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【お題で嫁を】お題で簡単にSSを作ってみようか【自慢するスレ】
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:
名前が無い程度の能力
:2013/08/11(日) 14:28:41 ID:o81nE0Vs0
「咲夜、私の手に爪を立てて。私が咲夜と一緒に生きているって証を見せて……」
一瞬咲夜は困ったような哀しい表情を浮かべたが、すぐに私の要求に応えた。
小刻みに震える手。崩れてしまいそうなほど弱い握力で、それでも綺麗に磨かれていた爪が私の皮膚の表面を切り裂いた。
紅い血が一筋、私の手の甲を伝ってシーツに滴り落ちる。それは雪原に咲く薔薇のように鮮やかだった。
『私は一生死ぬ人間ですよ。大丈夫、生きている間は一緒にいますから』
かつて不老不死の人間と対峙した時、不老不死になってみないかと言った私に咲夜が答えた言葉が頭の中に響き渡る。
あの時、私の言葉は冗談半分だった。まだ咲夜の背後に「死」の影なんて視えていなかったから。
だけど私は不思議と後悔していない。今、こうして咲夜と痛みと苦しみと生きている実感を共有できた瞬間が嬉しかった。
花は咲いた瞬間、後は萎れて枯れて散る運命だ。そうだ、私たちの主従関係はこれまで青い蕾だった。
それが咲夜の死に際に高らかに咲き誇った。今この瞬間、私たちは確かに絶対的な絆で結ばれていた。
「愛しています、レミリアお嬢様……」
それが咲夜の遺した最後の言葉だった。嗚呼、遅咲きにもほどがある。私は力を失った咲夜の手をそっと自分の頬へ触れさせた。
冷たい手の平。私のために紅茶を淹れ、ナイフの弾幕を扱い、優しく頭を撫でてくれた手。私が愛した咲夜の手。
「バイバイ、咲夜」
穏やかな表情で永久の眠りに就いた瀟洒な従者へ、私が手向けた餞別の言葉は簡素だった。
バイバイ、咲夜。今やっと花開いた貴女との絆、貴方と過ごしてきた掛け替えのない時間は、このレミリア・スカーレットが死ぬまで咲き誇り続けるでしょう。【END】
きっと咲夜さんの手はお嬢様の涙で濡れていたと思う。
お題:お茶(種類を問わず)、剃刀、夏の終わり、ブランコ
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