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SSの実力向上を目指すスレ 第8話

203202:2014/07/07(月) 23:31:17 ID:j5V.YCeQ0
じゃあそういう場合にどうすればいいんだろう、と考えてみると、
第一に目を付けるべき点はやはり視点の取り方、描写の取捨選択による読者との距離の詰め方です。

一例として、創想話のオリキャラものではおそらく有名どころだと思われる「中秋」を挙げてみます。

死に場所を探してあちこち歩きはじめる、という一応それなりに重たい土台で主人公は出発するわけですが、
しかしその出発点とは対照的に、単純なまでにカラッとしたそのキャラクターは
ひたすらテンポよく小気味よく行動を進め、読者に難しい思考を要求せず自然に彼の視点/思考に寄り添わせている。

行く先々で起こるちょっとしたイベントの一つ一つはこれといって捻りもありませんが、
とにかく無駄なく淡々と話を進め(二次創作にありがちな、必要以上に原作キャラを褒めたり解説したりも少ない)、
それでいて途中のワンポイント(剣術関係)では一歩踏み込んだ、しかしやはりくどくない描写で
主人公と対戦相手を引き立たせつつ、そして最後にはスッと爽やかな結論にストンと落としてくれる。

あまり多くない文章量で、ゼロからスタートするキャラクタに読者を引き込んでいくという観点では
非常に王道的、素直にストレートに結果を出せている作品だと言えるでしょう。

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さて、じゃあ今作もそういう風にやれば良かったのか? というと、それがそうはいかない。
今作はその中秋のようなカラっとしたキャラクタのお話ではありませんから、
何も考えずに単純に一人称視点なんか使おうものなら間違いなく評価は今よりダダ下がっていたでしょう。
知らない人の後ろ暗い内面を一人称で読ませるなんて、二次創作でなくとも無理ゲーですからね。
上の方も触れておられますが、距離を置いた語り口だからこそ読めるタイプの話、というものは確かにあります。

しかし、じゃあ今作はあの三人称説明系の語り口で良かったのかと考えると、
やはりこの文章量で主人公の心情にしっかり寄り添わせるという観点からは難しいのも実情です。

このような説明系の客観視点というのは、例えば推理ものやミステリーのような
キャラクタの心情よりも場面の状況や仕掛けについて読者に考えさせるタイプの物語には適していますが、
今作のような内面が主題の話では、先に書いたように「作者の語りの押し付け」になってしまう。

短い文章量ですんなりと読者をキャラクタの視点に寄り添わせようと考えるなら、やはり強いのは一人称。
その上で、視点や描写は可能な限りシンプルで自然なものに留めつつ状況を動かしていかなくてはなりません。
そうしないと、作者から与えられる「説明」を聞くのに思考リソースを割かれたり、
いつまでも似たような後ろ向きの思考を読まされて「もういいから」と逆に心情が遠ざかってしまうので。


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