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チラシの裏 3枚目

697メルヘンメイズ やよいの大冒険 第19節 ◆NbzgKxMl4M:2009/10/20(火) 00:27:21 ID:9MBHA9rQ0
「ひよこさん、無事におうちに帰れたかしら?」
あずささんはひよこと別れた後も、その去っていったほうに向かって歩いていました。
「でも、どうやって私は帰ろうかしら〜」
いつの間にか、あずささんは広々とした床があるところまで来ていました。
見る限りここで行き止まりになっていて、これ以上行くところは無さそうです。
「ふぅ…」
ここまで歩いた疲れもあったのでしょう、いつしか、あずささんは暖かい日差しの中でうとうととお昼寝を
始めてしまいました。
「zzz…」


「さぁもうすぐ出口があるはずです」
「うん、それじゃぁジャンプして…」
やよいたちはいつもの広い床までやってきました、そこで見たもの、それは…

「あずささん!」
「こんなところに倒れているとは… きっと魔物に襲われたのでしょう」
二人が辺りを見回すと、ちょうど空中から大きな鳥が降りてきて、ギャァギャァと不快な鳴き声を上げて
いるところでした。
「デッドルースターか…」
「でっかい鳥…」
「いや、あれも機械仕掛けです、さっきのレイドックみたいなものですね」
近くで見ると、それはニワトリのような格好こそしていますが、アヒルのような大きな嘴に茶色い翼、
青や白の派手な体。そして首の下には鏡が…。
「これは女王の魔力で操られているだけ… 何とか止めなくては」
「うん!あずささんのかたき、覚悟ー!」
やよいがシャボン玉を用意してデッドルースターと向き合った、正にその時。

「ピピィ」
突然、1羽のひよこが二人の目の前に現れました。
それはシャボン玉を構えているやよいの方を見ると猛然と走って来て、そしてやよいの足をひっきりなしに
つついたりしています。
「痛いです〜」
「これは… ただのひよこのようですが…」
ウサギがひよこを抱き上げると、今度はウサギの顔をつついたり手の中で暴れたり。
緑色の毛が一房ある以外、どうみても普通のひよこのようですが…。


「あらあらまぁまぁ」
あずささんが目を覚ますと、大きな鳥とウサギのぬいぐるみ、そして見知った女の子が目の前にいます。
「…これは…」
そしてもう一度前を見てみると、さっき助けてあげた小さなひよこもいました。

「ひよこさん、無事に帰れたのね」

突然後ろから声が。
振り向くと、魔物に襲われたはずのあずささんが元気にこちらに向かって歩いてくるではありませんか。
「あずささん」
「無事だったんですか?」
「ええ、ここに来るまでにちょっと迷子になっちゃったけど、そこのひよこさんに連れてきてもらったのよ」
「それで歩き疲れたから、ここで休ませてもらってたの」
事も無げに、あずささんは言いました。
「え゛…」
やよいたちの額に汗が。
それにも気が付かずに、あずささんはひよこの方に言いました。
「そちらはお母さんかしら〜」
大きな鳥を見ながら、のんびりとした口調であずささんが。
「お母さん…?」
やよいはひよことデッドルースターを交互に見ますが、もちろん似ても似つきません。
この2羽が親子だなんて…。

「そうか、インプリンティング!」
突然ウサギがそう叫びました。
「それって、雛が最初に見たものを親だと思い込むという、あれかしら?」
これはあずささん。
「そっか、だからこのひよこさんはお母さんをいじめていると思って私に…」
「もともとここに置かれていたおもちゃを、偶然このひよこが見つけたのですね」
みんな納得した様子。でも、デッドルースターを止めないことには先に進めません。
どうしようかと、やよいが思っていると…。

「ひよこさん、いらっしゃい」
あずささんがひよこの前まで来て、手をひよこのほうに伸ばしました。
「みんな優しい人だから大丈夫よ、ね?」
「…」
「…」

言葉が通じたかどうかは分かりませんが、しばらくしてひよこはあずささんのほうに歩み寄ってきます。
そして、しゃがんでいるあずささんの胸のふくらみに、ぽふっ、と飛び込みました。
「もう大丈夫よ〜」
そう言いながら、あずささんはやよいたちから離れて、そしてやよいたちにうなずいて見せました。
これで安心して戦えそうです。




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