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新・戦場スレ Part1

53 ◆tb48vtZPvI:2016/05/31(火) 19:56:53 ID:Tr2UJzQY
>>52
(…………)
少佐という階級が示すように、ミックはヒューマンに換算するとそれなりにいい歳である。
騎士団がまだ実効を失っていなかった時代はアプレンティス(騎士研修生)にも関わらず女性や子供たちの間でブロマイドが売れていたそうだが(当時はそういうものがあったのだ)、ロイヤリティーは全て寄付してしまっているのでよくわかっていない。
(このアニーシャという娘、見た目ほどには素直なパーソナリティでもない、か)
むしろそれで安心したミックである。

(このミレニアという娘…)
実際物心ついた頃から戦災難民であったミックである。賤民には違いないし、獣人でもあるから差別にはすっかり慣れたものである。尤も大貴族ノルヴァ直系の血を引くミレニアからすれば、この世の99%は賤民になってしまうだろう。
しかし、やはりノルヴァの令嬢か。ミックは軽い失望を覚えた。この年齢にもなると、無意識のうちに若い連中には自分たちの代では不可能だったことを期待してしまう。彼女の祖父や父にあたる人物は、穏健ではあっても貴族根性がすっかりしみついたような男たちだった。
ミレニアという少女には才気こそ感じるが、
(これはダメだ)
こう思わせるものも確実にあった。生まれた時からの気位の高さは増長や慢心に繋がり、いつしかクリティカルなインシデント事態を引き起こしかねない。
アニーシャもミレニアも、どうやら余程甘やかされて育ったらしい。

ツバサは、彼女たちほどには甘やかされてはいないようだった。二人の背中と尻に軽い一瞥を投げただけで興味を失ったミックは、しょげかえるツバサに声をかけた。
「ツバサ=サン、うつむくな。君の勇気は誰もが知っている」
そう……初陣、単身で多数の敵に立ちはだかった勇気。恐怖を前に退くことのなかった勇気。強制されたものであっても、ミジメでブザマな姿を晒したとしても、挑んだ勇気は否定されない。されてなるものか。
賞賛を与える一方、ミックはツバサに対して思っていたことを口にした。
「しかし……君には戦いは向いていないのでは?」


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