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【ツンデレのおなかがぐぅと鳴ったようです】
三時間目の半分が過ぎた頃だろうか、突然教室に「ぐぅ〜」という腹の音が響いた。あまりの大きさに先生の手も止まり、教室がざわつく。
「た、タカシじゃ! タカシの奴が腹を鳴らし、授業を妨害したに違いないわい!」
やおら立ち上がり、まつりは俺を指差した。教室中の視線が俺に集中する。
「いやいやいや、してないよ? 音がしたの俺の近くじゃないし」
否定したのに、誰にも信用されず、授業を妨害したとの罪で廊下に立たされた。あんまりだ。仮に鳴らしたとしても、廊下に立たすのはないと思う。
あまりの扱いに涙でネズミを描いたりしてたら授業が終わった。もう鳴らすなよと言いつつ去って行く先生の後姿に呪詛を唱えてから、教室に戻る。
「さて、どういうことか説明をしてもらおうか、まつりたん?」
「な、なんのことかのう? わらわにはちっとも分からんのじゃ」
あらぬ方向を向いてしらを切るまつりの肩をがっしと掴み、にっこり微笑む。
「今なら許す。ちなみに、今を逃すと性欲処理用肉奴隷が一匹俺の部屋に据えられることになります」
「わらわじゃ、わらわの腹が鳴ったのじゃ! すまぬのじゃ!」
軽く脅すと簡単に口を割った。
「ったく……なんで俺のせいにするかね」
「し、仕方ないのじゃ。わらわがやったとなると、今まで築き上げてきたわらわのいめぇじが崩れ去ってしまうのじゃ。それだけは姫として避けねばならんのじゃ!」
どこの国かは知らないが、こいつは亡国の姫らしい。姫は姫なりの苦労があるということか。だがしかし。
「だからって俺のせいにしていいわけがあるかああっ!!」
「にょわあああああっ!」
まつりのおでこをぐりぐりぐりーっとする。
「うぐぐぐ……よくもわらわの可憐なおでこを! 万死に値するぞよ!」
ぷすぷすと煙をあげるおでこを押さえつつ、まつりは涙目で俺を睨んだ。
「そもそもお前が悪いの。俺だからこの程度の罰で許すけど、他の奴なら今頃お前は肉便器だぞ?」
「そっ、そうなのかえ? ぬう……なんと恐ろしい国じゃ」
こうしてまつりは間違った知識を植えつけられているのです。
「分かったら今日俺の家に来い。肉便器のなんたるかを実践して教えてやるから」
「貴様が率先してどうするのじゃ!」
しまった、つい。まったく、つるぺたを見るといつもこうだ。
「ところで、腹が鳴るってことは、腹減ってんのか?」
「ぬ……き、今日はちと朝が遅うてな。朝食を食う暇がなかったのじゃ」
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