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チラシの裏 3枚目
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雨の降りしきるクーロンの裏通り。
一人、ビルの谷間に座り込み死んだように黙るは一人の少女。
「ゆき…ほ… …ゆきほ………ゆきほ………ゆき…ほ…」
「んもう……見てらんなくなってきたわ」
春香の背中にかかったのはオカマの声。
「…もう、いい…放っておいて下さい」
ラムダ基地を襲撃した、歌田音に次ぐファシナトゥール第二の実力者にして
歌田音に反旗を翻した彼女の元部下…山崎すぎおでした。
「自由に…生きろだなんて…。 …自由……自由…」
「何が…自由だ …私には……もう、大事な人がいないんだよ
………ずっと、…ずっと闇の中にいるなら…雪歩と一緒がよかった」
ビルの壁に頭をこつり。…冷たい鉄筋の感触を肌に。
…そのときでした。
「…泣くことなら容易いけれど」
歌が聞こえてきました。…海に住まう水妖が、空をゆく鳥の歌を。
「…千早ちゃん」
「悲しみには 流されない」
その歌詞は、今の春香に合っているようで…
「…放っておいてくれないかな」
すれ違っているのでした。
「恋したこと この別れさえ 選んだのは自分だから」
「………そうかもしれない。
…雪歩を連れ出した時から…私は…」
「…群れを離れた鳥のように 明日の行き先など知らない」
「だけど傷ついて血を流したって いつも心のまま ただ 羽ばたくよ」
「…やめて、くれないかな」
降りしきる雨の中の歌をとめる力すら、最早春香にはありません。
それならば聞かない振りをして、歌い続ける。…歌い続け、その力を春香にぶつけ、与えようとする。
「蒼い鳥 もし幸せ 近くにあっても」
…その歌は力強かったのです。…皆の元をはぐれ孤独であったのも、その中で会えた春香と離れたのも経験していたうえだから。
「あの空へ 私は飛ぶ 未来を信じて
あなたを忘れない でも昨日には帰れない」
…その先は春香も聞いていました。
「自由と、孤独か」
「蒼い鳥 自由と孤独 二つの翼で あの空へ 私は飛ぶ 遥かな夢へと」
「この翼?がれては 生きてゆけない私だから」
「……孤独も必要…っていうことかい」
千早は光を無くした春香の目を見下ろします。
「それを忘れないから人は優しくなれるのでしょう。愛する方の犠牲によって手に入れた自由と、孤独ならば尚更…。
…それに亡くしてもいないじゃないですか、春香様は」
「…亡くすより、辛い。…これから雪歩はどうなるっていうんだ
暗い暗い、誰もいない無限の孤独の中を一人で何もできないまま行くんだよ… …死ぬより、辛い」
「…そうでしょうね。妖魔に寿命はありません
辛く、悲しく、何も感じなくなり精神が壊れるまでずっと、何年…何十年、何百年、何千年もあのまま」
「…歌田音が生きている限り。」
「……え」
すぎおが声をかけます。
「大切なものを永遠に失ったのはあのコも実は同じなのよね …ただ、自分が築き上げた不要なものに八つ当たりし
不要なはずの地位とプライドを着飾り、捨てきれずに生きているだけ。悲しいコなのよ」
「……戦いましょう。歌田音と。あなたの血に流れる因縁に決着をつけ…そして、白百合様を助けに」
差し伸べられた手。
ひと呼吸置き、目を閉じます。 …浮かぶのは、雪歩の笑顔。
「… うん…!」
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