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戦場スレpart2

490アカリ ◆Tg./UqnJ52:2013/02/09(土) 05:21:40 ID:0KvFR1D.
>>487
両サイドからの攻撃と、上空からのラプターの全弾射撃を食らって、敵は爆炎に包まれる。
更に、正面から3機のPTと、人間サイズのアンノウンに近接戦闘を仕掛けられ、それらと併せて少なくないダメージを負ったようだ。
だが、逃げるだけの余裕はまだ残していたようで、出現したときと同じ空間の歪みに逃げ込もうとしている。

「待て! お前だけは……お前だけは、絶対に逃がさない!!」

人型へと変形し、腰からビームソードを抜きはなったラプターは、上昇してくる敵にその刃を突き立てようとするが、
熱量兵器に耐性のあるその装甲を満足に傷つけられず、おめおめと空間の歪みへと逃がしてしまった。

「くそおっ!!!」

アカリはアームレストに思いっきり拳を振り落とす。
やり場の無くなった怒りと胸を抉る情けなさに突き動かされた拳に打たれ、アームレストは痛々しい打撃音を響かせた。

「仇も取れないで……ごめん、リリー……」

無念な心持ちに苛まれながら振り下ろした握り拳を振るわせていると、不意にオープンチャンネルで通信ウィンドウが開く。
バストアップ映像の無い、音声のみの通信だったが、そこから聞こえてきたのは、

『人を勝手に殺さないで下さい。まだ私は生きていますよ』
「…………え? り、リリー……?」

紛れもなくそれは、リリーの声だった。
生存を絶望視されるほどの損傷を彼女の機体は受けていたはずだが、声はそれを感じさせない、いつもの調子。

『ご心配をおかけしました、皆さん。少しばかり擦り傷を負いましたが、私は元気です。
 ……元気なのですが、私を救出した尼子特尉が精密検査を受けろとうるさいので、私は一足お先です。
 特尉、あとは任せました』
『おい、このタイミングでこっちに振るのか。
 ……あー、こちら尼子だ。そういうわけだから、私はこのじゃじゃ馬を基地の医療施設に送り届ける。
 それと、墜落したこいつのヒュッケバインには近づくなよ。
 私がこいつを救った時点で、リアクターが誘爆を起こしかけていた。下手をすると巻き込まれるからな。
 ……こちらからは以上だ』

統久の言葉を最後に、通信は切れた。

「ああ…………良かった、本当に良かった、リリー……」

全ての重圧から解放されたような面持ちで、アカリは長い吐息を吐いた。
安堵の吐息に導かれるように、彼女の閉じた瞳から涙が一筋、こぼれ落ちる。
その涙が頬を伝うと同時に、遠くで、墜落したヒュッケバインが大きな爆炎を上げた。


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