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【お題で嫁を】お題で簡単にSSを作ってみようか【自慢するスレ】

1名前が無い程度の能力:2008/11/26(水) 00:23:45 ID:qDu.RquQ0
安価の人のお題で自分の好きなキャラの妄想をするスレ。

【例】

お題:煙草 キャラ:パチェ

「ここじゃ吸っちゃダメだよな…?」

「図書館の中は禁煙よ」

「…だよな、ちょっと外散歩してくるよ」

「えっ?」

「ほら、パチェも喘息持ちだし、な」

「だ、大丈夫よ、小悪魔、窓を全部開けてきて頂戴、あと○○(名前)に灰皿も」

「…大丈夫か?」

「へ、平気よ。ほら、早く座って、本の感想でも聞かせて頂戴」

「そうか…じゃあここで吸っちゃうぜ」

「え、えぇ」

(…むきゅー)

2681/4:2012/11/19(月) 00:30:21 ID:KtuKTfFMO
>>263から『談話』

してやられた。
はたては今さら流れてきた汗を拭うと、大きく息を吐いた。
暑いわけではない。木枯らし舞う季節、いかに気候の安定した地底と言えどもこの地霊殿という建物の空気は当然それなりには冷えている。
よもやつい頭に浮かんだ「文には負けない」という思考を読まれ、付け込まれるとは予想していなかった。
以前文に見せられた写真――月のお姫様が繰り出したとかいう弾幕が、目の前で再現されたのだ。
撮影には成功したが、それでも全く勝った気がしない。
「……負けは負けですよ。さすがですね、降参です」
被写体の古明地さとりは事も無げに言ってのけると、ふわりとホールの床に降り立った。
「取材がご希望でしたね。さ、こちらへどうぞ」
抑揚に乏しい声。さとりは背を向けるとさっさと歩き出した。そのまま置いて行かれる気がして、はたても慌てて降りる。
だだっ広いエントランスホールに二人分の足音が響いては、遙か奥の暗がりに吸い込まれて消える。
例の間欠泉騒ぎで巫女や魔法使いが突入した際には、全速で飛行して最深部まで四、五分かかったという話だ。
規則正しく並んだ床面のステンドグラスが、灼熱地獄跡の光を受けて辺りをぼんやり照らしている。
気温の上昇を感じて、ああ床暖房なのね、夏はどうしてるのかしらなどと考えるはたてに、さとりは先を歩きながら声をかけた。
「この間いらした天狗さんは撮影だけ済ませたら早々にお帰りになりましたけど」
「文はそういう奴なんです。何でもてきとーで嫌になっちゃう」
また有ること無いことでっちあげて記事にするつもりなのだろう。いつものことだ。
「……あなた方は姉妹みたいにそっくりだったり、まるで正反対だったり、面白いのね」
振り返ったさとりが三つの瞳ではたてを見つめていた。

2692/4:2012/11/19(月) 00:33:21 ID:KtuKTfFMO
通されたのはこじんまりした応接室だった。
多めのランプと暖炉の光で、ホールとはうって変わって明るい。
はたてが所在なく重厚な雰囲気の調度品を眺めていると、お茶の用意をしたさとりが戻ってきた。
使用人の類は置いていないらしい。さとりは洋菓子が盛られた皿を並べ、二人分のカップにコーヒーを注いだ。
「どうぞ。さて、」
はたての向かいの席に着くと、さとりは薄く笑ってカップを手に取る。それと同時に膝元に赤黒い毛並みの猫が飛び乗ってきた。
さとりと一緒に入室したであろうその猫は、膝の上で盛大に伸びをすると、くるりと身を丸めた。
「もう、この子ったら。危ないでしょう?……あら、お燐とも遊んでくださっていたのね」
確かにはたては以前このお燐と呼ばれた猫を取材していた。危険な猫だ。
だがそれ以上に自分の思考が間断なく読み取られているらしいという現状にはたては慄然とした。
「……そんなに警戒なさらないで。普段はほんの表層しか読めないんですけど。さっきの弾幕遊びで仕掛けた暗示がまだ効いてるようね」
「いつの間に……」
それらしい素振りがないか、注意はしていた。
「最初から」
お燐の背を撫でながらさとりはにっこり笑った。
「興味や関心が少し表に出やすくなっているだけですよ。取材なさるんですから、むしろ好都合ですわ」
ここではたては腹を括った。開き直ったと言ってもいい。
「それじゃあ聞き取りを開始しますけど」
「ええ、あなたの質問に私が答える、そういう形式でいきしょ」

