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「えーと。委員長、ちょっと先生保健室連れてくから」
委員長にそう告げて、泣いてる先生を小脇に抱えて体育館を出る。
「……ぐしゅ。先生、ペットじゃないです。こんな持たれ方、屈辱です……」
「あ、そだな。ごめんごめん」
「また別府くんへの恨みがひとつ増えました……」
嫌な事を言う先生を一度地面に降ろし、今度はお姫様抱っこで抱える。
「こっ、これは恥ずかしすぎますっ! いち早く降ろすべきだと提案しますっ!」
「大丈夫大丈夫。授業中だし誰も見てないって」
「グラウンドに生徒いますっ! みんな見てますっ! ニヤニヤしてます! とても!」
「空気感染する笑い病が爆発的に流行ったんだ」
「そっちの方が怖いですっ!」
ぎゃーぎゃー騒ぐ先生を抱いたまま校舎の中に入り、保健室へ向かう。
「先生、軽いなあ。ちゃんと飯食ってるか?」
「ご飯は食べてます。ぱくぱく食べます。ご飯好きです。……またちっちゃいって馬鹿にする気ですね」
「いやいや、馬鹿にはしてないぞ? 先生、思ったんだが俺に対して邪推が過ぎないか?」
「そんなことないです。別府くんは先生にいじわるするのが好きだから絶対に馬鹿にしてます。別府くんなんて大嫌いです。つーん、です」
先生はつーんと言いながら顔をそむけた。見た目だけじゃなく、精神的にも子供な先生に思わず苦笑する。
「あー、それは構わんが、仮にも教師が生徒を選り好みしていいのか?」
「あっ……ひ、秘密ですよ?」
先生は口元に指を一本あて、小さな声で囁いた。嫌いと言った相手に秘密を持ちかける先生に、思わず吹き出してしまう。
「ぷあっ! べ、別府くん、つばがかかりました、つばが! 汚いです!」
「あ、いや、ごめんごめん」
「ぬー……」
先生は俺を睨みながら自分の顔を拭った。
「やー、先生は平和だな」
「よく分からないけど、また馬鹿にされた気がします……恨み帳に書いておきます」
んなの書いてるのか、とか思いながら保健室に入る。
「おお、大谷ちゃん。どうした、別府なんかに抱えられて」
保健室の主である保健医、保田先生が俺と先生を見て疑問符を浮かべていた。
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