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【アデン】リネ2世界設定を語るスレ1【エルモア】

458アデンの名無しさん:2005/03/05(土) 23:20:53 ID:ign6JwUI
カーディアはシーケンに向かって叫んだ。
シーケンも危機を感じて走り始めたが闇のニンフの早い足でさえ崩れ落ちる山を避けるには力不足に見えた。
瞬間シーケンの背中の後ろで閃光が走り彼の身体は見えない巨人に蹴飛ばされたように壁まで吹き飛ばされた。
鼓膜が叫びそうな轟音と一緒に地軸を搖るがすような衝撃にカーディアは重心を失って倒れた。
アンタラスの姿を隠した土煙が沈むやいなやカーディアは真っ先にシーケンの姿を捜した。
彼の姿は直ぐに捜すことができた。
ちょうど彼女の傍で背中を撫でながらよろよろと立ち上がったからだ。

“お前は...!”

シーケンはカーディアの方は振り返らず悪態の声を張り上げた。
アンタラスを相手にしてのそれではなかった。
彼の目線の先には案の定スペハウルラーフリキオスが魔法書を広げたまま立っていた。
一方フリキオスは自分が求め出したシリエンナイトを完全に無視していた。
彼が呪文を暗誦して指で地竜の頭を示すと緑光を含んだ風が竜の頭を包んだ。
一人がアンタラスの後足にぶら下がっていた。
それはエルブンソードの柄を口に咥えたエルフの女だった。
彼女は左手を角質の間に入れ摑まって身を支えたままもう片方の手で剣を取った。
膝の内側のか弱い部分に彼女は剣を刺し入れた。
アンタラスが足を振り回すと彼女はかなり遠い距離を飛んで地底に倒れ転び気を失った。
このことが起きている間リアン枢機卿とその随行人は負傷した騎士たちを1ケ所に集めて光の神に祈りを捧げていた。
普段の枢機卿は今でも息が絶え絶えのよう挙動さえ思うとおりにできない年寄りだったが、神に祈りをささげる時だけは例外だった。
祈る時の彼女は光の神殿に立てられた星霜のように大きく堂々と見えた。
祈祷が終わると死骸のように横たわっていた幾多の騎士たちが体力を回復して自力で立ち上がった。
彼女の治癒は死地にいた防御陣の負傷者さえ起こして回復させていた。
アンタラスの起った口に赤い光と共にに岩が現れ丸く団結して早く回転し始めた。
アンタラスは枢機卿と騎士たちの方に頭を回した。
完全に力を取り戻した騎士たちはその場を避けることができたが騎士たちの中には
まだ避ける事ができる位回復することができなかった人々が多かった。
恐怖にあきれた若い騎士に向けて枢機卿はにこりと微笑んだように見えた。

“アインハザードは偉大です。”

リアン枢機卿はアンタラスに向けて後ろ向きになった。
複者が脇を抱えて助けようと思うと枢機卿はどこからそんな力が湧き出ただろうか騎士たちの方へ彼を押し退けた。
彼女はアンタラスの方にむしろ一歩み一歩み近付いた。
アンタラスが赤く盛り上がった岩塊を吐き出した瞬間枢機卿は杖を握った手を力が強く伸ばした。
地竜のドラゴンブレスは騎士たちにまで狂わすことができずに彼女によって遮られた。
騎士たちだけではなく魔法師と、エルフ、ドワーフ、甚だしくはダークエルフたちさえ光の神の名前を叫んで歓呼の声をあげた。
しかしリアン枢機卿はどんな言葉も言うことができなかった。
彼女はアンタラスに杖に向けた姿そのままその場に立っていた。
石になってしまったのだ。
次瞬間アンタラスが前足を振りはなすと枢機卿の姿をした石像はこなごなに散らばった。
カーディアの口から血と殺戮を慫慂する叫びが迸り出た。
地竜の咆哮が巣中にこだました。
今度は誰も逃げなかった。
神と領地、騎士団...各々自分が名誉をかけている対象の名前を叫んで地竜の血を貪った。

“オイ!”

シーケンが自分に駆けて来るのを見たカーディアは彼が何を願うのか気付いた。
彼女は駆けて来たシーケンを受けて力の限り頭上へ投げてやった。
しばらく竜の脇腹にぶら下げられたシーケンは身を振ってその背中で立ち上がった。
アンタラスが続いて身体を振るわせたが彼は斧のように伸び出たアンタラスの鎖骨を伝って
刃の様な鱗が無数に逆立っている首に乗りこんだ。

“...!”


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