓標が、いくつもいくつも並んでいる。
墓地を包むひんやりとした靄に隠れて見えない遥か彼方まで、永遠に続くかの如く並んでいる。
墓碑銘はすべて『山ノ端一人』。
ここは『閉鎖された墓地』。
ハルマゲドンの舞台にして、贄となった少女達が眠る地。
リゾート施設『メロウズ』とは位相のずれた、世界の外の墓地。

紫陽花色のレインコートを羽織った少女がひとり、墓地の中を歩く。
その手には邪神の名を持つ暗紫色の武傘。
コートの下は、迷彩柄のミリタリー調ウェア。
彼女は、まるで自分の家の庭を歩くように迷いのない足取りで墓地の中を歩んでいる。
それも当然のことだ。
この空間は、彼女が作り出したものなのだから。

レインコートの少女、雨竜院愛雨は、鮫氷しゃちと共謀して『山ノ端一人』を死に追いやり、ハルマゲドンの引き金を引いたのだ。
鴉取するめは良く働いてくれたと、愛雨は思う。
しゃちさんも、もう少しするめさんに優しくしてあげてもいいのに、と。
実際に手を汚したのは学園管理者側の操った傀儡。
だが、裏で暗躍したのは、するめであり、しゃちであり、愛雨なのだ。
ゆえに、愛雨は既に罪人である。
もっとも、愛雨の魂が地獄に落ちることはないだろう。
愛雨の魂を受け取る者は、ずっと前から決まっているのだ。

愛雨は、ひとつの墓標の前で足を止めて屈みこむ。
そして黒い皮手袋を外して、『山ノ端一人』と彫られた文字の上をそっと撫でた。
文字が幽霊のように薄れて消え、別の文字が現れた。
現れた文字は、『矢達メア』。
愛雨が、かつて名乗っていた名前だ。
これは、愛雨の墓である。

墓石の上に手を添え、眼鏡の奥の瞳を閉じる。
ぽつり。ぽつり。
雨が降り出す音が聞こえてくる。
そして、微かに鼻をくすぐるあのにおい。
今でも愛雨は、こうしてはっきりと思い出せる。
金雨ちゃんの雨。
『矢達メア』が死んだ時に、降っていた雨の記憶。
優しい、優しい、雨の記憶。

いつまでも、懐かしい記憶に浸っていたかったが、そうもいかなかった。
愛雨は大きく眼を見開いた。
武傘の止め紐を外し、傘を開いて掲げる。
べたり。
どこからともなく飛来した緑色の粘液を、傘が受け止めた。

「はじめまして、後藤老師。あなたの御名前は、どりみ先輩から何度かお聞きしています。お会いできて光栄です」

愛雨は武傘を回転させて粘液を振り払いながら、狙撃手に声を掛けた。
粘液弾を放ったのは、エるだぁ・マじかる、後藤うさ。
節足の甲冑を纏いし、古き魔法少女。

「解せぬ。何故おぬしがハルマゲドンを画策したのか……。じゃが、理由の如何にかかわらず、そのような目論見は潰させて貰う!」

うさは、胸の前で両手をロクロの型。油断のない海ソーサリーを構えた。
省エネモードを解除した後藤うさは数分しか戦闘を行うことはできないが、その粘液格闘術は侮れない!

67エるだぁ・マじかる・後藤さん:2015/08/12(水) 08:35:43

「ふふっ、もう遅いですよ。こうして『閉鎖された墓地』が構築された以上、ハルマゲドンはもう避けられません」

タタン!
愛雨は懐からマカロフPMを抜いてニ連射。
紫のネガ雨乞い波動を帯びた二つの弾丸がうさを襲う。
うさは甲冑から分泌した粘液で盾を生成、弾丸を難なく受け止める。

その時、愛雨の能力『リフメア』が発動!
うさの粘液盾から水分が奪われ、逆向きの雨となって天に登る。
粘液盾の成分はほぼ100%水分だ! 盾が消滅!

「ぬうっ! やはり能力の相性は最悪のようじゃな! ツツジを置いてきたのは失敗だったかのう!」
うさが歯がみしながら次の粘液を分泌しつつサイドステップで距離をはかる。

「というわけで、観念してハルマゲドンにご参加願えますかっ!?」
愛雨のステップの方が速い!
粘液の水分が変化した癒しの雨を身に受けながら、武傘の突剣による突き!
雨竜院流『雨月(あめつき)』!

