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イラスト・SSスレ
18
:
空憂 愛
:2011/07/17(日) 00:50:11
>>17
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「会長がお呼びだ」
黒服が部屋に入ってきて、私にそう告げた。
「はいはい」
いい加減、このやり取りにも飽きる。
いつも通りに不平を言いながら、黒服にモニターの前まで連れて来られた。モニターの電源が入る。すると突然、黒服は無言で、私に対して踵を返した。
「どこ行くの?」
驚いてそう呼び止めるが、黒服は返事をせず、そのままどこかへ行ってしまう。
来るなと言っても、いつもはついて来るというのに……。何か怪しい。
モニターに視線を向けると、老人がいつものように笑っていた。
もはや、あの笑顔だけで腹立たしい。
「何か御用ですか?」
私は尋ねる。
『いや、今日は一人かい?』
見てれば分かるだろ。
そう思うが、それを口には出さなかった。こいつは分かってて言ってるんだ。恐らく何かを企んでいるに違いない。
「何か用ですか?」
「いや、何。たまには曾孫の顔でも拝みたくなってな」
「はぁ。そうですか、なら帰ります」
こいつと話すことはない。
私は老人に背を向けた。何が『曾孫の顔を拝みたい』だ。黒服の後を追おう。嫌な感じがする。
そう思ったのもつかの間、老人が私を呼び止めた。
『そんなに慌てなくてもよい』
私は首だけ振り返り、老人を不審の眼差しを向けた。
私の疑念を見て取ったのか、老人はほっほと気が抜けるような笑いを上げる。そして言った。
『あの娘のところへ行くつもりなら、お前が行くまで、何も起こらんさ』
その言葉で背筋が凍るのを感じる。私は、一目散にその場から去り、みずっちの部屋へ向かう。
『言ったはずだろう? ワシはワシの役に立たん人間はいらん、と』
部屋を出る間際、そう言って笑う老人の声が聞こえた。
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