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スタンド小説スレッド3ページ

1新手のスタンド使い:2004/04/10(土) 04:29
●このスレッドは『 2CHのキャラにスタンドを発現させるスレ 』の為の小説スレッドです。●

このスレでは本スレの本編に絡む物、本スレ内の独立した外伝・番外編に絡む物、
本スレには絡まないオリジナルのストーリーを問わずに
自由に小説を投稿する事が出来ます。

◆このスレでのお約束。

 ○本編及び外伝・番外編に絡ませるのは可。
   但し、本編の流れを変えてしまわない様に気を付けるのが望ましい。
   番外編に絡ませる場合は出来る限り作者に許可を取る事。
   特別な場合を除き、勝手に続き及び関連を作るのはトラブルの元になりかねない。

 ○AAを挿絵代わりに使うのは可(コピペ・オリジナルは問わない)。
   但し、AAと小説の割合が『 5 : 5 (目安として)』を超えてしまう
   場合は『 練習帳スレ 』に投稿するのが望ましい。

 ○原則的に『 2CHキャラクターにスタンドを発動させる 』事。
   オリジナルキャラクターの作成は自由だが、それのみで話を作るのは
   望ましくない。

 ○登場させるスタンドは本編の物・オリジナルの物一切を問わない。
   例えばギコなら本編では『 アンチ・クライスト・スーパースター 』を使用するが、
   小説中のギコにこのスタンドを発動させるのも、ギコにオリジナルのスタンドを
   発動させるのも自由。

 ★AA描きがこのスレの小説をAA化する際には、『 小説の作者に許可を取る事 』。
   そして、『 許可を取った後もなるべく二者間で話し合いをする 』のが望ましい。
   その際の話し合いは『 雑談所スレ 』で行う事。

246ブック:2004/05/05(水) 19:55
     EVER BLUE
     第五話・GUN=HALBERD 〜血塗れの鋼〜 その一


「うわ〜、本当に船が空を飛んでますよ!
 何度見ても信じられませんねぇ。」
 デッキ上の手すりで外の景色を眺めながら、タカラギコが感嘆する。
「…?別にそんなの珍しくもないでしょう?」
 オオミミが不思議そうにタカラギコに尋ねた。
 変だな、この人。
 船が雲の海を飛んでる位、日常茶飯事の事なのに。
 ここまで驚く程のことでもないだろう。

「あ…いえ、実は田舎の出でしてね。
 失礼、忘れて下さい。」
 慌てた様にタカラギコが会話を切る。
 田舎って…
 どんな辺境に住んでれば飛空挺を見ずに暮らせるんだ。

「…しかし、本当に素晴らしい。
 私の同僚にも見せてあげたいものですね。」
 タカラギコが寂しそうな目で呟いた。
 僕はそんなタカラギコの目を見て驚いてしまう。
 この人、いつもニコニコしているばかりかと思ったら、
 こんなに哀しそうな目もするんだ。

「そういえば、タカラギコさんってどんなお仕事してるんですか?」
 オオミミがタカラギコの方を見て言った。

「私、ですか?
 そうですね…『元』正義の味方ですね。」
 タカラギコが苦笑する。

「正義の味方って…『聖十字騎士団』ですか?」
 オオミミがそう聞き返した。
 成る程、『聖十字騎士団』ならば、先程のあの体術の切れ味の鋭さも頷ける。

「いえ、違います。
 それに、さっき言った通り『元』正義の味方です。
 今はもう関係ありませんよ。」
 タカラギコが再びうっすらと寂しそうな目を見せた。
 が、すぐに元の笑顔に戻る。

 …不思議な人だ。
 まるで、どこか別の国から来た異邦人と話しているみたいに、
 そんなどこか噛み合わない感じ。
 それでいて、昔から知り合いだったかのような…

「じゃあ、一体どこに勤めて…」
 オオミミが質問を続けようとする。

(駄目だよ、オオミミ)
 僕はそんなオオミミに注意した。

「『ゼルダ』…?」
 オオミミが僕に言葉を返す。

(それ以上は、多分聞いちゃ駄目だ。
 初対面の人に、あんまり踏み込んだ質問をするものじゃない。)
 本当は僕もタカラギコには興味があるのだが、
 流石にこれ以上プライバシーに触れる質問をするのはまずい。
 それにさっきまでの様子から察するに、
 仕事の話は多分この人にとって地雷だ。

「ご、ごめんなさい!
 タカラギコさん、俺…」
 オオミミがタカラギコに平謝りする。
 しかし君は、いつでも誰にでも謝っているな。

「いいんですよ。
 私も、お喋りが過ぎました。」
 タカラギコがそっと目を閉じる。

247ブック:2004/05/05(水) 19:55


「…そういえばオオミミ君。君は自分の中に居るスタンドと話せるんですね?
 差し支えなければ、彼の姿を見せてはくれませんか?」
 タカラギコがオオミミに言った。

「あ、はい。勿論。
 『ゼルダ』もいいよね?」
 僕も断る理由は無い。
 意識をオオミミから出し、実体化する。

「『ゼルダ』です。どうぞよろしく。」
 礼儀正しく一礼。
 僕の無礼はオオミミの無礼に繋がる。
 粗相は出来ない。

「いや、こちらこそよろしく。」
 お辞儀を返すタカラギコ。

「…いやしかし、この雰囲気はまさしく……
 やはり、私同様『アレ』もこちらに……」
 と、タカラギコがなにやらブツブツ言い始めた。
 何だ?『アレ』って、『こちら』って。