「もうハルマゲドンは懲り懲りじゃよ!」
粘液を纏った節足の手甲で紫の武傘を受け止める。
粘液が武傘にまとわり付き、動きを封じようとするが、武傘に纏っていた『リフメア』の波動が粘液を触れる端から逆さまの雨に変えて行く。
うさは『海ソーサリー』による絡め取りを断念、甲の固さのみで武傘を上に弾いて反らす。
ここまでの動きは愛雨も折り込み済みで、武傘を引いて次の攻撃に移ろうとするが……

がしゃん!
愛雨の想定していなかった衝撃が武傘に加わった。
それは、ぷてりんの鋏脚!
うさの頭部甲冑からウサミミめいて延びている、ぷてりんの鋏が強靭な一撃で武傘を更に弾いたのだ。

体勢を崩した愛雨に、うさの追い打ち!
両腕から少量の粘液を分泌して愛雨の顔の前でぱしんと手を打ち合わせて、粘液を飛び散らせる!
「ぐっ、猫騙し……!」
愛雨の眼鏡に粘液が張り付き視界を奪った一瞬の隙に、うさはミゅーかす・ドらいぶ跳躍!
そして逆向きの肩車めいた体勢で、愛雨の顔面に全身で組み付く!

「おぬしの脱水と、儂の粘液分泌。どっちが速いか勝負じゃ!」
うさが全力で粘液を分泌!
愛雨の頭部が分泌した粘液で球状に覆われる。
このままでは窒息死してしまう。
『リフメア』による脱水は?
既にやっている! 粘液の塊からはゲリラ豪雨めいた勢いの逆向きの雨! だが、追い付かない!!

「ご……ゴボォ……」
粘液の中でくぐもった声を出す愛雨の上体がよろめき、後方に傾く。
逆向きの雨は止んだ。うさは粘液分泌の手を緩めない。
勝負あったか!?

68エるだぁ・マじかる・後藤さん:2015/08/12(水) 08:35:54

その時!
「ゴッボィ!(ドスコイ!)」
不明瞭な、しかし力強いスモウ・シャウトと共に、愛雨は急激に上体を起こした!
そして、そのまま前のめりに倒れこみながら、尻餅をつくように腰を落とす!
「なんじゃと!?」
突然の愛雨の動きに、うさは対応できずそのまま後方にバランスを崩す。
これは……っ! 恐るべき禁じ手の相撲技、パワーボムである!
「グワーッ!?」「ギシャーッ!?」
甲冑後頭部を石畳の墓地の地面に叩き付けられ、うさとぷてりんが呻いた。
石畳に亀裂が入り、周囲の墓標が微かに揺れた。
ばしゃり。うさの精神集中が途切れ、魔法少女能力の粘度操作によって形状を保っていた粘液玉が崩壊する。

「デストロイ……」
愛雨は酸素不足で朦朧としかけた脳をチャントで奮い立て、再びうさを持ち上げる。
「ゼムオール!」
そして、パワーボム2発目!
「アバーッ!」「ギャバーッ!」
後頭部を墓地の石畳に叩き付けられ、うさとぷてりんが呻く!
石畳の亀裂が広がり、周囲の墓標が振動する!
ダメージによって、うさの変身が解除された。
ぷてりんは本来のウミサソリの姿に、うさは本来の老人男性の姿に戻り、墓地に倒れ横たわった。

「ふう、結構手強かったな。私も、もう少し『ホリラン』で鍛えなきゃ」

既に皆様もお気付きのことだろうが、『ホリラン』を開催したのも雨竜院愛雨である。
その目的は……PL転校生のステータス合計値が何点成長したかを比較してみれば明らかだろう。
あと、臨海学校ご始まる前にホリラン開催を知ってて蟹ちゃんと模擬戦してたり、愛雨が閉鎖空間に囚われず普通に宿に帰ってたこととかも黒幕である伏線だったことにしようそうしよう。

「まどかさん、まどかさん、いらっしゃいますか?」

愛雨は『案内人』の名を呼ぶ。
すると、誰もいなかった空間に、白いパーカーを着た少女が幽霊のごとく現れた。
『案内人』蓮柄円である。

「まどかさん。こちらは、エるだぁ・マじかる・後藤さんです。丁重に生徒会へ御案内差し上げてください」

「かしこまりました」

円は愛雨に一礼すると、後藤佑佐とマスコットのぷてりんを抱き抱え、靄の中に消えた。
その後ろ姿を見送りながら、愛雨は考えた。
後藤老師ならば、ハルマゲドンの中で、依紗早包ちゃんを守ってくれるのではないか、と。
そして、それ以上に……

「『最初のハルマゲドン』を生き延びた最も古き魔法少女……きっと、このハルマゲドンを盛り上げてくれることでしょう!」

雨竜院愛雨は、これから始まるハルマゲドンへの期待に、眼鏡の中の大きく可愛らしい瞳を潤ませた。
さあ、楽しい楽しいハルマゲドンの始まり!
やりたい事は全部やる!
会いたい人には全員会う!
だから、待っててね金雨ちゃん。
私、絶対やり遂げて生き延びるからね!

(おわり)


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