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リョナ的ビフォーアフター

286名無しさん:2019/08/24(土) 11:00:00 ID:???
機動戦士ガンダム セイラ・マス

【before】

宇宙要塞ア・バオア・クーは、死の輝きに充ちていた。地球連邦軍はジオン公国軍の最終防衛ラインを突破したのである。
ホワイトベース隊が突破口を開いた後、「姫」と綽名されるセイラ・マス……本名アルテイシア・ソム・ダイクンは、導きのまま、アムロ・レイと自らの兄キャスバル・レム・ダイクンの決闘を止める進んでいた。
二人が決闘する部屋に差し掛かると、彼女は今にも泣き叫びそうな顔で叫んだ。
「止めてください! 二人が戦うなんて……」

【after】
二人の戦いを止めたのは、アルテイシア自身の致命傷だった。彼女は踏み込みが足りなかったせいで爆発に巻き込まれ、直進してきた鉄くずに背中を貫かれた。
アムロとキャスバルは戦意を失い、やがて訪れた第二の爆発で、キャスバルとアルテイシアだけがア・バオア・クーに残った。
彼女の名をキャスバルが耳元で囁くと、アルテイシアはか細く兄の名を呼んだ。目の光は失われつつあった。黄色いパイロットスーツからはとめどなく赤黒い体液が流れ、血だまりが出来始めている。
「兄さん」
キャスバルの見たところ、アルテイシアには痛覚が残っていない様子だった。呼吸も弱くなっていて、鼠径部からはアンモニア臭も立ち込めている。
それには気づいてはいたのか、掠れた笑い声をあげた後、アルテイシアは兄に向って、童心に帰ったような幼い声をあげた。
「はしたないわ…子供でもなしにこんな」
「私は平気だ」
キャスバルはバズーカ砲を足で寄せていたが、アルテイシアが不意に血を吐いたことで、バズーカから足を放すことになった。ヘルメットのガラス下半分が赤く染まり、額やこめかみからは、汗が真珠のように光った。
「戦争に殺されるな、アルテイシア。良い女になるんだ…」
「もう、目だってよく見えないのよ?」
涙を浮かべたアルテイシアは、全身を痙攣させ、喘鳴した。大きく息をするために胸が膨らみ、縮んでいった。キャスバルはヘルメットを脱がせ、アルテイシアが最後の呼吸をするのを助けた。
彼女の金髪が拡がって、「ありがとう」と言う声が部屋に広がると、小刻みな呼吸を経て、青く澄んだ瞳は輝きを捨て、乳白色の肌は骨のように白くなってしまった。アルテイシアは手を伸ばして、キャスバルの右手をぎゅっと掴んだ。
キャスバルは、そこでアルテイシアの顔に耳を近づけていった。最期の時が近づいていた。
「アムロを、助けに行く…」
キャスバルは、石のように強張ったアルテイシアの手を離すと、嫣然と微笑んだまま二度と動かない、アルテイシアの瞳を閉じてやった。それから済まないなと声を掛け、彼女の華奢な両手を合わせた後、バズーカ砲を担いだ。
「私はやはり、ザビ家を許すことが出来ない」
キャスバルは、キシリア・ザビのいる脱出口へと向かって行ったが、復讐は果たせなかった。彼が死んだのではなく、キシリアを待ち伏せする連邦軍MS部隊が、キャスバル自身の復讐を横取りしてしまった。
彼は残存部隊と合流して、燃え盛るア・バオア・クーをじっと眺め、密かに涙を流した……。


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