したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

ダンゲロス流血少女MM:生徒会応援スレ

66エるだぁ・マじかる・後藤さん:2015/08/12(水) 08:34:21
【世界の外の墓地にて】

『山ノ端一人』と名前が彫られた石の墓標。
墓標はひとつではない。
無数の墓標が、いくつもいくつも並んでいる。
墓地を包むひんやりとした靄に隠れて見えない遥か彼方まで、永遠に続くかの如く並んでいる。
墓碑銘はすべて『山ノ端一人』。
ここは『閉鎖された墓地』。
ハルマゲドンの舞台にして、贄となった少女達が眠る地。
リゾート施設『メロウズ』とは位相のずれた、世界の外の墓地。

紫陽花色のレインコートを羽織った少女がひとり、墓地の中を歩く。
その手には邪神の名を持つ暗紫色の武傘。
コートの下は、迷彩柄のミリタリー調ウェア。
彼女は、まるで自分の家の庭を歩くように迷いのない足取りで墓地の中を歩んでいる。
それも当然のことだ。
この空間は、彼女が作り出したものなのだから。

レインコートの少女、雨竜院愛雨は、鮫氷しゃちと共謀して『山ノ端一人』を死に追いやり、ハルマゲドンの引き金を引いたのだ。
鴉取するめは良く働いてくれたと、愛雨は思う。
しゃちさんも、もう少しするめさんに優しくしてあげてもいいのに、と。
実際に手を汚したのは学園管理者側の操った傀儡。
だが、裏で暗躍したのは、するめであり、しゃちであり、愛雨なのだ。
ゆえに、愛雨は既に罪人である。
もっとも、愛雨の魂が地獄に落ちることはないだろう。
愛雨の魂を受け取る者は、ずっと前から決まっているのだ。

愛雨は、ひとつの墓標の前で足を止めて屈みこむ。
そして黒い皮手袋を外して、『山ノ端一人』と彫られた文字の上をそっと撫でた。
文字が幽霊のように薄れて消え、別の文字が現れた。
現れた文字は、『矢達メア』。
愛雨が、かつて名乗っていた名前だ。
これは、愛雨の墓である。

墓石の上に手を添え、眼鏡の奥の瞳を閉じる。
ぽつり。ぽつり。
雨が降り出す音が聞こえてくる。
そして、微かに鼻をくすぐるあのにおい。
今でも愛雨は、こうしてはっきりと思い出せる。
金雨ちゃんの雨。
『矢達メア』が死んだ時に、降っていた雨の記憶。
優しい、優しい、雨の記憶。

いつまでも、懐かしい記憶に浸っていたかったが、そうもいかなかった。
愛雨は大きく眼を見開いた。
武傘の止め紐を外し、傘を開いて掲げる。
べたり。
どこからともなく飛来した緑色の粘液を、傘が受け止めた。

「はじめまして、後藤老師。あなたの御名前は、どりみ先輩から何度かお聞きしています。お会いできて光栄です」

愛雨は武傘を回転させて粘液を振り払いながら、狙撃手に声を掛けた。
粘液弾を放ったのは、エるだぁ・マじかる、後藤うさ。
節足の甲冑を纏いし、古き魔法少女。

「解せぬ。何故おぬしがハルマゲドンを画策したのか……。じゃが、理由の如何にかかわらず、そのような目論見は潰させて貰う!」

うさは、胸の前で両手をロクロの型。油断のない海ソーサリーを構えた。
省エネモードを解除した後藤うさは数分しか戦闘を行うことはできないが、その粘液格闘術は侮れない!


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板