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【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 七冊目【SS】

490白頭巾:2008/10/25(土) 20:00:32 ID:CRd8ZrdY0
ハロウィンコラボ企画

ふぁみりあいーえっくすシリーズ×Puppet―歌姫と絡繰人形―



ブルンネンシュティングにも、ようやく秋が来た。
夏の鬱陶しい暑さからもようやく解放され、比較的日々を過ごしやすい気候になるこの季節。
自然と足が外へと向くこの季節にも、そろそろ「アレ」がやってくる。


 「はろうぃん?」
 「そう、ハロウィン♪」

ブルンの中央部――いわゆる「商業区」のとある一角。
ブルンでも最も賑やかなこの区……その隅にひっそりと立つ、小さな喫茶店。
人通りの多いこの地区に立っているにしてはあまりに小さなその喫茶店の中に、二人の姿はあった。
目を瞬かせながらケーキにフォークを刺す栗色の髪の少女と、ニコニコと笑いながらティーカップを持つ亜麻色の髪の少女。
椅子に座っているだけで絵になりそうなほどの可憐さの少女二人だったが、不思議と軽い男たちから声をかけられることはない。
何故? ――それは、彼女らのテーブルに山のように積まれた皿で容易に説明できるであろう。
皿のほとんどは栗色の髪の少女が平らげたものである。亜麻色の髪の少女も少々は食べているが、食欲がそれこそ桁で違った。
――言う間に、また空高く積み上げられた皿の塔が、また一段高くなる。

 「ルフィエちゃん、ほんとにケーキが好きなんだねぇ」

とニコニコする少女。少々、というかかなり着眼点がズレている。もちろん本人に自覚はない。

 「えへ、だって食欲の秋って言うじゃない? メリィも食べれるときに食べないと!」

と言う間にショートケーキの1/3を食べ終えてしまったもう一人の少女ルフィエを、紅茶を啜りながら少女はじっと見やる。
メリィ、とは彼女の本名ではない。彼女の本名を聞いた時に、ルフィエは即興でつけたあだ名である。
当初こそ響きに難色を示していた彼女も、じきに慣れてしまっていた。あだ名とはそういうものである。
ちなみに、彼女が連れているファミリアからは「ごしゅじんさま」という通称をありがたく頂戴していることを彼女は知らない。


相変わらず物凄い食欲である。自分では考えられないくらい量を平然と平らげている。
そう言えば、以前開かれたブルン大食い選手権でも、常人では考えられない量である食事の数々を物凄いスピードで胃に収め、見事準優勝を叩き出したんだとか。
優勝者は確か……マイ、というブリッジヘッドのウィッチらしいが、当時の大会を見た者曰く「上位二名だけで参加者全員分は食った」とかなんとか。
自分より小さい(微々たる差だけど)この体のどこに蓄積されているのか、一度検査してみたいと思う少女、ごしゅじんさまであった。

 「で、ハロウィンって何なの? 聞いたことないけど……」
 「……うーん、なんて言ったらいいんだろう…?」

首を傾げるルフィエに、ごしゅじんさまももう一度「ハロウィン」について考える。
ハロウィンのことを知らないというのも珍しいことだが、ここにはいない少年と共に大陸中を旅する身では無理はないか、とも思う。そもそもハロウィンとは、具体的にどんな催しなのか?
仮装しあちこちの民家やギルドホールを回るくらいにしか捉えていないが――

 「……みんなで仮装して、一晩騒いで遊ぶお祭り、かな?」

実際は「万聖節」の前日に行われる北国を起源とする祭りなのだが、
最近はそれを知る者も少ない。某貴族家の当主や方向音痴なウィザードあたりなら知っているだろうが。
祭りの概要を聞き目を輝かせたルフィエは、

 「お祭り!? てことは、歌ったり踊ったりできるの!?」

と、今にも掴みかかりそうな勢いで立ち上がった。
元々祭事は大好きな性格である。最近退屈を持て余していただけに、これは騒がずにいられない。

 「いつ!?」
 「えと、……今日?」
 「ウソ!? 急いで準備しないと!」
 「え? 準備?」


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