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幻想郷的ウミガメのスープ番外編:新ウミガメ文花帖その5

345 ◆omdNMYuCkQ:2011/08/06(土) 02:39:26 ID:cMz0U/7.0

  〜Epilogue side “Reimu”〜
 
 ――博麗神社。
小さな雲の浮かぶ真っ青な空から注ぐ太陽の光が、境内から見える幻想郷中を煌めかせている。
間もなく訪れる猛暑の日々を予感しながら、博麗霊夢はその景色を眺めていた。

「……あのとき、『ここは私の住む幻想郷だから、博麗の巫女である私は負けない』みたいに言っちゃったけど、
 それじゃあもし私が“あちら側”へ連れて行かれたら、ちょっと不味かったのかしら?」
「いいえ、それは大丈夫よ」
「……紫。独り言の立ち聞きは趣味が悪いわよ」
「あら? 私にははじめから“ふたり言”に聞こえたわ」

 姿を現した八雲紫が、霊夢の側にスキマを作り腰掛ける。
別のスキマから差し出された湯飲みを、霊夢は表情を変えずに受け取った。

「私が連れ去られても、問題なかったって?」
「その言い方は語弊がありそうね。
 ……前にも話した通り、“世界”というものは全てであり二つとない。
 幻想郷は少し特殊で複数の“違った幻想郷”が存在するけれど、本質的には同じ世界の要素なのです。
 ですから当然、世界の構造も同じ。故に貴女の言う“あちら側”でも結果は同じなのよ」
「……?」
「つまり、貴女が貴女である限り、大丈夫ということですわ」
「ダメね、やっぱり妖怪の賢者様の話は理解できないわ」

 博麗霊夢は誰よりも強い自信を持つ人間である。
それは、生まれ持った幻想の力からくる驕りでも、立ち向かう相手に対する侮りでもない。
ただ純粋な、自分自身への信頼なのである。
 
 そのことが、妖怪退治の際には顕著になる。
例えどんな存在と相対することとなろうとも、霊夢の自信は揺るがない。
だからこそ、“世界”が少し彼女の側に寄ってくるのだ。

 それが、彼女が『異変解決の第一人者』たる所以なのかもしれない。
 それが、彼女の持つ強さの本当の所以なのかもしれない。

 もっとも、当の本人はまるでそれを意識していないのだが。
 平和な幻想郷を眼に映しながら、博麗霊夢は暢気に欠伸をした。


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