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チラシの裏 3枚目

707メルヘンメイズ やよいの大冒険 第29節 ◆NbzgKxMl4M:2009/10/25(日) 03:16:48 ID:oEmU3Qrs0
 エンディング  〜たいせつなもの〜

やよいたちは女王の国を抜け、長いこと歩いて鏡の国まで戻ってきました。

あれから伊織ちゃんはすぐに目を覚まし、やよいの背中にいることが分かるとすぐに、
「早く降ろしなさいよ、恥ずかしいから」
「私だってもうこんな歳なんだし」
と言って、残念そうにしているやよいの背中から飛び降りてしまいました。
しかしやよいも、
「じゃぁ、疲れてるだろうから手を引っ張ってあげるね」
手を繋いだまま、なかなか離そうとはしませんでした。
「…ま、まぁ、アンタがそれでいいなら…」
「えへへー」

鏡の国の中心部まで戻ってくる頃には、すでに夜になっていました。
しかし前のように真っ暗ではありません。
すでに女王が滅びたことを知った鏡の国の人たちが、そのことを祝って盛大にお祝いのカーニバルを催して
いたのでした。
空には花火まで上がり、人々の賑わいもこれでもかと言わんばかり。
そして、やよいたちが町に一歩入るや否や、その盛り上がりは頂点に達したのでした。

「みんな喜びたまえ、たった今女王は死んだ! 鏡の国は元の平和な世界に戻った!
                     この小さな勇者達に、惜しみなき賛美と祝福を!!」

ウサギが高らかにそう宣言しました。
その声に応えるかのような、地をも揺るがすかのような歓声、そして押し寄せる人たち。
やよいは、そして伊織ちゃんは、自分達の成し遂げたことの意味をようやく実感できたのでした。


「みんな本当に嬉しそうです… これもやよいたちのおかげですね」
「そ、そうかな… なんか照れるなぁ」
「バカねやよい、そういうときはもっと堂々としているものよ」
「でもー」
カーニバルの中心には、すでにやよいたちが招かれていました。
やよいも、そして伊織ちゃんですら見たこともない食べ物や飲み物、そして様々な人たち。
鏡の国の人たちの楽しさが、そのまま伝わってくるかのようです。
「伊織ちゃん、ほんとに良かったね、さぁいっぱい食べて」
「何言ってるのよ、アンタが作ったわけでもないのに… でもおいしいわねこれ」
「まぁまぁ、楽しいのはいいことですよ」
そうして、鏡の国の夜はふけていきました…。


カーニバルも一段落し、鏡の国に静かな夜が戻って来ます。
その時を待っていたかのように、ウサギは改めて二人にお礼を言います。
「ありがとう、平和になったのもやよい、そして伊織のおかげです」
「えへっ」

「ところでやよい、どうして女王を倒せたのか、分かりますか?」
ふと、ウサギがそんなことを訊きました。
「えっ… シャボン玉でやっつけたから、でしょ?」
やよいが答えると、
「そうです、でも、シャボン玉の力だけでは、あの女王は倒せなかったのです」
「じゃぁ… どうして?」
「そこに、愛と、勇気と、夢が詰まっていたからなんです」

 愛と、勇気と、夢…。

そうです。
やよいの持っていた、その三つは、今までの冒険でみんなが教えてくれたことでもあるのです。

 真美ちゃん…
 律子さん…
 そして、春香さん…

「ふーん、なんだか分からないけど、アンタはすごいのね、やよい」
伊織ちゃんも素直にやよいのことを褒めてくれました。

「いいですかやよい、そして伊織。その三つは、お二人が元の世界に帰っても、そしてお二人が大人に
なっても、ずっと忘れないでいてください。どんなことがあっても、それさえあればきっと乗り越えられる
はずです」
ウサギはそう言って、やよいと伊織ちゃんの目をしっかりと見据えました。
しっかりと見開かれた、そしてとても優しい視線でした。
「うん、きっと忘れない。それに、ウサギさんのことも」
「そうよ、私にもそれがあるんだから、まさに無敵よね」
やよいと伊織ちゃんも、そう言ってウサギに微笑んで見せました。




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