「タカラギコさん、どうしたんです?」
 オオミミがタカラギコに尋ねた。

「…!いや、何でもありませんよ。
 少しぼーっとしてしまいました。」
 はっと我に返った様子で、タカラギコが返答する。
 やっぱりこの人、どこか変だ。
 もしかして世に言う不思議ちゃんってやつか?

「ちょっとオオミミ〜!
 今日はあなたが食事当番でしょ〜!
 手伝いなさ〜い!!」
 と、下の階からカウガールの声が聞こえてきた。
 そうか、もう晩御飯の準備の時間か。

「は〜〜い!!」
 大声で返事をするオオミミ。

「タカラギコさん、ごめんなさい。
 俺、晩御飯作りにいかないと。」
 オオミミがタカラギコにそう告げて厨房に向かおうとする。

「あ。待って下さい、オオミミ君。」
 タカラギコがオオミミを引き止めた。
「…?」
 オオミミがそれを受けて振り返る。

「私も手伝いましょう。
 勝手に船に乗り込んで何もしないのも失礼ですしね。」
 タカラギコが微笑みながら口を開く。

「え?でも、悪いですよ。」
 オオミミがその申し出を丁重に断ろうとした。

「何、構いませんよ。
 まあ任せてみて下さい。
 これでも、家事全般には心得がありましてね。」
 タカラギコがやる気充分といった感じに、服の袖を捲り上げた。

248ブック:2004/05/05(水) 19:56



     ・     ・     ・



 夜も更けた頃、一つの人影がtanasinn島の外れにある裏びれた酒場に入る。
 体中を黒く大きなコートに身を包み、更にフードを目深く被っている。
 そして目にはサングラス。
 あからさまに異様な出で立ちである。
 しかし何より、その背中に担いだ大きな荷物こそ
 その場に居る者達全員の視線を独占していた。
 人の身の丈程もある、包帯とベルトでぐるぐる巻きにされた巨大な「何か」。
 それがおよそ日常とは全く縁の無いものである事は、
 赤子の目から見ても明らかであった。

「……」
 その者は巨大な荷物を床に置くと、店の奥の方の席に座った。
 そしてフードを脱いでサングラスを外した。
 光るような金色の髪の毛に、透き通るような白い肌。
 それらに血の様に紅いルージュの唇が一段と映える。
 何より思わず勃起してしまう程に整った顔立ち。
 店に居た男の客の何人かが、下品に指笛を鳴らしてからかった。

「…赤ワイン。それとAコースのセットを。」
 メニューにざっと目を通した後、女はマスターに食事を注文をした。
 程無くして、女の前に料理が運ばれてくる。

「……」
 店中から浴びせられる下卑た視線と野次など我関せずといった様子で、
 女は黙々と料理を口に運ぶ。
 二十分程で、女はペロリと料理を平らげた。

「マスター、水を。」
 食事を終えた女は、マスターにそう告げた。
 マスターと呼ばれた男がしけた顔で水を運んで来る。

「……」
 女は懐から赤い錠剤のような物を取り出すと、
 それを二粒水の中に落とした。
 錠剤が瞬く間に溶け出し、水を血のような紅色に変える。
 女は、それを一気に飲み干した。

「姉ぇちゃん、何だそりゃ。新手の薬か?」
 と、いかにも三流のゴロツキといった風貌の男が女の横に立った。

「……」
 答えない女。

「おいおいシカトかよ。
 せっかく俺がもっといい薬を紹介してやろうってのに。」
 男がわざとらしく大きな素振りで女に話しかける。

「…失せろ、下郎。」
 短く、女が告げた。

「…!ああ〜!?
 この尼、下手に出りゃあつけ上がりやがって!!」
 男が女に掴みかかった。
 その場の誰もが、その後の惨劇を予想して体を硬直させる。


「!!!!!!」
 想像通り、惨劇は起こった。
 しかし唯一つ全員の考えと違っていたのは、
 床に這いつくばっているのは女ではなく男の方だという事だった。

「…生きているうちに教えろ。
 『紅血の悪賊』(クリムゾンシャーク)の連中に、最近何か動きは無かったか?」
 冷徹な声で女が倒れた男に詰問する。

「へっ…只で答えるとでも……ぐわあ!!」
 女の踵が男の顔を踏みつけた。
 男の顔がどんどん醜く歪んでいく。

「…まだ生きているのじゃろう?
 それとも、今ここで人生を終わらせるか?」
 女が男を踏みしめる足に力を込めた。

「い…言う言う言う言います〜〜〜!!
 今日この島で、『紅血の悪賊』の連中が誰かを探していたんです!!
 だから、殺さないで〜〜〜!!」
 男が情けない声で叫んだ。
 女は男の頭から足を離すと、今度は襟首を掴んで男の顔を眼前に引き寄せる。
「…詳しく聞かせるのじゃ。」

