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チラシの裏 3枚目

686メルヘンメイズ やよいの大冒険 第8節:2009/10/14(水) 23:32:36 ID:LeEgOVwM0
 第4話 氷の国  〜雪歩の大事なお友達〜

「段々寒くなってきたね…」
やよいがそうウサギに言いました。
「ええ、今度は氷の国なんです。やよいは大丈夫ですか?」
「うん、でも待ってる人はきっと寒くて大変だから、早く助けてあげないと」
やよいはやっぱり優しいですね。

出てきたのは一面氷の床、そしてとても冷たそうな水が流れているところ。
さすがに寒くてたまりません。こういうときは運動をして体を温めることにします。
やよいが走ろうとして構えを取ると…

べしょ。

そのままやよいは見事に転んでしまいました。
「うう〜」
うつぶせに倒れたやよいはなんとか起き上がろうと頑張って、何回かの後にようやく立ち上がれました。
でもこれでは到底先に進むことは出来ません…。
それを繰り返すうちにやよいは床の端っこまで。滑って落ちてしまいそうになって、やよいはとっさに
床の端を掴みました。すると…

その端っこだけは床が少し盛り上がっていて、やよいはそこにぶつかって止まることが出来ました。
盛り上がりを掴んで立ち上がると、なんと滑らずに立つことが。
「そうか、それなら端っこを歩けば!」
「普通に歩けますー!」
ちょっと危ないですけど、滑らずに歩けることを考えれば安いものです。気をつけて歩いていきましょう。

走ってくるピンクや水色のペンギンを横目に、ゆっくりとやよいたちは進んでいます。
普通にしていればそんなに危なくは無さそうですが、ここにも女王の手先はいるはずです。
何とかしないと… そう思っていると、氷の床に穴が開いているところを見つけました。
遠目に見て人が2、3人ぐらいは入れる大きさでしょうか、誰かが穴を開けたのに違いありません。
「こ、これは…」
ウサギが驚いています。とにかく行ってみましょう。

穴の側に行くと、そこだけは下の土が見えていて、結構深い穴が掘られていることが見て取れます。
やよいがその側まで行って、
「誰かいますかー?」
と、呼んでみました。すると下のほうで何かが動いて、そして見慣れた人影が姿を現しました。
「雪歩」
「雪歩さん」
二人が同時にそう言います。
「や… やよいちゃん?」
そこにはノースリーブの白い花柄の服、そして何故かスコップを背負った女の子が座っていました。
この子が氷を掘って、そしてこんなに大きな穴を開けたのでしょうか?
「あ… ここだけ大きなひびが入っていたの… ここにいると寒くてたまらないから、こうやって穴を
掘って誰か来るのを待ってたの…」
そういうことでしたか。やよいとウサギもちょっと納得です。
「でも雪歩、ここだけ大きなひびが入っていたということですか?」
ウサギが訊くと、
「うん、まるで何かが落ちてきたかのような感じで…」
そう雪歩さんは言いました…。 何が落ちてきたというのでしょう?
「とりあえず一緒に帰りましょう、ここだとおなかも空きますし!」
「そ、そうだね… やよいちゃんは元気でうらやましいな…」
なんだか落ち込んだ様子の雪歩さんを連れて、やよいたちは出口を探しに行くことにしました。

しばらくすると少しは氷の上を歩くのにも慣れてきました。
雪歩さんが時折バランスを崩したりしてちょっと驚いたり、やよいがジャンプした拍子に転んだり。
そんなことを繰り返しているうちに…
「やよいちゃん! あそこに誰か倒れてる!」
雪歩さんの声に、やよいたちもその方向を向きます。すると…
そこにライトグリーンの服を着た… 女の子でしょうか? 青い髪飾りを付けたその姿を良く見ると…
「真美ちゃん!」
やよいたちの大事なお友達の姿でした。雪歩さんが走って行って、隙間を飛び越え、あっという間に
真美ちゃんのところにたどり着きました。勢いが付いたまま滑っていきますが、それは背負っていた
スコップで上手く勢いを緩めて、落ちる手前のところで止まることが出来ました。
「しっかりして!」
服を着ているとはいえ、真美ちゃんの体は冷たく、顔はすっかり青ざめてしまっています。
このままでは大変なことに…。
「氷の上に倒れていたのでは体も冷え切っているでしょう… 何とかしないと」
でも雪歩さんに出来るのは、ひたすら呼びかけて、そして体を暖めてあげるだけ。
雪歩さんがきゅっと真美ちゃんの体を抱きしめてあげました。こうすれば少しは…
「真美ちゃん、真美ちゃん…!」
返事はありません。
それでも何回も雪歩さんは呼びかけ、体をさすり、抱きしめ…
いつのまにかぽろぽろと涙が流れて、真美ちゃんの顔にぽたり、ぽたり、と。でもそれを止めることもせず、
ずっとそのまま雪歩さんはそうして真美ちゃんを抱きしめていました…。




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