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【お題で嫁を】お題で簡単にSSを作ってみようか【自慢するスレ】
251
:
名前が無い程度の能力
:2011/12/11(日) 09:38:58 ID:yy3FGHag0
>>236
>>241
「夜」「雪」
※既に消化済みだけど「雪融け」の要素も含んでます
肌寒い冬の夜。私は妹と二人で銀色の雪原を歩いていた。
空には赤銅色に染まった満月。遠くでは百鬼夜行の騒擾する気配を感じる。
凍みた雪は世界を覆い、遥か遠くの地平線まで白く塗り潰している。
私たち姉妹はその果てしない銀世界を、ただ黙って歩いていた。
それは、私なりの贖罪でもあった。妹と向き合ってこなかった私の背負った罪。
いつ赦されるか分からない。それでもこの子といつか分かり合えるなら。
隣を歩く妹の息遣い。誘った時に浮かんだ驚きと、微かな喜悦の表情。
横目で垣間見ながら、私はただひたすらに歩き続けた。
「……ねぇ、お姉様」
ふと、妹が私に声を掛けてきた。半歩先に歩いた私は、そっと後ろを振り返る。
随分と遠くまで来たようで、紅魔館の明かりは星屑の燐火のように瞬いていた。
妹は首に巻いたマフラーで口元が隠れている。門番の美鈴が見送る時に巻いてくれた臙脂色のマフラーだ。
「なに、フラン……」
私の言葉は、唐突に手を握られた事で遮られた。華奢な妹の手は、指先が微かに冷たい。
ハッとして私は眼前の妹を見据えた。絹のような金色の髪がしなやかに揺れ、緋色の瞳が物悲しげに潤んでいる。
「手……つないでも、いい?」
しなだれかかる妹の重さを腕に感じる。その重さは、私がずっと拒んできた妹の存在そのものだった。
歪なガラス細工のような翼が、星影に煌めく。私はそっと妹の手を握り返し、静かに妹の身体を引き寄せた。
「えぇ、いいわよ……」
他にもっと言いたい事があったが、私はそれだけしか言えなかった。
その言葉で十分だったのか、妹は静謐に微笑むと私の手をしっかりと握ってきた。
「ありがと。お姉様、だいすき……」
「…………そう」
“私も大好きよ”という言葉が熱く感じられて、喉から出てこなかった。
その代わりに流れた涙は温かく頬を伝う。滲む視界に赤い月が笑っているように見えた。
あぁ、もしこれが狂った月蝕のもたらした偽りの運命だとしても。
私はこの一瞬を愛しく思うのだ。いつか、この子と笑い合える事を夢見て。【完】
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