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チラシの裏 3枚目
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岩肌は近づいてみるとところどころ崩れていて、溶岩が剥き出しになっていました。
足場としては決して良くありませんでしたが、それを上手に飛び越え、やよいたちは進んでいきます。
鏡の国にもいたトランプの兵隊たち、空を飛んでくるトランプのカード。
さすがに魔物たちも必死です。
しかし、やよいもここで負けるわけには行きません。
地形を上手く利用し、兵隊たちが来られないようにしながら倒していき、少しずつ進んでいきます。
城の門までにはまだ結構な距離が。
進むごとに足場は悪く、そして敵の数は多くなっていきます。
床の向こう側からシャボン玉で敵を倒し、いなくなったところで飛び移り、また次の足場を目指す…。
途中、いくつか分かれ道みたいなところはありましたが、ウサギは迷うことなく一つの道を選んで進んで
行きました。
恐らく、ウサギは正しい道を完全に知っているのでしょう。あのおばあさんの思っていたことというのが、
あるいは本当なら…。
このウサギというのは、一体何者なんでしょう?
坂道を登り、細い道を通り、入ってくるものを拒むかのようなトラップをくぐりぬけ…
ついにやよいたちは城門の前までやってきました。ここまで来るものはいないと見たのか、城の周りには
兵たちの姿も無く、あたりは無気味なまでに静かでした。
ただ聞こえるのは、天を覆う黒い雲から時折聞こえる雷鳴の音のみ…。
「さぁ」
ウサギの声に促されて、やよいは城門を押してみます。不思議なことに、高さ10mはあろうかという
城門は、小さなやよいの力でも簡単に音も無く開き、そして少し開いたところで止まりました。
そこから吹く風がやよいのツインテールを軽く押し流します。
「…」
やよいの緊張はまさに頂点に達していました。けれど、進まなくてはなりません。
ここで負けてしまったら、鏡の国は、そして伊織ちゃんは…!
中に進むと、すぐにやよいは見つけました。
とても高い天井、外の景色がそのまま続いているかのような岩肌と溶岩…
その奥にあるとても大きな椅子に座っている、やよいの大事なお友達の姿を。
「伊織ちゃん!!」
大きく、そして大人っぽい感じの体つきにはなっていたものの、その雰囲気はまさに伊織ちゃんそのもの。
髪を後ろに回したスタイル、広いおでこ、そして上品な顔立ち。
しかし、それを感じたのもつかの間のこと…。
「とうとうここまで来たか…」
その言葉と共に立ち上がった伊織ちゃん… いいえ、女王は、もはややよいの知る伊織ちゃんとは全く違う
ものに変わっていったのでした。
髪は逆立ち、目は釣り上がり、顔のところどころには傷跡らしきものも。
思わず目を背けたくなるような、その光景。
「…!」
「せっかく私のところまで来てくれたのだ、せめて私の目の前で殺してやろう、そこのウサギ共々な…」
「伊織ちゃんを返して!」
あまりのことに体をぷるぷると震わせながらも、やよいは女王に向かってそう叫びました。
「…なんだ、その『伊織』というのは?」
「私の… 大好きなお友達…!」
やよいの言葉に、
「…ふん、なるほど、お前はこの体の持ち主を助けるためにここまで来た、というわけか。それで、その
名前が『伊織』だと」
「そうです」
「そうしたところで、お前に何の得があるという?たかだか一人の人間を助けたところで」
事も無げに女王は言いました。
「…あ、あなたには、友達っていないんですか!?」
「おらんわ。生まれたときから私は一人だった。そして、それはこれからも変わることは無い。第一、この
私を上回る者なぞ存在せぬのに…」
「やめましょう、この女王には愛とか夢とか、そんな言葉は通用しません」
そう言いながら、ウサギが女王とやよいの間に立ちました。
「ウサギ… 貴様までこの私を…」
「人間はな、お前のように利益のためだけに動くものばかりではないんだ。まだ分からないのか」
「く… くだらんわ!」
ウサギの言葉に、今まで眉一つ動かなかった女王が、初めて怒りの表情を見せたのでした。
「やよい… シャボン玉を。女王を消し去らなければ…」
諭すようにウサギがやよいに言います。
「でも… そんなことをしたら伊織ちゃんは…!」
「大丈夫です。シャボン玉が消し去るのは悪の心を持ったもののみ。アールメイコンやレイドック、そして
やよいがシャボン玉を間違ってぶつけた亜美が消え去ったりしましたか?」
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