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新・戦場スレ Part1

7 ◆HU7XfvOYA2:2016/05/09(月) 23:45:52 ID:NpbI6GtI
遡ること一刻半


「おー、ようやく着いたなぁ」
宇宙港の発着場からスーツケースを片手に一人の男性が両手を上に伸ばし固まった身体を解しつつ独り言ちた。
生まれの惑星から民間船での長い長い移動が一度終わり、このコロニーから出る共和国本星へのシャトル便に乗るべく一度一泊し、明日この港から出る最初の便を目指していたが。
「宿に行くにはまだ早いなぁ…」
腕の時計を確認するとまだ予定のチェックイン時間には早く、然りとて観光するにはちと時間が足りない。そして、問題が一つ。
「腹、減ったなぁ」
ポンと掌を腹の虫が鳴る上に重ね、到着直前から御機嫌ナナメな様子で鳴り響くそれを落ち着かせると足を嗅覚が誘う方向へ進ませる。
「(さて、こういう場合は先ずは一当てといきたい所だが…)」
普段であれば適当な露天で買い食いをしつつ、腹の虫の御機嫌を伺いながらラーメンでも…と思っていたが…。
「(困ったな、土産の菓子ばかりで…いや、焦るんじゃない。私は腹が減っているだけなんだ。今、此処で小腹を満たしてもまだ後があるんだぞ…)」
どうやら、この通りは土産品が主な商品らしい。確かに、土産にするには良い商品が多いが、腹を満たすにはチト物足りないのだ。悪くは無いが腹にドスンと来ない。
「(ン?あの店…)」
足を奥に向け進んで行くと段々土産品を販売する店が少なくなり、八百屋や薬屋、本屋など生活に関わりが多い店が段々と増えてきた。やがて、一軒の精肉店にたどり着く。
「(この店…手前は精肉店だけど、裏側は食事処になっているのか…面白いな…良し、此処にしてみよう)」
店の裏側に回り、入口の扉を開き店内に入る。扉を開くとカランコロンと扉に付いている鈴が鳴り響き、店員さんがパタパタと足音を鳴らし奥からやって来た。どうやら、一段落した時間帯なのか客は自分しか見当たらない。「いらっしゃいませ!お好きな席へどうぞ!」ニコニコと愛想の良い女性のスタッフが声をかけてくれた。お言葉に甘えてカウンターの右端へと座る、同時におしぼりとコップに入った冷えた麦茶をテーブルの上に置いてくれた。メニューを手に取り、もう片手にコップを持ち麦茶を一口…
「(うん?麦茶と少し違うな…)」
口にした味わいの違いに僅かに眉を寄せると先ほどのスタッフさんが笑顔で教えてくれた。「此方はとうきびを使ったお茶です!」…聞いた話によると時期限定で提供しているそうな。
「(とうきび茶、そういうものもあるのか!)」
麦茶とはまた違う香ばしい風味に舌鼓を打ちつつメニューに視線を走らせる。しょうが焼き定食、ロースカツ定食も悪くは無いが、此処は丼ものの定番で腹を満たそう。
「すみません、カツ丼を大盛りで。」
そして、片手を上げてスタッフさんに声をかけて注文をすると、気を使って暇潰しにスイッチを入れてくれたテレビをぼうっと見始めた。


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