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新・戦場スレ Part1

4 ◆tb48vtZPvI:2016/05/09(月) 21:14:00 ID:faAz5A6E
 交戦より少し前!

 林立するビル街を光とするならば、路地裏は闇の部分であろう。
 新興宗教カルト。反共和国セクト。マフィア。電子物理を問わぬ違法ドラッグバイヤー、あるいはただのゴロツキ。陽の光を嫌う者たちはいつもそこにいた。
 少々スケールに関して見劣りはするが、サイラス3も例外ではない。
「ちょっとよォ、お嬢ちゃん、オチャしない?」モヒカンタテガミの馬パンクスが言った。彼が一番大柄だった。
「俺たちこう見えてもさ、ナカモチ・クランのメンバーなんだよ。ワカル?」タンクトップの豹パンクスが言った。一番暴力的アトモスフィアを発散していた。
「いいからさァ、ちょっと直結しようよォ」人工ドレッドヘアパンクスが言った。彼はヒューマンだったが明らかな違法電子ドラッグのオーバードーズであった。
 3人のパンクスの勢いに少女は困惑の表情を浮かべている。落ち着いた色のロングヘアーは、いかにも荒事に慣れていない様子だ。彼女の胸は豊満であった。
「ねェ〜、だからさァ〜、いいお店知ってるよォ? 俺たち」馬パンクスが少女に詰め寄った。顔が近い!
「ちょっとだけでいいンだよ、ちょっとだけでさァ」豹パンクスの目は充血していた。ひょっとしたら食人嗜好でもあったかも知れない。
「直結しようよォ、お願いだよォ」人工ドレッドヘアパンクスが首の後ろから生やしたケーブルを振り回した。
 清楚ロングヘアー少女のなんかが危ない! その時!
「チョットスミマセン」3人のパンクスの背後から逆光を背負った陰が声をかけた。
「アァン?俺たちはこの子と友好関係を築きたいだけなンですけど」馬パンクスは意外なボキャブラリーを披露した。
「スッゾテメッコラー!」豹パンクスが牙を剥いて凄んだ。ヤクザスラングだ、コワイ!
「何アンタ? ひょっとしてアンタもこの子と直結したいの? …横取りは良くないよねェ」人工ドレッドヘアパンクスは威圧めいてケーブルの回転数を早めた。
 陰が路地裏へ入ってきた。ハンチング帽にトレンチコート。背は高くないが、声は渋い。
「その娘、あまりお前たちに好感を抱いてはいないようだ。これ以上はやめた方がいいのでは?」
「ザッケンナコラー!」
 豹パンクスが殴りかかった。彼は宇宙ボクシングのハイスクール選手権で6位、素人を容易に殴り殺す自信がある! 彼は拳を握り締めて肉迫し「イヤーッ!」
 鋭いシャウト! その場にいる誰もが反応出来なかった。次の瞬間、豹パンクスは地面に叩きつけられたまま、完全に失神していた。
「ア…ア?」「何? 何があったの?」
「次にこうなりたいのはどちらだ? あるいは二人共か?」ハンチング帽の下で青い瞳が二人のパンクスを射抜いた。パンクスたちはしめやかに失禁した。
「「ア、アイエエエエ…」」「さっさと友達を連れて帰るがいい」「「ヨ、ヨロコンデー!」」
 パンクスが撤退したのを見送り、彼は少女の方を見た。少女の背中は既に遠ざかっていた。彼は意に介さず、再び雑踏へと消えた。


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