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戦場スレpart2

296リリー&姫 ◆Tg./UqnJ52:2012/09/24(月) 23:02:42 ID:SNaC7SEM
>>287
続けてもう一撃、例の竜巻を放とうとした騎士だったが、それはさすがに味方に阻まれた。
しばらくは彼らが押さえてくれるだろう、と判断したリリーはスッと立って服装の乱れを直し、ブリッジを見渡す。
ブリッジクルーも衝撃によってコンソールに突っ伏していたり、シートから転げ落ちたりしていたが、
先ほどリリーが艦の損害を確認している間に、全ての人員が所定の位置に戻っていた。

「詳細な損害報告を」
「はい、バスターキャノンモジュールの左舷側を削られました。
 二つの艦首装甲板のうち、左舷の装甲板が根本から吹き飛ばされて消失。
 光子チューブチャンバーと第5から第11エネルギーラインも同様に酷いダメージを受けていますが、
 辛うじてダメージエリアの隔離は間に合ったようです」

艦体そのものへのダメージは思ったよりも少なく済んだようだ。そのことに、リリーは内心、ホッと胸をなで下ろす。

「ただ、攻撃の余波を受けて、第一主砲塔への電力供給に不具合が起こっています。
 その影響で現在、第一主砲塔は稼働しない状態にあります」
「えーっと、では、バスターキャノンモジュールへダメージコントロール班を出動させて下さい。
 こちらからのデータでは艦体へのダメージは少ないですが、思いがけないダメージがあるかも知れません。チェックは念入りにお願いします。
 あと、第一主砲塔へは応急修理班を。あの特機を捉えきれるかは不明ですが、主砲の援護が必要となる場合も考慮します」

今の指示はリリーからのものではない。
そのことにブリッジクルーの面々は一様に驚いた顔をして、近くのクルーと顔を見合わせた後、指示が飛んできた方向を見る。
そこにはコンソールのダメージ表示を切り替えて各部のダメージレベルを確認している姫の姿があった。
復唱が無いことに気づいた姫が顔を上げ、自分に集中する視線に「え? ええ??」と狼狽する。
そんな中、隣のリリーはさすがに冷静なままで、ごほん、と咳払いをし、

「今の艦長の指示が聞こえましたか? 聞こえたのならば復唱を」
「は……はい! バスターキャノンモジュールへのダメージコントロール班、第一主砲塔への応急修理班の出動を指示します!」

弾かれたように慌ただしく動き始めるクルー達。
リリーからの確認があってからのその動きに、姫はやはり自分では……と落ち込んだが、
ポンポンと肩を叩かれ、振り返ると、リリーがグッと力強いサムズアップをしていて(やはり無表情ではあったが)、

「ぐっじょぶです、艦長。その調子で私を元の部署に戻して下さいね」
「え……でも、少尉の言葉が無かったら……」
「いいえ、今のはちょっと面食らっただけです。次からは皆、きちんと指示に応えてくれますよ。
 だから自信を持って下さい。何なら、戦闘指示の方もやってみますか? 私としては、その方が楽で良いのですが」
「いえいえいえいえ! それは遠慮します! こっちだけで精一杯です!」
「冗談ですよ。ともかく、今の感じで艦の維持に目を光らせておいてください。それだけでも、こちらはだいぶ楽になりますから」
「……はい!」

良い仕事だった、とリリーに言われ、姫は気分の高揚が隠せなかった。
今まで、自分が座っていて良いのか? と常に疑問に感じていた艦長席の感触が、幾分かマシになった気もする。
リリーに戦闘指揮を受け持ってもらっている分、まだしっくりこない部分のある艦長席だが、今だけはそれも気にならなかった。


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