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スタンド小説スレッド3ページ

258ブック:2004/05/07(金) 14:14



 『フリーバード』のデッキの上に、タカラギコとサカーナは立っていた。
 夜の黒に染まりきった空が、二人の周りを包む。
「晩飯の時はすまなかったな。
 見ての通り、三月ウサギの野郎は捻くれ者でよ。」
 サカーナが手すりにもたれ、流れる雲を見つめながら話す。

「いえ、気にしてませんよ。
 寧ろ、それが当然だ。
 オオミミ君のようにいきなり打ち解ける方がおかしいですよ。」
 星を眺めながらタカラギコが答える。

「…オオミミ君、気をつけておいた方がいいですよ。
 ああいうタイプ程、一度『こけたら』脆い。」
 サカーナの方は見ずに、タカラギコは言った。

「違ぇねぇや。
 …さてと、ここからが本題だ。」
 サカーナがタカラギコに向き直る。

「お前さん、一体何者だ?
 悪いが、俺も三月ウサギ程ではねぇが、お前さんを信用してねぇ
 オオミミが懐いてる位だから、心底悪い奴ではないみたいだが…
 それでもお前さんの雰囲気は異様過ぎる。」
 サカーナはタカラギコの顔を覗き込んだ。
 タカラギコは、相変わらずの微笑を浮かべたままそれを崩さない。

「いやそんな、私は唯の小市民…」
 タカラギコが手を振りながらそう言おうとする。

「誤魔化すなよ。
 うちの乗組員は所謂『訳あり』な連中が多くてな。
 俺もそういう事に関しては鼻が利くんだ。」
 サカーナはタカラギコの瞳から目を離さない。

「自慢じゃねぇが、俺も何度も死線を潜ってきた事がある。
 だがな…お前さんのは、桁が違う。そういう目だ。
 …いや、お前さんは死線を潜って来たとか、そういう次元じゃねぇ。
 まるで、本当にいっぺん死んで来た感じなんだ。
 どうすりゃあ、生きながらにしてそんな目が出来る?」
 サカーナが一歩、タカラギコに近寄った。

「オオミミから聞いたぜ。
 飛空挺を見た事が無かったらしいな。
 この世界で飛空挺を見ないで過ごすなんて、そんな馬鹿な話があるか。
 答えろ。お前さん、何者だ…?」
 サカーナがまた一歩、タカラギコに詰め寄った。
 張り裂けそうな空気が、二人の間に流れる。

「…それは……」
 タカラギコが何か答えようとした。
 その時―――


「!!!!!!!!」
 船内に、警報音が鳴り響く。
 タカラギコもサカーナも、慌てて辺りを見回した。

「総員警戒態勢を取って下さい!
 何者かが、この船に接近しています!」
 スピーカーから、高島美和の声が流れる。

「ちっ、しゃあねぇ!話は後だ!!」
 サカーナが、急いでブリッジへと駆け出す。


「やれやれ、ゴングに救われましたねぇ…」
 サカーナが居なくなるのを確認すると、タカラギコは一人そう呟くのであった。



     TO BE CONTINUED…


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