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「なにその低い数値!? やめて耳掃除やめて!」
「大丈夫、残りは勇気で補います」
「なんか聞いた事あるセリフですよ!? ていうかそこまでして耳掃除してほしくないしやめてやめてやめて!」
「がががーがががーがおがいがー」
「人が生きるか死ぬかの瀬戸際にへったくそな歌を歌うとな!?」
「…………」
「おや、機嫌を損ねましたね? 耳かきの動きが急に乱雑になりましたよ? ていうかホントすいませんやめてください死にますもう死にますからひぎゃあああ!」
あまりの恐怖に気絶。
「……マスター、起きてください。マスター、起きてください」
「…………」(気絶中)
「起きないと、脳に電極を刺して強制的に起こします。3、2、1」
「起きた!」
「……ちっ」
「ちって言った! 刺す気だったよこのロボ!? ていうかなにその手のでっかい電極!?」
「気のせいです」
気のせいとか言いながらヒナタは巨大な電極を投げ捨てた。隠す気ゼロじゃん。
「マスター、掃除完了です。ぴっかぴかになりましたと宣言するヒナタです」
「ん? ……おお、耳がすっきりしてる!」
「奇跡とはこのことを言うのですね」
奇跡が起きないと無事じゃない耳掃除なんて聞いたことない。
「過程はともかく、耳掃除してくれてサンキュな。もう頼まないけど」
「マスターの感謝を確認。と同時に、“モウタノマナイケド”というノイズも確認。ノイズを記憶から消去」
なんて都合のいいロボなんでしょう。
「マスターの望みを叶えられたヒナタは、素晴らしいアンドロイドだと自画自賛します。自画自賛モード発動。偉い偉い」
自分で自分の頭をなでる変なロボ。表情は変わらないが、どこか満足そうだった。
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