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ダンゲロスSS3幕間SSスレ
130
:
雨竜院雨弓
:2013/08/24(土) 05:26:47
客間にいた雨弓は、家族のそれとは違う気配が近づいて少しばかり胃が重くなるのを感じる。
2人の寝室として誂えられた客間には布団が2つ、並べて敷かれていた。今は離してあるが、若い男女が同じ部屋で寝るというだけで「そういう」雰囲気にならざるを得ない。しかも自分は、そういう雰囲気の経験が無い。
「ったく……」
雨弓が呟いたところでふすまがすっと開き、白い襦袢に身を包んだ九鈴が姿を現す。
「ああ、悪い九鈴。妙な雰囲気に……おい?」
九鈴は部屋に入るや電灯のヒモを1度引き、部屋は淡いオレンジの光と窓から差し込む月光に照らされた状態となる。
「見られるのが恥ずかしいわけじゃないけど、雰囲気出ますし」
そう言うと、九鈴は帯を解き始めた。
シュルリ、と音を立てて解けた帯がハラリと落ちると、九鈴は襦袢の襟に手をかける。
(えっ……え? こいつ、その気に……)
畢も、彼女から聞いた九鈴も勘違いしているが、雨弓は童貞では無い。
高校時代、雨弓は三つ編み眼鏡のビッチの後輩に筆下ろしされ、以降雨雫のことが気になりだすまでは彼女のおやつ係の1人として関係を持っていたのだ。とは言え、雨弓が経験したのは彼女のみであり、また雨雫の死後は畢が知る通り女を断っているため、こういったシチュエーションに関して彼の経験値は童貞と相違無い。
(いや、ダメだ。俺は)
雨弓が拒絶の言葉を発する前に、九鈴の裸体は晒されていた。
暗がりにぼうと浮かび上がる九鈴の裸。細身で且つ筋肉質ながらもその身体は女性的な曲線を描き、色の無い産毛が月光に照り映えるのが幻想的に映った。
鍛えあげられた身体において豊かな乳房は普通の女性と変わらず柔らかそうで、三角の丘では黒い叢が性の匂いを発している。
「……!」
女を断ってもビッチ魔人などの裸は職務上幾度と無く見てきた。しかし、今目の前にした九鈴の裸は、否この空間に流れる空気までもがそれらとは明らかに違う。「夜の和室に男女が2人。SEXでしょう」とでも言っているかのようだ。自身の股間の有り様がそれを証明していた。
「九鈴、お前……」
「畢ちゃんから聞きました。雨弓さん、雨雫が死んでからは女性と進んで関わろうとしないって。
私と付き合って欲しいってわけじゃ無いです。一夜限りでいい。
ただ、雨雫のことにケジメをつけてもって思うんです。おせっかいなのはわかってますけど」
雨雫の名前を出され、真剣な顔で言われて雨弓は一旦黙るが、暫くして口を開き、返答する。
「別に一生雨雫に操を立てるとか、そんなことを思ってるわけじゃねえさ。昼間も言った通り、俺が未練たらしいだけだよ。
お前の言うことが正しいとは思う。そして今俺は正直スゲーヤりたい……。ただ、それでも……」
膨らんでいた股間が、徐々に萎んでいく。
薄闇の中、無言で2人は見つめ合っていた。沈黙は数分続いたが、やがて九鈴は観念して床に落ちた帯を拾い、肌蹴ていた前を閉じて再び締める。
「わかりました、雨弓さん。
それじゃあ……お互い武術家同士。『勝負』で決めましょう」
九鈴の発した言葉に、雨弓は佐倉光素から言われた「野試合」の件を思い出していた。
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「改変後のこの世界でも、魔人同士の真剣勝負は最高のエンターテインメントのはずです。
ですから、もしも皆さんが個人的に、死人を出したくないけど命がけで戦いたいとお望みであれば、その模様の配信と引き換えに、大会と同条件で試合をセッティングしましょう。その際は今お渡しした連絡先までご一報を」
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「私達、大会で思いっきりフラグ立ててたのに結局当たらなかったじゃ無いですか。雨弓さんなんかまともに戦ってたのは一回戦の前半だけだし」
「まあ……そうだな……。試合、してくれるのか?」
九鈴と戦える、ということに雨弓は昂ぶりを感じていた。様々な感情がないまぜになった先程の性的興奮よりも純粋に。
「私が勝ったら、雨弓さんは私とエッチする。
雨弓さんが勝てば……どうします?」
「どうもしなくていいさ。俺にはお前と戦えるってだけで人参には十分だ」
睨み合い、バチバチと火花を散らす2人は、――その後普通にお布団に入って、何事も無く眠った。
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