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戦場スレpart2

570ハーゲン ◆zwG.6Bg2jY:2013/03/16(土) 17:54:00 ID:bv9mkTig
狭い球体の中、中央に置かれたシートの上で空を仰ぐ人の姿があった。
両の腕は対照的に重力に従ってだらりと地面へ垂れ下がっている
寝ていた訳ではない、覚醒状態を維持できる最小限の睡眠で彼にとっては十分だった。

時間と空間から完全に隔離されていたそこを外界へ引き戻すかのように、シートの真正面の壁に四角く窓が映りこむ。
その奥には慌しく動くものと、こちらに向かってしどろもどろになりながら何かを伝えようとするものが見えていた

『少尉!既に戦闘を開始している模様です!』
「知ってる」
映像による光に照らされた人物は余裕あるゆったりとした雰囲気すら感じる言い回しで、しかし間髪いれずに返答する。
この言葉に間抜けな返事をして疑問符を浮かべているのを余所に、落としていた右腕を持ち上げそのまま操縦桿を掴んだ
壁一面に光が灯り、まるで宙に浮いている椅子に腰掛けている様な風景

「耳鳴が鬱陶しかったからね・・・」
黒味が混じった、しかし色素が薄い髪の毛と、そんな物よりももっと薄い肌の色
一見すると女性の手か指と見間違えるような線の細さ。
薄目よりは大きいだろうが開いているとは言いがたい目つき・・・その全てをまとめれば、この少年の印象は『脆い』であろう

「このまま出撃する、これじゃ遅すぎる」
目的地付近で合流する予定だったハーゲンの乗る輸送機は、予定よりも遅れが出ていた
確かに彼の言うとおり輸送機で向かうよりは確実に早く着くだろう。
だがハーゲンはパイロットスーツすら着ていない、スクランブルもいい所だ

『しかし少尉、まだ準備も何も・・・』
「いいから、ぶち抜くよ」
ぶち抜くものは当然貨物室の扉、容姿とは食い違った過激な発言に通信も思わず目を丸くしていた。
冗談の様には見えないはずだ、本当に冗談ではないのだから
黙り込んだまま頷くとそのまま通信が切れ、次の瞬間にはスクランブルを告げるサイレンが響く。
直に扉が開き、室内へ冷たい空気が強風となって入り込んでくる
その様がさぞ滑稽とでも言わんばかりに、ハーゲンは目つきはそのまま口元を歪めた

「フフッ・・・発進」
漏れた笑いとハーゲンの短い言葉だけを残して白い機体が空へと飛び出す
そのまま輸送機を追い越し、彼と使い魔か小天使かの姿をした『インセイオン』は目的地であるカーマイン邸に真直ぐ向かっていった


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