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ダンゲロス流血少女MM:生徒会応援スレ

1流血少女GK:2015/08/01(土) 23:45:07
生徒会用

56口舌院五六八:2015/08/11(火) 23:31:58
「おい、通訳、飯でも喰わねーか」

苦虫を噛み潰した顔が見たければ、その時の雪月通訳の顔を見るのが適切。
そう思わしめるほどの、苦虫を噛み潰した顔を通訳はしていた。

「わざわざ中等部まで何しに来たんですか?」
「さっきも言ったろ、飯食わねえかって」

雪月のクラスメートが少しざわついている。
傍から見れば優等生に不良がいちゃもん付けているようにしか見えないのだ。
知り合いだから大丈夫だと説明しながら、通訳は五六八の顔を見る

……笑ってますね

確信犯だ、いつものイタズラ好きの血が騒いだのだろうとひとりごちた。

「なぁ、いいじゃねぇか、同じくぜ「分かりました、行きましょう」

何を言わんとするか察した通訳が、五六八のセリフを遮って答える。
より、一層にやつく五六八。

絶対に、ぜぇぇったいに確信犯ですね。
ちょっとむくれる通訳、カワイイものである。

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口舌院、その傾向と対策
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「五六八さん、どうしたんですか?顔色が悪いですよ?」

苦虫を噛み潰した顔が見たければ、その時の口舌院ご六八の顔を見るのが適切。
そう思わしめるほどの、苦虫を噛み潰した顔を五六八はしていた。

「……おい、てめぇ、あたしがカレー嫌いなの知ってるよな?」
「ええ、幼少の頃からの付き合いですから、もちろん存じています」
「ほう、それでもカレーを頼むと……」

犬歯をむき出しにして威嚇する五六八だが、通訳はどこ吹く風とばかりに受け流す。

「せっかく、五六八さんにお食事に誘っていただいたので、好きなモノをいただこうと」
「喧嘩売ってるなら買うぞ?」
「いえいえ、そんな気は毛頭ありませんよ」

混み合った学生食堂の一角で火花が舞い上がっていた。
様子を見た一般の学生たちはわざわざ近寄るまいと距離を取る。
その結果、彼女たちの周りだけ空席が出来ていた。

「見ただけで頭が破裂しそうだ……」

五六八は、げんなりとした顔できつねうどんを啜る。
頭が破裂「しそう」ではなくて頭が破裂「したから」嫌いなくせに……と
通訳は考えたがさすがに口にはしない。
わざわざ地雷を踏みに行く必要はなかろう、意趣返しはここまでだ。

「ところで、何の用ですか。」
カレーをゆっくりと口に運びながら通訳が本題を切り出す。
五六八が通訳の所に顔を出すのは、そう珍しくは無い。
だが食事に誘うなんてことは、なかなか無かった。

「あ、別に特に用事なんかねーよ。同じ口舌院のはみ出し者同士仲良くしようぜ。」
「私は今『雪月』通訳です」
「あん、本家筋の人間が何いってんだよ」

ぐびりぐびりとうどんの汁をすすりながら唐揚げにかぶり付く。

「宗家の人間が言っても、何の説得力ありませんよ……」
「どっちにせよ、おめーもあたしも爪弾きもんだろうが」
「そこは……まぁ、否定しませんが」

弁舌や詐術を基本とする口舌院家には、肉体派の魔人は少ない。
その点、五六八と通訳は珍しいタイプであった。

通訳はどちらかと言えば口舌院の素養に溢れている
ただ、その上で肉体能力が逸脱しているだけだ。
ただ、それであっても口舌院の家風として
「暴力に頼るのはみっともない」という風潮があるのは確かだった。

五六八に至っては「暴力の化身」という表現がなされるほどであった。
口舌院宗家出身ではあったが殆ど忌み子のような扱いを受けてきた。
その性質が明らかにされた当初は軟禁されていたほどである。

57口舌院五六八:2015/08/11(火) 23:33:03
「しかし、『口舌院』の性を捨てるなんてよっぽどだぞ。
 口舌院すら名乗れない分家の連中が聞いたらヒス起こすぞー」
「関係ありません、口舌院であろうと無かろうと、私は私です」
「ほおー、言うねぇ……」

