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イラスト・SSスレ

7空憂 愛:2011/07/17(日) 00:43:45
>>6



「有為はここで待ってろ」
 暗闇の中、亜貴は有為にそう告げた。
 有為は頷く。
 亜貴は、ナイフを握り締めている。
 亜貴と有為は、男の住むアパートの一室の前に来ていた。男は浪人生であり、現在は独り暮らしをしていると、亜貴は以前本人から聞いていた。
 インターホンを鳴らす。亜貴はドアの向こうに耳を傾ける。
 どたばたと、ドアの向こうで物音がした。そして、男は何も知らずに玄関のドアを開ける。
「――――!?」
 かつての友を前にして、亜貴は何の躊躇いも見せなかった。
 亜貴は男の喉元にナイフを突き刺し、その喉を縦に引き裂く。それは一瞬の出来事だった。亜貴はまるで男を押し倒すがごとく、そのまま男の部屋へと押し入る。
 男が信じられないという表情で亜貴を見つめているにもかかわらず、亜貴は口元を笑みで歪ませていた。
「ざまぁ、ないな」
 と男を吐き捨て、男を置いて亜貴は部屋の奥へと向かう。鮮血が男の喉元から、噴水のごとくあふれ出す。
 男は何事かを精一杯叫ぼうとしたが、その喉からゴボゴボと空しい音だけがするだけであった。

 亜貴は男の部屋の中を見渡す。
 質素な部屋だった。最低限、生活に必要なものしか見受けられない。
 机の上には、ノートや教科書らしきものが広げられている。
 やけに物が少ないため、目的のものを探すのにも、そこまで苦労はしなかった。
「……あった」
 亜貴は男の鞄の中から、分厚い茶封筒をいくつも見つける。その中には五〇万を超えるだろう額の大金がいくつも入っていた。
「やっぱ、お前ん家、金持ちじゃん」
 亜貴はそれを手にして、男の元へと引き返す。男は何かを懸命に伝えようともがいていた。
 だが、亜貴は男に対して。止めと言わんばかりにナイフを突き落とす。
 男はかつての親友にいったい何が起こったのか、それすら理解する間もないまま絶命した。
 亜貴は、血溜まりに沈んでいる男のその肩を叩き、一言だけ、
「ありがと」 
 と呟いた。


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