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スタンド小説スレッド3ページ

1新手のスタンド使い:2004/04/10(土) 04:29
●このスレッドは『 2CHのキャラにスタンドを発現させるスレ 』の為の小説スレッドです。●

このスレでは本スレの本編に絡む物、本スレ内の独立した外伝・番外編に絡む物、
本スレには絡まないオリジナルのストーリーを問わずに
自由に小説を投稿する事が出来ます。

◆このスレでのお約束。

 ○本編及び外伝・番外編に絡ませるのは可。
   但し、本編の流れを変えてしまわない様に気を付けるのが望ましい。
   番外編に絡ませる場合は出来る限り作者に許可を取る事。
   特別な場合を除き、勝手に続き及び関連を作るのはトラブルの元になりかねない。

 ○AAを挿絵代わりに使うのは可(コピペ・オリジナルは問わない)。
   但し、AAと小説の割合が『 5 : 5 (目安として)』を超えてしまう
   場合は『 練習帳スレ 』に投稿するのが望ましい。

 ○原則的に『 2CHキャラクターにスタンドを発動させる 』事。
   オリジナルキャラクターの作成は自由だが、それのみで話を作るのは
   望ましくない。

 ○登場させるスタンドは本編の物・オリジナルの物一切を問わない。
   例えばギコなら本編では『 アンチ・クライスト・スーパースター 』を使用するが、
   小説中のギコにこのスタンドを発動させるのも、ギコにオリジナルのスタンドを
   発動させるのも自由。

 ★AA描きがこのスレの小説をAA化する際には、『 小説の作者に許可を取る事 』。
   そして、『 許可を取った後もなるべく二者間で話し合いをする 』のが望ましい。
   その際の話し合いは『 雑談所スレ 』で行う事。

255ブック:2004/05/07(金) 14:13
     EVER BLUE
     第七話・SMILE 〜貌(かお)〜


 オオミミは二度、三月ウサギの部屋のドアをノックした。
「…誰だ。」
 部屋の中から三月ウサギの不機嫌そうな声が聞こえてくる。
「俺、オオミミだよ。」
 オオミミがドア越しに三月ウサギに告げた。

「…入れ。」
 三月ウサギが先程と同じ不機嫌そうな声で答える。
「じゃあ、入るね。」
 オオミミはそれを聞くと、ドアノブを回して扉を開けた。
 ベッドに転がる三月ウサギの姿がそこから現れる。

「…何の用だ?」
 上体を起こし、三月ウサギはオオミミに尋ねた。
 食事の時の一悶着を彼なりにバツが悪く思っているのか、
 オオミミとは目を合わせようとせずに口を開く。

「これ、夕飯の残り。
 三月ウサギあんまり食べてなかっただろう?
 美味しいよ。」
 オオミミが三月ウサギの前に食事の乗ったトレイを差し出した。

 僕はたまにオオミミの事が理解出来なくなる。
 君は何で、さっきあんな事をしでかした三月ウサギにそんな事が出来るのだ?

「要らん。」
 案の定三月ウサギはにべも無くトレイを突き返した。
 まあ彼の性格からして当然だろう。

「毒なんて入って無いって!
 俺達が何とも無いのを見れば分かるだろう?」
 少し怒った顔を見せながら、オオミミは無理矢理トレイを三月ウサギに手渡した。
 三月ウサギは渋々それを受け取る。

「…お前は、馬鹿か?
 食堂での俺の言葉に一番怒っていたのはお前だろう?
 それなのに、何故こんな事をする。」
 呆れた風に三月ウサギはオオミミに聞いた。

「…そりゃあ、少しは腹が立ったけど……
 でも、俺もかっとなりすぎたと思う。
 三月ウサギだって、三月ウサギなりに俺達を心配してくれたんだろう?
 それなのに俺、いきなり怒鳴っちゃって…」
 オオミミが口ごもる。

「それにやっぱ、友達と喧嘩してもすぐに仲直りした方がいいに決まってるだろ?
 だから、その、三月ウサギと仲直りをしようと思って…」
 オオミミが困ったような顔をしながら頭を掻く。

 全くオオミミ、君は本当に愚かなのだな。
 どう考えたって、さっきのは三月ウサギの方が悪いじゃないか。
 だのに、何で君から謝りに来るんだ?