249ブック:2004/05/05(水) 19:57



     ・     ・     ・



 本日五件目のバーを出て、夜の町を当て所無く散策する。
 結局この島での聞き込みの結果判明したのが、
 『紅血の悪賊』の空賊船の一つが、つい先日何者かに襲撃された事。
 そしてその襲撃した奴らを、血眼になって探し回っている事であった。
 日中に聞き込みを行えば、もう少し情報も手に入るのかもしれないが、
 自身の体質がそれを許さない。
 まあいい。
 取り敢えず今後の目標を定める位には情報が集まった。
 今現在私がすべき事は、『紅血の悪賊』を襲撃した奴らに接触する事だ。

「……」
 もう夜明けも近い。
 そろそろ宿に引き上げる頃合なのだが…

「…出て来い。居るのであろう…?」
 脇道の暗がりに視線を移す。
 そこから、板前の格好をした男が姿を現した。

「こんばんは、美しい方。
 じゅんさいはいかかです?」
 一品料理を差し出す男。
 ふざけた態度とは裏腹に、こいつがかなりの使い手である事が
 そこから漂う威圧感から感じ取れる。

「無駄口を叩くな。
 儂に何用じゃ。用件だけを話せ。」
 男との距離を充分に保ちながら、質問を投げかける。

「これは失礼。
 私は岡星精一。聖十字騎士団の者です。
 ここまで言えば、後はお分かりですね?
 『ジャンヌ・ザ・ガンハルバード』。」
 不敵な笑みを浮かべながら男が喋る。
 矢張り、聖十字騎士団の手合いか。

「…失せろ『人間』。
 そちらから手出しせねば、儂もそちらに手は出さん。」
 男の目を見据えながらそう告げる。
 しかし、恐らく無駄だ。
 奴は、いいや、『奴ら』は、脅しの通用するような相手では無い。

「肌を晒すのを極端に嫌うような黒尽くめ。
 そして何よりその背中の大きな得物。
 はっきり言ってその情報を耳にした時には耳を疑いましたよ。
 『常夜の王国』の懐刀たる貴女が、
 まさかこんな辺鄙な島に居るなんて。」
 男の背後に人型のスタンドのビジョンが浮かび上がる。

 …しかし、もう居所がバレていたとは。
 流石『聖十字騎士団』、手が早い。

250ブック:2004/05/05(水) 19:57

「…正気かや?お主。
 いくら聖十字騎士団とは言え、夜に『吸血鬼』と一人で相対するとは。
 それとも儂を見くびっておるのかのう?」
 男を睨みながら背中の得物に腕を伸ばす。
 『ガンハルバード』。
 我の振るう、鋼の牙。

「いやいや、貴女を見くびってなどおりませんよ。
 三下を何人連れてきた所で、被害が増大するばかり。
 それに情報の指す人物が本当に貴女なのかも、
 正直こうして面と向かって見るまで半信半疑でしたからね。
 それにもうすぐ夜も明ける。
 そうなれば貴女にとっては圧倒的に不利。
 本当は夜が明けるまで待ちたいのですが、
 ここで貴女を見失うのもまずい。
 そんなこんなの理由があって故の一対一です。
 どうか気分を害されずに。」
 慇懃無礼な態度を取る男。
 間合いが、少しずつ詰まっていく。

「…そういう訳で、そろそろ始めましょうか。
 この身を正義の刃と変えて、貴女を討ち滅ぼさせてもらいます。」
 その言葉が、私の激情を刺激した。

「…『正義』…?
 『正義』じゃと…!?」
 必死で溢れそうな怒りを抑える。
 こいつらが、こいつらが自分を『正義』だと!?
 心の底から笑えない冗談だ。

「そうです。
 あなた達吸血鬼は紛れも無い『悪』。
 ならばそれを打ち倒す我々こそが『正義』。
 最期の時を迎える前にじゅんさいでもどうですか?」
 男が自身に満ちた声で答える。
 変わっていない。
 こいつらは、何も変わってなどいない…!

「…いいじゃろう。
 ならば儂は絶対の『悪』となりて、
 貴様ら『正義』とやらを漆黒の煉獄に叩き堕として焼き尽くしてくれる…!」
 包帯とベルトを剥ぎ取り、『ガンハルバード』の姿を顕にする。
 ハルバードのグリップ部分にマシンガンが取り付けられた無骨な凶器が、
 男に向かって牙を剥いた。
「来い、『人間』。
 『人間』、来い。
 殺劇の顎は、今この時より開かれた。」



     TO BE CONTINUED…


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