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チラシの裏 3枚目

688メルヘンメイズ やよいの大冒険 第10節:2009/10/14(水) 23:35:31 ID:LeEgOVwM0
と、その時。
「ううっ… 私何の役にも立ってない…」
雪歩さんでした。
俯いているので表情は分かりませんが、何だかとても悲しそうです。背中までふるふると…
「…こ、こんなダメな私は… 穴掘って埋まってますー!」
「穴!?」
その場の全員が唖然として見ているうちに、雪歩さんはスコップを振り上げ、そして氷の上に思いっきり
突き立てました。
氷に金属が当たる、カキィィィン、という音が空しく響きます…。

その音と入れ替わりに、今度は低い音が響いてきます。まるで地響きのような…。
やよいがふと雪歩さんのほうを見ると、ちょうどそこにはさっき雪歩さんがスコップを引きずった跡が。
そこからかすかに聞こえた音、それは
「氷にひびが入った音…!?」
言っている間に、それはどんどん広がっていき、やよいやタンブラーの重みのせいであっという間に足場の
そこらじゅうを覆うほどに。
「ど、どういうこと!?」
「雪歩さんのパワーってすごいんですね!」
「そんなわけないよー!」
でもどうしましょう、このままではみんな海に沈んでしまいます。
「さっきゆきぴょんがスコップを引きずったせいだよー」
真美ちゃんでした。言いながら、大きなアクションで手招きを。
みんなが走って真美ちゃんのいるほうに何とか飛び移り、そして…
「ぬぉぉぉぉ、落ちるーーー!」
正に手も足も出ないタンブラーは、みんなの見ている前で氷と一緒に沈んでいってしまいました…。
「氷に傷を付けると、それに沿って割れやすくなるんだよ」
真美ちゃんがそう言って氷の割れる様を眺めています。
「そうなんだー、真美ちゃんは物知りだね」
「ふふーん、これは漫画に載ってたんだよ、真美は物知りだね〜」
ちょっと得意そうな真美ちゃんを横目に、
「でも… 鏡をどうやって探しましょうか」
ウサギがそう言ってると、割れた氷の間にキラリと光るものが…。
それはそのままやよいたちのほうに流れてきて、そして氷に混じって浮かんだままになっています。
「なんとかこれで次の世界に行けそうですね」
みんなほっと一息です。

「やだ!」
「真美ちゃんは疲れてるんだし、一緒に帰ろう?」
「亜美は真美が助けるの!!」
まだ鏡は浮かんだままでした。
さっきから、雪歩さんと真美ちゃんがこうして言い争いをしていた為でした。
喧嘩?
そうではありません。
雪歩さんは疲れ切った真美ちゃんをこれ以上ここにいさせたくないから。
真美ちゃんは双子の妹の亜美ちゃんを助けに行きたいから。
二人とも一歩も譲りませんでした。
「困りましたね…」
「ねぇ真美、亜美は私達で助けるから」
「真美が助けなくちゃいけないの!」
雪歩さんが真美ちゃんの手を取って引っ張ろうとしますが、真美ちゃんも足を踏ん張ってその場に残ろうと
します。これではキリがありません。
いつしか、その真美ちゃんの目から涙がこぼれて氷の上に…。

「…分かったよ… やよいちゃん、お願いできるかな…?」
ついに雪歩さんも真美ちゃんの熱意に負けて、その握っていた手を離してくれました。
「ゆきぴょん… ありがとう…」
真美ちゃんはそのまま雪歩さんに抱き付いて泣き出してしまいます。頭をそっと雪歩さんがなでてあげます。
「真美ちゃん…」

「さ、そろそろ行かないと」
ウサギの声に促されて、みんなは鏡のほうに向かいました。
「みんな頑張ってね…。私は手伝ってあげられないけど、応援はしてるから」
雪歩さんがそう言いながら鏡の中へ。
そしてやよいたちもその後、次の世界へ向かって進んでいきました。
「亜美… 待ってて、きっと真美が助けてあげるからね」




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