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チラシの裏 3枚目
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最後の扉を潜った…そのとき。
「わ!!」
…神社の風景。外に、出たのです。
「雪歩ー、出られたよ!」
入るときのように、手は離していません。離す訳等ない。
手にぬくもりを感じたまま後ろを振り返ったそのとき。
「……ゆき …ほ」
雪歩の手が透けていました。半透明。
そして、色のない白く透明な扉が雪歩の腕の間に通っています。
…いや、雪歩の腕は迷宮側、現実側の…迷宮側にあるのでした。
「雪歩!?」
「先に出てくれてよかった…」
…全てを知っていたのでした。
「この迷宮はね… 出るには何か大切なものを犠牲にしないと出られないんですよ」
「……………先に行かせた理由って…それ?」
「私を大切に想ってくれてありがとう…
私はずっとずっと長く生きました …春香様はまだ…16歳じゃないですか」
「そんなことはどうだっていい! 雪歩がいないと…駄目なんだよ すぐそこから引っ張り出すから!」
「…嘘であって欲しかった。…私がいないと駄目だなんて、言っちゃ駄目ですよ、春香様」
「…雪歩!!」
「残りの人生…妖魔の血を継いだ分ずっとずっと長くなった人生…楽しんでくださいね
もう私がいなくなれば… 歌田音はあなたを追いかける理由もなくなるんです。
これで、全部解決するんです。私は…嬉しいな…… …うれしいな」
雪歩は目に涙を浮かべながら…扉にこつんと額をつけます。
春香も額を…そして繋いでないもう一方の手も、扉につけます。
「どうしてっ!!……わかった。迷宮に戻ろう。ずっとずっと、二人だけで…」
「…それも、……できません…ざんねんでしたー」
「おどけてる場合じゃない…!」
「……春香さま、あなたは自由です…。」
「雪歩…嫌だ、…そんなのって…!!」
「……それじゃもう一つだけ、私のわがまま聞いてくれますか?」
「ああ。いいよ!何でもいい、何としてでも迷宮から出してあげるから」
雪歩は首をふるふると振ります。
「………春香さまがこの後どんな人生を送るのも自由だけどね…」
「…」
「できれば…できれば」
自分の気持ちを口にするこの瞬間…
最後のその時やっと雪歩は自分が春香に惹かれた理由がわかったような気がしました。
その最後の時だけ…雪歩は呼びます。
心のうちで呼び続けてきた…呼びたくて呼びたくて、呼べなかった少女『天海春香』への本当の呼び名を。
「できれば…」
「ずっと、私が大好きだった……」
「優しくて、元気で、可愛い春香ちゃんのままで……居てね…、」
扉が音を立て、粉となり崩れ去る瞬間にもう一度。
「春香ちゃん………!」
「雪歩……」
そして彼女は……
「ゆきほおおおおおおおおおおおおおおおおお…………!!!」
その場に、泣き崩れたのでした。
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