きつねうどんとかしわおにぎりと唐揚げと春巻きとを平らげた五六八は
ニンマリと笑った。新しいオモチャを見つけた子供の笑みである。

「『ぬぉぃりゅべきょぁっせょな』」

大きな声が食堂に響き渡った
多くの人間がきょとんとした顔で通訳たちの方を振り向く。
殆どの人間、いや、この場では二人を除いて
その意味がわかった人間はいないだろう。

もちろん一人は五六八である。そしてもう一人は……

「な、な、なんて事言うんですか。ここは公共の場所ですよ」

大声で抗議の声を荒げる通訳であった。

「おいおい、落ち着きなって、誰も『きゃー、あの子卑猥なこと言ってるわー』ってなってないだろ」
「え、あ……」

周りの人間は意味不明な大声が聞こえたためこちらを注視しただけである。

「口舌院の圧縮言語なんて分かる奴いるわけないだろ、けっけっけ」
「……嵌めましたね」
「ちげーよ、勉強熱心かどうか確認しただけだよ、『口舌院』さん」

圧縮言語、口舌院家の一部で使われる話法。
20以上の母音、50を超える声調などを使って一音に
ありったけの情報を詰め込む話法である。
盗聴を危険視したり、時間がない時の緊急連絡用として重宝するが
習得難易度は高く、口舌院家でも習熟したものはそこまで多くない。

圧縮言語に切り替える旨の宣言もなく、繰り出された五六八の発言に
即座に対応出来るのは圧縮言語を習熟している証であった。

「咄嗟に圧縮言語の解凍できる辺りは、さすがに優等生だな」
「いい加減、怒りますよ。それに誰にも分からないからってあんな卑猥なことを大声でなんて……」
「いやあ、清純でいいねぇ、お姉さん感激」

恨めしい顔の通訳と涼し気な顔の五六八
度々の攻守交替の末、今度は五六八が主導権を握ったようだ。

58口舌院五六八:2015/08/11(火) 23:33:15
「まぁ、あれだ、どうせおまえさんのことだから『お兄様』絡みだろ」

ぴくりとも体は動かさずに、通訳の雰囲気が変わる。
静かに、それでいて深く大きく存在のみが膨れ上がる。

「お兄様がどうかしましたか?」
「おお、そんな怖い顔しなさんな、あたしは通訳の敵じゃねぇし……」
片手に持ったコップで口を潤し
「言語の敵でもねぇ」

五六八が嘘を付いている様子はないと思ったのか、緊張のレベルを引き下げる通訳。
口舌院同士で腹の探り合いをしてもしょうがないことはお互い十二分に知っていた。

「いきなりお兄様の話を振って来る意図が見えませんが……」
「んー、あたしから言ってもいいものかどうか分からんが」

卯月言語がこの学園の様子を伺っている……そう五六八は語った。

「結界広げてたら気づいたんだよ、最近ちょくちょく様子を探ってるっぽいぞ」
「……本当ですか?」

五六八の結界には、名前をある程度特定できる能力があることは通訳も知っていた。
だが、なぜお兄様が……私への連絡もよこさずに?

「言語の野郎は、なんだかんだ察しがいいからな……何か起きるかもしれねぇ」
「何かって……この学園でですか?」
「多分なー、でかい喧嘩になりゃ面白いんだが」
「冗談でも、そういう事は言わないでください……」

口舌院五六八にトラウマがあるように通訳にもトラウマはある。
真剣味を嗅ぎとった五六八は、それ以上茶化さなかった。

「ま、なんだ、何かあったら声かけろよ」
「……?」
「素直に受け取れよ、何かあったら味方してやるっていってんだよ」
「五六八さんが?」
「おう」

通訳はまず何かの罠かと疑った……口舌院五六八が味方になる
通訳と五六八は二つ違いである、幼稚園も小学校も同じである。
何の因果か中高すら同じ学校という悪夢。

確かに、味方についた五六八は心強い。
いじめを受けている人間を見かけると颯爽と間に入って
いじめの原因を物理的に取り除く。
だが、最終的に始まるのは五六八の暴力よる絶対的恐怖政治だ。
そして本人はそのことに気がついていない。
天然の問題児であった。

「今までお前さんを殴ってきた回数ぐらいは、お前さんの敵を殴ってやるぜ」
「それだと、この学校の全員を殴っても殴りたりませんよ」

二人の口舌院が席を立つ。
一人は、これから吹き荒れるであろう嵐に期待しながら
もう一人は、その嵐から皆を守る決意を秘めて。

嵐は刻々と近づいていた。        了


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