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【お題で嫁を】お題で簡単にSSを作ってみようか【自慢するスレ】

249名前が無い程度の能力:2011/12/06(火) 21:39:46 ID:aZTFKISkO
>>241『お暇をいただきます』

「−ということは、私めはもう必要でないと」
主人の座の前に立ち、唇を噛み締めながら十六夜咲夜は、そのかすれかけた声で口にした。
「いや、そういうわけではないのよ」
領主は苦笑いしながら応えるものの、潤んだ瞳の主にはほとんど耳には入っていなかった。
「私が人々の間でどういう立ち位置であるか、お嬢様には分からないわけではないはずです」
咲夜はあたかも歯ですり潰したような言葉を領主にかける。
「いや、だからそんなに堅苦しく考えなくていいのよ」
領主は苦笑いをしつつ、彼女をなだめようとした。しかし、あくまで領主がなだめているつもりなだけであって、彼女には懐柔の言葉にしかならなかった
「いえ。分かっております。所詮私は蝙蝠。人にも妖にもなれぬ身分。蝙蝠は両者からはじかれ惨めな死を選ばざるを得ぬことくらい、存じております。
 たまたま、それが今日訪れただけであって、私はまた、蝙蝠として闇の中で、目を閉じ、自分の都合のいい音のみを聞き分け、
 そしてどちらからも疎まれながらその生涯を終える日々に戻るだけのこと。むしろ、それが私の正しい姿なのです。
 そのような蝙蝠に、一滴の血と暖を分け与えていただいたこと、感謝こそすれど、一瞬でも怒りを覚えたことに恥を覚えなければなりません。
 『お暇をいただきます。』とは言いません。むしろ、ここまで愛おしんでいただき、ありがとうございました。」
一通り喋り終えると、スカートの端をつかみながらゆっくりと会釈すると、何食わぬ顔のまま、部屋へと出て行った。
領主は手に顎を乗せ、苦笑いをしながら溜め息をつくと、誰おらぬ広場に向かい、ゆっくりと口を開いた。

「−有給取って数日間遊んできたら、って言っただけなのにねぇ」

<了>

久々に書いたらうーんこの内容
お題:【賃金】【妖怪の山】【遅咲きの花】


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