「…下らんな。」
 三月ウサギはそう吐き捨てると、一口おかずを口に入れた。
 それを見て、安心した顔を見せるオオミミ。

「美味しいだろ?
 …でさ、出来れば、タカラギコさんに謝ってくれないかな。
 その…タカラギコさんも気にしてると思うし……」
 オオミミが遠慮がちに三月ウサギに言った。
 三月ウサギは、それに何も答えない。
 いつもの事だけど、感じ悪い奴。

「ごめん、出すぎた事言って。
 それじゃ、俺もう出るね。」
 オオミミがそそくさと部屋から出ようとした。

「おい。」
 と、その後ろから三月ウサギの声がかかる。
「?」
 オオミミが振り返る。

「…タカラギコの奴に会ったら言っとけ。
 味は悪くはなかった、ってな。」
 三月ウサギがオオミミには顔を向けずに、ぶっきらぼうに言い放った。

「うん。」
 オオミミはそれを聞くと、とても嬉しそうな顔で答えるのであった。

256ブック:2004/05/07(金) 14:14



(…君は本当に損な性格だな。)
 三月ウサギの部屋を出て廊下を歩く途中で、僕はオオミミにそう言った。
「損?何で?」
 不思議そうに聞き返すオオミミ。

(他人の為にそこまでする必要があるのか、って言ってるんだよ。
 君はもう少し、自分の事だけ考えてもいいんじゃないか?)
 天の件といい、最近オオミミはかなりの面倒事に巻き込まれている。
 ここはそろそろ、僕が一発ガツンと説教しておかねば。
 いいかオオミミ、そもそも現実というのはだなあ…

「大丈夫、俺は別に損したなんて全然思ってないよ。
 ごめんね、『ゼルダ。』
 いつも気苦労ばっかりかけちゃって。」
 本当に底の無いようなあっけらかんとした笑みを浮かべながら、
 オオミミは何事も無いかのように答えた。

 僕は何も言えなくなる。
 オオミミ、君は本当に馬鹿な奴だ。
 馬鹿過ぎて、開いた口が塞がらない。。

 …しょうがない。
 本当は君の事なんて放っておきたいんだが、
 危なっかしくて見てられないから、もう少しだけ僕が面倒見ててやるよ。
 君みたいなのを放置しては、何をするか分かったもんじゃないからな。


「…とんだ間抜けね、あんたって。」
 と、横から誰かに声を掛けられた。
 見ると、天が廊下に放置されてある粗末な箱を椅子代わりに腰掛けていた。

「…さっきの、聞いてたんだ。」
 オオミミが静かに天に尋ねた。

「人を盗み聞きしてたみたいに言わないでよ!
 偶然あんたがトレイ持って三月ウサギの部屋に入るのを見ただけよ!
 あんたの性格から考えれば、何してたかなんて一々確認しないでも分かるわ!」
 相変わらずの憎まれ口。
 この女、今度拳で口に栓してやろうか。

「ごめん…」
 だから謝るなって、オオミミ。
 君がそんなだから、こいつも付け上がるんだぞ!?

「あ〜〜も〜〜〜!!
 アタシはそういうの見てると苛々するのよ!!
 あんたねぇ、人を憎いとか殺してやりたいとか、思った事ないの!?」
 なじるようにオオミミに言葉をぶつけるオオミミ。
 余計なお世話だ。
 オオミミがお前なんぞにそこまで言われる筋合いは無い。

 …あれ、待てよ?
 何かこの子、僕と同じ事言ってるような…

「俺だって怒ったりする事くらいあるよ。
 ありがとう、心配してくれて。」
 微笑みながら答えるオオミミ。

「だ…誰があんたを心配なんかッ…!
 勝手に変な事思い込むのやめてよね!
 もうあんたみたいな唐変木には付き合ってらんないわ!!」
 オオミミの表情に毒気を抜かれてしまったのか、
 天は自分の言いたい事だけぶちまけた後さっさと部屋に戻ってしまった。
 何度話してみても勝手な奴だ。

「天、何であんなに怒ってたんだろうね?『ゼルダ』。」
 彼女の怒りの直接的な原因であるにも関わらず、
 訳が分からないといった風にオオミミが僕に聞いてきた。

(さあね…)
 僕はすっかり呆れ果ててしまって、何も答える事が出来ないのだった。

257ブック:2004/05/07(金) 14:14



     ・     ・     ・



 部屋に戻ったアタシは、パジャマに着替える為に上着を脱ぐ事にした。
 オオミミとの会話により発声した苛立ちを晴らすかのように、
 脱いだ服を乱暴に床に叩きつける。

 同時に、おへその右横あたりと、左の肩口あたりにある醜い痣のようなものが、
 否応無しに私の視界に入る。
 いや、これは痣なんてものじゃない。
 まるで、『化け物』の一部のような…
 そんな醜悪な何か。

 無理矢理、それを視界には入っていないと思い込む。

「『俺だって怒ったりする事くらいあるよ』ですって…?
 虫も殺さないような顔して何を抜け抜けと…」


『はっ、何それ!
 そうやって善意を押し売りして、自己犠牲に酔いしれるつもり!?
 そんなの、こっちが迷惑だわ!
 そういうのを偽善者って呼ぶのよ!!』

『…そうかもしれない。
 でも、やっぱり自分だけ助かればいいってのは、
 いけない事だと思うよ。』


 tanasinn島で、『紅血の悪賊』の連中に追いかけられていた時の会話が、
 ありありと思い浮かんでくる。

「…よくもまあそんなこっぱずかしい事を……
 どうせ、大した苦労なんかした事ないんでしょう。
 だから、あんな綺麗事を…」
 ガリッ、と歯軋りをしながら『痣』に手を触れる。