2703/4:2012/11/19(月) 00:38:21 ID:KtuKTfFMO
#はたての取材ノート(はたてにしか読めない速記文字が並んでいる。極最近まで出番の無かったものだ)
―今般話題の間欠泉センターについて、ご存知のことがあればお聞かせください。
「間欠泉センター、ね。あの施設にそんな呼称を与えるなんて、山の神様はおふざけがお好きなのね」
―やはりあれの建造には旧都も絡んでいる?
「そりゃあねぇ。底面は灼熱地獄跡にまで到達する大深度建造物です。私達に話を通さずにやられたら困っちゃいますから」
―どういった経緯で?
「基本構造は先に山の神様、洩矢様でしたっけ? が作ったらしいのです。事後承諾ですね」
―あー、うん。やりそうなこと…
「それで、地上の河童の皆さんがぞろぞろ入り込んで作業始めたあたりで、これは一度しっかり折衝しておかないと、と」
―どのような取り決めがなされたのでしょう。
「設計は地上の皆さんにお任せしますから、建造と保守管理は土蜘蛛衆で行いたいと私が直接八坂様にお話しました」
―うわぁ強気。
「こちらとしても勇儀さん…鬼の差配で進めてることにしないと御山の過剰な干渉だって意見、収まらないんですよ」
―地底で勝手は騒動の火種になると。守矢神社はあくまで御山の技術革新だ、と喧伝していますが。
「先進の技術がかなり投入されていることは確かです。結局融合炉は河童の皆さんの手を借りないと運用できないのが現状ですし」
―底部に設置されているという機械ですね。詳しくお願いします。(ビンゴ! の文字が乱雑に二重線で消されている)
「……慌てなくても結構ですよ……ああ、お空にもお会いになっているのね……それで察しがついたと」
―いや、まあ…ははは。間欠泉のためとすると大仰過ぎる力だなぁって。
「お考えの通り、熱水を吹き上げるのは二次的な機能にすぎません。あれの実態は核融合による実験炉です」
―本当の目的は何なのでしょう。
「八坂様曰く新たな生活基盤エネルギーの創出、そのための実験だそうです。……かなり情報が絞られているようですね」
―河童に直接取材してものらりくらり…箝口令でも出てるようで。
「それがあの方達のやり方みたいです。この件に関しては運用が軌道に乗ったら大々的に発表するのでしょう。守矢主導のエネルギー革命って」

2714/4:2012/11/19(月) 00:44:55 ID:KtuKTfFMO
―地上の人妖の生活に大きな変化をもたらすような計画が密かに進行しているわけですね。
「地上の? 私達地底の者にとっても、ですよ。ですからあのまま座視はできなかった」
―実用化に際しては恩恵に与ると?
「それはもう当然に。立地や建造以前に、炉心そのものが古明地家の物ですから」
―核融合の力は守矢二柱の物だと伝え聞いていますが。
「いいえ。お空はうちの地獄鴉、古明地家の人工太陽ですわ。断じて守矢の実験炉ではありません」

地上に戻る頃には陽は沈み、彼方の山の端を赤く染めるのみとなっていた。
風は冷たい。天蓋の上層に広がる雲が千切れながら走っていく。明日は一雨くるかもしれない。
はたては中空に静止すると、髪を靡くに任せながら今回の取材を反芻していた。
お世辞にも上手くいったとは言えない。聞き出すというよりは、一方的に押し付けられたようなものだ。
それでも、無駄であったとは思わなかった。
あの談話が事実であれ虚構であれ、相手は何故あのような話をしたのかを慎重に見極める必要がある。
大天狗に報告するか、独自に記事にするか、傍観に徹するか…どれを期待され、私はどうするのだろう。
「中立公平清く正しい射命丸、か」
はたては文のモットーを思い出して苦笑した。なるほど、だからこそ事実としての写真とどうでもいい憶測のみで紙面を構成するのだろう。
それと共に地霊殿のホールでさとりに言われたことも脳裏に浮かんでくる。
(――姉妹みたいにそっくりだったり、まるで正反対だったり――)
何故、文の後追いになるのを承知でこの取材行を始めたのか。
思考を打ち切ると、はたては妖怪の山へ向けての飛行を再開した。
もう夜回り組の目敏い白狼天狗に見つかっているだろう。いちいち詮索されるのも面倒だ。はたては速度を上げた。


長々すまぬ。お題追加『硬貨』


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