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【お題で嫁を】お題で簡単にSSを作ってみようか【自慢するスレ】

2681/4:2012/11/19(月) 00:30:21 ID:KtuKTfFMO
>>263から『談話』

してやられた。
はたては今さら流れてきた汗を拭うと、大きく息を吐いた。
暑いわけではない。木枯らし舞う季節、いかに気候の安定した地底と言えどもこの地霊殿という建物の空気は当然それなりには冷えている。
よもやつい頭に浮かんだ「文には負けない」という思考を読まれ、付け込まれるとは予想していなかった。
以前文に見せられた写真――月のお姫様が繰り出したとかいう弾幕が、目の前で再現されたのだ。
撮影には成功したが、それでも全く勝った気がしない。
「……負けは負けですよ。さすがですね、降参です」
被写体の古明地さとりは事も無げに言ってのけると、ふわりとホールの床に降り立った。
「取材がご希望でしたね。さ、こちらへどうぞ」
抑揚に乏しい声。さとりは背を向けるとさっさと歩き出した。そのまま置いて行かれる気がして、はたても慌てて降りる。
だだっ広いエントランスホールに二人分の足音が響いては、遙か奥の暗がりに吸い込まれて消える。
例の間欠泉騒ぎで巫女や魔法使いが突入した際には、全速で飛行して最深部まで四、五分かかったという話だ。
規則正しく並んだ床面のステンドグラスが、灼熱地獄跡の光を受けて辺りをぼんやり照らしている。
気温の上昇を感じて、ああ床暖房なのね、夏はどうしてるのかしらなどと考えるはたてに、さとりは先を歩きながら声をかけた。
「この間いらした天狗さんは撮影だけ済ませたら早々にお帰りになりましたけど」
「文はそういう奴なんです。何でもてきとーで嫌になっちゃう」
また有ること無いことでっちあげて記事にするつもりなのだろう。いつものことだ。
「……あなた方は姉妹みたいにそっくりだったり、まるで正反対だったり、面白いのね」
振り返ったさとりが三つの瞳ではたてを見つめていた。


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