 …『痣』は、まるで自分の心の醜さを映し出しているかのようだった。



     ・     ・     ・



「…これは?」
 『フリーバード』の倉庫の中の『ある物』が、タカラギコの興味を引き付けていた。
 人の身の丈程もある巨大な十字架。
 その十字架が、包帯やベルトで堅く縛られている。

「何でしょうねぇ、一体…」
 そう呟きながら、タカラギコは十字架に手を伸ばした。

「迂闊に触ったら怪我するぞ。」
 と、タカラギコの背後から声がかかる。
 そこには、サカーナが煙を燻らせながら佇んでいた。

「あ、これは失礼。
 扉が開いていたものですから、ついつい好奇心に釣られて…」
 タカラギコがあたふたと弁明する。
「構わねぇよ。どうせ、大した物なんかこの船には無ぇしな。」
 サカーナは葉巻を吸うと、大きく煙を吐き出した。

「…所でこれ、何なんです?」
 タカラギコが十字架を指差した。
「ああ、『パニッシャー』って言ってな、
 俺が前居た職場から退職金代わりにかっぱらって来た物だ。
 その十字架の中に、ライトマシンガンとロケットランチャーが仕込まれてる。」
 サカーナが懐かしそうな目で十字架を見ながら説明する。

「へえ〜、それは凄い!
 ちょっと撃ってみてもいいですか?」
 タカラギコが目を輝かせながらサカーナに尋ねた。

「やめとけ。
 見ての通り、規格外のデカブツだ。
 武器に振り回されて痛い目見るのがオチさ。」
 サカーナが苦笑しながら答えた。

「…それより兄ちゃん、暇ならちょっと付き合え。話がある。」
 サカーナが、いつになく真剣な目でタカラギコを見た。

258ブック:2004/05/07(金) 14:14



 『フリーバード』のデッキの上に、タカラギコとサカーナは立っていた。
 夜の黒に染まりきった空が、二人の周りを包む。
「晩飯の時はすまなかったな。
 見ての通り、三月ウサギの野郎は捻くれ者でよ。」
 サカーナが手すりにもたれ、流れる雲を見つめながら話す。

「いえ、気にしてませんよ。
 寧ろ、それが当然だ。
 オオミミ君のようにいきなり打ち解ける方がおかしいですよ。」
 星を眺めながらタカラギコが答える。

「…オオミミ君、気をつけておいた方がいいですよ。
 ああいうタイプ程、一度『こけたら』脆い。」
 サカーナの方は見ずに、タカラギコは言った。

「違ぇねぇや。
 …さてと、ここからが本題だ。」
 サカーナがタカラギコに向き直る。

「お前さん、一体何者だ?
 悪いが、俺も三月ウサギ程ではねぇが、お前さんを信用してねぇ
 オオミミが懐いてる位だから、心底悪い奴ではないみたいだが…
 それでもお前さんの雰囲気は異様過ぎる。」
 サカーナはタカラギコの顔を覗き込んだ。
 タカラギコは、相変わらずの微笑を浮かべたままそれを崩さない。

「いやそんな、私は唯の小市民…」
 タカラギコが手を振りながらそう言おうとする。

「誤魔化すなよ。
 うちの乗組員は所謂『訳あり』な連中が多くてな。
 俺もそういう事に関しては鼻が利くんだ。」
 サカーナはタカラギコの瞳から目を離さない。

「自慢じゃねぇが、俺も何度も死線を潜ってきた事がある。
 だがな…お前さんのは、桁が違う。そういう目だ。
 …いや、お前さんは死線を潜って来たとか、そういう次元じゃねぇ。
 まるで、本当にいっぺん死んで来た感じなんだ。
 どうすりゃあ、生きながらにしてそんな目が出来る?」
 サカーナが一歩、タカラギコに近寄った。

「オオミミから聞いたぜ。
 飛空挺を見た事が無かったらしいな。
 この世界で飛空挺を見ないで過ごすなんて、そんな馬鹿な話があるか。
 答えろ。お前さん、何者だ…?」
 サカーナがまた一歩、タカラギコに詰め寄った。
 張り裂けそうな空気が、二人の間に流れる。

「…それは……」
 タカラギコが何か答えようとした。
 その時―――


「!!!!!!!!」
 船内に、警報音が鳴り響く。
 タカラギコもサカーナも、慌てて辺りを見回した。

「総員警戒態勢を取って下さい!
 何者かが、この船に接近しています!」
 スピーカーから、高島美和の声が流れる。

「ちっ、しゃあねぇ!話は後だ!!」
 サカーナが、急いでブリッジへと駆け出す。


「やれやれ、ゴングに救われましたねぇ…」
 サカーナが居なくなるのを確認すると、タカラギコは一人そう呟くのであった。



     TO BE CONTINUED…


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